肉体を離れるこの感覚は久々だ、異世界で魔王と戦った時以来だろうか。
これを初めて使った時エリオは全く扱えていなかったことを考えると、ロゼさんはかなりセンスがある方だと思う、まぁミスティやレイナはすぐに使いこなしたんだけど。
ロゼさんは、戦いの中で
それでも食らいついてくるスーパーノヴァインパクトはかなりの強敵だったが最終的には倒すことに成功した。
『治るよね!?*1』
魔人は魔力で肉体が構成されているらしく、人の体と混ざり合う形で共存していたようだ。
俺の想像だが、スーパーノヴァインパクトの死体を魔人にすることで生命として存在できる状態にしていたのではないだろうか、体に感じる違和感や魔法少女ミュージアムで見た映像から殆ど成長していない理由もそれで説明できる。
治療を早速始める、魔人の魔力を消し飛ばした影響か、体の欠けている部分がかなり多い、しかも完全に魔力を消せたわけではなく微妙に残っているのも厄介だ。
『ロゼさん、少し魔力を借りるよ』
『う、うん!』
この状態は体の制御権はロゼさんにあるが、神聖魔法に関しては俺が使っている、魔力を共有している為上手く操作すれば回復魔法に魔法少女の魔力を混ぜることも可能だ。
油汚れのようにこびりついている魔人の魔力を削ぎ落としながら、生命の維持に必要な部分を優先的に治していく。
魔人が混ざっていた影響か見た目に多少の変化はあったものの、体は治すことができた、一部分を除いて魔人の魔力も取り除いた、しかし……。
『やっぱダメか……』
このまま続けてもダメだと感覚で理解した。
極端な話をするなら一度死んでしまっていても体だけであれば治すことはできる、なら何故死者の蘇生ができないのか、それは魂をどうにかする手段がないからで……。
スーパーノヴァインパクトに魂が無いわけではない、しかし生命を維持するだけの力は残っていない、魔人としての魔力でそれを補っている様に見える、魔力を全て取り除いてしまったらそのまま死んでしまうだろう。
想像でしかないけれどロゼさんの魔法であれば、この状態から何とかできるかもしれない。
しかし成功したとしても、それは本来の魂と同じなのだろうか、死んでから今までの間ずっと魂が残っていたとは考えにくい、この魂は魔人として生まれた時に出来た魂なのではないか?
もしそうならば元のスーパーノヴァインパクトと同じだと言って良いのかわからない。
『どうすればなんとかできるの?』
思考が漏れていたか……たまにこうなるんだよなぁ、抑えないと。
『このまま魔人の魔力を全て取り除いてしまうと、魂がそのまま弱って体から離れてしまう』
今残っている魂では力が足りない、ならば力を増やしてあげれば良い、体から離れてしまったり、バラバラになってしまっていたらどうにもならないが弱っているだけであれば……。
『今残っている魂の力をロゼさんの魔法で増幅させれば、生命の維持が可能かもしれない』
魔法少女の魔法は未知数だから確証はないけれど『増幅』魔法の特性を考えれば出来ると思う、ロゼさんの技量次第だけど。
『なら……やってみるよ!』
『元のスーパーノヴァインパクトと同一人物とは言えないかもしれないよ?』
『それでもやるよ!インパクトさんでもそうでなかったとしても助けられる人を見捨てたくはないしね』
『そう……じゃあ俺もサポートするからやってみようか、俺の感覚に合わせてほしい』
『うん!』
『俺が少しずつ魔人の魔力を取り除くから、ロゼさんは中心の魂……核のような部分を増幅させて欲しい』
『う、うん……やってみる』
俺は魂の維持に影響が少なそうな部分から慎重に魔力を取り除いていく、それに合わせてロゼさんが魂の力を増幅させていく、なんか2人で協力して作業してるって感じがして良いな、そんなことを考えるような状況ではないとわかってはいるけどさ。
3分間程で全ての工程が終わる。
『とりあえず生きてはいそうだね、寝息も立てているし顔色も悪くない』
『成功……したのかな?』
『やろうとしたことはね、結果スーパーノヴァインパクトがどのような状態なのかは目覚めないとわからない』
『そっか……』
『もう少しゆっくり調べたい所だけど先に戻ろう、黒井さんが影使いの魔法少女と戦ってくれているんだ』
『え!?真那さんが来てくれてるの!?なら早く行かないと!』
ロゼさんがスーパーノヴァインパクトを抱え、俺の体がある場所に戻り、魔法を解除したのは良いんだが……。
「体が動かない……」
解除しなければ良かったのではと思うかもしれないが、先程の治療で力を使いすぎて維持するのがきつくなっていた、魔法少女の魔力を扱う行為は想像以上に負担がかかるみたいだ。
ロゼさんが問題なさそうなことだけは救いだろうか。
「なら私が運ぶよ!」
ロゼさんが左にスーパーノヴァインパクト、右に俺を担いで黒井さんの元へ向かう、恥ずかしい格好だけど気にしていられるような状況ではない。
向かった先では黒井さんと影使いの魔法少女が戦闘を続けていた、戦力は拮抗しているどころか押されているように見える。
おかしいな、俺の光を放つ魔法が無いとはいえ黒井さんの方が有利だと思っていたんだが……。
あっ、やばい、慌ててロゼさんの元に向かったから黒井さんに支援魔法をかけ忘れてた……だからこうなっているのか……。
今はまともに魔法が使えない、光によるサポートも支援魔法の掛け直しも難しい。
「ロゼさん、私達のことは置いて黒井さんの方へ!」
「うん!わかった!」
「……っ!?」
流石にロゼさんまで相手にするのは分が悪いと思ったのか影使いの魔法少女が影に入り消えていく、一瞬驚いたような声が聞こえたのは俺達が勝つとは思っていなかったからだろうか、それとも人へと戻ったスーパーノヴァインパクトを見たからだろうか。
こちらも満身創痍なので正直ありがたい。
「すいません……黒井さんに魔法をかけておけば……」
「それは……私も思いました」
「で、でも!ほら!ルナちゃんが急いで来てくれたおかげで、私は助かった訳だしね……?」
確かにスーパーノヴァインパクトの魔法を防ぐのはギリギリだった、何かの要因で遅れていたらロゼさんは助かっていなかった可能性もある、、そう考えたら結果論ではあるが俺の判断は正しかったのかもしれない、まぁ言い訳でしかないので反省するべきではあるけれど。
その後、スーパーノヴァインパクトは黒井さんに頼み調査研究部へと連れ帰ってもらい、俺達はホーリーベルさんや派遣されてきた他部署の人と共に状況確認や事情説明など事後処理を行うことになった。
途中連絡が来てわかったことだが、金森さんや篠宮さんは怪我もなく無事に避難できたようで安心した。
俺達が後処理をしている間もスーパーノヴァインパクトは目覚めなかったらしい、体に異常は無いようだが、この後様子を見にいかなければ……。
例の施設の中でスーツの男とスピカアルケミストが並べられたデータを眺めていると、影の中からシャドウルーラーが現われた。
「ボス……スーパーノヴァインパクトが……」
「負けたんだろう?魔角を通して見ていたから知っているよ、素体、込めた魔力量共に最高レベルだったんだけどね、まさか負けるだなんて思ってもみなかった」
「違う……ただ負けただけじゃない」
「ふむ、何があったんですか?」
「スーパーノヴァインパクトが魔人から人に戻ってた……体にも変化はあったけど」
「死体に戻ったということかい?それは想定していたことだが……」
「違う、勘違いかもしれないけど……死んでるようには見えなかった、一瞬だけど表情が変わった様に見えたから」
「へぇ……それが本当なら面白いね」
「スーパーノヴァインパクトに何をしたのか見ていないの……?」
「魔角が壊れるまでは観測できていたけれど、それ以降は見れていないよ、何かしたとしたらそこだろうね」
「観測できた範囲では、魔人に対して何かしていた様には見えませんでしたね、戦闘能力こそ異常ではありましたが」
「あの2人に手を出してやろうかな、あいつも嫌がるだろうし」
「今更私怨で動くなとは言いませんが、今はやめてくださいね」
「別に構わないだろう?シャドウの言葉を信じるのであれば彼女達を手に入れないという選択肢はないだろうし」
「ええ、手に入れるつもりですよ、ですから事前調査をし準備を整えて万全の状態で挑みます、貴女が単独で動いてどうにかできる相手ではないでしょう」
「わかった従うよ、ボク一人じゃあいつ一人すら出し抜けないからね……」
この章は次話で終わりです!その後整理を兼ねてキャラ紹介を挟む予定です!
作品全体としては、後2章くらいで完結させてその後は後日談やネタだけある閑話とかを書けたら良いなとは思っていますが多少変わるかもしれません。