累計で29歳です。
後、誤字報告とか本当に助かります!ありがとうございます。
押し切られる形で、茜さんと共に脱衣所まで来た。
これでも12年間女として生きているから別に興奮とかはしない、男だった過去を黙ったままという罪悪感はあるけれど。
とはいえ、同年代の女の子と共にお風呂に入るという経験はあまりなかったので緊張する。
さっと着せられていた服を脱いで先に浴室へ入る、後から入ってきた茜さんの体は衝撃的なものだった。
彼女の腹部には大きな傷跡が残っていて、その姿を晒して平然としている彼女の姿は異質に見えた。
「その傷は…」
「少し前に、魔獣との戦闘で死にかけたことがあってその時にね、見苦しくてごめんね?心配をかけたくないからお母さんには内緒にしてほしいかな…」
俺と出会った時も死にかけていたけれど、もしかしてこの子結構な頻度で死にかけていたりするのか…?
「回復魔法を使える魔法少女とか居ないのか?」
「命は助かったけど傷まで消すのはできなかったみたいでさ…まあ死ななかったからさ!」
俺に対しては自分が辛い時でも助けてくれる優しい人だとか言ってたけど、茜さんこそ自分が傷つきながらでも戦えるそんな優しい子なんじゃないか?
俺は1度死んでいるって理由があっただけで、本当は優しくなんてないし…。
はぁ…女の子のお腹にこんな傷がついたままなのは可哀想だよな。
慎重に彼女の傷跡に触れる。
「ルナちゃん…?」
ゆっくりと傷口に魔力を流し込んでいく、回復魔法は体の治癒能力を高める魔法ではない、体をあるべき姿へと戻す魔法だ、だから傷を負ってから時間が経っていたとしても、慎重に魔法をかけていけば治す事ができる。
回復魔法によって傷跡が完全に消えた腹部を見て茜さんは泣いていた、気にしていないように振舞っていたけれど、お腹に大きな傷跡が残っているのは辛かったんだろう。
「消えてる…一生残るって言われてたのに…!ありがとう!本当にありがとうルナちゃん!」
「ちょっと待って、お互い裸なのに抱きつかないで!茜さん!?」
もう女の体には慣れてるとはいえ、裸で抱きついてくるのは流石にまずいって!
その後、何とかして離してもらって…体を洗われていた。
「わざわざ洗ってもらわなくても…」
「ルナちゃんの洗い方じゃ髪も肌も傷んじゃうよ!私に任せて!」
「俺には魔法があるから多分大丈夫だよ」
「何でも魔法で解決しようとするのは良くないよ!」
「使えるものを使うことに問題はないんじゃ…?」
「そうだけど……本当はさ、妹ができたみたいで嬉しかったんだ…このまま続けちゃ…ダメかな?」
悲しげな声で言われると断りにくい…。
まぁ妹のわがままに付き合った時と大差はない、これくらいなら…問題ないか、恥かしいだけで嫌じゃないし。
妹…ね…。
「ルナちゃん…大丈夫?ダメだったら断ってくれて良いからね!私がやりたかっただけだし!」
美咲のことを考えていたのが表情に出てたのか…変な心配はかけたくない。
俺は暗い気持ちを表に出さないように意識して笑顔を作った。
「大丈夫、恥ずかしかっただけで嫌じゃないから…それに魔法に頼りっきりで知識が無いのも事実だからね、教えてくれると嬉しい」
「そっか…、それじゃあ将来的に自分でできるように私がちゃんと教えてあげるね!」
喜んでるみたいだし良かった、それに魔法もどこまで万能かはわからないからね、現代の知識を得てちゃんと処置するのは何も間違ったことではない、今は茜さんのやりたいようにさせてあげよう。
レイナもこうやって度々世話を焼いてくれたんだっけ…。
ダメだ、心に余裕ができると昔の事ばかり考えてしまう、どう頑張っても昔には戻れないんだから切り替えないと。
体を洗い終えた俺たちは2人で湯船に浸かっていた。
少し狭いが、2人ともまだ子供だし俺の体も小さいので問題なく入ることができた。
久々のお風呂で心も体も休まるような気がする。
「久々のお風呂気持ち良いなぁ…」
「お風呂は癒されるよね!ルナちゃんのおかげで傷跡を見て落ち込むことも無くなったし、これからは純粋に楽しめそう」
「役に立てて良かった、それで気になったんだけどさ、あんな傷が残るほど激しい戦いをいつもしてるの?俺が茜さんと出会った時も死にかけてたし…」
「いつもではないけど…強い魔獣や魔人がいると時々?」
「これからも戦い続けるの?繰り返していたらいずれ…」
本当に死んでしまうかもしれない…と言葉には出せなかったでも心配だった。
昨日俺と出会わなければあのまま死んでいた可能性が高い、それだけの傷を負っていた。
腹部の傷も軽い傷ではなかったはずだ、どこかで何かを間違えていたら死んでいたのではないか。
「私は魔法少女として戦い続けるよ、それが沢山の人を守ることに繋がるから、それに死にかけるような戦いは滅多にないから大丈夫だよ!心配しないで!」
やはりこの子はエリオに似ている。
自分が傷つくことを厭わずに、多くの人々を守るため最前線に立って戦い続ける、勇者に相応しい精神性が…。
このタイプは放っておいてはいけないと思う、何よりここまで俺に寄り添ってくれた茜さんが死んでしまうのは…嫌だ。
「あのさ、魔法少女としての戦いを俺も手伝えないかな?俺なら茜さんが傷ついても回復できるし他にも支援できる魔法が色々使えるんだ、助けになれると思う」
「え…?でも危ないよ!魔獣や魔人って本当に危険なんだよ?私なら大丈夫だからさ!」
「こう見えて異世界でも戦ってきたんだ自分の身を守るくらいなら俺だってできる、何もせず待ってる間に、茜さんが死んでしまったりしたら俺は一生後悔すると思う」
「それは…」
茜さんは返答に困っている、俺の意思を尊重したいけれど、巻き込みたくないとも思ってくれているんだろう本当に優しい子だ…なら俺の本心を伝えよう。
「俺に幸せな人生を歩んで欲しいと言ってくれたよね、俺が幸せな人生を歩むには……君が必要だ、だから俺は俺の為に君を手伝いたいダメかな?」
「そんなこと言われたら断れないよ…でも魔法少女は組織として動いてるから簡単に手伝えるってものでもないんだよね…」
「……ごめん、勝手なこと言って目先のことしか見えてなかった、俺みたいな特殊な経歴の人間が簡単に手伝えるものでもないよね…」
「とりあえず、お母さんに相談してみよう!魔法協に所属してるから何か良い方法を考えてくれるかもしれないし!」
「あまり負担かからないくらいでね、俺も勢いで言っちゃっただけだからさ」
「でも、私のことが必要って言ってくれたのが嬉しくてさ、その気持ちを無駄にしたくないんだ、だから私もできる限りの交渉はするよ!」
俺の気持ちを汲み取ってくれるのは嬉しいし、できるならば手伝いたい、茜さんまで離れてしまったらもう俺は耐えられそうにないから…。
あれ?俺、幸せな人生を歩むのには君が必要だ…とか言ってたよね…。
これ、冷静に考えたらプロポーズのセリフみたいなのでは?
勢いで話してたとはいえ流石に…それに重いし…。
でも…今は女の子同士だからセーフだよね!セーフ!
「ルナちゃん!顔が赤いけど大丈夫?のぼせちゃった!?とりあえず上がろっか!」
「だ、大丈夫、そうだね上がろう」
重いこと言っちゃったけど茜さんは気にしていないみたいだし大丈夫…なはず。
その後、体を拭いて、俺は茜さんの服らしいちょっと大きめのシャツと未使用らしい下着を貰って着ることになった。
茜さんは同い年だけど俺が小さめだからか彼シャツみたいな感じになってるな…これ。
俺が元々着ていた服はボロボロすぎて使い物にならないらしい、雨に濡れまくってたし、あの服でどれだけの時間歩いてたのかもわからないから仕方ないね。
加護が幾重にもかけられていた聖女としての正装であれば自動修復もできて服装には困らなかったんだけど…取り上げられていたし、取り返すだけの余裕もなかったから仕方ないね。
そのまま茜さんに髪を乾かされた後、灯さんに話をしに行くことになった。
ミスティ以外はあまり情報がなかったので前世の仲間について。
ルナが引きずってるので話題には出てくるけど回想とか以外で直接出てくる予定はないです。
・勇者エリオ(18)
聖剣に選ばれ、神聖魔法と闇属性魔法以外の5属性(炎水風雷土)の魔法を使いこなす勇者。
茜を男にしてラッキースケベ属性を追加したようなイメージ。
ルナが軽率に命を懸けるのに困っていたが、ミスティやレイナから見るとこいつも同類。
ルナのことは仲間として信頼していた。
・女騎士レイナ(24)
剣術の達人だが魔法の適正は低い、エリオの師匠で面倒見の良いお姉さん。
ルナのことは妹や親戚の子供みたいに扱っていて、前世の話を聞いても態度は変わらず世話を焼いてくれた。
・天才魔法使いミスティ(28)
闇属性の魔法が得意な天才魔法使い、研究バカで、勇者や聖女という特異な魔力を持つ人間を間近で見れるという理由で勇者パーティに参加した。最年長だけどトラブルメーカー。
ルナとは対等な友人として接していた。
話のキリが良いところで回想回を出したい気持ちはあります、温泉回とか思いついているのでどこかで放出したい…楽しかった日々の記憶を知ることでより失った絶望というのがわかりやすくなりますしね…。