転生したらゼロだったのでCODEをちゃんと導きます 作:遺物
「買いすぎた…絶対に買いすぎた…」
部屋の真ん中に部下が積み上げた紙袋の山を見て、俺は反省した
それにしても、人生で初めてあのセリフ言ったな
デパートでの自分を思い返す
「ここからここまで全部ください!」
「え、左様ですかお客様、それ…」
店員が俺の視線の先を見る
「子供服ですよ…全部」
「ください!」
「あ、ありがとうございましたー…」
「子供に人気なのってどんなヤツですか?」
「う~ん。一番はやっぱりショートケーキですけど…チョコケーキも人気ですよ」
展示されている棚を物色しながら、俺は結局この結論にたどり着く
「な・る・ほ・ど…じゃ、ここからここまで全部ください!」
「え、あ、いいんですか?」
「ください!」
「おおぉ買い上げ、ありがとうございました…」
「今流行りのオモチャってここからここまで全部買えます?」
「は?」
振り返ると金に物言わせすぎたな
これ、経費で落として良かったのかな
後で経理に…後、ツーにも謝っておこう
さて、いよいよ明日だ
待ち合わせ場所の倉庫にはコードゼロイダーも用意してある
完璧だ
後は時が来るのを待つのみだ…
約束の倉庫で待っていると、入り口の方に車が止まった
たぶん中に莫と、父親…役のエージェントがいる
駆け出したい気持ちをグッとこらえ、俺は歩き出す
このまま彼をエージェントとして育ててやろう
そして、CODEで何不自由ない生活をさせてやろう
それが彼の幸せ…に…
なるのか?
――踏みとどまる
俺が育てて幸せに出来るのか?
それが莫の幸せになるのか?
もし、それでエージェントの夢が消えたりしたら?
それに――
ゼロがカタストロムに殺されたときのことを思い出す
自分の父親が死んだことで、莫はどんな気持ちになった?
俺は物陰に隠れ、座り込んで考え込む
彼が俺のことを、最期まで知らなければどうなる?
ゼッツダークネスはゼロが莫のことを思うほど強くなる
俺がもし莫と暮らしたら、ハチャメチャに愛してしまう自信がある
そしたら超強化とかされるんじゃないか?
莫が知らなければ、カタストロムもCODEや俺を狙わなくなったりするのか?
考えれば考えるほど分からなくなる
結論を出すのには、少し時間がかかった
だが、決心はついた
俺がここで父親だと明かすことは、必ずしも莫の幸せではない
今の彼は、このまま一般の家庭で幸せになるべきだ
そうと決まれば、もうここでやることはない
「お父さん!あのカッコいいバイクな~に?」
声の方へ視線を向ける
決めたはずなのに
どうして
彼の姿を見た瞬間、頬に何かが伝う感触があった
俺は急いでそれをふき取った
この涙はゼロのものだ
俺が流していいものではない
――決めた
彼を絶対に幸せにする
それが、俺がゼロになった意味であり、義務なのだと思う
とりあえず、今日はもう帰ろう
「あの…?」
しびれを切らしたのか、部下が話しかけてきた
「あ、あぁ…なんだ?」
「これらの物はどうしましょうか…?」
「あ~…このプレゼントは、彼の家に運んでおいてやってくれ」
「たぶん、入りきらないと思います…」