シャンプーは、掟の外で乱馬を選ぶ―らんま1/2・女傑族の村残留IF―   作:エーアイ

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第2章・あとがき

ここまで第2章をお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

第2章「乱馬は、女傑族の村で暮らしている」は、題名どおり、乱馬がこの村で過ごす「普通の一日」を大切にした章です。

 

第1章では、死の接吻と求婚の接吻によって始まった関係が、勝負の結果だけでは相手の人生を決めないというところまで進みました。しかし、掟の裁定はまだ出ていません。乱馬が日本へ帰るつもりを変えたわけでもありません。

 

それでも朝になれば、乱馬は宗家で食事を取り、コロンから仕事を聞いて出かけます。昼には腹を空かせて戻り、玄馬と肉を取り合い、また仕事へ向かう。第2章で描きたかったのは、そうした時間が重なること自体でした。

 

もちろん、勝負も続いています。

 

第27話では、シャンプーに負けた乱馬が、今度は自分の意思で次の勝負を申し込みました。先に日々の仕事を終わらせてから申し込むのも、今の乱馬らしいところです。そして第29話では、かつて負けた白線際で、今度は乱馬がわずかに場内へ足を残して勝ちます。

 

その後、第34話ではシャンプーの側から勝負を申し込み、前の敗因を修正して勝利します。勝つのも負けるのも一度きりではない。前に通じたことが次も通じるとは限らず、負けた方は考え、勝った方も次を考える。二人が同じように悔しがり、同じように次を求められる関係を書きたかったのです。

 

ここで大切なのは、勝者が何も得ていないわけではない、という点です。

 

乱馬もシャンプーも、勝てば嬉しいし、負ければ悔しい。自分で工夫したことが相手に通じたという手応えも、勝者のものです。ただし、それを理由に相手を夫にしたり、従わせたりはしない。勝負の価値を小さくするのではなく、勝負に背負わせるものを変えているのだと思います。

 

その違いを、ムースはすぐには理解できません。第30話で彼が戸惑うのは、女傑族の村の価値観で育った人物として自然なことです。だから、ムースを単に笑われる役にはしたくありませんでした。乱馬とは今も言い合うし、シャンプーへの気持ちも変わらない。それでも荷車や道具の仕事では、互いにできることを認めて手を動かす。第36話でも、その距離感を大切にしています。

 

生活の面で象徴的だったのは、乱馬が自分の仕事着を買うまでの流れです。

 

服が破れ、またシャンプーから借り、自分で洗い、自分で針を持つ。必要な替えを買うために、普段の仕事とは別に働く。市場では丈夫さや動きやすさを比べ、最後は自分の金で、自分の服を選びました。

 

一着の仕事着を買うだけなら、小さな出来事かもしれません。しかし、乱馬にとっては大きな違いがあります。シャンプーに頼らなければ何もできなかったわけではありませんが、村で暮らすうえで必要なことを、自分で調べ、自分で決める範囲が広がっています。それはシャンプーが乱馬を自分の思いどおりに動かすこととは、むしろ逆の変化です。

 

ユエたち子どもとの関係も同じです。最初は乱馬を珍しがっていた子たちが、今では歩法の続きを教わりに来る。シャンプーが形を直し、乱馬が押して確かめる。やり方が違って言い合う二人を、子どもたちはもう当たり前のように受け入れています。こうしたやり取りがあるからこそ、村がただ二人だけの舞台にならずに済んだと思っています。

 

そして第35話と第36話では、「乱馬がここにいる」ということを改めて描きました。誰かに仕事を頼まれ、別の誰かから名前を呼ばれ、ムースには明日の修理を相談され、ユエたちには帰るときに知らせてほしいと言われる。

 

一方、日本の天道家では玄馬と乱馬の行方が分かりません。待っている側から見れば、まだ到着していない二人です。けれど村では、乱馬が明日も朝食を食べ、仕事を聞きに来ることが、ごく自然なことになりつつあります。

 

ここで「乱馬は村に残ると決めた」とは書きたくありませんでした。乱馬は帰る道を調べ、買った仕事着も日本へ持っていくつもりでいます。その意思を尊重したまま、村で積み重ねた時間にも意味を持たせたかったのです。

 

日本へ帰っていないことと、今この村で暮らしていることは、矛盾しません。

 

第2章は、その二つが同時に成り立っているところで一区切りとなります。

 

乱馬とシャンプーだけでなく、玄馬、コロン、リンファ、ムース、ユエたち、そして村の人々との日々を、ここまで見届けてくださった皆様に感謝します。

 

第2章を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。




第3章はプロット未定のため、しばらくお時間を頂くことご了承ください。
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