村長ってマ? 作:はじめてのERUHU
俺は自宅の簡素なベッドに寝そべりながら考える。
この世界は葬送のフリーレンが元になっている。
でここで重要なことがある。
まず今はいつの時代か、ということだ。
原作のメインは勇者が死んでからのフリーレンの過去を追いかける物語。
しかしだ。しかしである。
フリーレンは最近生まれたのだ。おばあちゃんの真逆だ。
おかしいだろ。原作の1000年以上前じゃねぇか。
そしてもう一つある。
何なら俺個人ではこっちの方が大事だ。
もし本当に1000年前だとするならば、エルフは魔族に狙われている。
原作通りなら、フリーレンの村は魔王軍将軍、玉座のバザルトによって滅ぼされる。
マズい。マズいマズいマズい。
俺村長なんだが。え殺されるの?
どうにかしなければ。どうにかしなければ死ぬ。
背中をヒヤリとしたものが通った。
「けどどうする?」
魔法を使うか?
いや相手は将軍だ。
それに俺は魔族と戦ったことがほとんどない。
戦ったとしても弱いやつばっかだった。
この世界の敵ちょれ~とか思っていた俺が馬鹿だったわ。
しかも俺は魔力が多くない。知識はあるが強くはないのだ。
マジでどうしたらいいんだよ?!
……いや待てよ。
原作ではフリーレンが勝っていたはずだ。ゴリ押しで。
ならそれで良くね?
フリーレンに魔法を叩きこんで、いつかやってくる玉座のバザルトをぶっ殺して貰う。
将来村一番の魔法使いになるはずのフリーレンだ。
俺より強くなる。
で玉座のバザルト倒してもろて、俺はひっそりまた旅に出る。
決まりじゃん。
何とかなりそうなことに、俺は人知れず安堵の溜息をついた。
この村には、変わった村長がいる。
私が少し育ったころ、初めて出会った。
「やぁフリーレン。初めまして」
鮮やかな火の色。
オレンジ色の髪を首辺りまで伸ばした、朱色の目をした少女だった。
少女といっても、私達エルフでいえば計り知れない時間を経ている。
「フリーレン、君は魔法に興味はないか?」
開口二番、そう問いかけてきた。
そんなことを問われるのは、初めてだった。
「魔法?」
「そうだ。魔法は俺達の世界を変えてくれる存在だ」
「噓でしょ」
「嘘じゃない」
「どうして?」
「学べば分かるだろうな。俺が教えてやる。だから魔法を学んで強くなってみろ」
「どうして強くならなければならないの?」
「自然の摂理だ。それにな、いざって時に力は必要だ」
村長は懐から古い本を取り出した。
魔導書。魔法を学ぶための本。
「さぁフリーレン。本を手に取れ」
「……」
特にやることもなかった私は、ほんのちょっとした興味のままに、本を手に取った。
気づけば私は魔導書を読むのが日課になっていた。
ある時は村の人から借り、ある時は村長の家に借りに行った。
そこそこ好きのはずだったのに、読んでいた。
エルフは長生きだ。
だから魔力も比例して多くなる。
暫く経てば、私は村でも随一の魔法使いになっていた。
けど私はずっと疑問に思っていることがある。
「ねぇ村長」
「何だ」
「どうしてあなたは魔法を知っているのに魔力が少ないの?」
「……さぁな」
村長の魔力は少なかった。
私の半分もない。
私より魔法を知っているのに、少なかった。
魔力を隠しているとしか考えれなかった。
けど最後まで答えが分かることはなかった。
「魔族だ!!」
村を魔王軍が襲ったのだ。
玉座のバザルト。
重厚な鎧に身を包んだ戦士のような見た目の魔族に、村は焼き尽くされた。
火の粉が舞う中、村長は悲しむでもなく、ただ私の背中を押した。
「フリーレン、お前ならやつを殺せるはずだ」
私は玉座のバザルトを殺した。殺せた。
けど気づいた時には村長の姿も消えていた。
燃え尽きた村の灰の上にただ座って地面を眺める。
その時、不意に気配がした。
「ひでぇ有り様だな。エルフの集落か」
僅かに視線を上げる。
そこには、赤みがかったオレンジ色の髪をした人間の女が立っていた。
「うっひょーあれがフランメか……本物じゃんめっちゃ強者オーラ出してるわ」