~転生したら奈良シカマルの双子の兄でした~   作:ZAZAI

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「」のセリフが誰のセリフかわからなくなる。
とのご意見を頂いたので、カゲマルのセリフだけ『』。その他のキャラを「」にして書いてみることにします。


第九話 初めての好敵手

 

「始め!」

 

イルカの声と同時に、二人が地面を蹴る。

 

先に動いたのはサスケだった。

 

無駄のない踏み込み。

 

一直線にカゲマルの懐へ飛び込む。

 

(速い。)

 

カゲマルは一歩だけ後ろへ引き、拳を紙一重でかわす。

 

「おぉ……!」

 

見学していた生徒たちから小さなどよめきが起きた。

 

「避けた……!」

 

「あのうちはの一撃を‥‥!」

 

サスケは表情を変えない。

 

だが、内心では驚いていた。

 

(見えてる。)

 

もう一度距離を詰める。

 

拳。

 

蹴り。

 

肘。

 

連続攻撃。

 

カゲマルは最低限の動きで受け流し続ける。

 

攻撃はしない。

 

ただ、相手をよく見ていた。

 

────────

 

「兄貴、反撃しないのか?」

 

シカマルが呟く。

 

隣でチョウジがポテトチップスを頬張る。

 

「守ってばっかりだね。」

 

イルカも腕を組む。

 

(攻めない……いや。)

 

(攻める隙を探している。)

 

────────

 

サスケが右拳を振り抜く。

 

カゲマルは左へかわす。

 

その瞬間。

 

サスケの足元がわずかに滑った。

 

ほんの小さな体勢の崩れ。

 

カゲマルは逃さなかった。

 

体を半歩だけ踏み込む。

 

肩を軽く押す。

 

「!」

 

サスケの重心が完全に浮く。

 

そのまま背中から地面へ倒れ込んだ。

 

ドサッ。

 

静寂。

 

「……勝負あり!」

 

イルカの声が響く。

 

「奈良カゲマルの勝ち!」

 

一瞬遅れて、教室がざわつく。

 

「サスケが負けた!?」

 

「嘘だろ!」

 

「何したんだ?」

 

ナルトだけが満面の笑みだった。

 

「すげぇってばよ! カゲマル!」

 

────────

 

立ち上がったサスケは、服の砂を払う。

 

悔しそうではある。

 

だが、怒ってはいなかった。

 

「……どうして。」

 

カゲマルを見る。

 

「俺は……。一度も本気で殴れなかった。」

 

 

カゲマルは苦笑した。

 

『サスケ。』

 

「なんだ?」

 

『君は真っ直ぐすぎる。』

 

「……。」

 

『強い。』

 

『でも、相手も同じように動くと思ってる。』

 

サスケは黙る。

 

『俺は力じゃ勝てない。』

 

『だから考える。』

 

『相手が一番嫌がる場所を探す。』

 

「‥‥」

 

────────

 

授業が終わる。

 

帰り道。

 

「兄貴!」

 

ナルトが飛び付いてくる。

 

「勝ったな!」

 

『たまたまだよ。』

 

「絶対違うってばよ!」

 

シカマルも肩をすくめる。

 

「兄貴は昔からああだ。」

 

「勝つより、負けない方法考える。」

 

『褒めてるのか?』

 

「半分。」

 

三人は笑いながら歩いていく。

 

その後ろ姿を、サスケは校舎の窓から見つめていた。

 

(奈良カゲマル。)

 

(あいつは強い。)

 

(でも。)

 

(まだ何か隠している。)

 

その考えは間違っていなかった。

 

カゲマル自身も気付いていない力が、確かに眠っている。

 

────────

 

その日の夜。

 

奈良家。

 

カゲマルはいつもの帳面を開いていた。

 

『模擬戦』

 

『相手の癖を見ることはできた。』

 

『でも、影は使わなかった。』

 

『まだ使うべきじゃないと思った。』

 

書き終え、筆を置く。

 

ふと窓の外を見ると、月が静かに輝いていた。

 

「兄貴。」

 

いつの間にかシカマルが隣へ座っていた。

 

『なんだ?』

 

「今日、勝って嬉しかった?」

 

突然の質問だった。

 

カゲマルは少し考える。

 

『嬉しい……というより安心した。』

 

「安心?」

 

『ああ。』

 

「父さんの教えてくれたことが、ちゃんと身についてるって分かったから。」

 

シカマルは少し笑った。

 

「やっぱ兄貴らしい。」

 

「普通なら勝ったって喜ぶのに。」

 

『シカマルは?』

 

「俺?」

 

少しだけ考えてから答える。

 

「兄貴が勝ったから嬉しかった。」

 

その一言に、カゲマルは目を丸くする。

 

「……それだけ。」

 

照れ隠しのように立ち上がるシカマル。

 

「もう寝る。」

 

部屋を出ていく背中を見送りながら、カゲマルは小さく笑った。

 

(ありがとう。)

 

その夜。

 

月明かりに照らされた兄弟の影が、静かに並ぶ。

 

二つの影は風に揺れながらも、決して離れることはなかった。

 

そして翌日。

 

アカデミーの掲示板に、一枚の紙が貼り出される。

 

[一週間後、実技総合試験を実施する。]

 

 

教室がざわめく。

 

イルカは笑顔で言った。

 

「この試験は、卒業まで何度も行われる大切な実力確認だ!」

 

「しっかり準備してこい!」

 

その言葉に、生徒たちの表情が引き締まる。

 

カゲマルは掲示板を見つめながら、小さく拳を握った。

 

(よし。)

 

(今の自分が、どこまで通用するのか。)

 

(確かめよう。)

 

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