~転生したら奈良シカマルの双子の兄でした~   作:ZAZAI

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第十話 実力試験

アカデミーの朝は、いつもより少しだけ張り詰めていた。

 

今日は実力試験。

 

基礎体術、手裏剣術、そして実戦を想定した模擬試験。

 

イルカは教壇の前で大きく頷いた。

 

「緊張する必要はない!」

 

「今の自分を知るための試験だ!」

 

教室には、それぞれ違う空気が流れていた。

 

ナルトは腕をぶんぶん回しながら気合十分。

 

キバは早く体を動かしたくて落ち着かない。

 

チョウジは最後のおにぎりを口へ放り込み、シカマルはすでに眠そうだった。

 

サスケだけは静かに目を閉じ、集中している。

 

カゲマルはそんな教室を見回し、小さく息を吐いた。

 

『みんな、気合い入ってるな。』

 

「兄貴。」

 

シカマルが机へ突っ伏したまま話しかける。

 

「頑張りすぎるなよ。」

 

『それはお前にも返すよ。』

 

「俺は適度に頑張る。」

 

『その適度が低すぎるんだ。』

 

兄弟のやり取りに、チョウジが思わず笑う。

 

---

 

校庭。

 

最初の試験は手裏剣術だった。

 

「的の中心へ当てることだけを考えろ!」

 

イルカの合図で、一人ずつ前へ出る。

 

キバは勢いよく投げる。

 

二本命中、一本失敗。

 

ヒナタは丁寧に狙い、安定した結果を残す。

 

サスケの番になると、空気が変わった。

 

シュッ。

 

シュッ。

 

シュッ。

 

三本とも中心付近へ突き刺さる。

 

「すげぇ……。」

 

歓声が上がる。

 

イルカも満足そうに頷いた。

 

「さすがだ。」

 

次に呼ばれたのは。

 

「奈良カゲマル。」

 

カゲマルは静かに前へ出る。

 

深呼吸。

 

三本の手裏剣を指先で確かめる。

 

(狙うんじゃない。)

 

(力を抜いて。)

 

(一番自然な軌道を描く。)

 

『……よし。』

 

シュッ。

 

シュッ。

 

シュッ。

 

一本目。

 

中心。

 

二本目。

 

中心。

 

三本目。

 

一本目のすぐ横へ突き刺さる。

 

「おぉ!」

 

イルカの目が少し大きく開いた。

 

「いい腕だ。」

 

カゲマルは軽く頭を下げ、列へ戻る。

 

「兄貴。」

 

シカマルがぼそりと呟く。

 

「目立ってる。」

 

『少しやりすぎたかな。』

 

「少しじゃない。」

 

---

 

午後。

 

最後の試験。

 

実戦形式。

 

「今回は二対二だ!」

 

イルカが名前を読み上げていく。

 

「奈良カゲマル。」

 

「奈良シカマル。」

 

兄弟は顔を見合わせる。

 

『一緒だ。』

 

「珍しいな。」

 

「対戦相手は……。」

 

イルカは名簿を見る。

 

「うずまきナルト!」

 

「犬塚キバ!」

 

「よっしゃー!」

 

ナルトが飛び跳ねる。

 

「絶対勝つってばよ!」

 

キバも笑う。

 

「力勝負なら負けねぇ!」

 

シカマルは深いため息をついた。

 

「面倒な組み合わせ。」

 

『でも、面白そうだ。』

 

その一言に、シカマルは兄を見る。

 

「兄貴がそう言うなら、本当に面白くなりそうだ。」

 

試合開始まで、あとわずか。

 

四人はそれぞれ指定位置へ歩いていく。

 

ナルトは拳を握り締める。

 

キバは獣のように笑う。

 

シカマルは頭を掻きながら歩く。

 

そしてカゲマルは、静かに二人の背中を見つめていた。

 

(ナルト。)

 

(キバ。)

 

(二人とも真っ直ぐ突っ込んでくるタイプ。)

 

(なら――。)

 

『シカマル。』

 

「ん?」

 

『少しだけ、俺に付き合ってくれ。』

 

シカマルは兄の表情を見る。

 

その顔を見て、小さく笑った。

 

「了解。」

 

兄弟の影が、夕日に長く伸びる。

 

まだ何も起きていない。

 

それでも。

 

二人の頭の中では、すでに勝負は始まっていた。

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