~転生したら奈良シカマルの双子の兄でした~   作:ZAZAI

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第十一話 兄弟の一手

「それでは、始め!」

 

イルカの合図と同時に、四人が一斉に動き出した。

 

「行くぞ、ナルト!」

 

「おうってばよ!」

 

キバとナルトは一直線に駆け出す。

 

その勢いは、まるで嵐だった。

 

「兄貴。」

 

シカマルが小さく呟く。

 

「予定通り?」

 

『ああ。』

 

カゲマルは笑みを浮かべる。

 

『まずは走らせよう。』

 

「了解。」

 

二人は迎え撃つことなく後ろへ下がる。

 

「逃げるなー!」

 

ナルトが叫ぶ。

 

「追え!」

 

キバも勢いよく地面を蹴る。

 

その姿を見て、イルカが目を細めた。

 

(逃げている……いや。)

 

(誘っている。)

 

---

 

「兄貴!」

 

シカマルが横へ跳ぶ。

 

『右から来る。』

 

言葉通り、キバが大きく回り込みながら飛び込んできた。

 

「捕まえた!」

 

しかし。

 

キバの拳は空を切る。

 

「え?」

 

 

『今だ。』

 

カゲマルが一歩踏み込む。

 

肩を軽く押す。

 

「しまっ……!」

 

キバは勢いを殺せず、そのまま転がった。

 

「ナイス。」

 

シカマルが短く言う。

 

『まだ終わってない。』

 

---

 

「キバ!」

 

ナルトが飛び込む。

 

一直線。

 

迷いがない。

 

(やっぱり。)

 

カゲマルは苦笑する。

 

『シカマル。』

 

「うん。」

 

兄弟は同時に左右へ散る。

 

「どっちだ!?」

 

ナルトの視線が泳ぐ。

 

その一瞬。

 

シカマルが足を払う。

 

「うわっ!」

 

体勢が崩れたナルトを、カゲマルが支える。

 

ドサッ。

 

……ではなく。

 

ふわり。

 

「……あれ?」

 

ナルトは尻もちをついただけだった。

 

「痛くない?」

 

『試験だからね。』

 

『怪我をさせる必要はない。』

 

ナルトは少し悔しそうに唇を尖らせる。

 

「でも負けたってばよ。」

 

『またやろう。』

 

「次は勝つ!」

 

「俺も!」

 

立ち上がったキバが拳を握る。

 

その目に悔しさはあっても、嫌な感情はなかった。

 

---

 

「そこまで!」

 

イルカが手を上げる。

 

「勝者、奈良カゲマル・奈良シカマル!」

 

拍手が起こる。

 

「すげぇ……。」

 

「兄弟ってあんなに息合うのか。」

 

「あれ、作戦立ててたよな?」

 

教室は大きく盛り上がる。

 

その中で、サスケだけは静かに二人を見つめていた。

 

(違う。)

 

(仲がいいだけじゃない。)

 

(お互いに、次の動きを分かっている。)

 

初めてだった。

 

サスケが誰かを見て、「もっと知りたい」と思ったのは。

 

---

 

試合終了後。

 

イルカは四人を呼び止めた。

 

「みんな、よくやった。」

 

「特に奈良兄弟。」

 

「はい。」

 

『ありがとうございます。』

 

「二人とも強い。」

 

「だが、一番評価したのはそこじゃない。」

 

イルカは穏やかに笑う。

 

「お前たちは、一度も相手を傷つけようとしなかった。」

 

「試験は勝つことも大事だ。」

 

「でも、仲間を思いやる心は、それ以上に大事なんだ。」

 

カゲマルは少しだけ目を伏せる。

 

前世では、勝つことばかり考えていた時期もあった。

 

でも、この世界でシカクやアスマから教わった。

 

**忍は、誰かを倒すためだけに強くなるんじゃない。**

 

**守るために強くなる。**

 

その言葉が、胸に深く刻まれていた。

 

---

 

放課後。

 

校門を出ようとした時だった。

 

「奈良。」

 

後ろから声がする。

 

振り返ると、サスケが立っていた。

 

「……何?」

 

『どうした?』

 

サスケは真っ直ぐカゲマルを見つめる。

 

「次は、俺とやれ。」

 

一言だけ。

 

そう言い残して歩き去っていく。

 

シカマルが肩をすくめた。

 

「気に入られたな。」

 

『どうなんだろうね。』

 

「ライバルってやつじゃないか?」

 

カゲマルは夕日に照らされるサスケの背中を見つめ、小さく笑った。

 

『だったら、全力で応えないと失礼だな。』

 

そのやり取りを、少し離れた場所でアスマが見ていた。

 

「……どう成長するかねぇ」

 

誰にも聞こえないほど小さく呟く。

 

奈良カゲマル。

 

うちはサスケ。

 

二人の出会いは、やがて木ノ葉を支える新たな関係へと変わっていく。

 

しかし、この時の彼らはまだ知らない。

 

本当の試練は、アカデミーの外で待っていることを。

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