~転生したら奈良シカマルの双子の兄でした~   作:ZAZAI

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第十七話 受け継がれる意志

 

森に、重苦しい空気が流れる。

 

イルカの肩には巨大な風魔手裏剣が深く突き刺さり、鮮血が地面を赤く染めていた。

 

「イルカ先生!」

 

ナルトが駆け寄ろうとする。

 

「来るな!」

 

イルカは苦痛に顔を歪めながらも叫んだ。

 

「ナルト……その巻物を守れ……!」

 

木々の間から、ゆっくりと一人の男が姿を現す。

 

ミズキだった。

 

月明かりに照らされたその笑みは、昼間アカデミーで見せていた優しい教師のものではない。

 

「イルカ。」

 

「もう終わりだ。」

 

ミズキは巨大な手裏剣を肩へ担ぎ直し、不敵に笑う。

 

「そのガキは九尾だ。」

 

「里中から嫌われて当然なんだよ。」

 

ナルトの肩が震えた。

 

「……え?」

 

「知らなかったのか?」

 

ミズキは愉快そうに笑う。

 

「お前の中には、人々を苦しめた化け物が封印されてる。」

 

「だから誰もお前を認めなかった。」

 

「だから一人だった。」

 

その言葉は、鋭い刃のようにナルトの胸へ突き刺さる。

 

巻物を抱えた手が震える。

 

「嘘……だ。」

 

「嘘じゃない。」

 

「みんな、お前を化け物として見てたんだ。」

 

ナルトの瞳から光が消えていく。

 

木の上から見つめるカゲマルは、唇を強く噛んだ。

 

(……知っていた。)

 

(でも。)

 

(実際に聞くのと、知識として知っているのは違う。)

 

胸が痛んだ。

 

飛び降りて、今すぐナルトを抱き締めてやりたい。

 

そんな衝動に駆られる。

 

だが、その瞬間――

 

「黙れ。」

 

森に響いたのは、イルカの声だった。

 

傷付いた身体を無理やり起こし、ナルトの前へ立つ。

 

「確かに、あいつの中には九尾がいる。」

 

「だが、それだけじゃない。」

 

ミズキは鼻で笑う。

 

「何?」

 

イルカはナルトを振り返る。

 

その眼差しは、教師としてではなく。

 

一人の大人として、少年を見つめる優しいものだった。

 

「ナルトは……。」

 

「誰よりも努力家だ。」

 

「失敗ばかりする。」

 

「授業もサボる。」

 

「いたずらもする。」

 

「でも。」

 

イルカは静かに笑う。

 

「あいつは、人の痛みが分かる。」

 

「寂しさを知ってる。」

 

「だから誰よりも優しい。」

 

「俺の大切な教え子だ。」

 

ナルトの瞳が、大きく揺れた。

 

木の上で聞いていたカゲマルは、静かに目を閉じる。

 

(イルカ先生……。)

 

(ありがとう。)

 

その言葉は。

 

前世で漫画を読んだ時よりも、ずっと重かった。

 

ずっと温かかった。

 

「感動ごっこは終わりか?」

 

ミズキが再び巨大手裏剣を構える。

 

「じゃあ死ね。」

 

その瞬間だった。

 

ヒュンッ!

 

一本のクナイが夜空を裂く。

 

金属音とともに、ミズキの手裏剣の軌道がわずかに逸れた。

 

「誰だ!」

 

ミズキが木の上を睨む。

 

葉の陰から、一人の少年が静かに飛び降りた。

 

「カゲマル!」

 

ナルトが目を見開く。

 

カゲマルはイルカの前へ立ち、静かにクナイを構える。

 

「イルカ先生。」

 

「ここは俺が時間を稼ぎます。」

 

「……駄目だ!」

 

イルカは首を振る。

 

「相手は中忍だ!」

 

「今のお前じゃ勝てない!」

 

「分かっています。」

 

カゲマルは小さく頷いた。

 

「だから勝つつもりはありません。」

 

そう言うと、一歩だけ前へ出る。

 

「ナルト。」

 

カゲマルは振り返らずに言った。

 

「先生を頼む。」

 

「え……?」

 

「お前しかできない。」

 

その一言だった。

 

ナルトはハッと顔を上げる。

 

自分しかできない。

 

その言葉が、胸の奥へ真っ直ぐ届く。

 

ミズキは笑う。

 

「ガキが一人増えたところで何も変わらねぇ。」

 

「それはどうかな?」

 

カゲマルは静かに息を整える。

 

父から学んだ構え。

 

アスマから教わった間合い。

 

アカデミーで積み重ねた体術。

 

すべてを思い出す。

 

(勝たなくていい。)

 

(時間を稼げ。)

 

(ナルトを信じろ。)

 

その瞬間。

 

月明かりに照らされたカゲマルの足元で、影がわずかに揺れた。

 

黒い影は細く伸び、静かに大地を這う。

 

カゲマルは気付いていない。

 

だが、その影は。

 

初めて自らの意思で、主を守ろうとしていた。

班分けについて。カゲマルがどの班にするか迷ってます。皆さんの意見をお聞かせください

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