~転生したら奈良シカマルの双子の兄でした~   作:ZAZAI

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第十八話 本当の卒業

 

夜の森に、冷たい風が吹き抜ける。

 

カゲマルはクナイを構えたまま、ミズキとの間合いを測っていた。

 

一歩。

 

また一歩。

 

不用意には踏み込まない。

 

相手は中忍。

 

正面から勝てる相手ではない。

 

「ふん。」

 

ミズキが鼻で笑う。

 

「随分と落ち着いてるじゃないか。」

 

次の瞬間、地面を蹴った。

 

速い。

 

アカデミー生とは比べものにならない速度だった。

 

「っ!」

 

カゲマルは身体をひねり、紙一重で苦無をかわす。

 

その勢いのまま距離を取る。

 

ガギィン!

 

クナイ同士がぶつかり、火花が散る。

 

腕に重い衝撃が走る。

 

(重い……!)

 

力でも経験でも敵わない。

 

それでも、退くわけにはいかなかった。

 

(あと少し。)

 

(あと少しだけ、時間を――。)

 

ミズキの蹴りが腹部をかすめる。

 

勢いを殺しきれず、カゲマルは地面を転がった。

 

「カゲマル!」

 

ナルトが叫ぶ。

 

「来るな!」

 

すぐに立ち上がり、カゲマルはイルカの方へ視線を向ける。

 

イルカは地面に膝をつき、肩から血を流していた。

 

それでもナルトを見て、弱々しく笑う。

 

「……ナルト。」

 

「お前は……それを持って逃げろ。」

 

「え……?」

 

「俺のことはいい……お前は、忍者になれ。」

 

ナルトの手が震える。

 

「先生……なんで……」

 

イルカはゆっくりと首を振る。

 

「お前は……落ちこぼれなんかじゃない。」

 

「俺の……大切な教え子だ。」

 

その言葉に、ナルトの目が揺れた。

 

(……先生。

 

俺を……認めてくれた。)

 

その間にも、カゲマルは必死に時間を稼いでいた。

 

ミズキの攻撃を受け流し、かわし、間合いを切る。

 

だが、限界は近い。

 

肩で息をし、額から汗が流れ落ちる。

 

「終わりだ。」

 

ミズキが巨大な手裏剣を構えた。

 

「まずはお前から始末してやる!」

 

風を切る音が響く。

 

巨大な刃が一直線に飛んでくる。

 

避けきれない。

 

そう判断した瞬間だった。

 

足元の影が、ふっと揺れた。

 

まるで風とは違う何かに引かれるように。

 

影がわずかに伸び、手裏剣の軌道をほんの僅かだけ逸らす。

 

ザシュッ――!

 

刃は肩をかすめ、木の幹へ突き刺さった。

 

「……今のは。」

 

ミズキが目を細める。

 

カゲマル自身も息を呑んだ。

 

(影が……?)

 

だが考える暇はない。

 

ミズキは再び武器を構えていた。

 

「運が良かったな。次は外さねぇ。」

 

その時だった。

 

「もう、やめろってばよ。」

 

静かな声が森に響く。

 

ミズキが振り返る。

 

そこにはナルトが立っていた。

 

先ほどまでの怯えた表情はない。

 

真っ直ぐ前を見据える青い瞳。

 

その背には、揺るぎない覚悟が宿っていた。

 

「イルカ先生が認めてくれた。」

 

「俺は……落ちこぼれなんかじゃねぇ!」

 

ナルトは巻物を強く握りしめる。

 

「俺は、忍者になるんだってばよ!!」

 

ドンッ――!!

 

白煙が森一帯を包み込んだ。

 

「なっ!?」

 

煙が晴れる。

 

そこにいたのは、一人のナルトではなかった。

 

十人。

 

百人。

 

さらに、その奥にも。

 

木々を埋め尽くすほどのナルト。

 

無数の影分身が、森を覆い尽くしていた。

 

「な……なんだ、これは……!」

 

ミズキの顔から余裕が消える。

 

影分身たちが一斉に笑う。

 

「行くぞぉぉぉぉ!!」

 

地面が震える。

 

何百という足音が一斉に響き渡る。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

拳。

 

蹴り。

 

頭突き。

 

容赦のない連撃がミズキへ降り注ぐ。

 

「ぎゃあぁぁぁぁ!!」

 

最後の一撃で、ミズキの身体は大きく吹き飛び、そのまま木へ激突した。

 

静寂が戻る。

 

影分身が次々と煙になって消えていく。

 

その中心で、ナルトだけが肩で息をしていた。

 

イルカはゆっくりと立ち上がる。

 

そして、額当てを手にナルトの前へ歩み寄った。

 

「ナルト。」

 

「……先生。」

 

イルカは優しく微笑む。

 

「卒業、おめでとう。」

 

そう言って、自分の額当てを外し、ナルトの額へ結び直した。

 

その手は震えていた。

 

傷の痛みではない。

 

嬉しさからだった。

 

ナルトは何も言えない。

 

ただ、目から大粒の涙がこぼれ落ちる。

 

「……ありがとう。」

 

その一言だけだった。

 

少し離れた場所で、その光景を見つめるカゲマルは静かに笑った。

 

(これでいい。)

 

(これが、ナルトの最初の一歩だ。)

 

その時、遠くから複数の気配が近づいてくる。

 

暗部。

 

そして木ノ葉の忍たちだった。

 

シカクの報告を受け、火影が手を回していたのだ。

 

駆けつけた忍たちは、倒れたミズキを素早く拘束する。

 

「終わったか……。」

 

カゲマルは夜空を見上げ、小さく息を吐いた。

 

忍としての道は、今日始まったばかり。

 

そして、この夜を境に。

 

木ノ葉の運命は、静かに新たな一歩を踏み出すのだった。

班分けについて。カゲマルがどの班にするか迷ってます。皆さんの意見をお聞かせください

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