~転生したら奈良シカマルの双子の兄でした~   作:ざいぜん

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第七話 新たな始まり

春の風が、木ノ葉の里を優しく吹き抜ける。

 

奈良家の庭では、一人の少年が木陰に寝転がっていた。

 

「兄貴ー。」

 

「んー?」

 

「起きろ。」

 

「あと五分……。」

 

「母ちゃん呼ぶぞ。」

 

「起きます。」

 

勢いよく飛び起きたカゲマルを見て、シカマルが小さく吹き出した。

 

「兄貴って、母ちゃんには弱いよな。」

 

「勝てる奴いるか?」

 

「いない。」

 

兄弟は顔を見合わせて笑う。

 

その頃には、二人とも七歳になっていた。

 

---

 

幼い頃から続けてきた影との修行。

 

毎日少しずつ。

 

焦らず。

 

無理をせず。

 

積み重ねてきた。

 

最初は勝手に動くだけだった影も、今では短い距離なら意識して伸ばせるようになっていた。

 

物を少し押す。

 

転びそうな相手を支える。

 

それ以上はまだできない。

 

だが、カゲマルは焦らなかった。

 

影は力で従わせるものではない。

 

そのことだけは、誰よりも理解していた。

 

---

 

「兄貴!」

 

玄関から元気な声が響く。

 

「遊ぼうってばよ!」

 

ナルトだった。

 

「ああ、今行く。」

 

「俺も行く。」

 

シカマルも立ち上がる。

 

三人はいつものように森へ向かった。

 

昔は一人ぼっちだったナルトも、今では奈良兄弟と過ごす時間が当たり前になっていた。

 

笑い声が絶えない。

 

それだけで十分だった。

 

---

 

夕方。

 

遊び疲れた三人は丘の上へ寝転ぶ。

 

「なぁ。」

 

ナルトが空を見上げたまま言う。

 

「もうすぐアカデミーだって。」

 

「そうだな。」

 

カゲマルは空を見上げる。

 

ついに来た。

 

原作が、本格的に動き始める。

 

(ここから先は……。)

 

(俺の知っている未来と同じになるのか。)

 

(それとも。)

 

(もう変わり始めているのか。)

 

横を見る。

 

ナルトは笑っている。

 

原作より、ずっと自然な笑顔で。

 

その姿を見て、カゲマルも自然と笑みがこぼれた。

 

---

 

その夜。

 

シカクが二人を呼んだ。

 

「座れ。」

 

兄弟は正座する。

 

珍しくヨシノも隣にいる。

 

「明日から、お前たちは忍者学校へ通う。」

 

「はい。」

 

「一つだけ覚えておけ。」

 

シカクは二人を真っ直ぐ見た。

 

「学校は強さを競う場所じゃねぇ。」

 

「仲間を知る場所だ。」

 

「仲間を知れば、自分も見えてくる。」

 

「特にお前だ。」

 

シカクの視線はカゲマルへ向く。

 

「自分一人で全部背負おうとするな。」

 

「……。」

 

胸が少し痛んだ。

 

まるで見透かされているようだった。

 

「兄弟がいる。」

 

「仲間ができる。」

 

「頼れるなら頼れ。」

 

「それも忍の強さだ。」

 

カゲマルは静かに頷く。

 

「はい。」

 

---

 

翌朝。

 

木ノ葉隠れの里。

 

アカデミーの前には、大勢の子どもたちが集まっていた。

 

緊張した表情。

 

はしゃぐ声。

 

保護者たちの笑顔。

 

その中で、一人だけ金髪の少年が落ち着きなく辺りを見回していた。

 

「ナルト。」

 

「おっ! カゲマル!」

 

ナルトは満面の笑みで駆け寄ってくる。

 

「隣、座ろうぜ!」

 

「ああ。」

 

その様子を少し離れた場所から、一人の黒髪の少年が静かに見つめていた。

 

黒い瞳。

 

整った顔立ち。

 

年齢に似合わぬ落ち着いた雰囲気。

 

(あれが……。)

 

うちはサスケ。

 

兄・イタチの背中を追い続ける少年。

 

カゲマルもまた、その視線に気付く。

 

一瞬だけ。

 

二人の目が合った。

 

言葉はない。

 

だが、その短い交差は。

 

未来へ繋がる最初の出会いだった。

 

教室の扉が開く。

 

「はい、席についてくださーい!」

 

元気な声とともに、一人の青年が入ってくる。

 

イルカだった。

 

こうして――

 

奈良カゲマルのアカデミー生活が、幕を開ける。

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