白髪の侍女   作:MトK

24 / 25
第二十四話 最寄りの町まで三日間

ルーデウス視点

 

ミグルド族の集落で過ごした夜は、思っていたよりも静かだった。

 

この集落では、住民の多くが声を出さずに会話する。

 

外へ出ても人の話し声はほとんど聞こえず、時折、家畜らしき生き物の鳴き声と、乾いた風が家屋の外壁を擦る音だけが響いていた。

 

俺たちは、村長であるロックスさんの家へ泊めてもらった。

 

夕食の席では、ロキシーの両親へ、俺が知っている範囲で彼女の話をした。

 

ブエナ村へ家庭教師としてやってきたこと。

 

魔術を教えてくれたこと。

 

外へ出ることを恐れていた俺を、馬へ乗せて村の外まで連れ出してくれたこと。

 

今はシーローン王国で、王子の家庭教師をしていること。

 

魔神語を学びたいと頼んだ俺のために、分厚い教材を自分で作って送ってくれたこと。

 

ロインさんとロカリーさんは、何度も同じことを尋ねた。

 

ロキシーは元気だったか。

 

きちんと食べているか。

 

誰かに迷惑をかけてはいないか。

 

友人はいるのか。

 

どこかで危険な目に遭ってはいないか。

 

最後の質問にだけは、確かな答えを返せなかった。

 

シーローン王国での生活について、ロキシーは手紙に詳しく書かなかった。王子の教育に苦労しているらしいことは察せられたが、それ以上は分からない。

 

それでも、少なくとも手紙を書いた時点では無事だったと伝えると、二人は安心したように微笑んだ。

 

その夜、俺はロキシーの実家で借りた寝具へ横になりながら、胸元のお守りに触れていた。

 

冷たい魔石は、何の反応も示さない。

 

レイネが今どこにいるのかは分からなかった。

 

けれど、転移の直前に交わした約束を考えれば、俺たちの無事を確認しようとしているはずだ。

 

ならば、こちらも無事に帰るための行動を始めなければならない。

 

迎えが来るまで、何もせずに待つわけにはいかないのだ。

 

 

翌朝。

 

村を出ようとすると、門の前でロインさんに呼び止められた。

 

隣にはロカリーさんもいる。

 

「本当に、もう行くのか?」

 

「はい。家族の無事を早く確認したいので」

 

本当なら、もう少し滞在してもよかった。

 

ロキシーの幼い頃の話も聞きたいし、魔大陸についても教えてもらいたい。

 

ただ、俺たちがここで安全に過ごしている間にも、フィットア領では何が起きているか分からない。

 

ギレーヌ。

 

レイネ。

 

家族。

 

屋敷の人々。

 

誰が無事で、誰が行方不明になっているのか。

 

それを確かめるためにも、まず人と情報が集まる町まで進む必要があった。

 

ロインさんは残念そうだったが、引き止めはしなかった。

 

代わりに、布袋を二つ差し出す。

 

一つには、石や金属で作られた魔大陸の貨幣。

 

もう一つには、干した食料と、携帯しやすい革の水袋が入っていた。

 

「大した量ではない。最寄りの町までなら足りるはずだ」

 

「十分です。ありがとうございます」

 

遠慮している余裕はない。

 

俺たちは、魔大陸の貨幣を一枚も持っていなかった。

 

食料についても、現地で何を採取できるのか分からない以上、非常にありがたい。

 

ロカリーさんからは、短い刃物を渡された。

 

戦闘用の剣ではなく、料理や解体、枝や革を切るための道具である。

 

「エリスさんは剣をお持ちのようですから、こちらは旅でお使いください」

 

「いいの?」

 

エリスは、腰に下げた自分の剣と渡された刃物を見比べた。

 

転移の日、剣術訓練のために持ち出していた剣は、俺たちと一緒に魔大陸へ転移していた。

 

そのため、丸腰というわけではない。

 

ただし、剣を調理や薪の加工へ使えば刃を傷める。日常作業に使える短刀は、旅に欠かせない道具だった。

 

「いただきなさい。使う場面は多いと思います」

 

「分かったわ」

 

エリスは短刀を受け取り、礼儀作法の授業で身につけた動作で頭を下げた。

 

「ありがとう。大切に使うわ」

 

俺が魔神語へ訳すと、ロカリーさんは目を細めた。

 

以前のエリスなら、受け取った瞬間に鞘から抜き、切れ味を試していただろう。

 

今は、相手から許可を得るまで抜こうとしない。

 

見知らぬ土地へ転移し、不安がないはずはないのに、教えられてきたことを守ろうとしている。

 

その姿を見ていると、俺も冷静さを失ってはいけないと思えた。

 

「ロキシー先生に会えたら、必ずここへ連絡するよう伝えます」

 

俺は二人へ約束した。

 

「可能なら、僕からも手紙を送ります」

 

「頼む」

 

ロインさんは深く頭を下げた。

 

「娘が、自分の弟子からこれほど尊敬されていると知れただけでも、十分だ」

 

その言葉が少しだけ胸へ刺さった。

 

パウロたちも、今頃俺がどうなったのか分からずにいるのだろう。

 

ロキシーの両親のように、ただ一言、無事だと知りたいはずだ。

 

最寄りの町へ着いたら、手紙を送る方法も探す。

 

届く場所が残っているかは分からない。

 

それでも、やらなければならない。

 

 

集落を出てしばらくすると、ルイジェルドが俺たちへ旅の基本を教え始めた。

 

最寄りの町までは、順調に進んで三日。

 

中央大陸の街道のように、道が整備されているわけではない。岩山と亀裂を避け、魔物の縄張りを迂回しながら進む必要がある。

 

ルイジェルドがいなければ、三日どころか、方角すら分からないまま荒野をさまよっていただろう。

 

「最初に決めておきたいことがあります」

 

出発して一時間ほど進んだところで、俺は二人を呼び止めた。

 

ルイジェルドが振り返る。

 

「何だ」

 

「戦闘になった場合の役割です」

 

「俺が敵を倒す。お前たちは下がっていろ」

 

迷いのない返答だった。

 

子供を守るという彼の考え方からすれば、当然なのだろう。

 

しかし、それでは困る。

 

ルイジェルドが常に一緒にいて、あらゆる敵を倒してくれる保証はない。

 

敵が複数方向から現れるかもしれない。

 

彼が怪我をする可能性もある。

 

何より、エリスはすでに剣神流上級であり、俺も魔術師として戦うための訓練を続けてきた。

 

守られているだけの子供ではない。

 

「僕たちも戦います」

 

「駄目だ」

 

「戦える時に経験を積まなければ、ルイジェルドさんと離れた時に生き残れません」

 

「離れない」

 

「それでも、離れる可能性を考えるべきです」

 

フィットア領で、俺たちは一瞬にしてレイネやギレーヌから引き離された。

 

絶対に離れないという約束が、本人の意思とは関係なく破られることはある。

 

ルイジェルドも、俺の言いたいことを理解したらしい。

 

額の赤い宝石が僅かに動いた。

 

「お前たちは子供だ」

 

「子供であることと、何もできないことは違います」

 

ルイジェルドは俺を見た後、エリスへ視線を移した。

 

エリスは腰の剣へ手を置き、正面から彼を見返している。

 

「私は剣神流上級よ」

 

「知っている」

 

「なら、戦わせなさい」

 

「実戦で魔物を相手にした経験は?」

 

エリスの口が止まった。

 

誘拐事件で命の危険に晒されたことはある。

 

しかし、あの時もエリス自身が武器を手に、相手と命を奪い合ったわけではない。

 

剣術の稽古では、何度もギレーヌや俺と打ち合ってきた。

 

けれど、木剣での訓練と、真剣を使って生き物を殺すことは同じではない。

 

これから行うのは、勝敗が決まれば終わる試合ではなかった。

 

判断を誤れば、自分か仲間が死ぬ。

 

「ないわ」

 

エリスは正直に答えた。

 

それでも、視線は逸らさなかった。

 

「だから、今のうちに覚えるのよ」

 

ルイジェルドは、しばらく俺たちを見ていた。

 

やがて短く息を吐く。

 

「勝手に飛び出すな。俺の指示に従え」

 

「分かりました」

 

「危険だと判断した時は、俺が止める」

 

「はい」

 

「エリスもだ」

 

「分かってるわよ!」

 

返事だけは威勢がよい。

 

ただ、以前のエリスなら「私が危険になるわけがない」と言い返したはずだ。

 

今は、ルイジェルドの方がこの土地を知っていると理解し、指示を受け入れている。

 

「では、合図を決めます」

 

俺は地面へ簡単な図を描いた。

 

魔神語を使えるのは、俺とルイジェルドだけである。

 

戦闘中に俺がエリスへ翻訳している余裕がない場合もある。

 

そのため、言葉がなくても最低限の意思を伝えられるよう、いくつかの手信号を決めた。

 

手を握れば、その場で停止。

 

指を二本立てれば、敵が複数。

 

掌を地面へ向ければ、伏せる。

 

腕を横へ振れば、後退。

 

俺が杖を上へ掲げた時には、広範囲の魔術を使うため、俺の正面から離れる。

 

数は少ない。

 

最初から複雑にしすぎれば、かえって間違える。

 

「これなら分かりやすいわ」

 

エリスが、自分でも順番に合図を試す。

 

ルイジェルドも一度見ただけで覚えた。

 

「僕は後衛で、エリスが前衛。ルイジェルドさんには、僕たちの死角を補ってもらいます」

 

「俺が前でいい」

 

「ルイジェルドさんがすべてを倒したら、僕たちは経験を積めません」

 

「危険なら、すぐに入る」

 

「お願いします」

 

役割は決まった。

 

後は、実際に動きながら修正していくしかない。

 

 

最初の魔物は、ストーントゥレントだった。

 

ルイジェルドが進行方向の岩を指差した。

 

俺には、普通の岩にしか見えない。

 

丸く、表面がでこぼこしていて、周囲にいくらでも転がっている。

 

「あれが魔物なの?」

 

エリスが小声で尋ねる。

 

「ああ。一定の距離へ近づくと姿を変える」

 

「弱点は?」

 

「根元にある核だ。火を使えば簡単に倒せるが、今日は薪にする。燃やすな」

 

単なる討伐ではない。

 

倒した後に何へ使うかまで考える必要がある。

 

俺はアクアハーティアを構えた。

 

ロアでエリスとの模擬戦を重ねる中で、俺は威力で相手を倒すだけではなく、足場や動きを制限する魔術を繰り返し試してきた。

 

レイネとの反省会でも、必要以上の力を使わず、目的を達成する方法を自分で考えさせられている。

 

相手を粉々にすれば勝てるとしても、今回は倒した後の木材が必要だ。

 

核だけを破壊し、幹と枝は可能な限り残す。

 

「エリス。僕が根元を固定します」

 

「その後、斬ればいいのね」

 

「ルイジェルドさん、核の位置が分かったら教えてください」

 

「ああ」

 

俺たちは、岩へ近づいた。

 

十歩。

 

八歩。

 

五歩。

 

ストーントゥレントが動く。

 

岩だった外殻が一気に割れ、中から細長い幹と複数の枝が飛び出した。

 

エリスの身体が沈む。

 

同時に、俺は杖を地面へ向けた。

 

地面から四本の石杭が伸びる。

 

幹そのものを破壊するのではなく、広がろうとした根を地面へ縫い止める。

 

ストーントゥレントの動きが止まった。

 

枝が俺へ伸びる。

 

「右下だ!」

 

ルイジェルドの声。

 

俺は掌を下へ向けた。

 

伏せろという合図。

 

エリスが枝の下へ身体を沈め、そのまま一歩で間合いへ入る。

 

剣が走った。

 

太い幹の右下が、斜めに切断される。

 

内部から、硬い石のような核が転がり落ちた。

 

ストーントゥレントの枝が力を失い、乾いた音を立てて地面へ倒れる。

 

数秒の戦闘だった。

 

エリスは剣を構えたまま、倒れた魔物を見ている。

 

「終わりです」

 

俺が言うと、ようやく息を吐いた。

 

「思ったより、硬かったわ」

 

「剣は?」

 

「刃こぼれはない」

 

エリスは刃を確かめた後、倒した魔物へ視線を戻した。

 

人間ではない。

 

血も流れていない。

 

それでも、自分の一撃で命を断ったという感触は残っているのだろう。

 

顔色は変わっていないが、剣を握る手に僅かに力が入っていた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「大丈夫よ」

 

すぐに強がるかと思ったが、エリスは少し迷ってから言い直した。

 

「……気持ちのいいものではないけど、動けなくなるほどじゃないわ」

 

以前より、正直になった。

 

「それで十分です」

 

ルイジェルドが倒れた魔物へ近づき、切断面を確認する。

 

「初めてにしては、よい動きだった」

 

「当然よ!」

 

エリスの声へ、いつもの勢いが戻る。

 

「ルーデウスの魔術も悪くない」

 

「ありがとうございます」

 

「だが、敵が地面の下へ潜る種類なら、同じ方法は使えない」

 

「次から、敵の性質を聞いてから決めます」

 

ルイジェルドは小さく頷いた。

 

初戦は成功した。

 

ただし、成功した方法を、あらゆる敵へそのまま使えるわけではない。

 

一つの正解を見つけたことで、すべて分かったつもりになってはいけない。

 

 

ストーントゥレントを倒した後は、解体を行った。

 

死亡した個体は急速に乾燥し、枝や幹をそのまま薪として利用できるらしい。

 

ルイジェルドが必要な部分を切り分ける。

 

俺とエリスも、先ほど譲ってもらった短刀を使い、運びやすい長さへ枝を分けた。

 

「剣で切れば早いわ」

 

「剣の手入れが増えます。戦闘用の刃を、必要のない作業で使わないでください」

 

「これくらいで傷まないわよ」

 

「傷まないことと、使う必要があることは違います」

 

「レイネみたいなことを言うわね」

 

言われて、手が止まった。

 

これまでなら、道具の使い分けや荷物の整理は、レイネが自然に行っていた。

 

必要な物を、必要な時に手渡してくれる。

 

俺たちは、それを当たり前のように受け取っていた。

 

今は、自分たちで考えなければならない。

 

「レイネがいない間くらい、自分たちでできるようになりましょう」

 

「そうね」

 

エリスは短刀で枝を切り始めた。

 

作業は上手くない。

 

力を入れすぎ、何度か刃を地面へ当てそうになる。

 

それでも、投げ出さなかった。

 

「帰ってきたら驚かせるわ」

 

「何をですか?」

 

「レイネがいなくても、ちゃんと旅をできたって」

 

「それを聞いたら、喜ぶより先に、危険なことをしなかったか確認されそうですね」

 

「絶対そうね」

 

エリスが笑った。

 

不安を忘れたわけではない。

 

けれど、笑うことはできる。

 

それだけでも、十分だった。

 

 

その日は移動しながら、ほかにも数種類の魔物と遭遇した。

 

アシッドウルフ。

 

口から腐食性の液体を吐き出す狼型の魔物である。

 

ルイジェルドが一匹だけ群れから離れている個体を見つけ、俺たちの訓練に使うことを提案した。

 

「液体へ触れるな。皮膚だけでなく、剣や衣服も溶ける」

 

「避ければいいのね」

 

エリスは簡単に言う。

 

「正面からは避けないでください。横へ動くか、僕の壁を使ってください」

 

俺は周囲の地形を確認した。

 

平地。

 

大きな障害物はない。

 

アシッドウルフが吐いた液体を、風で正面から押し返すのは危険だ。飛沫が広がり、どこへ飛ぶか分からなくなる。

 

そこで、エリスの右前方へ斜めの土壁を作った。

 

正面から受け止める壁ではない。

 

液体を横へ流すための傾斜である。

 

「エリス。壁の左側で待ってください。液体が流れたら前へ」

 

「分かったわ」

 

アシッドウルフが俺たちへ気づき、口を開いた。

 

黄色い液体が吐き出される。

 

エリスは飛び出さない。

 

ギリギリまで待ち、液体が傾斜へ当たって右側へ流れた瞬間に踏み込む。

 

一閃。

 

アシッドウルフの首が落ちた。

 

返り血が飛ぶ前に、エリスは剣を引き、後方へ跳んだ。

 

最初のストーントゥレントよりも、動きに余裕がある。

 

「今のはどう?」

 

「よかったです。ただ、僕の壁が間に合わなかった時の動きも考えておきましょう」

 

「なら、次は壁なしでやるわ」

 

「次が一匹とは限りません」

 

「その時は数に合わせるわよ」

 

会話が成立している。

 

以前なら、勝てたことだけを喜び、次の条件など考えなかっただろう。

 

今のエリスは、自分の勝ち方が毎回通用するとは思っていない。

 

ルイジェルドも、それを感じたらしい。

 

「剣の腕だけではないな」

 

「何が?」

 

「お前は、周りを見ている」

 

「ギレーヌとルーデウスに、何度も怒られたもの」

 

不満そうな返答だった。

 

それでも、教えられたことを実戦で使えている。

 

「よい師を持った」

 

ルイジェルドの言葉に、エリスは一瞬だけ黙った。

 

「ええ。二人とも、絶対に生きてるわ」

 

「ああ」

 

ルイジェルドは、余計な慰めを言わなかった。

 

ただ、エリスの言葉を否定せずに頷いた。

 

 

夕方近く。

 

俺たちは二十匹近いパクスコヨーテの群れと遭遇した。

 

一体一体は、それほど大きくない。

 

しかし、群れ全体が一つの意思で動いているように、一定の距離を保ちながら俺たちを包囲しようとしていた。

 

「数が多いわね」

 

エリスが剣を抜く。

 

声に恐怖はない。

 

ただし、最初の二戦のように、すぐには踏み込まなかった。

 

「本体を倒しても、別の個体が指揮を引き継ぐ」

 

ルイジェルドが説明する。

 

「逃げても追ってくる。ここで倒す」

 

俺は周囲を見た。

 

平地で戦えば、四方から襲われる。

 

エリス一人を前へ出せば、死角を完全に守ることはできない。

 

ルイジェルドならすべて倒せるだろう。

 

だが、それでは俺たちがいる意味がない。

 

かといって、経験のためにエリスを危険へ放り込むのも違う。

 

「地形を作ります」

 

俺は杖を掲げた。

 

広範囲の魔術を使う合図。

 

エリスが即座に俺の正面から離れ、ルイジェルドも横へ移動する。

 

地面へ魔力を流す。

 

俺たちの背後と左右から、低い土壁を半円状に隆起させた。

 

完全に囲うのではなく、正面だけを広く開ける。

 

敵が左右へ回り込もうとすれば、壁を越えるために動きが遅くなる。

 

正面から来る個体だけを相手にすればよい。

 

「エリスは正面。ルイジェルドさんは壁を越えようとする個体をお願いします」

 

「お前は?」

 

「数を減らし、動きを止めます」

 

パクスコヨーテが一斉に走り出した。

 

俺は威力を抑えた岩砲弾を連続で撃つ。

 

頭や胴体は狙わない。

 

前脚。

 

地面。

 

走る方向の少し手前。

 

一体を確実に殺すより、群れの速度と隊列を崩す。

 

最初の一発が先頭個体の前脚を折った。

 

後ろから来た個体が衝突し、二体が転がる。

 

二発目は地面を砕き、小さな穴を作る。

 

三体が足を取られた。

 

隊列が乱れる。

 

「今です!」

 

エリスが踏み込んだ。

 

止まっている相手だけを狙わない。

 

動ける個体を優先し、正面から迫る牙を最短の剣筋で断つ。

 

一体。

 

二体。

 

三体。

 

四体目が横から飛びかかる。

 

エリスは無理に剣を戻さず、身体を沈めて下をくぐった。

 

その個体の額へ、ルイジェルドの槍の石突きが当たる。

 

殺してはいない。

 

エリスが立て直すまでの時間を作ったのだ。

 

「右から二体!」

 

俺が叫ぶ。

 

エリスが剣を正面へ構えたまま、右へ位置をずらす。

 

俺は左側へ泥を作り、一体の足を沈める。

 

もう一体はエリスが斬った。

 

土壁を越えようとした個体は、ルイジェルドが槍で地面へ叩き落とす。

 

すべてを彼が倒してはいない。

 

俺たちが対応できる位置へ戻し、危険な攻撃だけを止めている。

 

やがて、残りの個体が距離を取った。

 

逃げるのかと思った。

 

違う。

 

群れの後方へ回り、もう一度隊列を作ろうとしている。

 

「指揮を取っている個体は分かりますか?」

 

俺が尋ねる。

 

ルイジェルドが群れの中央より少し後ろを指した。

 

「あれだ」

 

見た目に大きな違いはない。

 

けれど、ほかの個体が常にそいつの位置を中心として動いている。

 

「エリス。道を開けます」

 

「任せなさい!」

 

俺は地面から細い土壁を連続で立ち上げた。

 

群れを左右へ分断する。

 

壁と壁の間に、一本の狭い通路を作る。

 

指揮個体は、進路を塞がれたことで一瞬だけ立ち止まった。

 

そこへ、エリスが走る。

 

ほかの個体が横から飛び込もうとするが、ルイジェルドが阻止した。

 

エリスの踏み込みに、僅かな闘気が乗る。

 

十歳の誕生日以前とは、まるで速度が違う。

 

剣が振り下ろされる。

 

指揮個体の身体が、肩口から斜めに切断された。

 

残った個体が動きを止めた。

 

一瞬の混乱。

 

「まだ終わっていない!」

 

ルイジェルドの声が飛ぶ。

 

別の一体が頭を上げ、群れの統率を引き継ごうとする。

 

俺はすぐに岩砲弾を撃ち、その前脚を砕いた。

 

エリスが駆け寄り、止めを刺す。

 

二度目の指揮交代が起きる前に、ルイジェルドが群れの中へ入った。

 

ここから先は速かった。

 

逃げようとする個体だけを確実に仕留める。

 

俺とエリスも、動ける相手を一体ずつ減らす。

 

最後の一体が倒れた時、エリスは剣を振り切った姿勢のまま、大きく息を吐いた。

 

肩が上下している。

 

額には汗。

 

左腕には浅い爪痕があった。

 

「怪我をしています」

 

「これくらい平気よ」

 

「化膿したら困ります」

 

俺は傷を洗い、治癒魔術を使った。

 

深い傷ではない。

 

魔大陸では未知の毒や病原体があるかもしれないため、小さな傷でも放置しない方がよい。

 

「今日は、僕たちが何体倒しましたか?」

 

エリスが息を整えながら尋ねる。

 

「数えていません」

 

「数えなさいよ!」

 

「生き残る方が先です」

 

「次は数えるわ」

 

まだ余裕はあるらしい。

 

俺はエリスの顔と手を確認した。

 

戦闘中は落ち着いていた。

 

しかし、剣を持つ指が細かく震えている。

 

疲労だけではない。

 

一日の間に、何体もの命を斬った。

 

その感触が、身体に残っているのだろう。

 

「少し休みましょう」

 

「まだ歩けるわよ」

 

「歩けることと、休まなくてよいことは違います」

 

「またレイネみたいなことを言う」

 

「無理をして倒れると、移動全体が遅れます」

 

以前のエリスなら、ここでも強引に先へ進もうとしたかもしれない。

 

だが、休息を取ることが弱さではないと、ロアで何度も学んだ。

 

「……分かったわ」

 

自分から岩へ腰を下ろす。

 

ルイジェルドが、そんな俺たちを見ていた。

 

「どうでしたか?」

 

俺が尋ねる。

 

「エリスは、すでに強い」

 

「当然よ!」

 

休みながらも、エリスが反応する。

 

「だが、経験が足りない。敵を倒した直後、次の敵から意識が外れることがある」

 

「最後の方は、ちゃんと見てたわ」

 

「最初の方は見ていなかった」

 

「次から直すわよ」

 

否定せず、改善すると答える。

 

ルイジェルドは満足したように頷き、今度は俺を見る。

 

「お前は戦場をよく見ている。魔術の使い方も悪くない」

 

「ありがとうございます」

 

「だが、自分へ敵が迫った時の反応が遅い」

 

心当たりはある。

 

全体を見て指示することへ集中しすぎ、近くまで来た個体への対応が一度遅れた。

 

ルイジェルドが止めてくれなければ、俺自身が攻撃されていた。

 

「剣の間合いへ入られれば、僕はエリスほど動けません」

 

「だから、近づかれる前に気づけ」

 

「はい」

 

良かった部分だけでなく、危険だった部分も教える。

 

レイネとは教え方が違う。

 

けれど、答えを曖昧にせず、実戦の中で何が足りないかを伝えてくれる。

 

ルイジェルドは、よい教師になれるのかもしれない。

 

本人に言えば、子供を守っているだけだと否定しそうだが。

 

 

パクスコヨーテからは、毛皮と食用になる部分を回収した。

 

俺とエリスも解体を手伝う。

 

血と内臓の臭いは強い。

 

前世を含めても、動物を解体した経験などない。

 

最初は吐き気がした。

 

それでも、目を背けなかった。

 

命を奪い、その身体を利用して旅を続けるのであれば、倒す場面だけをきれいなものとして扱うべきではない。

 

エリスも、眉を寄せながら作業を続けた。

 

「気持ち悪いわね」

 

「無理なら、少し離れていてもいいですよ」

 

「嫌よ。私が倒したんだから、最後までやるわ」

 

短刀を動かす手つきは不器用だった。

 

一度、皮へ余計な傷をつけてしまい、ルイジェルドからやり直しを命じられる。

 

エリスは怒鳴らなかった。

 

悔しそうに唇を噛み、隣の個体で同じ失敗をしないよう、ルイジェルドの手元をよく見ていた。

 

ロアで剣術と勉強を続けてきた時間は、無駄ではなかった。

 

強くなったのは、剣の腕だけではない。

 

失敗した後に、次の行動へつなげられるようになっている。

 

 

日が暮れる前に、野営の準備を始めた。

 

場所を選んだのはルイジェルドである。

 

周囲より少し高く、雨が降っても水がたまりにくい。

 

背後には大きな岩があり、警戒する方向を減らせる。

 

風上には魔物の死骸や水場がない。

 

俺には、説明されなければ気づけない条件ばかりだった。

 

「次から、自分たちで候補を探してみてもいいですか?」

 

「分かった。明日はお前たちが選べ」

 

ルイジェルドは、すぐに任せてくれた。

 

最初から正解を求めるのではなく、危険な場所を選んだ時だけ指摘するつもりなのだろう。

 

焚き火には、ストーントゥレントを使う。

 

夕食は、大型の陸亀から切り取った肉だった。

 

硬く、生臭い。

 

ルイジェルドは、そのまま火で焼こうとした。

 

「少し待ってください」

 

俺は水魔術で肉の表面を洗い、薄く切り分けた。

 

食料袋の中を確認する。

 

ミグルド族の集落でもらった乾燥香草があった。

 

臭みを完全に消せるほどではないが、使わないよりはよい。

 

土魔術で浅い鍋の形を作り、火で焼き固める。

 

水と肉、香草を入れ、焼くのではなく煮込むことにした。

 

「時間がかかる」

 

ルイジェルドが言う。

 

「待っている間に、ほかの作業をしましょう」

 

残った肉を干す準備。

 

水袋の確認。

 

剣の手入れ。

 

翌日の進路。

 

やることはいくらでもある。

 

エリスは自分の剣を拭きながら、鍋の中を何度も覗き込んでいた。

 

「まだ?」

 

「硬い肉なので、時間がかかります」

 

「お腹が空いたわ」

 

「干し肉を少し食べていてください」

 

「それを食べたら、夕食が入らなくなるでしょう」

 

随分と普通のことを言う。

 

食べ物を出せば何でもすぐに口へ入れていた頃とは違う。

 

しばらく煮込み、肉が多少柔らかくなったところで三人へ分けた。

 

屋敷で食べていた料理とは比べものにならない。

 

調味料も足りず、肉の臭みも残っている。

 

それでも、ただ焼いただけよりは食べやすかった。

 

「おいしいわ!」

 

エリスは迷わず食べ始めた。

 

「本当に?」

 

「屋外で食べるから、おいしいのよ!」

 

味そのものより、冒険者らしい食事へ憧れていたらしい。

 

ルイジェルドも、一口食べた後、静かに頷いた。

 

「焼くよりよい」

 

最大級の評価なのかもしれない。

 

食後。

 

見張りの話になった。

 

「俺が一晩見ている。お前たちは眠れ」

 

ルイジェルドが言う。

 

「交代にしましょう」

 

「必要ない」

 

「必要がなくても、僕たちが覚えるためにやります」

 

レイネから決められていた休息日は、身体を守るためのものだった。

 

ただし、旅では安全な屋敷と同じ休み方はできない。

 

誰か一人へ負担を集中させるのではなく、全員が可能な範囲で役割を担う方がよい。

 

「僕が最初。次がエリス。最後をルイジェルドさんにお願いします」

 

「エリスも起こすのか」

 

「当然よ!」

 

エリスが先に答えた。

 

「ただし、今日は疲れています。エリスの時間は短めにします」

 

「同じでいいわよ!」

 

「明日の移動中に倒れたら、ルイジェルドさんに背負われますよ」

 

「それは嫌ね」

 

即座に折れた。

 

見張りの間、何を見るべきかも教わった。

 

音。

 

風向き。

 

火の大きさ。

 

魔物の目が光っていないか。

 

地面の振動。

 

急に虫の音が消えた場合も、何かが近づいている可能性がある。

 

俺は教えられたことを、紙がないため薄い石板へ土魔術で刻んだ。

 

後で簡単な旅の手引きへまとめるつもりである。

 

レイネなら、最初からすべて知っていただろう。

 

けれど、今は自分たちで覚えていくしかない。

 

 

二日目。

 

野営地を選ぶ役目は、俺とエリスが担当した。

 

最初にエリスが選んだのは、三方向を岩に囲まれた窪地だった。

 

風を防げる。

 

敵が来る方向も一つに絞れる。

 

一見すると、よい場所に見える。

 

「ここでいいでしょう?」

 

「駄目だ」

 

ルイジェルドが即答した。

 

「何でよ!」

 

「逃げ道がない。上から毒や火を吐く魔物に見つかれば、全員死ぬ」

 

エリスは周囲の岩を見た。

 

確かに、敵が入りにくい代わりに、こちらも外へ出にくい。

 

「では、こちらは?」

 

俺が選んだのは、小さな崖の上だった。

 

周囲を見渡せる。

 

背後には岩。

 

近くに水が流れた跡もある。

 

「そこも駄目だ」

 

「理由は?」

 

「風下に、大型魔物の巣がある。夜になれば臭いで気づかれる」

 

俺たちには、巣の存在すら見えなかった。

 

結局、少し離れた緩やかな丘へ野営した。

 

失敗だった。

 

それでも、なぜ駄目なのかを教えられたことで、次から確認する項目が増える。

 

レイネが言っていたとおり、一度の失敗から一つずつ修正すればよい。

 

二日目の戦闘では、俺たちの連携も少しずつ安定した。

 

俺が敵の足場を崩す。

 

エリスが止めを刺す。

 

ルイジェルドは死角を守る。

 

俺へ接近する敵がいれば、エリスが無理に追わず、まず俺の近くへ戻る。

 

俺も広範囲の魔術を使う前には、必ず合図を出す。

 

一度だけ、エリスが敵を追いすぎた。

 

すぐに自分で気づき、俺との距離が開く前に戻ってきた。

 

注意しようとしたが、その必要はなかった。

 

「今のは私が悪かったわ」

 

自分から認めたのだ。

 

「次から、倒した後にルーデウスの位置を見る」

 

「お願いします」

 

「ルーデウスも、前ばかり見ないでよ。後ろから来てたでしょう」

 

「はい。そこは僕の失敗です」

 

互いに責任を押しつけるのではなく、自分の間違いを確認する。

 

屋敷の訓練場で繰り返してきた反省会が、ここでも役立っていた。

 

ルイジェルドは口を挟まず、俺たちの会話を聞いていた。

 

 

三日目の昼過ぎ。

 

高い岩場へ登ると、遠方に巨大なクレーターが見えた。

 

大地が、何かに抉り取られたように大きく陥没している。

 

その底には、多数の建物が並び、中心部には黒い城のようなものが見えた。

 

「町よ!」

 

エリスが声を上げる。

 

最寄りの町。

 

リカリス。

 

魔大陸でも規模の大きい都市の一つであり、かつて魔界大帝キシリカが本拠地としていた場所らしい。

 

三日間しか歩いていない。

 

それでも、人の作った町並みを見た瞬間、故郷へ一歩近づけたように感じた。

 

ここで冒険者として登録する。

 

路銀を稼ぐ。

 

情報を集める。

 

手紙を送る方法を探す。

 

帰還へ向け、ようやく本格的に動き出せる。

 

「町へ入ったら、最初に何をするの?」

 

エリスが尋ねる。

 

「宿と食料の相場を確認します。その後、冒険者ギルドです」

 

「手紙は?」

 

「送れる場所があるかも調べます」

 

「服も欲しいわ」

 

俺たちの服は、転移前に着ていたものだ。

 

三日間の移動で汚れ、ところどころ傷んでいる。

 

長旅をするなら、現地の気候に合った装備が必要だった。

 

「お金が足りるか確認してからです」

 

「稼げばいいでしょう!」

 

「最初から高額の依頼を受けられるとは限りません」

 

冒険者には階級がある。

 

登録したばかりの者が、いきなり危険で報酬の高い依頼を受けられるとは思えない。

 

けれど、俺たちには実力がある。

 

エリスは剣神流上級。

 

俺は魔術を使える。

 

ルイジェルドに至っては、実力の底が見えない。

 

問題は、強さをどのように収入へ変え、怪しまれずに旅を続けるかだった。

 

「ルイジェルドさん」

 

俺は、町を見ながら尋ねた。

 

「リカリスへ入ったことはありますか?」

 

「ない」

 

「近くまで来たことも?」

 

「何度もある」

 

「入らなかったのですか?」

 

「入れなかった」

 

ルイジェルドは、何でもないことのように言った。

 

「町へ近づくと門番が騒ぐ。その後、大勢の冒険者が来て追い払われる」

 

俺は、緑色の髪と額の赤い宝石を見た。

 

ミグルド族の集落では、ルイジェルドを知っている者がいた。

 

それでも、魔大陸全体でスペルド族への恐怖が消えているわけではない。

 

エリスですら、目覚めた直後には剣を向けた。

 

都市の門番が、素直に通すとは考えにくい。

 

「では、そのままでは入れませんね」

 

「どうするの?」

 

エリスが尋ねる。

 

俺はルイジェルドの姿を観察した。

 

緑の髪。

 

額の石。

 

三叉の槍。

 

スペルド族だと判断される特徴が、あまりにも分かりやすい。

 

槍は布で隠せる。

 

額も、頭部を覆えば見えなくなる。

 

問題は髪の色だった。

 

「変装しましょう」

 

「変装?」

 

ルイジェルドが聞き返す。

 

「外見を変え、別人に見せることです」

 

「そのようなことができるのか」

 

「完全には無理ですが、スペルド族に見えなくすることはできます」

 

エリスが俺の顔を見る。

 

「何をするつもり?」

 

「それは、町の近くでもう一度考えます」

 

目立つ兜を作って顔全体を隠す案が、一瞬だけ頭へ浮かんだ。

 

しかし、不自然なほど頑丈な兜で顔を隠した男を連れていけば、別の意味で警戒される可能性がある。

 

リカリスは大きな都市だ。

 

どのような種族が出入りしているのか。

 

門番が旅人の何を確認しているのか。

 

顔や頭部を隠している者が珍しいのか。

 

槍のような長い武器を持ち込む際に、何か手続きが必要なのか。

 

入口へ近づく前に観察した方がよい。

 

レイネからは、先に答えを決めて現実をそれへ合わせるのではなく、確認した事実から方法を選ぶよう教えられてきた。

 

「町が見えたからといって、急いで近づくのはやめましょう」

 

俺は二人へ提案した。

 

「今日は少し離れた場所で休み、入口を観察します。商人や冒険者がどのように入っているか確認してから、ルイジェルドさんの変装を考えます」

 

「すぐ入らないの?」

 

エリスは不満そうだった。

 

「ここまで三日かかりました。門前で騒ぎになって追い返されたら、その方が時間を失います」

 

「……それもそうね」

 

エリスは町を見下ろした後、渋々ながら頷いた。

 

ルイジェルドも反対しなかった。

 

「お前が決めろ」

 

「三人で決めます」

 

「では、俺は周囲を調べる」

 

「お願いします」

 

クレーターの底に広がる町。

 

リカリス。

 

故郷への道は、ようやく始まったばかりである。

 

けれど、この三日間で、俺たちはすでに少し変わっていた。

 

守られるだけではなく、自分で戦う。

 

勝つだけではなく、目的に必要な方法を選ぶ。

 

疲れた時には休み、失敗した時には原因を考える。

 

ロアで身につけたものが、魔大陸でも通用することは分かった。

 

もちろん、通用しないものも、これからいくらでも出てくるだろう。

 

そのたびに考え、覚え、修正すればよい。

 

俺は胸元のお守りへ、衣服の上から触れた。

 

今も何の反応もない。

 

それでも、どこかでレイネが見ているような気がした。

 

「行きましょう」

 

俺たちは、町から少し離れた野営地を探すため、岩場を下り始めた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。