白髪の侍女   作:MトK

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第五十四話 同じ輪の中で

ルーデウス視点

 

出発の朝。

 

俺とレイネは北門へ向かう前に、カウンターアローの面々が滞在している治療院へ立ち寄った。

 

ティモシーとパトリスは、まだ寝台から自由に動ける状態ではない。スザンヌは腕へ包帯を巻いていたものの、自分の足で歩けるまでには回復していた。

 

サラも凍傷の影響はほとんど残っておらず、数日後には軽い訓練を再開できるらしい。

 

全員が再び依頼を受けられるようになるまでには、もう少し時間が必要だ。

 

俺たちが《ステップトリーダー》の依頼へ同行することは、昨日のうちに伝えてある。それでも、何も言わずに町を出る気にはならなかった。

 

依頼を終えたら、また戻ってくる。

 

そう伝えてから出発したかった。

 

「本当に、ゾルダートたちと行くの?」

 

サラは不安を隠そうともせず、俺へ尋ねた。

 

「はい」

 

「喧嘩にならない?」

 

「ならないように努力します」

 

「その言い方だと、なる可能性があるみたいじゃない」

 

「ゾルダートがいますから、絶対とは言えません」

 

「本人に聞かれたら怒られるよ」

 

スザンヌが小さく笑った。

 

「聞かれても、同じことを言います」

 

以前の俺なら。

 

相手の機嫌を損ねないよう、別の言い方を探していただろう。

 

意見が合わないこともあるが、信頼できる方だから大丈夫です。

 

そのような、当たり障りのない答えを選んでいたかもしれない。

 

今も、無用な衝突を起こしたいわけではない。

 

ゾルダートを怒らせること自体に意味があるとも思っていない。

 

それでも、相手の機嫌を損ねないためだけに、自分の考えを曲げる必要はないと思えるようになった。

 

「ティモシーさんたちは、ゆっくり治してください」

 

俺は、寝台にいる二人と、包帯を巻いたスザンヌへ顔を向けた。

 

「無理に復帰して、傷を悪化させないでくださいね」

 

「ルーデウスさんに言われると、妙な説得力がありますね」

 

ティモシーが寝台の上で苦笑する。

 

「今回は軽傷で戻りました」

 

「今回は、ね」

 

サラが強調した。

 

「次もそうしてよ」

 

「できれば、無傷で戻ります」

 

「ならいいわ」

 

サラは一度頷くと、俺の隣にいるレイネへ顔を向けた。

 

「レイネも」

 

「はい」

 

「ルーデウスばかり見て、ほかの敵を見落としたりしないでよ」

 

「戦闘中に、そのような失態はいたしません」

 

「そういう意味じゃないわ」

 

「承知しております」

 

レイネの口元へ、ごく僅かな笑みが浮かぶ。

 

「今回は、《ステップトリーダー》の皆様と信頼関係を築くことも、目的の一つでございます。ルーデウス様の護衛だけを行うつもりはございません」

 

レイネは俺を守るためだけに、今回の依頼へ同行するのではない。

 

《ステップトリーダー》の戦い方を学び。

 

ゾルダート以外の者とも話し。

 

自分の意思で新しい関係を築こうとしている。

 

前日の夜、レイネ自身がそう言った。

 

「なら、ちゃんと帰ってきて」

 

サラが言った。

 

「二人とも」

 

「はい」

 

レイネは迷わず答えた。

 

「戻りましたら、今回の依頼についてお話しいたします」

 

「約束よ」

 

「お約束いたします」

 

レイネ自身が、依頼から帰った後の時間を約束する。

 

以前なら。

 

依頼終了後に何をするかは、俺の予定と判断へ委ねていただろう。

 

カウンターアローへ報告する場合も、必要な情報を伝えることが目的になっていたはずだ。

 

今は、自分が彼女たちと再び会いたいから、戻ると約束している。

 

スザンヌがレイネへ近づいた。

 

「気をつけて行ってきな」

 

「はい」

 

「それから、堅苦しい挨拶だけで帰ろうとするんじゃないよ」

 

「では、どのようにすればよろしいでしょうか」

 

「こうするのさ」

 

スザンヌはレイネの肩へ腕を回し、そのまま自分の胸元へ引き寄せた。

 

レイネの身体が僅かに固まる。

 

抱き締められることまでは予想していなかったらしい。

 

その気になれば、振りほどくことは簡単だろう。

 

けれど、レイネは動かなかった。

 

数秒遅れて、おそるおそるといった様子でスザンヌの背中へ手を回す。

 

「行ってまいります」

 

「行ってらっしゃい」

 

二人が身体を離す。

 

レイネの表情は、ほとんど変わっていない。

 

ただ、耳だけが僅かに赤くなっていた。

 

「レイネ」

 

パトリスが呼ぶ。

 

「はい」

 

「戻ったら、また剣を教えてくれ」

 

「教えると申し上げられるほどのことではございませんが、ご一緒に稽古をしたいと考えております」

 

「分かった」

 

パトリスが短く頷いた。

 

ティモシーとも出発前の言葉を交わし、レイネは最後にサラの前へ立った。

 

「行ってまいります、サラ様」

 

「ええ」

 

サラは椅子へ座ったまま、レイネを見上げる。

 

「今度は、私も一緒に依頼へ行くから」

 

「楽しみにしております」

 

「今のは、仕事として?」

 

一瞬だけ、レイネの答えが止まった。

 

サラは、少し意地の悪い笑みを浮かべている。

 

以前のレイネなら。

 

冒険者として再び共闘できる日を待っている。

 

そのように答えたかもしれない。

 

「いいえ」

 

レイネは、はっきりと言った。

 

「私が、再び皆様とご一緒したいと考えております」

 

「そう」

 

サラは満足そうに頷いた。

 

「なら、待ってる」

 

 

北門の外では、《ステップトリーダー》の主力が出発準備を進めていた。

 

今回同行するのは、ゾルダートを含む八名。

 

前衛の剣士が三人。

 

槍使いが一人。

 

攻撃魔術師が一人。

 

治癒術師が一人。

 

探索と罠の確認を担当する斥候が一人。

 

そして、リーダーであるゾルダート。

 

俺とレイネを加えれば、十人になる。

 

人数だけを見れば、Aランク依頼としては過剰なほどの戦力だ。

 

しかし、依頼書に記された情報は曖昧だった。

 

ローゼンバーグ北東部の鉱山で、魔物の目撃数が急増している。

 

採掘へ入った鉱夫のうち、四人が戻っていない。

 

鉱山の入口近くでも大型の足跡が発見され、採掘作業は中断された。

 

魔物の種類も。

 

正確な数も。

 

鉱夫たちが生きているのかも分かっていない。

 

救助。

 

調査。

 

必要であれば討伐。

 

三つの目的を、同時に達成する必要がある。

 

「遅くはねえな」

 

ゾルダートが俺たちを見る。

 

「時間どおりです」

 

「白髪の侍女。忘れ物は?」

 

「ございません」

 

「泥沼は?」

 

「ありません」

 

「本当か?」

 

「なぜ僕だけ疑うのですか?」

 

「お前は必要な物を全部そいつに用意してもらって、自分で何を持ってるか把握してねえ可能性がある」

 

「把握しています」

 

そう答えながらも、念のため自分の荷物を確認する。

 

保存食。

 

水筒。

 

毛布。

 

薬。

 

予備の衣服。

 

発煙用の魔道具。

 

魔術杖。

 

短剣。

 

問題はない。

 

「確認したな」

 

ゾルダートが笑う。

 

「疑ったおかげだ。感謝しろ」

 

「しません」

 

「相変わらず、可愛げがねえな」

 

ゾルダートは全員を集め、移動時の隊列を説明した。

 

《ステップトリーダー》の前衛を先頭に置く。

 

中央には俺と攻撃魔術師、治癒術師。

 

後方は斥候とレイネが担当する。

 

「指揮は俺が執る」

 

ゾルダートが言った。

 

「泥沼。地形を変える前に、味方の位置を見ろ。必要なら俺が下がる指示を出す。だが、待てねえ時は自分で声を上げろ」

 

「分かりました」

 

「白髪の侍女。後ろだけ見てりゃいいとは思うな。何か見つけたら、俺へ直接言え」

 

「承知いたしました」

 

「それと」

 

ゾルダートは、レイネへ指を向けた。

 

「俺の命令へ反対する時は、ルーデウスを通すな」

 

「私はこれまでも、自分で意見をお伝えしております」

 

「そうだったか?」

 

「はい」

 

「印象に残ってねえ」

 

「今後、記憶に残るよう努めます」

 

「喧嘩を売ってんのか?」

 

「そのような意図はございません」

 

ゾルダートが顔をしかめる。

 

その横で、《ステップトリーダー》の面々が笑っていた。

 

ガルガウ遺跡で初めて顔を合わせた時とは違う。

 

彼らはもう、レイネをSランクだからという理由だけで遠巻きに眺めてはいなかった。

 

扱いにくい。

 

何を考えているのか分かりにくい。

 

けれど、背中を任せられる剣士。

 

その程度には認識が変わっているのだろう。

 

「出発するぞ」

 

ゾルダートの声で、一行は北東へ向けて歩き始めた。

 

 

目的の鉱山までは三日掛かった。

 

道中、俺は《ステップトリーダー》の動きを観察した。

 

カウンターアローと比べ、人数が多い。

 

単に戦闘員が多いだけではない。

 

一人の負傷や疲労によって、全体がすぐに機能を失わないよう、同じ役割を担える者が複数いる。

 

前衛は交代で先頭に立つ。

 

野営地の設営も。

 

食事も。

 

見張りも。

 

特定の一人だけが担当するわけではない。

 

誰かが動けなくなっても、ほかの者が役割を引き継げる。

 

ゾルダートは口こそ悪いが、全員の状態を細かく見ていた。

 

歩幅が乱れた者がいれば、理由を尋ねるより先に休憩を入れる。

 

荷物が一人へ偏っていれば、何かしら理由をつけて別の者へ持たせる。

 

疲労を尋ねられた者が「大丈夫だ」と答えても、本人の顔色と歩き方を見て判断する。

 

俺やレイネに対しても同じだった。

 

「泥沼。脇腹は?」

 

二日目の昼。

 

休憩へ入ったところで尋ねられた。

 

「もう痛みません」

 

「本当か?」

 

「治っています」

 

「服を上げろ」

 

「嫌です」

 

「見せられねえ理由でもあんのか?」

 

「街の治療術師とレイネが確認しています」

 

ゾルダートは、今度はレイネへ顔を向けた。

 

「こいつ、本当に治ってるか?」

 

「はい。打撲による変色も、ほぼ消えております」

 

「ならいい」

 

俺の言葉だけでは信用しなかったことに文句を言いたい。

 

けれど、本人の自己申告だけを信じず、近くにいる者へ確認するのは、リーダーとして正しいのだろう。

 

特に俺は、多少の怪我なら問題ないと言って動こうとする。

 

過去の行動を考えれば、信用されない理由はある。

 

「レイネは疲れていませんか?」

 

今度は俺が尋ねる。

 

「問題ございません」

 

「白髪の侍女へ聞くと、絶対にそう答えるぞ」

 

ゾルダートが言った。

 

「なら、誰に確認するのですか?」

 

「後ろを一緒に歩いてる奴だ」

 

ゾルダートは斥候へ顔を向ける。

 

「どうだ?」

 

「問題ない。むしろ、俺の歩幅に合わせてくれてる」

 

「だそうだ」

 

レイネが僅かに目を見開いた。

 

自分の状態を、俺以外の誰かが見ていたことを意外に感じたのかもしれない。

 

「ありがとうございます」

 

レイネは斥候へ頭を下げた。

 

「何がだ?」

 

「私の状態を見ていてくださったことに、でございます」

 

「同じ隊列なんだから当然だろ」

 

斥候はそう答え、保存食を口へ放り込んだ。

 

同じ隊列にいる。

 

ただ、それだけで相手の状態を気に掛ける理由になる。

 

仕事として命じられなくても。

 

主従関係で結ばれていなくても。

 

その言葉を聞いた後、レイネは少しの間、斥候の横顔を見ていた。

 

「レイネ」

 

《ステップトリーダー》の女性治癒術師が呼んだ。

 

「はい」

 

「さっき見つけた薬草、北方では傷薬に混ぜるけど、知ってる?」

 

「ミミル様の記録で拝見いたしました。しかし、実際に調合した経験はございません」

 

「なら、今夜やってみる?」

 

レイネは、すぐに俺を見なかった。

 

自分の予定を、自分で確かめるように僅かに考える。

 

「お願いいたします」

 

「決まりね」

 

治癒術師は笑い、レイネの隣へ腰を下ろした。

 

休憩が終わるまで、二人は薬草の乾燥方法や、保存時に避けるべき湿度について話していた。

 

俺は少し離れた場所から、その様子を眺める。

 

「気になるなら、混ざればいいだろ」

 

ゾルダートが俺の隣へ座った。

 

「薬草の話は、僕には難しいので」

 

「そうじゃねえ」

 

「では、何ですか?」

 

「白髪の侍女が、お前なしで話してることだ」

 

「よいことだと思っています」

 

「寂しくねえのか?」

 

「少しは」

 

正直に答える。

 

ゾルダートが僅かに眉を上げた。

 

「でも、それより、うれしいです」

 

「何が?」

 

「レイネが、自分の世界を広げようとしていることが」

 

俺だけを見ていれば、レイネは迷わずに済む。

 

俺へ仕える。

 

俺を守る。

 

俺のために必要なものを用意する。

 

それだけを考えていれば、自分が何を望んでいるのかを決めなくても生きていける。

 

けれど、それは幸福とは違うと思う。

 

俺がいない場所にも。

 

レイネ自身が会いたいと思える人がいてほしい。

 

帰りたいと思える場所が、俺の隣以外にも増えてほしい。

 

「変な奴だな」

 

ゾルダートが言う。

 

「以前は、誰かが離れることをあれだけ怖がっていたくせに」

 

「今も怖いですよ」

 

「なら、何で止めねえ?」

 

「怖いからといって、相手を閉じ込めるのは違うと思うからです」

 

エリスを思い出す。

 

強くなるために離れたい。

 

そう言ったエリスを、俺は剣の聖地へ送り出した。

 

寂しかった。

 

今も、会いたい。

 

怪我をしていないか。

 

無茶をしていないか。

 

何度も考える。

 

それでも、あの選択を間違いだったとは思っていない。

 

俺の寂しさを理由に、エリスが選んだ道を奪うべきではなかった。

 

レイネに対しても同じだ。

 

「少しは、まともになったな」

 

「最初から、ある程度はまともです」

 

「自分で言う奴は信用できねえ」

 

「あなたよりはまともです」

 

「喧嘩を売ってんのか?」

 

「事実を伝えただけです」

 

以前、何度もゾルダートから言われた言葉を返す。

 

ゾルダートは一瞬黙った後、大声で笑った。

 

 

三日目の昼前。

 

山裾に開いた鉱山の入口へ到着した。

 

木製の支柱で補強された坑道。

 

入口近くには採掘道具が残されている。

 

荷車も二台あった。

 

けれど、人の姿はない。

 

鉱山の管理をしていた者たちは、既に最寄りの集落へ避難している。

 

戻っていない四人は、魔物の目撃情報が広がる前に、採掘へ入った者たちだった。

 

斥候が地面へしゃがみ、足跡を確認する。

 

「大型の爬虫類だ。少なくとも十頭以上」

 

「スノードレイクか?」

 

ゾルダートが尋ねる。

 

「鱗を擦った跡がある。可能性は高い」

 

坑道の木枠には、白い鱗が引っ掛かっていた。

 

ガルガウ遺跡で見たものとよく似ている。

 

「本来、鉱山へ群れで入る魔物ではありません」

 

レイネが言った。

 

「外部から何かに追われたか、内部へ巣を作る理由が生じた可能性がございます」

 

「中へ入れば分かる」

 

ゾルダートは全員を見る。

 

「救助が最優先だ。魔物を見つけても、追い回すな。坑道内で大規模な魔術は使うなよ」

 

最後の部分は、明らかに俺へ向けられていた。

 

「分かっています」

 

「本当か?」

 

「坑道全体を泥沼にしたりはしません」

 

「当たり前だ」

 

「壁や支柱の状態を確認しながら、狭い範囲だけを操作します」

 

ゾルダートが頷く。

 

「白髪の侍女」

 

「はい」

 

「先へ出すぎるな。お前が一人で奥まで行っても、救助対象を運ぶ奴がいねえ」

 

「承知いたしました」

 

レイネなら、一人で坑道を進み。

 

魔物を倒し。

 

鉱夫を救出できる可能性はある。

 

だが、鉱山の構造を知らない。

 

崩落が起きれば、助けた人間を守りながら出口まで戻る必要もある。

 

一人でできることと。

 

一人で行うべきことは違う。

 

松明と魔道具の光を用意し、坑道へ入る。

 

内部の空気は冷たく、湿っていた。

 

外よりも風がないため、肌を切るような寒さはない。

 

その代わり、湿気を含んだ冷気が衣服の隙間へ入り込み、身体の熱を少しずつ奪っていく。

 

前衛が足元を確認しながら進む。

 

少し遅れて、俺も異変へ気づいた。

 

壁の一部に、新しい亀裂がある。

 

天井からも、細かな石が落ち続けていた。

 

「止まってください」

 

俺が言う。

 

ゾルダートは即座に片手を上げ、隊列を止めた。

 

「何だ?」

 

「この先の天井が不安定です」

 

壁へ手を触れ、魔力を流す。

 

岩盤の一部が浮いている。

 

支柱も一本が割れ、上から掛かる重さを支え切れていなかった。

 

「魔術で補強できます」

 

「どの程度持つ?」

 

「土と岩を固めれば、僕たちが通過する間は問題ありません。ただ、鉱山を再開するなら専門の補修が必要です」

 

「やれ」

 

俺は亀裂の周囲へ土と岩を足し、既存の支柱を包むように固める。

 

一か所だけで天井の重さを受けないよう、左右の壁へ力を逃がす。

 

ただ岩を増やせばよいわけではない。

 

力が一か所へ集中すれば、別の部分が崩れる可能性がある。

 

「終わりました」

 

前衛の一人が、補強した支柱を軽く叩いた。

 

「硬いな」

 

「壊さないでください」

 

「壊すつもりはねえよ」

 

「この人は、何でも叩いて確かめるのよ」

 

女性治癒術師が呆れたように言った。

 

《ステップトリーダー》の面々が小さく笑う。

 

暗い坑道。

 

救助対象の生死も分からない。

 

それでも、全員が無言になりすぎないようにしている。

 

恐怖へ意識を奪われ、判断が鈍らないよう、意識的に普段の空気を作っているのかもしれない。

 

さらに奥へ進む。

 

幾つもの分かれ道。

 

古い採掘跡。

 

使われなくなった横穴。

 

斥候が壁に印をつけ、帰り道を確保していく。

 

やがて、前方から低い唸り声が聞こえた。

 

ゾルダートが剣を抜く。

 

前衛も武器を構えた。

 

曲がり角の先から、白い巨体が姿を現す。

 

スノードレイク。

 

一頭だけではない。

 

後方にも、複数の影が重なっている。

 

「前に五頭。奥にもいる」

 

斥候が声を落とす。

 

「通路が狭い。横には広がれない」

 

ゾルダートは周囲を見る。

 

「前衛三人で止める。槍は隙間から狙え。魔術師は、味方の頭上を通す攻撃だけにしろ」

 

それから俺を見る。

 

「泥沼。できるか?」

 

「足元を崩します。ただし、泥を深くしすぎると壁まで緩むので、表面だけです」

 

「十分だ」

 

前衛が進む。

 

先頭のスノードレイクが、低い姿勢から飛び掛かった。

 

盾役が正面で受ける。

 

爪と盾が衝突し、狭い坑道へ激しい音が反響した。

 

ゾルダートが横から首を狙う。

 

だが、二頭目がすぐ後ろから迫っている。

 

俺は、二頭目の前脚が着く場所だけを柔らかくした。

 

深い泥沼ではない。

 

表面の岩を薄い泥へ変え、踏み込んだ足が横へ滑る程度に留める。

 

二頭目が体勢を崩した。

 

後続が、その背中へぶつかる。

 

槍が倒れた個体の喉へ入った。

 

攻撃魔術師の火球が、前衛の間を抜けて奥の個体へ直撃する。

 

狭い場所での戦いに慣れている。

 

一人が敵を倒すことへ執着しない。

 

動きを止め。

 

体勢を崩し。

 

次の者へ急所を渡す。

 

俺も岩砲弾を一発だけ放った。

 

ゾルダートへ噛みつこうとしていた個体の頭部を、横から正確に撃ち抜く。

 

「助かった!」

 

ゾルダートは振り返らずに言った。

 

五頭を倒す。

 

奥から、新しい個体は現れなかった。

 

「死体を越えるぞ。まだ気を抜くな」

 

ゾルダートの指示で、隊列が進む。

 

俺は一度だけ後方を振り返った。

 

レイネは、斥候と治癒術師の間にいる。

 

剣を抜いているが、まだ戦ってはいない。

 

目が合った。

 

「問題ございません」

 

聞く前に答えられた。

 

「そちらも?」

 

「はい」

 

俺は前へ意識を戻した。

 

少し進んだところで、坑道の奥から声が聞こえた。

 

「誰か……!」

 

人間の声だ。

 

「救助隊だ!」

 

ゾルダートが声を返す。

 

「動けるなら返事をしろ!」

 

「こっちだ! 三人いる! 一人が岩に挟まれてる!」

 

四人ではなく、三人。

 

嫌な予感がした。

 

声の方向へ急ぐ。

 

横穴の奥に、鉱夫たちがいた。

 

二人は負傷しているものの、自分で動ける。

 

残る一人は、腰から下を大きな岩へ挟まれていた。

 

周囲には崩れた支柱と採掘道具が散らばっている。

 

「四人で入ったと聞いている」

 

ゾルダートが尋ねる。

 

動ける鉱夫の一人が、顔を伏せた。

 

「一人は魔物に……俺たちを逃がすために、別の道へ走った」

 

生死は分からない。

 

だが、スノードレイクの群れがいる坑道で、一人きりになった。

 

ゾルダートは短く目を閉じた。

 

「後で捜す。まずは三人を外へ出すぞ」

 

女性治癒術師が負傷を確認する。

 

挟まれている鉱夫は意識こそあるが、顔色が悪い。

 

「岩を持ち上げる前に、治療の準備が必要です」

 

治癒術師が言う。

 

「脚の状態が分かりません。急に圧迫がなくなるのも危険です」

 

「俺が、岩を少しずつ軽くします」

 

地面へ手を触れる。

 

一度に持ち上げない。

 

岩の内側を少しずつ砂へ変え、外形を保ったまま重さだけを減らしていく。

 

治癒術師が鉱夫へ声を掛け続ける。

 

「名前は?」

 

「ベック……」

 

「ベック、眠らないで。私の声を聞いて」

 

ベックは苦しそうに息をしながら頷いた。

 

レイネが、その反対側へしゃがむ。

 

「ベック様」

 

「……何だ?」

 

「私どもは、あなたを救助するために参りました」

 

「見れば……分かる」

 

「はい」

 

レイネは否定せず、ベックの手へ自分の手を重ねた。

 

「岩が動く際、強い痛みが生じる可能性がございます。ですが、治癒術師がそばにおります。ルーデウス様も、決して一度に岩を動かしません」

 

「……助かるのか?」

 

レイネは、簡単に絶対とは言わなかった。

 

それでも、視線を逸らさない。

 

「助けるために、全員で動いております」

 

手順だけを説明するのではない。

 

自分たちが、今ここにいることを伝えている。

 

「一人にはいたしません」

 

ベックの指が、レイネの手を強く握った。

 

「頼む」

 

「はい」

 

俺は岩を削り続ける。

 

重さを半分へ。

 

さらに三分の一へ。

 

治癒術師が合図を出した。

 

「いける。ゆっくり上げて」

 

地面から低い土柱を作り、軽くなった岩を少しずつ持ち上げる。

 

ベックの脚が見えた。

 

血に濡れている。

 

骨も折れていた。

 

治癒術師が即座に詠唱を始める。

 

レイネはベックの手を離さず、呼吸を合わせるように声を掛け続けた。

 

完全な治療には時間が掛かる。

 

それでも、出血が抑えられ、折れた骨が最低限つながると、ベックの顔色が僅かに戻った。

 

「運べる」

 

治癒術師が言った。

 

「ただし、絶対に脚へ体重を掛けさせないで」

 

前衛の一人がベックを背負う。

 

ほかの二人も肩を貸され、立ち上がった。

 

「三人を入口へ送る」

 

ゾルダートが隊を分けようとした。

 

その時だった。

 

坑道の奥から、複数の足音が響いた。

 

先ほどまでとは違う。

 

重い。

 

壁と地面が、僅かに震えている。

 

レイネが剣を構えた。

 

「接近しております」

 

「数は?」

 

「少なくとも八頭。うち一頭は、先ほどの個体より大きいと考えられます」

 

ゾルダートが舌打ちする。

 

「血の臭いを追ってきたか」

 

鉱夫を守りながら、狭い横穴から撤退する必要がある。

 

「俺たちが前で止める」

 

ゾルダートが言った。

 

「救助対象を先に戻せ」

 

「この横穴は狭すぎます」

 

俺は周囲を見る。

 

「前衛が三人並べません。大型個体が突っ込めば、後ろまで押し込まれます」

 

「なら、どうする?」

 

以前なら。

 

指揮官であるゾルダートの判断へ反対することを、ためらったかもしれない。

 

自分の案が間違っていたら。

 

指揮へ従わないと思われたら。

 

そのようなことを考え、黙っていた可能性もある。

 

けれど、危険だと思うなら伝えるべきだ。

 

「先ほど通った分岐まで戻りましょう。あそこなら、道が二つに分かれています」

 

俺は地図へ記した位置を思い出す。

 

「片方を塞ぎ、もう片方へ敵を誘導すれば、前衛が戦える幅を確保できます」

 

「移動中に追いつかれるぞ」

 

「僕が後方へ土壁を作り、時間を稼ぎます」

 

「崩落は?」

 

「壁と天井には触れません。通路の中央へ、独立した壁を複数作ります。一枚ずつ破壊させます」

 

ゾルダートは数秒だけ考えた。

 

「採用だ」

 

迷いは短かった。

 

自分の案が否定されたことへ腹を立てない。

 

理由と代案が正しければ、すぐに切り替える。

 

「全員、分岐まで戻る! 泥沼は殿だ! 白髪の侍女、つけ!」

 

「承知いたしました」

 

救助対象を先頭にして、隊列が動く。

 

俺とレイネは最後尾へ残った。

 

暗闇の奥から、白い巨体が見える。

 

先頭のスノードレイクは、これまでの個体より明らかに大きい。

 

背中の鱗は厚く、坑道の天井へ届きそうなほど身体が高い。

 

「来ます」

 

レイネが言った。

 

「分かっています」

 

通路の中央へ、厚い土壁を作る。

 

壁が完成した直後、大型個体が正面から衝突した。

 

坑道全体へ、激しい振動が伝わる。

 

一撃では壊れない。

 

二撃目。

 

壁へ亀裂が入った。

 

「次を作ります」

 

一枚目の後方へ下がり、二枚目を作る。

 

レイネは俺の横へいる。

 

「先に行ってもよいですよ」

 

「お断りいたします」

 

「僕一人でも壁は作れます」

 

「壁を破壊した個体が、すぐに接近する可能性がございます」

 

レイネは剣を構えたまま、正面を見ている。

 

「私は、ルーデウス様を守るためだけに残っているのではございません」

 

「では?」

 

「私が、殿を務めたいと考えたためでございます」

 

レイネ自身が、ここへ残ることを選んだ。

 

ならば、俺が勝手に遠ざけるべきではない。

 

「分かりました」

 

一枚目が砕ける。

 

大型個体が破片を押し退け、二枚目へ突進する。

 

さらに三枚目を作る。

 

後退。

 

四枚目。

 

敵の速度は確実に落ちている。

 

やがて、分岐が見えた。

 

ゾルダートたちは、既に布陣を終えている。

 

片側の道は、攻撃魔術師が作った岩壁によって塞がれていた。

 

救助対象は、その奥へ移動している。

 

「走れ!」

 

ゾルダートが叫ぶ。

 

俺とレイネが前衛の後ろへ入る。

 

最後の土壁が砕けた。

 

大型のスノードレイクが、分岐へ飛び込んでくる。

 

その後ろにも七頭。

 

「泥沼!」

 

「分かっています!」

 

敵が通る中央だけを、浅く広い泥へ変える。

 

前衛の足元には触れない。

 

大型個体の前脚が沈んだ。

 

しかし、身体が大きいため、完全には止まらない。

 

泥を掻き分け、ゾルダートへ突進する。

 

盾役が正面へ入った。

 

衝突。

 

大盾が大きく軋み、盾役の身体が後方へ押される。

 

ゾルダートが横から斬りつける。

 

だが、厚い鱗へ刃が弾かれた。

 

大型個体が首を振る。

 

ゾルダートの身体が、壁際へ追い込まれる。

 

レイネが動いた。

 

正面から、力をぶつけるのではない。

 

振るわれた前脚へ剣を沿わせ、爪の軌道を下へ流す。

 

爪が地面を深く抉った。

 

大型個体の体勢が、僅かに前へ傾く。

 

レイネは、その瞬間に踏み込んだ。

 

前脚の付け根。

 

鱗の重なりが薄い場所へ、刃を入れる。

 

深く切り裂かれた脚から、血が噴き出した。

 

大型個体が吠える。

 

レイネへ噛みつこうと首を向けた。

 

「ゾルダート様」

 

レイネは、自分で仕留めようとしなかった。

 

「お願いいたします」

 

ゾルダートは、既に動いていた。

 

レイネが作った隙へ踏み込み、剣を大型個体の喉へ突き込む。

 

一撃では浅い。

 

さらに体重を掛け、刃を押し込んだ。

 

大型個体の身体が大きく痙攣する。

 

それでも、まだ倒れない。

 

俺は味方の位置を確認し、岩砲弾を放つ。

 

ゾルダートの剣が入った傷口へ、横から石弾が突き刺さった。

 

首の奥を破壊された大型個体が、ようやく地面へ崩れ落ちる。

 

「次が来るぞ!」

 

ゾルダートの声で、全員が次の敵へ向き直る。

 

後続のスノードレイクは、大型個体の死体によって進路を塞がれていた。

 

狭い隙間を通ろうと、一頭ずつ前へ出る。

 

槍が目を狙う。

 

剣士が脚を切る。

 

魔術師が火球を撃ち込む。

 

俺は敵の足元だけを崩し、動きを止めた。

 

レイネは後方から回り込もうとした二頭を引き受ける。

 

一頭目の爪を受け流し、その勢いを利用して壁へ衝突させる。

 

二頭目の突進を紙一重で外し、後脚の腱を断った。

 

倒れた個体へ、斥候の短剣が入る。

 

レイネは彼が攻撃するのを待ってから、次の敵へ移った。

 

一人で、全てを処理しない。

 

任せられる場所は任せる。

 

それでも、危険な攻撃は確実に止める。

 

最後の一頭が倒れた時。

 

こちら側の負傷者は、盾役の腕へ浅い裂傷があるだけだった。

 

治癒術師が、すぐに処置を始める。

 

ゾルダートは大型個体の死体へ足を置き、呼吸を整えた。

 

「白髪の侍女」

 

「はい」

 

「仕留められただろ」

 

「はい」

 

「なら、何で俺へ渡した?」

 

レイネは剣についた血を払いながら答えた。

 

「ゾルダート様が、最も適切な位置におられたためでございます」

 

「Sランクの手柄を、俺へ譲ったつもりか?」

 

「いいえ」

 

レイネはゾルダートを見る。

 

「私が隙を作り、ゾルダート様が仕留め、ルーデウス様が最後の一撃を加えました。誰か一人の手柄ではございません」

 

「また、優等生みてえな答えか」

 

「私自身が、その戦い方を選びました」

 

レイネは、そこで言葉を止めなかった。

 

「皆様とともに戦うことを、楽しいと感じております」

 

《ステップトリーダー》の面々が静かになる。

 

レイネが、自分から楽しいという感情を口にするとは予想していなかったのだろう。

 

ゾルダートも、僅かに目を見開いている。

 

「それなら、最初からそう言え」

 

「今、申し上げました」

 

「遅えんだよ」

 

「申し訳ございません」

 

「そこで謝るな」

 

ゾルダートが頭を掻く。

 

女性治癒術師が笑い始めた。

 

「ゾルダート。あんたが細かいのよ」

 

「俺が悪いのか?」

 

「少しは」

 

「納得いかねえ」

 

張り詰めていた空気が緩み、ほかの面々からも笑いが起こった。

 

俺も笑った。

 

大型の魔物を倒したことだけが、うれしいのではない。

 

俺が作った地形を、仲間が利用する。

 

レイネが作った隙を、ゾルダートが受け取る。

 

最後に、俺が足りない部分を補う。

 

互いの力を競うのではなく。

 

重ねて使うことができた。

 

それが、思っていた以上に心地よかった。

 

 

残る一人の鉱夫は、別の横穴で発見された。

 

既に息はなかった。

 

スノードレイクから逃れた後、崩落へ巻き込まれたらしい。

 

遺体を回収し、生存者三人とともに鉱山を出る。

 

魔物が増えた原因も、坑道の奥で判明した。

 

古い採掘によって薄くなっていた壁が崩れ、山の反対側へ続く天然洞窟とつながっていた。

 

スノードレイクは、その洞窟から鉱山内部へ入り込んだのだ。

 

入口は、俺と《ステップトリーダー》の攻撃魔術師で塞いだ。

 

鉱山を再開するためには、内部の補修と、改めて安全確認を行う必要がある。

 

それでも、これ以上魔物が入り込む危険は大きく減ったはずだ。

 

野営地へ戻った夜。

 

俺たちは焚き火を囲んで食事を取った。

 

レイネは、いつものように料理を配ろうと立ち上がりかけた。

 

けれど、途中で動きを止める。

 

「どうした?」

 

ゾルダートが尋ねた。

 

「お手伝いをしようと考えましたが、既に担当の方がおられますので」

 

「なら座れ」

 

「はい」

 

レイネは俺の隣ではなく、女性治癒術師と斥候の間へ座った。

 

誰かに指定されたのではない。

 

自分から選んだ位置だった。

 

治癒術師から器を受け取り、礼を言う。

 

「食べながらでいいから、昼に話した薬草の続きをしましょう」

 

「お願いいたします」

 

「食事中まで勉強するのか?」

 

斥候が呆れたように言う。

 

「あなたも聞いておいた方がいいわよ。怪我をするのは前衛だけじゃないんだから」

 

「俺は怪我をしねえ」

 

「今日、尻尾で転ばされてたでしょう」

 

「あれは避けたんだ」

 

「地面に顔から突っ込むことを、普通は回避とは言わないわ」

 

レイネが小さく笑った。

 

声を上げるほどではない。

 

それでも、誰が見ても分かる笑みだった。

 

斥候が不満そうにレイネを見る。

 

「笑ったな?」

 

「申し訳ございません」

 

「謝るぐらいなら笑うな」

 

「ですが、面白いと感じましたので」

 

「なら、謝るなよ」

 

「……はい」

 

レイネは一度考え直す。

 

「失礼いたしました。ですが、面白かったため笑いました」

 

「言い直しても腹が立つな!」

 

焚き火の周りへ笑いが広がる。

 

ゾルダートが俺の肩を軽く叩いた。

 

「お前、あいつが笑ってんのを初めて見たみてえな顔してるぞ」

 

「僕の前では笑います」

 

「なら、ほかの奴の前で笑ったのが珍しいんだろ」

 

「そうですね」

 

レイネは少しずつ、自分がいてよい場所を増やしている。

 

カウンターアロー。

 

《ステップトリーダー》。

 

俺やエリスだけではない場所へ。

 

「泥沼」

 

ゾルダートが肉を食べながら言う。

 

「今日は、よく意見を言ったな」

 

「危険だと思ったからです」

 

「俺の作戦へ反対するのは、怖くなかったか?」

 

「少しは」

 

ゾルダートの判断を否定すれば、信用を失うかもしれない。

 

命令へ従わない人間だと思われる可能性もある。

 

「ですが、黙って全員が危険になる方が嫌でした」

 

「それでいい」

 

「怒らないのですね」

 

「理由があって、代わりの案まで出す奴に怒ってどうする」

 

「あなたなら、機嫌を損ねるかと思いました」

 

「お前、俺を何だと思ってる?」

 

「すぐ怒る人です」

 

周囲から笑いが起こる。

 

ゾルダートが顔をしかめた。

 

「誰だ。こいつを、こんなに可愛げのねえガキにしたのは」

 

「あなたでは?」

 

俺が答える。

 

ゾルダートは、しばらく黙った後、杯の中身を一気に飲んだ。

 

「育て方を間違えた」

 

「育てられた覚えはありません」

 

その夜。

 

俺とレイネは、《ステップトリーダー》の輪の中で食事をした。

 

臨時の協力者として、端へ座るのではなく。

 

戦闘での役割を終えたからと、料理を用意する側へ戻るのでもなく。

 

同じ依頼を終えた仲間として。

 

 

それから一か月半。

 

俺とレイネは《ステップトリーダー》とともに、北方の幾つかの町を巡った。

 

常に同じ人数で行動したわけではない。

 

ゾルダートは依頼の内容に応じて、参加する者を変えた。

 

俺は街道の護衛。

 

雪崩によって孤立した集落への物資輸送。

 

魔物が住み着いた洞窟の調査。

 

崩壊しかけた橋や、雪に埋もれた道の復旧。

 

そうした依頼へ参加した。

 

レイネも、剣士としてだけではなく、斥候や治癒術師の補助として動くことが増えた。

 

ミミルの記録から学んだ北方の薬草を、実際の治療へ使う。

 

自分から仲間の体調を尋ねる。

 

食事の席でも、全員へ料理を配った後に離れて立つのではなく、同じ机へ座る。

 

急に話好きになったわけではない。

 

礼儀正しい口調も変わらない。

 

それでも、問われなければ自分のことを一切話さないということは減った。

 

俺も変わった。

 

依頼の判断について疑問があれば、ゾルダートへ尋ねる。

 

自分の案があれば伝える。

 

疲れている時は、問題ないと言って誤魔化さず、休憩を求める。

 

魔術だけで全てを終わらせず、前衛や探索役を信じて待つことも覚えた。

 

《ステップトリーダー》の中では、俺を子供扱いする者もいた。

 

最初は不満だった。

 

けれど、年齢だけを理由に、能力まで軽視されているわけではない。

 

経験のある者が、自分の失敗を踏まえて注意してくれていることもある。

 

それを全て、侮辱だと受け取る必要はなかった。

 

「泥沼」と「白髪の侍女」の名は、ローゼンバーグの外にも広がった。

 

依頼先では、俺たちの名前を聞いたことがあると言われることが増えた。

 

そのたびに、母様を捜していると伝えた。

 

ゼニス・グレイラット。

 

フィットア領転移事件で行方不明となった、金髪の人族女性。

 

有力な情報は、まだない。

 

それでも、手紙や伝言を送る経路は増えていった。

 

ローゼンバーグを発つ前。

 

俺は冒険者ギルドへ、俺とレイネ宛ての手紙を移動先へ転送してもらえるよう頼んでいた。

 

《ステップトリーダー》の次の目的地は、依頼が終わるまで決まらないことも多い。

 

そのため、手紙はいったんローゼンバーグへ集められる。

 

俺たちが立ち寄ったギルドから現在地を知らせ、商隊や定期便を使って転送してもらう。

 

すぐに届く仕組みではない。

 

一つ前の町へ送られ、入れ違いになったため、さらに次の町へ転送されることもあった。

 

それでも、この一か月半の間に、エリスから二度、手紙が届いた。

 

最初の手紙が届いたのは、鉱山の依頼から戻って二週間ほど過ぎた頃だった。

 

雪崩で孤立した集落へ物資を届けた後。

 

宿へ戻ると、受付の主人から封筒を渡された。

 

ローゼンバーグの冒険者ギルドを経由し、さらに二つの町を移動してきたらしい。

 

封筒の端は少し擦れていたが、表へ書かれた力強い文字はすぐに分かった。

 

ルーデウスへ。

 

前の手紙を受け取ったわ。

 

泥沼という名前は、あまり格好よくないと思う。でも、あなたが自分で気に入っているなら、それでいいわ。

 

レイネが白髪の侍女と呼ばれているのは、そのまますぎると思う。

 

ミミルという人のことは残念だった。助けられなかった人のことを忘れなくていいけど、それであなたまで止まるのは駄目よ。

 

サラを助けたのは偉いわ。本当に軽傷だったのなら、もっと偉い。

 

私たちは、もうすぐ剣の聖地へ着く。ギレーヌは遅くないと言うけど、私はもっと早く着きたい。

 

毎日剣を振っている。前より強くなったけど、全然足りない。

 

絶対に追いつくから、勝手に遠くへ行かないで。

 

エリス

 

泥沼という異名を気に入っているとは、返事に書いた覚えがない。

 

母様を捜すために役立つので受け入れている。

 

そう書いたはずだ。

 

エリスの中では、受け入れることと、気に入ることが同じ意味になったらしい。

 

「白髪の侍女は、そのまますぎるそうです」

 

隣で手紙を読んでいたレイネへ伝える。

 

「否定はできません」

 

「何か別の異名を希望しますか?」

 

「以前もお断りしたと存じます」

 

「白銀の――」

 

「お断りいたします」

 

最後まで言わせてもらえなかった。

 

俺たちは、その日のうちに返事を書いた。

 

俺は、泥沼という異名を気に入ったわけではないと訂正した。

 

現在は《ステップトリーダー》とともに、北方の町々を巡っていることも伝える。

 

レイネは、ミミルが残した薬草の記録を学び始めたこと。

 

カウンターアローだけでなく、《ステップトリーダー》の者たちとも話すようになったことを書いていた。

 

何を書いたのか、全てを見せてもらったわけではない。

 

けれど、筆を置いたレイネの表情は、手紙を書き始める前より僅かに柔らかくなっていた。

 

もちろん、今書いた返事が剣の聖地へ届き。

 

エリスたちがそれを読んで。

 

新しい手紙を送り返すまでには、長い時間が掛かる。

 

次に届く手紙が、今の返事へ答えたものになるとは限らない。

 

俺たちは完成した二通の手紙を冒険者ギルドへ預け、剣の聖地へ向かう商隊の便を待つことにした。

 

二通目の手紙が届いたのは、それから三週間ほど後だった。

 

ピピンへ向かう途中で立ち寄った町の冒険者ギルドに、俺とレイネの名が書かれた封筒が保管されていた。

 

一瞬、先日送った返事が既にエリスへ届いたのかと思った。

 

しかし、そんなはずはない。

 

封筒へ記された日付を確認すると、この手紙は一通目より後に書かれていた。

 

ただし、一通目とは異なる商隊へ預けられ、別の街道を通っている。

 

手紙が書かれた順番と、届く順番が一致するとは限らない。

 

後から出された手紙が、先に届くこともある。

 

途中の町で何週間も留め置かれた手紙が、忘れた頃に届くこともあるだろう。

 

封筒の表には、エリスの力強い文字で、俺とレイネの名前が並べられていた。

 

その横にはギレーヌの筆跡で、商隊へ預けた日付と、予定されている経路が小さく書き足されている。

 

俺はレイネと並んで腰を下ろし、封を開いた。

 

ルーデウス、レイネへ。

 

もう一つ、手紙を出せる商隊が見つかったから書くわ。

 

前に出した手紙と、どちらが先に届くかは分からない。ギレーヌは、こっちの方が遠回りだから遅くなると言っている。

 

剣の聖地へ着いたわ。

 

ここには強い剣士がたくさんいる。

 

最初に戦った相手には何度も負けた。でも、少しずつ勝てるようになったと思ったら、次はもっと強い奴と戦わされた。

 

悔しいけど、だからここへ来てよかったと思ってる。

 

前より強くなった。

 

でも、今まで力で押し切っていたところや、相手を倒すことばかり考えていたところを、ギレーヌから何度も直せと言われている。

 

剣を速く振るだけじゃ駄目らしい。

 

周りを見て、誰と一緒に戦っているのか考えろと言われた。

 

最初は、勝てばいいと思ってた。

 

でも、ここでは一人で勝てても、その後に別の相手が来る。疲れて動けなくなったら、それで負けになる。

 

だから、最近は自分一人で全部倒そうとしないようにしている。

 

まだ上手くできないけど、前よりは人へ任せられるようになったと思う。

 

ルーデウスも、全部一人でやろうとしないで。

 

あなたは何でもできるから、できることを全部自分でやろうとするでしょう。

 

でも、怪我をした時まで平気なふりをするのは駄目よ。

 

レイネも同じ。

 

あなたはルーデウスのことばかり書くけど、自分が何をしているのかも書きなさい。

 

誰と話したとか、何を食べたとか、何が嫌だったとか、そういうことでもいいわ。

 

レイネが何も言わずに我慢するのは、昔から知ってる。

 

嫌なことがあったら、嫌だと言いなさい。

 

困ったことがあるなら、ルーデウスだけじゃなくて、ほかの人にも話していいと思う。

 

私は剣を振ってる。

 

ギレーヌも元気よ。

 

次に会う時は、絶対に二人とも驚かせる。

 

だから、それまで無事でいなさい。

 

エリス

 

一通目よりも、剣の聖地でエリスが何を考え、どのように変わろうとしているのかが詳しく書かれていた。

 

エリスが、自分一人で全ての敵を倒そうとしないようにしている。

 

その部分を読んだ時、俺は少しだけ笑ってしまった。

 

「何がおかしいのですか?」

 

隣にいたレイネが尋ねる。

 

「エリスが、周囲を見て人へ任せる練習をしているそうです」

 

「笑うようなことでしょうか」

 

「すみません。エリスが誰かへ任せようとしている姿を想像したら、少しだけ」

 

「ルーデウス様も、以前は同じような状態でございました」

 

「僕は、もう少し周りを見ていたと思います」

 

「ご自身で戦えると判断した場合、周囲の方々へ相談せずに行動されることがございました」

 

「最近は相談しています」

 

「はい。成長なさいました」

 

真正面から言われると、どのように反応すればよいのか困る。

 

「レイネについても書かれていますよ」

 

「拝見しております」

 

「自分のことを書きなさい、と」

 

レイネは、手紙の該当箇所へ目を落とした。

 

「以前から、エリス様には同様のご指摘を受けております」

 

「今度の返事には、何を書くのですか?」

 

「まだ決めておりません」

 

「誰と話したとか、何を食べたとかでもよいそうです」

 

「ルーデウス様は、どのような内容を望んでおられますか?」

 

「僕が望む内容ではなく、レイネが書きたいことを書いてください」

 

答えると、レイネは少しだけ考えた。

 

「では、《ステップトリーダー》の治癒術師から、薬草の調合を教わったことを書きます」

 

「それは、よいと思います」

 

「斥候の方が転倒した際、面白いと感じて笑ったことも」

 

「本人には見せられませんね」

 

「エリス様へ送る手紙でございますので、問題はないかと存じます」

 

「いつか本人へ伝わったら怒られますよ」

 

「その際は、謝罪いたします」

 

「笑ったことを?」

 

「手紙の内容を本人へ伝えた方へ、でございます」

 

レイネの口元へ、小さな笑みが浮かんだ。

 

以前なら。

 

エリスへ送る手紙にも、俺の体調や、依頼の結果ばかりを書いていただろう。

 

今は、自分が誰と過ごし。

 

何を見て。

 

どのように感じたのかを書こうとしている。

 

小さな変化だ。

 

けれど、遠く離れた場所にいるエリスにも、きっと伝わるはずだ。

 

二枚目の紙には、ギレーヌからの短い補足があった。

 

二人へ。

 

この手紙は、前のものとは別の商隊へ預けた。

 

遠回りになるため、届くのは遅いと思う。順番が逆になっても気にするな。

 

エリスは毎日、朝から夜まで鍛錬している。休ませるのには苦労しているが、以前より人の話を聞くようになった。

 

剣だけではない。自分以外の者を見る余裕も、少しずつ身についている。

 

まだ一人で先へ出ようとすることは多いが、最初の頃と比べれば大きく変わった。

 

次に手紙を出せる時期は分からない。

 

二人も無事でいろ。

 

ギレーヌ

 

「以前より、人の話を聞くようになったそうです」

 

俺が読み上げると、レイネは僅かに目を細めた。

 

「ルーデウス様も、以前より他者の言葉を聞かれるようになりました」

 

「先ほども聞きました」

 

「大切なことですので」

 

「レイネも、嫌なことがあれば嫌と言うように書かれていますよ」

 

「はい」

 

「現在、嫌だと思っていることはありますか?」

 

レイネはすぐには答えなかった。

 

冗談として流すのではなく、本当に自分の中を確かめているように見えた。

 

「ゾルダート様から、必要以上に人間関係へ踏み込まれることがございます」

 

「それは僕も嫌です」

 

「ですが」

 

レイネは少しだけ考え、言葉を続けた。

 

「全てが不快というわけではございません」

 

「それを本人に言えば、喜ぶと思います」

 

「ですので、申し上げません」

 

そこは以前と変わらないらしい。

 

俺たちは、二通目の手紙にも返事を書くことにした。

 

先に預けた返事が、まだエリスへ届いていない可能性は高い。

 

同じ内容を繰り返すだけにならないよう、前の返事を出した後に起きたことを中心に書く。

 

現在地。

 

新しく受けた依頼。

 

俺たちが無事であること。

 

次に向かう可能性のある町。

 

そして、届く順番が前後しても混乱しないよう、手紙を書いた日付を最初に記した。

 

手紙がいつ届くかは分からない。

 

返事が行き違う可能性もある。

 

それでも、エリスの文字を読むたびに。

 

俺は、エリスが今も同じ世界のどこかで生き。

 

自分の選んだ場所で、前へ進んでいることを実感できた。

 

レイネもまた、俺の状態を報告するだけではなく、自分が誰と話し、何を感じたのかを書くようになっている。

 

その全てを、俺が知る必要はない。

 

エリスとレイネの間には、俺を介さない関係がある。

 

少しだけ気にはなる。

 

それでも、うれしいと思える気持ちの方が大きかった。

 

 

俺たちは《ステップトリーダー》とともに北方を移動し、やがてピピンという町へ到着した。

 

ローゼンバーグよりも大きく、多くの商隊と冒険者が行き交う町だ。

 

南方や西方から運ばれる情報も集まりやすい。

 

町へ入った当日。

 

俺は荷物を宿へ置くより先に、冒険者ギルドへ向かった。

 

レイネも同行している。

 

ギルドの掲示板へ、母様を捜しているという書状を貼らせてもらう。

 

受付へ名前と滞在先を伝えたところで、職員が「あっ」と声を上げた。

 

「ルーデウス・グレイラットさん?」

 

「はい」

 

「あなたを捜している方がいます」

 

俺とレイネは顔を見合わせた。

 

母様の情報だろうか。

 

あるいは、ローゼンバーグを経由して、新しい手紙が転送されてきたのだろうか。

 

「どなたですか?」

 

「エルフの女性です。数日前から、ギルドへ何度も確認に来ています」

 

エルフ。

 

その言葉を聞き、レイネの表情が僅かに変わった。

 

「お名前は?」

 

「エリナリーゼ・ドラゴンロードと名乗っていました」

 

名前だけは、父さんから聞いたことがあった。

 

父さんが、かつて所属していた冒険者パーティー。

 

《黒狼の牙》の一員。

 

父さんが過去を話す時、あまり詳しく触れようとしなかった人物の一人でもある。

 

「今は、どこに?」

 

「先ほどまで酒場にいましたが――」

 

受付の職員が、俺たちの後ろを見た。

 

ギルドの入口から、一人の女性が入ってくる。

 

長い金髪。

 

尖った耳。

 

冒険者としての装備を身につけた、背の高いエルフの女性。

 

女性はギルド内を見渡し、俺の姿を見つけた。

 

俺の顔。

 

髪。

 

服装。

 

そして、隣にいるレイネ。

 

順番に視線を向ける。

 

「あなたが、ルーデウス・グレイラット?」

 

「はい」

 

俺が答えると、女性は大きく息を吐いた。

 

「ようやく見つけたわ」

 

俺たちの前まで歩いてくる。

 

「私はエリナリーゼ・ドラゴンロード。パウロと同じパーティーにいたことがあるの」

 

「父さんの昔の仲間だということは、名前だけ聞いたことがあります」

 

「そう。なら、話は少し早いわね」

 

エリナリーゼは、俺の顔を改めて見た。

 

「フィットア領の転移事件が起きた後、私はロキシーと一緒に、転移した人たちやパウロの家族を捜していたの」

 

「ロキシーと?」

 

思わず聞き返した。

 

ロキシーが、転移事件の後にどこで何をしているのか。

 

俺は知らなかった。

 

ブエナ村を出てからも、俺たち家族のことを気に掛けてくれているだろうとは思っていた。

 

けれど、実際に各地を回り。

 

俺たちを捜していたとは知らなかった。

 

「ロキシーが、僕たちを捜していたのですか?」

 

「ええ。あなたの家族を捜すために、ずっと動いていたわ」

 

胸の奥が熱くなる。

 

ロキシーは無事だった。

 

それだけではない。

 

俺たちがどこにいるかも分からない中で、捜し続けてくれていた。

 

知らなかった事実を一度に伝えられ、何から聞けばよいのか分からなくなる。

 

「ロキシーは今、どこにいるのですか?」

 

「その話もするわ。でも、先に伝えなければならないことがあるの」

 

エリナリーゼの表情が、真剣なものへ変わった。

 

何かを伝えるために。

 

何度もギルドへ足を運び。

 

俺を捜していた。

 

ならば、最も可能性が高いのは。

 

「母様について、何か分かったのですか?」

 

俺が尋ねる。

 

エリナリーゼは、すぐには答えなかった。

 

俺とレイネの顔を順番に見る。

 

隣にいるレイネの手が、ゆっくりと握られる。

 

俺も、無意識に息を止めていた。

 

期待してはいけない。

 

これまでにも、母様らしい人物を見たという情報はあった。

 

確認へ向かい。

 

別人だったことが何度もある。

 

今回も、母様本人の居場所ではないかもしれない。

 

それでも。

 

エリナリーゼは、俺たちを捜してまで伝えに来た。

 

「ええ」

 

静かに頷く。

 

短い返事だった。

 

それだけで、心臓が強く鳴った。

 

エリナリーゼは、俺たち二人へ向けて告げた。

 

「ゼニスの居場所につながる、有力な情報が見つかったわ」

 

長い間。

 

どこにいるのか。

 

生きているのかさえ分からなかった母様。

 

その行方へつながる道が。

 

ようやく、俺たちの前に現れた。

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ルーデウスに無為転変みたいなのを使える妹が増えたら(作者:りんごりら)(原作:無職転生)

ルーデウスに2歳年下の妹ができました。▼妹の名前はトマ・グレイラット。お兄ちゃんっ子で倫理観は薄め。でも家族は大好きです。▼無職転生はなろう、漫画、アニメを見てます。▼呪術廻戦は漫画、アニメ▼Web版を参考に執筆しています。▼無職転生、呪術廻戦、呪術廻戦モジュロの最終話までのネタバレを含みます。▼呪力は無いです魔力で動く無為転変っぽいやつです。▼原作ストーリ…


総合評価:921/評価:8.44/連載:7話/更新日時:2026年08月09日(日) 00:59 小説情報

無職が来る前の世界で頑張ってみよう(作者:思いついたら書く人)(原作:無職転生)

 理由は分からないが死んで転生した。▼ 無職転生の世界に。▼ 問題なのはどうやらルーデウスとしての転生だということ。▼ うーん。どないしよ?ロキシーと結婚しないとダメ?▼ Web版を参考にしていきます。改善点は活動報告の方に。


総合評価:1257/評価:7.89/連載:16話/更新日時:2026年08月12日(水) 16:41 小説情報

無職転生~異聞 月下の剣士(作者:彼岸花さつき)(原作:無職転生 )

人生をやり直すため、異世界で本気で生きると決めた少年、ルーデウス・グレイラット。▼彼が家庭教師として暮らすフィットア領へ、ある日、本家グレイラット家から一人の客人が訪れる。▼群青の髪。異様に長い片刃の剣。▼自らをただの棒振りと称し、「コジロー」とだけ名乗る、風来の剣士。▼飄々と月や花を愛でる一方、その剣技は剣王ギレーヌさえ警戒するほど底が知れない。何より、彼…


総合評価:1119/評価:8.4/連載:8話/更新日時:2026年08月11日(火) 17:30 小説情報

天剣へと至る愚者(作者:一般通過害悪)(原作:無職転生)

ルーデウス・グレイラットの双子の弟は転生者である。▼後世には『天剣』として伝えられることになる。▼これは、彼が生前に書いた日記を辿っていく物語。▼※アンチ・ヘイトとクロスオーバーは念の為。


総合評価:3111/評価:8.21/連載:9話/更新日時:2026年08月08日(土) 21:40 小説情報

幼女転生 ~二度目の異世界でも本気出す~(作者:Eureka_HAMELN)(原作:無職転生)

 ▼ 早逝ではあるが前世と比べれば穏やかな最期であった、そう思った矢先に二度目の転生である。▼ どうせあの存在Xのクソッタレが何かしたとかそんなところであろう。▼ まぁ、こうなってしまった以上致し方無い。▼ ただ前へ▼ さらに前へ▼ 全ては私の幸せな老後のために。▼ “我が三度目の人生に黄金の時代を”▼ ▼ 幼女戦記と無職転生のクロスオーバー作品です。▼ 幼…


総合評価:2986/評価:8.7/連載:3話/更新日時:2026年07月10日(金) 23:24 小説情報


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