斬り開くは超ハッピーエンド!   作:迦楼羅織

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これまでとこれから

 

 

しばらくして…

 

「アカン…めっちゃ恥ずい…」

 

ベンチに座り直した2人、しかし彩葉は先程までの自分の行動を思い返して羞恥のあまり顔を覆ってしまった

 

「まぁその、なんだ。久しぶりの再会と和解だった訳だし別に誰も見てなかったから…」

 

フォローしながらも自分もだいぶ恥ずかしいテンションだったなと、内心苦しんでいる拓望。

ほどなくして2人共落ち着きを取り戻し、それぞれこの数年どんな事があったのか等を話し合った

 

「会社経営に【鹿嶋家】の大切な仕事…か、確かに忙しそうだけど本当にコレだけ?」

 

「いや、まだ言ってない事はあるんだけど、それは後のお楽しみってことで。そっちはやっぱり…」

 

「うん…ずっとお(・)医(・)者(・)さ(・)ん(・)に(・)な(・)る(・)た(・)め(・)の(・)勉(・)強(・)し(・)て(・)た(・)」

 

「朝(・)久(・)さ(・)ん(・)を(・)助(・)け(・)る(・)た(・)め(・)に(・)…か」

 

「そう、まぁでもそれ以外にも色んな分野の勉強してたけどね。お父さんを助けるのに何が必要になるかすら分からなかったから」

 

「そうか…」

 

「たくみ兄や鹿嶋一族の色んな人達がお父さんを助けるために研究してくれてるのは知ってる。でも待ってるだけは嫌だった。私の大切なものを、家族の時間を自分で取り戻したいの」

 

「…そうだよな、そういう奴だよな彩葉は」

 

「………ねぇ、たくみ兄。アレ見せてくれない?」

 

「アレって…何でまた急に?」

 

「私はたくみ兄の事も大切なの。だから例え普通じゃない事でも、たくみ兄の事なら私は知っておきたい…ダメ?」

 

顔を赤く染めながら少しにじり寄って来る彩葉、こうなった彩葉のお願いを断れた事はない。まぁ元々どっかで話そうとは思ってたので別に構わないのだが

 

「分かったよ。そうだな…じゃあまずは…」

 

手を持ち上げて周囲に人がいたとしてもバレない程度に雷(いかずち)を奔らせる

 

「っ!…あの時と一緒だ」

 

「そうだな、あの時よりはずっと制御出来る様になったけどな」

 

朝久さんを助けようと力に目覚めたその日の夜、あの力が何だったのか確かめようと近くの公園で1人色々と試していた所。俺の様子を変に思った当時の彩葉が後から俺を追いかけてきており力を使うところを見られてしまった。

そして見られた事で焦ってしまった俺は力を暴走させ、周囲へとやたらめったらに放電して様々な物を破壊してしまった。幸い彩葉には当たらなかったが、目の前の超常現象と危機的な状況が合わさって彩葉は気絶してしまった

 

その後。この事で彩葉に怖がられ、嫌われてしまったのではないかと思った俺は【鹿嶋家】の事を言い訳に今日まで彩葉と会うのを避けてきた

 

「これは【鹿嶋家】に生まれた人間が偶に持って生まれて来る力なんだ。何故こんな力を持って生まれるのかは【鹿嶋家】自体も分からない」

 

(まぁヤチヨは知ってるんだろうけどな…)

 

「ただ初代当主がこの力を持っていたらしいし、歴代の力の持ち主達も全員当主となり家を発展させてきたから【鹿嶋家】の一族の者に気味悪がられたりしないし、【先祖返り】と呼ばれてむしろ喜ばれるぐらいだ」

 

「へ〜、他に何か分かることはないの?」

 

「そうだな〜

 

力を持って生まれるのはみんな男

 

力に目覚めるタイミングは個人差があり理由もバラバラ

 

力を持つものが生きている間にもう1人力を持つものが生まれることはない

 

目印として体の何処かに三つ巴(みつどもえ)の紋章がある

 

力の副作用か身体能力も常人を上回る

 

ぐらいかな」

 

「紋章、ってたくみ兄は何処にあるの?」

 

「あぁ、俺の紋章は胸の真ん中に拳大のがあるぞ。普段は肌と同じ色のシール貼って隠してるんだ」

 

「へ〜、ねぇ、その力ってどんな事が出来るの?」

 

「ん〜、それは力を持ってる奴の練度しだいだな。今みたいに体から放電したり空から雷降らせたり形変えたりで、多分出来ることに限界は無いんじゃねぇかな」

 

「げ、限界がない、か…凄いね」

 

「そうだな、だからこの力に特別な名前はないんだが、一族の中には【雷の権能(いかずちのけんのう)】と呼ぶ者が多くいる」

 

「権能…」

 

「あぁ、『異能魔法の枠に収まらず、妖術仙術と呼ぶには余りに神々しい、なればこれすなわち神のお力なり』…だそうだ」

 

「神職の方々に怒られそう…」

 

「…それがなぁ…」

 

「それが?」

 

「実家の近くにある神社ではむしろ現人神とか呼ばれてるんだよな…」

 

「実家の近くって…あのそれ、鹿島神宮じゃ…」

 

「…………」

 

「…………」

 

「で、だ」

 

「あはい」

 

「そんな訳で実のところこの力で俺が不利益を被ったり不幸になったりとかはお前との事以外ではあんまない。むしろ色々出来て今ではかなり気に入ってる」

 

「そうなんだ…なら良かった?」

 

「あぁ。………さて今はこのぐらいにして1回帰るか、もう15時になりそうだしな」

 

「えっ!本当だ…いつの間に」

 

「お前、家はどこにあるんだ?送っててやるよ」

 

「…」

 

「…どこにあるんだ(まぁ2年前にヤチヨに案内してもらって知ってるんだけどな)」

 

「えっ〜と、その」

 

「い〜ろ〜は〜」

 

「うっ、…はい、案内させて頂きます…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

「こ、ここです…」

 

「ふ〜む(やっぱヒドイな…)」

 

「じゃあ私荷物置いてきますので少々お待ちくださ〜い」

 

「待て」

 

「ハイ」

 

「ちょっとお願いがあるんだが」

 

「な、なんでしょうか」

 

「部屋の中、見せてくれないか?」

 

「えっとそのあのいくらたくみ兄といえど流石に恥ずかしいといいますか」

 

「…」

 

「…え〜」

 

「……」

 

「……」

 

「…………」

 

「…………はい、どうぞご覧ください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

「ふ〜〜〜〜む」

 

「………」

 

狭い部屋 、数少ないのにまだ片付けきれていないダンボール、コンセントの抜かれた備え付けのエアコン、うっすい敷布団

 

「………アウト」

 

「えっ」

 

「よし、引っ越すぞ彩葉」

 

「えっ!?」

 

「荷物を運ぶのは別の日でいいとして、今日明日の分の着替えや最低限必要なものを準備しろ」

 

「え〜〜〜〜〜!!!???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騒ぐ彩葉を無視して荷物を適当に見繕い、呼んでおいた家の車に乗せる。2、30分して着いたのは以前ヤチヨの話に出てきたタワーマンション。話を聞いてからこの日に備え事前に土地ごと買っておいたものだ

 

「今日からこの部屋を使え」

 

「…いやいやいやいやいや」

 

マンションの一室へと案内し電気を付ける、いつでも人が住める様にある程度設備や備品は揃えてあるからいきなりでも問題は無い

 

「なんだ不満か?」

 

「そんなわけ無いやろ!」

 

「じゃあなんだ」

 

「いきなり過ぎるやろ!それにこんな超豪華なマンションて!私こんな所に住めんて!」

 

「ならあそこに住むのか?」

 

「そりゃ…自分でどうにかでいるとこはあそこぐらいだし…」

 

「そうか…ならあそこを買い取って新しく立て直すとしよう」

 

「え…は?」

 

「安心しろ、家賃はそのままにするし超特急で造ってもらうから3か月もあれば完成する。それまではここに住んでるといい」

 

「………」

 

「どうする?」

 

「…けど…申し訳ないよ」

 

「彩葉、使えるコネは使え、掴めるチャンスは掴め。何かを得るには何かを捨てなきゃいけないが、捨てるものは少ない方が良い」

 

「…」

 

「別に水道や電気、ガスなんかまで全部養おうなんて思ってない。家賃が浮いて部屋が豪華になるだけだ。…後はまぁこれまでの贖罪ってことで」

 

「……分かった、使わせてもらう」

 

「あぁ、偶に様子は見に来るからな。適当な生活するなよ」

 

「うっ、…はい」

 

「じゃあ明後日の土曜日には元の部屋から荷物運び出すからな」

 

「えっ、早くない?」

 

「大した量無いだろう。安心しろ、運搬業者も一族系列の企業の人達にしてもらう」

 

「なんでもやってるやん、どないなってん鹿嶋一族」

 

「まぁ歴史が長いからな、手出してない職種は正直無いに等しいと思うぞ」

 

「もはや怖いんやけど…」

 

「俺もこの先扱い切れるか少し不安だよ…」

 

「えぇ…」

 

ほんと、この先後を継いだとしてもどこをどう経営していけば良いのか、まだまだ見通しきれてないんだよな

 

「さて、それじゃ今日はもう帰るからまた明日な」

 

「えっ」

 

「?、どうした」

 

「あ、いやその」

 

体をもじもじとさせながら目線を色んな所に飛ばしまくって焦っている彩葉。何かまだ話たいことがあるのか?

 

「そ、そのな」

 

「あぁ」

 

「せっ、せっかく久しぶりに会えたし、明日も明後日もこれからいつでも会えるって分かってるんやけどな」

 

「………今日はずっと一緒に居てくれん?」

 

 

………

 

 

「…はぁぁぁ」

 

思わず息を吐いてしまう。流石にズルすぎるな

 

「あ、えとごめん何言うてんやろ私。忘れ

 

「分かった」

 

「えっ」

 

「今日は一緒に居てやる、ただお前が寝たら帰るからな」

 

「う、うん!」

 

嬉しそうな顔しやがってチクショウ、俺も男なんだがな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

『どうだった?彩葉とはちゃんとお話出来た?』

 

「あぁ、しっかり過去のわだかまりも解消出来たよ」

 

『そっか〜、それなら良かったよ』

 

深夜、興奮する彩葉を何とか寝かしつけてからベランダでスマホを使ってヤチヨと今日あった事を話す

 

「まだスマコンは持ってないみたいだからお前に直接会うのはもうちょい先かな」

 

『そっか…もうすぐなんだね』

 

「怖いか?」

 

『うん、でも大丈夫だよ。今日まで何度も拓望が勇気づけてくれたからね!』

 

「この2年すぐ不安そうにするから大変だったよ」

 

『うぐっ!…ヨヨヨ〜ヤッチョは意気地なしなのです〜』

 

「はいはい、あっ、そうだ」

 

『?』

 

「ヤチヨ、2年前にした俺との賭け覚えてるか?」

 

『!…もちろんだよ、『彩葉が私を受け入れてくれるかどうか』でしょ。それがどうかしたの?』

 

「いや、ははは、あの賭けは俺の勝ちだろうなって思ってさ」

 

『早すぎじゃない?まだかぐやも来てないんだよ』

 

「彩葉の部屋に入った時な、引っ越したばっかでろくに物が置いて無かったのに、コレだけは真っ先に出したんだろうなって物があったんだ」

 

このマンションに来る時だってそれだけは自分で持って来てた

 

『それって…』

 

「お前のアクスタとそれを飾ってた神棚」

 

『!………ははは、そう言えばそんなのあったな〜。そっか、彩葉が私のアクスタを…』

 

「大丈夫だヤチヨ、お前はちゃんと彩葉の一番の推しで、お前はこれまで彩葉支えて来たんだ」

 

『うん!ありがとう拓望』

 

「なあに、大した事じゃねえよ。それよか俺が勝った時の賭けの報酬、忘れてないだろうな」

 

『…彩葉に思いを伝えて、もっとワガママに自信を持って生きてほしい…か。そうだね、その時は私も頑張らないとね!』

 

「…楽しみだな。これからが」

 

『…うん、超楽しみ!』

 

 

 

 

夜が更けていく、星が輝き月明かりが照らす夜空。拓望は口元を緩め、これから先の未来を思い浮かべながらその空をずっと眺めていた―

 






あれ?これ原作開始まで何話かかるんだ???
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