評価バーが赤くなりました、皆様本当にありがとうございます
至らぬ点ばかりですが今後もこの作品をよろしくお願いします
4月下旬、入学式から3週間程が経ち、新しい家や高校生活にも少しだけ慣れてきた彩葉
(とはいえ、たくみ兄との関係を色んな人にめちゃくちゃ聞かれたのは大変だったな…)
久しぶりに再会したあの日、自分が3年生のクラスに直行したり、名家の御曹司である超有名人な先輩と何処かに2人で行く姿を見られてしまったようで。そのせいですぐに様々な噂が立った
(元カノや義理の妹、一目惚れに挙句の果てには婚約者なんて、いくらなんでも話が飛び散らかり過ぎでしょ)
聞けば、たくみ兄も散々質問攻めにあったらしい
(まぁでも悪い事ばかりでもないか、たくみ兄の所には行きやすくなったし色んな人と話すきっかけにもなった)
「彩葉〜約束してたケーキ屋さん行こ〜」
「新作が出たらしいよ」
「うん、今行く」(友達も出来たしね)
諌山真実と綾紬芦花、この2人は私とたくみ兄の噂が一年生の間にも広がり始めた頃真っ先に心配して話しかけてくれて、その後も色々と気を遣ってくれた優しい2人だ
そんな2人とはその時をきっかけとして少しずつ交流を持ち、今ではこうして3人で遊びに行くぐらい仲良くなれた
(ほんと、ありがたいよ)
2人にはたくみ兄との関係や家族の事をある程度話しているし、私の目標やその為になるべく自立して生活している事も知っている。最初は驚いたり考え直す様に言われたりしたが、私が一切譲らないのでしぶしぶではあるが応援してくれるようになった
(最近はこうして自然と息抜き出来る様に色々誘ってくれてるし、まだ出会って3週間だっていうのに助けてもらってばっかだな私。いつか絶対お返ししないと…)
「そう言えば彩葉〜、この前言ってた新しいバイトって結局どうなったの?」
「え?あぁアレね…やる事にしたよ」
1週間程前にたくみ兄から医学研究員の人達の手伝いのバイトをしないかと紹介された。いきなりで驚いたし、高校に入る前から始めていた喫茶店バイトもあったのでかなり悩んだのだが…正直私の目標を考えればやらない選択肢はない
「ちょうど今週の土曜日から来てって言われてるんだ」
「…でも彩葉、大丈夫なの?元々のバイトかなりキツイって言ってたのに更に増やしたうえ研究所?のバイトとか危なくない?」
「大丈夫大丈夫。喫茶店の方はシフト減らしたし、研究所のバイトっていってもデータを纏めたり機材の準備したりするぐらいだしね。時給は良いし、ほんとなら大学生の人達が対象だったのをたくみ先輩が特別に用意してくれたものだし」
「へ〜、鹿嶋先輩そんな事も出来るんだね〜。凄いな〜」
「………そうなんだね、なら安心かな」
「うん、心配してくれてありがとう真実、芦花」
話している内にケーキ屋さんに到着し、新作ケーキを注文した。少々お値段はしたがもうすぐ喫茶店のバイト代が入ってくるし全然大丈夫………貯金も順調だし5月中にはアレ買えるかな?
Side:鹿嶋拓望
一方その頃。木造の壁、線の引かれた床、西日の差し込む広い一室に、2人の男子が防具と竹刀で打ち込み合う音が響き渡る
「めぇぇぇぇん!!!」
「ふっ!」
振り下ろされた竹刀を弾き、そのまま鍔迫り合う
「てーー!!」
竹刀をしならせるように振り籠手を狙う、しかしギリギリの所で避けられたので一度距離を取って構え直す
「…」
「…」
互いにタイミングを計り合いながらジリジリと近づいていき―
「「こてぇぇーー!!!」」
互いの竹刀の先が当たった瞬間に同じ攻撃を叩き込む
「…あっ、えっと?」
審判をしていた2年生には今の判定は難しかったようだ、まぁ今のはプロでも判断は難しかっただろうな
「…引き分けだな」
「ああ。悪いな、練習相手になってもらって」
互いに構えを解いて向き直る
「気にすんなよ、これぐらい慣れたもんだしいつでも相手してやるよ」
「ふっ、そうか、感謝する。お前も審判役助かった、もう自分の練習に戻ってくれて大丈夫だ」
「は、はい!(この人達やべー、ほとんど見えなかった…てか鹿嶋先輩はなんで渡部先輩と渡り合えてんだよ、相手全国優勝者だぞ…)」
理解が追いつかないという顔をしながら部屋を離れていく2年生を傍目に、拓望と明綱は剣道場の壁に座り込む
「6戦やって2勝3敗1引き分けかぁ〜、どうなんだよ今年の大会は。去年に続いて連覇できそうか?」
「簡単では無いだろうな。俺も去年より腕は上げたがそれはどこも同じ、厳しい戦いとなるだろう。無論負ける気はないがな」
「はっ、いいねぇ〜、なら決勝ぐらいは応援しに行ってやるよ」
「ふん、来る前に終わらせてやる」
穏やかに軽口を叩き合う2人。互いに相手を信頼し、助け合ってきたからこその気安さが感じられる
「今年は随分新入部員が入ってきたみたいで良かったな」
「ああ、どうにも俺の名を聞いてわざわざこの高校に来てくれた者も何人かいるらしい」
「へ〜、流石魔境の世代の全国優勝者、ネームバリューは抜群だな〜」
「その優勝者と互角に渡り合うお前は何なんだか…」
「そこはホレ、家で武術やってるし、後はまぁ俺だから」
「ふっ…それもそうだな、だがそんなお前でも最近は随分忙しそうにしてるいるようだな。例の酒寄さん以外の事でも何かあるんじゃないのか」
「あぁ〜、そうだな、彩葉はまぁ新生活も少しづつ落ち着いてきてるからいいとして。(つい色々世話焼いちまうけど…)問題は俺自身、というか来年以降に向けて色々とな」
「来年以降?、今さらお前が大学関係でもたつく理由もあるまいし。なんだ、家の事か?」
「そっ、俺来年から正式に当主になんだよ。だから方々に挨拶したり引き継ぎしたりでどんどん忙しくなってるって訳だ」
来年にはついに"かぐや”が地球に来るんだ、持てるだけの力は何だって持っておきたい。来年までには業務を落ち着かせないとだが…
「なんとまぁ、二十歳もいかずに当主とはな、お父上はどうしているんだ?まだまだご顕在だっただろう」
「なるべく早く当主になりたいって言ったのは俺だからな。親父は4、5年は相談役として助けてくれるらしいが、これ幸いと言わんばからりにさっさと隠居してお袋といちゃつく準備してやがるよ」
「はは、相変わらずの愛妻家だな」
「ただの色ボケだよ、よく俺に弟妹が居なかったもんだぜ。お前は将来あんな風になんなよ、彼女持ち」
「!お、俺はそんな、
「あぁはいはい、もう手遅れか。お前相変わらずその手の話になると情けなくなるの何なんだ?」
「…な、情けなくなど」
「その様子じゃ相変わらずリードされっぱなしみたいだな。…はぁ〜あ、あの渡部明綱とあろう者が年上清楚ロリ彼女には形無しか〜。散々アドバイスしてやったってのに」
「……そう言うお前も入学式の時は酒寄さんには随分と弱腰だったし今も偶に押し負けるらしいじゃないか。何だ、年下の尻に敷かれるのが趣味か?」
「……あ?」
「……ふん」
空気が少し張り詰める
「…………さて、十分休んだしもうひと勝負でもするか」
「…………そうだな、ちょうどもう少し白星が欲しかった所だ」
「はっ!ぬかせロリコン」
「黙れ女の敵」
何故か隣の剣道場に居るはずの部員達の背筋が震えた
「………」
「………」
その後、両方の竹刀が折れるまで戦い続けて顧問に怒られる事となった2人であった―
「あっ、そうだ明綱、来月のさぁ――
Side:酒寄彩葉
場面は戻り、ケーキ屋の店内にて3人の峰麗しい女子高生達は和やかに話を続けていた
「それでね〜その時の帝様のかっこよさがもうヤバヤバでさ〜」
「真美好きだね〜、帝アキラ」
「もっちろん!帝様サイコー!」
(…帝アキラ、か…)
笑い合う2人を他所に、彩葉はある人物に対して思いを馳せる
(お兄ちゃん、なんであんなキャラでやってるんだろ。見てて楽しそうにしてるな〜とは思ってたけど、いくらなんでもね〜お母さんも珍しく困惑してたし)
かつて実家で母と2人暮らしをしていた頃を思い出し懐かしむ、兄の配信を2人で初めて見たあの日の空気は忘れられない
「ねぇねぇ彩葉、彩葉は確かヤチヨが推しなんだっけ〜?」
「えっ、あうん、そうだよ。初配信からずっと追ってるよ、いつかぜっっったいに生でライブ見たいんだ」
「そっか〜、じゃあ芦花は?誰か推しとかいる?」
「私?う〜ん、あんまりこの人って感じではないんだけどテテテさんとか色んなお話聞けて楽しいからよく見てるし、ファッション系も色々見てるかな。…後はそうだね、鳴神とか?」
「えー!鳴神!?芦花が?意外〜」
「ほんと、全然イメージない…」
「あはは、まぁだよね。私もめちゃくちゃ推してるとかじゃなくてさ。偶に見た時になんだか無性に目が離せないというか、見ていたくなるっていうか…そんな感じなんだ」
「へ〜。目が離せない、か〜」
「うん…なんだろう?いつも真剣に楽しんでるって感じるからかな?。後は偶に雑談とか歌ってみたとかしてたら珍しいって見に行っちゃうの」
(鳴神…ツクヨミで最強のプレイヤーにして800万以上のファンを持つ超有名ライバー。私はヤチヨとの絡みが多い気がして羨ましい、ぐらいにしか思ってなくてよく知らないけど………ん?そういえば鳴神って誰かに似てる様な気が…誰だろう?)
「でね〜、今度の日曜日は家族みんなでお出かけするんだ〜」
「へ〜いいねぇ、どこ行くの?」
「弟が動物園行きたいんだって〜」
(おっと、いつの間にか話全然変わってる。まぁ気のせいだよね)
「動物園か…あんまり行ったことないかな」
「彩葉も?実は私もなんだよね」
「え~、もったいないよ〜けっこう楽しいんだよ動物園!」
「う〜ん、言われると行きたくなっちゃうな…」
「…どこか、あ!」
「?どしたの彩葉」
「あ、ごめん。実は今日2人に提案っていうかお誘いしようと思ってたの思い出したんだ」
「「お誘い?」」
「うん。芦花、真美、良かったら来月のゴールデンウィークに――
「「山、行かない?」か?」
諌山真実&綾紬芦花
聖人2人。彩葉が高校生初日からヤバい状況になってるのを見て助けに行った、本人あんま気にしてなかったし噂とは別でもっと色々ヤバい状況だった。助けねば…