斬り開くは超ハッピーエンド!   作:迦楼羅織

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投稿遅れてすみません
一回書いたの消えました ちくしょう


今週中にもう1話投稿します

ツクヨミ関連の年数間違えておりました、申し訳ありません



君の願いは?

 

 

 

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「なぁ親父、いい加減理由を教えてくれよ」

 

屋敷の廊下を先に進む父の背中に、今日何度目かの質問を投げかけるが反応はない。京都に住む祖父母の家で何年も過ごしてきたのに、いきなり帰ってこいと言われ、関わりがあった人達にろくな挨拶も出来ずに連れて来られた。

茨城の鹿嶋に本家を構える名家、【鹿嶋家】その家の当主の息子として生まれた以上、いつかは帰って来なければならないだろうと思っていたが、いかんせん急過ぎる

 

(朝久さんとの約束があるのに!…)

 

これからどうするかな、と思いなながら家へと帰ってくるなりどこかへ連れて行こうとする父を追いかける。あまりハッキリとは覚えて居ないが、この奥には家の中でも極一部の限られた者しか入れない区画のはず。そんな所へ連れて行っていったいどうする気だ?

 

そうして歩き連れられて数分後、屋敷の奥で壁に囲まれ外から隠すように存在する小さな庭にでた。そこには一棟(ひとむね)の蔵だけが存在しており、父と俺はその蔵の前で歩みを止めた。建物の構造的に家の中で最も厳重に守られた場所、いったい何があるんだと想像を巡らせる俺に、ようやく父が口を開いた

 

拓望(たくみ)、ここからはお前だけで入りなさい」

 

偶に会いに来た時に聞く優しい声とは似つかない、硬く重たい声

 

少し驚いていると

 

「それからこれも渡しておく」

 

そう言って父は懐から何かを取り出し、こちらに手渡してきた

 

「なんだコレ?鍵と…スマコンか?」

 

最近発売され、急速に世間に広まっている電子デバイス、ARでニュースや動画も見れて、確か仮想空間にも接続できるらしいが……鍵はこの蔵の物か

 

「中に入ったらそれを付けるんだ」

 

「マジで中に何があんだよ…」

 

「入れば分かる…多分

 

「多分って言ったか今」

 

ヤロウ、目線逸らしやがった、……はぁ、時間の無駄だな、さっさと入って済ませるか

 

鍵を差し込み扉を開ける、父は本当に入る気が無いらしく突っ立っている。っておい!何扉閉めてんだよ!えっ?いいから行け?後でぶん殴ってやる

 

窓から入ってくる光でうっすらと照らされた蔵の中には、様々な骨董品とそれらに囲まれている地下への階段があった

 

「降りなきゃだよな…、古い家だからって何でこんな怪しい物があるんだよ」

 

文句を言いながら降りていく、下に行くにつれて何かの駆動音らしき物が聞こえてくる、大型の機械でも置いてあるのか?

 

そうして降りきった先には、大量の機械と配線に繋がれて水槽に沈んでいるタケノコがあった

 

「………タケノコ?いやタケノコの形した機械か、水は冷却用なのか?…………なんか懐かしいような気がする

 

しばらくタケノコもどきを眺めていたのだが

 

「あっ、スマコン付けるんだっけ、てかコンタクト付けたことないんだが」

 

苦戦しながらも何とか装着出来た。すると目の前に1件のメッセージが浮かんでくる

 

「『目を閉じて』?」

 

言われるがままに閉じてみる、数秒後、意識がどこか遠くと繋がるのを感じた―――

 

 

 

 

 

 

 

 

目を閉じたまま、途切れていた意識が戻ってくる、先程と同じ姿勢で立っているはずなのに少し違和感があり、遠くの方から騒がしい音が聞こてくる。俺は今、どこに居るんだ?

 

 

「目を開けてみて」

 

 

戸惑う俺の耳元に美しい声が響く、気配を感じなかったことに驚きながらも、ゆっくりと目を開けてみてると

 

 

目に映る景色は広々とした和風の部屋、造りからして天守閣だろうか?吹き抜けとなっており、外がよく見える。まだ日が傾くには早すぎる時間帯だが、空は暗く星が見え、空中には光る海洋生物が自由に泳ぎまわっている、下の方に見える灯りは街だろう、ハッキリとは分からないが賑わっているようだ

 

幻想的な景色に目を奪われていると、後ろから声が聞こえる

 

「どうかな?ツクヨミの景色は、気に入ってくれた?」

 

その声のした方へと振り返ると、そこには1人の女性が立っていた。

 

光の当たり加減で白にもピンクにも見える髪、頭の両横に髪で編んだ輪っかがあり、簪で留めている。深い群青色の着物の中央には大きなメンダコがいて、足は海のように透き通っている。

 

全体的に海をイメージさせる彼女はとても美しく、儚げに見える。こちらをまっすぐに見つめているその瞳には、思い違いでなければ抑えきれない喜びが感じ取れる。

 

―――キレイだな…

 

「ねぇねぇどうかな?どんな風に感じた?」

 

思わず見惚れてしまった、確かツクヨミと言ったか?それがこの世界の名前らしい。

 

「あ、あぁ、凄くキレイなところだな、何だか夢とロマンが詰まってるって感じがして気に入ったよ」

 

「ほんと!えっへへ、嬉しいな〜君にそう言って貰えるなんて」

 

「?、何だ、俺を知ってるのか?」

 

「…そうだね、よく知ってるよ」

 

少し雰囲気を落ち着かせ彼女は告げる

 

「自己紹介しよっか!私の名前は月美ヤチヨ!この仮想空間[ツクヨミ]の管理人にして、未来の時代から約8000年前の地球へと月からタイムスリップしてやってきた美少女宇宙人です!」

 

 

 

………なるほど???

 

 

「あはは、いきなり宇宙人ですっていっても混乱するよね〜、う〜ん、どう説明しよっかな〜」

 

「あぁ、いや、大丈夫だ、確かにちょと理解しきれてないが、そうゆうオカルト的なのには理解がある方だ」

 

「そお?………それは、君自身も特殊だからかな?」

 

!?、()()の事を知ってるのか…

 

「どうやら、本当に俺の事をよく知っているみたいだな…」

 

「ありゃりゃ、ちょっと警戒させちゃったかな?大丈夫だよ、ヤッチョは君をどうこうしようとなんて思ってない。むしろ助けてほしいんだ」

 

「助けてほしい?」

 

「うん、そもそもヤッチョと君の家はね、ず〜っと協力関係にあったんだ、それこそ【鹿嶋家】そのものが出来た時からね」

 

「出来た時からって、ウチの起源は少し曖昧だが、確か平安時代ぐらいに出来たはず、それからずっと?」

 

「そっ!まぁ協力関係といっても最近まではヤッチョが助けて貰ってばっかりだったんだけどね。ほんと、感謝してもしたりないよ」

 

「なるほどな、なら歴代の事も知ってる訳だ。」

 

「うん、みんな知ってるよ」

 

「そうか、なら納得だ、さっき助けてほしいと言ってたのも、アレを使うことなのか?」

 

「さっすが〜、察しがいいねぇ、その通り!ここに来る前にタケノコみたいな機械を見たでしょ?」

 

「あぁ、見たけど…アレに使うのか?」

 

「そっ!アレは[もと光る竹]って言ってね、ヤチヨが乗って来た宇宙船兼タイムマシンなんだけど、地球に来た時に壊れちゃってね〜。これまでは何とか頑張ってくれてたんだけど最近とうとうガタがきてるみたいで、電力をうまく発電できてないんだ。今は【鹿嶋家】に電力供給してもらってるんだけどかなりの出費らしくって、そこで、君にはアレを使って電力を供給してほしいとゆう訳なのですよ〜」

 

「話は分かったがそんなに大事なのか?、乗り物と言うならもう役目は無いだろう。というか、そもそも直せないのか?」

 

「う〜ん直すのは無理だろうねぇ、鹿島一族の科学者の人達が頑張って解析してるんだけど、まだ取っ掛かりすら見えてこないらしいんだ。で、大事なのかって言われたらそりゃもうほんと〜〜に、大事なものでね、このツクヨミも[もと光る竹]をサーバーとして使うことで実現してるし、…何より…」

 

「?、何より?」

 

「[もと光る竹]の中にはヤッチョの()()がまだ入ってるのですよ」

 

「…本体?」

 

「うん、今君の目の前にいるヤチヨは意識だけをツクヨミに移してる状態でね、月人は元々体が無いから、[もと光る竹]が地球の環境に適した肉体を生成してくれるはずだったんだけど、故障が原因で肉体を得られなかったんだ、たがらもし[もと光る竹]が完全に停止した場合、多分死にはしないだろうけど活動出来なくなっちゃうだろうね」

 

「なるほどな、事情は把握した、…いいぜ俺に出来ることならいくらでも手を貸そう。」

 

「ホントに!?ありが「ただし」……とう…」

 

「一つ聞きたいことがある」

 

「な、なにかな?」

 

やけに怯えるな?いやそれもそうか…

 

「お前、嘘はついてないけど色々隠したり省きまくったりしてるだろ」

 

「そ!それは…」

 

苦しげな表情、よほど話したくないのか話せないのか…

 

「言いたくないか、ならまぁいい」

 

「え?」

 

「俺が聞きたいのは別のことだ」

 

そう、ずっと気になっていた

 

「ヤチヨ、お前は何のために地球に来た、時を超えてまで何をしようとした」

 

「………」

 

「それさえ答えてくれれば俺は十分だ、たとえどれだけ隠し事があろうが嘘つこうが、お前を信じていくらでも力を貸そう」

 

「ど、どうして?何でそこまで…」

 

「何で…か、そうだな」

 

「ヤチヨ、俺はな――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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仮想空間ツクヨミ:最上層《ヤチヨ城》

 

 

Side:鳴神(なるかみ)(拓望)

 

(気まずい……)

 

暗い夜を照らすミラーボールと街灯り、いついかなる時であろうと、人々の喧騒が冷めやまぬツクヨミにて、向かい合う【鳴神】と【月見ヤチヨ】の間には未だ何の会話もなされていないまま、すでに数分の時が過ぎていた。

 

約10分ほど前、一ヶ月ぶりに目の前にいるヤチヨから「久しぶりに話がしたい」という連絡を受け取り、色々と確かめなければいけない事があるな、 と意気込んで来たはいいものの。

いざ対面してみれば彼女が放つ気まずそうな雰囲気に当てられ、こちらも出鼻を挫かれてしまった。

 

 

(いつまでもこうしてる訳にはいかんしなぁ)

 

 

いい加減、腹括るか、と口を開こうとしたその時。

突如、慌てたように手を合わせながらヤチヨが喋り出す

 

「イヤー!今日の配信見てたよ、相変わらずすごかったね〜!、ヨッ!流石天下無双の鳴神!配信見てた神々の皆んなも大興奮ですよ〜」

 

先程の[Ranse(らんせ)]の事だろう、いつも通り勝利したものの、実際配信での盛り上がりは毎度凄まじい

 

……しっかしコイツ

 

「(本題を先延ばしたな…まぁいいか)…そりゃどうも。しばらくしたら忙しくなるだろうからな、配信頻度落とす事になる前に盛り上げとこうと思ってな」

 

バレない程度に観察しながら話してみる、『しばらくしたら忙しくなる』辺りで少し反応があった。やっぱり高校が何か関係あるらしいな、有名な進学校ではあるがそれだけ、やはり高校そのものではなく関係している人間が関係してるのか?

 

「まぁ今日は俺も予想以上に楽しかったけどな、やっぱプレイヤー達のレベルが全体的に上がってきてるな」

 

「あっ!やっぱりそうだよねぇ!イヤ〜、ヤッチョも最近のプレイデータとか、皆んなの配信見てておんなじ事思ってたんだ〜。何でだろ?ランカーのみんなが積極的に[Ranse]とかしてくれてるからかにゃ〜?」

 

「まぁそれはあるだろうぜ、色んな上位勢と戦えるのはいい経験になるだろうからな。後は[KASSEN]をプレイする奴が一気に増えて来てる、ってのもあんだろうな。別ゲーで腕鳴らしてた奴が入ってきたり、人口増えて来てるから初心者講座なんかも需要が増えて、既プレイヤーがどんどん動画作って、基礎だけじゃなく新しい技術や戦法を広めまくってるからな。初心者でもすぐに強くなれる環境が作られて来てるんだ。配信関係なしで道場開いてる奴もいるしな」

 

「あぁ〜、ああいうの新鮮で面白いよね〜、昔は誰かに教えるってなってもマンツーマンで[SETSUNA]か、おんなじチーム組んで[SENGOKU]で実戦しまくる!って感じだったのにね」

 

「自由度が高すぎて手探りの時期が長かったからな」

 

ツクヨミができたのが約8年前、[KASSEN]は6年前に

実装されたものの、最初の1、2年の間はゲームモードが[SETSUNA]と[SENGOKU]の2つしかなかったし、操作もスマコンとコントローラーだけでは難しかった。それ故あまり人気がでなかったのだが。3年目になって、アバターを思考操作出来るようになる拡張デバイスの[霹靂]が発売されてから、急激に盛り上がり始めた

 

「思考操作なんて、誰もノウハウがないからみんな慣れるまでに時間がかかったんだ。んでそっからどこまで出来るのかって模索し始めた」

 

[霹靂]に興味をもって始めたのはいいものの、使いこなすにはかなりの慣れが必要となった人は多かった。さっき言ってた初心者講座でも、大体は一番最初に体を動かす感覚を教えている

 

「けど[霹靂]が出来てはや3年、みんなすっかり使いこなせるようになって、新規を気にする余裕が出来た」

 

「ゲーマーなんて、自分がやってるゲームが人気になれば大抵嬉しいし、もっと人気になってほしいって思うもんだ。だから自分が強くなるだけじゃなく色んな人に楽しさを広めようとしてんだよ 」

 

「…そっかぁ、そうなんだ、それだけみんな楽しんでくれてるんだね…」

 

「それに強い奴倒したほうがより楽しいし」

 

「ズコー!結局そうなるのか〜!」

 

大袈裟に後ろへと倒れ込むヤチヨ

 

「PvPやってる奴らなんてそんなもんだろ」

 

こっからさらに盛り上がっていくだろな…そう言って一息つくと、目の前のヤチヨは小さく笑い始めた。ってかいつまで倒れてんだよ、中見えそうだぞ

 

「どうしたんだよ、いきなり」

 

問い掛けると彼女はゆっくりと体を起こして座り直した

 

「ふふふっ、別にぃ〜、ただ…こうやって拓望と楽しくツクヨミの事とか話し合うの、懐かしいなぁ〜って思っちゃって。」

 

「それで何で笑うんだよ」

 

「だって〜、ヤッチョはもう8000年も生きてるんだよ?、それなのに今更たった一ヶ月ぶりの事を懐かしいと感じちゃうなんて」

 

思わず笑っちゃったよ〜、そう言って穏やかに、だがうっすらと影が見える表情をするヤチヨを見ていると少し複雑な気分になる、俺との時間を楽しんでくれていて、これまでのこともいい思い出のように思ってくれていることも嬉しい。

けど、どこか自分が幸せなことはおかしいとでも言いたげな姿に苛立ちを覚える。

 

「(気に入らねぇ)………なんか年寄りクセ〜」

 

 

「は?」

 

 

「8000歳にもなると流石の宇宙人も精神が枯れてくるんだな〜」

 

 

「は?」

 

 

「なぁヤチヨ」

 

「俺も楽しいよ、お前とこうして話し合えて嬉しい」

 

はは、相変わらずすぐ赤くなるな

 

「だから教えてほしい、何が不安だ?何を悩んでる?俺は何をしたらいい、何をしてほしい?」

 

お前の願いを聞かせてくれ…

 

「初めて会った時にも言ったろ、俺はお前のとびっきりの笑顔が見たいんだ」

 

そのためなら何だってやってやる




【鹿嶋家】…
平安時代後期に誕生し今日(こんにち)まで発展してきた。フィジカルエリートな家系のため、武力を必要とされる場面において常に重宝されてきた。また文明開化の時代には積極的に海外と交流をもち、文明の発展(機械工学や医療方面には特に力を入れていた)に注力した。現代では一族の半数以上が警察、医者、消防隊、自衛隊、スポーツ選手など様々な分野で結果を残しており、残りは機械関連の研究者となる者が多いため多方面に大きな影響力がある。ツクヨミの共同開発&共同管理を一族全体で行なっている。源氏由来の血筋


拡張デバイス[霹靂]…
脳活動や脳波で操作する技術、ニューロゲーミングを使用しており、スマコンと併用する事で数時間だが物理的なコントローラーを使わず、アバターを操作する事が可能となる。
スマコンと合わせて[鹿嶋デジタルコーポレーション]が開発元である
定価43600円

ちなみに「FUSI」なんですが初対面の時は節電のためスリープモードになっており、後でもろもろ説明されます。一ヶ月ぶりの時は空気読んでヤチヨの変わりに仕事してます。できたウミウシやでホンマ

あとがきで説明することになって申し訳ありません。文章力が足りませんでした。精進します。ここまで読んでいただきありがとうございました。
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