斬り開くは超ハッピーエンド!   作:迦楼羅織

7 / 17

大変お待たせしました、紅葉さんのエミュ難しいですね。
次話は明日には投稿出来そうです。


再会までのアレコレ 【酒寄家】

 

東京都内某所、とあるタワーマンションの一角にて1人の青年がもぞもぞとベッドから起き上がる、眠そうに目をこすりながら傍にあったスマホの画面をつけ、もうすぐ18時になりそうなのを見て自分が寝過ぎたことを理解した。

 

「げ、ねすぎたな」

 

昨日おそまで配信してもうたからなぁ、とボヤきながらキッチンへと向かう

 

彼の名は酒寄朝日、数年前から上京して一人暮らしを始めており、今年で19歳となった。彼は普段、仮想空間ツクヨミにて【帝アキラ】と言う名でプロゲーマー兼ライバーとして活動している。その実力と人気はどちらも最近急上昇しており、つい先日「KASSEN」総合ランキング10位へと昇り詰めフォロワーの数も300万人を超えたため、お祝い配信をしたばかりである。

そんな一見何事もなく順調そうな彼だが、実は大きな悩みが3つほどあった

 

1つ目はこれまで一緒にコンビを組んで活動してきた【乙事照琴】とそろそろコンビを解散しようとゆう話がある事、別にどちらかが問題を起こしたとか喧嘩をしたとゆうことではない、お互い実力も付いてやりたい配信の方向性も決まってきたから…とゆう理由だ。なので悩んでいる理由は解散自体では無く、その後どうするかとゆう問題である

 

(大会とかも視野に入れてるとなると、できればチーム組みたいなぁ、気になってる人達に声掛けてみよかな)

 

この様に1つ目はどうにか出来そうだが、2つ目からはそうもいかない

 

2つ目は実家に置いて来た家族のことである、父は植物状態ではあるが経過は安定しているようだし、考えや言い方がとにかくキツイが意外と寂しがりな所がある母も、偶に顔を見せに帰っているためまぁ大丈夫だ…会うたびかなり疲れるが。

 

問題は妹である彩葉のことだ、あの子は自分よりよっぽど頭が良いし、色々優秀だが父に似て他人に甘く、母に似て真面目なあの子はいかんせん母との相性がよろしくない、自分の様にのらりくらりと受け流すことができず、かといって母の言う事が間違っているとも思えないため、反論もせず心の中で苦しみ続けている

 

(まぁでも最近は少し変わって来てるみたいやけど、それが良い変化なんかはまだ分からへんしなぁ)

 

(あ(・)い(・)つ(・)は大丈夫やって言っとったけどな〜)

 

悩んでいる間に沸かしていたお湯をカップラーメンに注ぐ、今日初めての食事である。母に知られれば何と言われるやらと考えながらタイマーを掛けようとスマホに手を伸ばしたその時、来客を知らせるチャイムが鳴る

 

「嘘やろ…今入れたとこなんやけど」

 

すぐに済むことであってくれと願いながらモニターを確認すると、そこにいたのは先程思い出していた最後の悩みの種であり

幼馴染ながらほぼ兄弟の様に育った、鹿嶋拓望(かしまたくみ)であった

 

 

「よっ、朝日、久しぶりだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いな、突然連絡もなく来て」

 

「いや…それはイイけどお前…」

 

驚きながらも部屋へと上げて向き合う、最後に会ったのは自分が上京する前であり、3年ぶりほどになる幼馴染との再会、状況も相まって言いたいは山ほどあった

 

(当たり前やけどコイツまたデカなっとるな…まだ中3やのに俺と同じ位あるし体もゴツい…、いやそうやのうて何でいきなりとか、何しに来たか、とかあるやろ!…ええっと〜まずは…)

 

「どうやって俺ん家知ったんや?母さんにでも聞いたんか?」

 

「ん、あぁ、それなら簡単だ、ここら一帯はこのマンション含め鹿嶋家が不動産持ってるんだ、で、ちょっと探し物してて名簿見てたら朝日の名前をたまたま見つけたんだよ」

 

だから丁度用事があって来たんだ…とまるで当たり前の様に異常な事を言ってのける拓望に対して朝日は頭を抱えたくなった

 

「お前、ここら一帯って…名簿見てたらたまたまって…しかもそれでアポ無しで突撃かい…」

 

「なんだ、さっきいいって言っていたじゃないか、それに俺とお前の仲なんだ、細かい事を気にするな、ほら、お土産もあるぞ、自家製ホールケーキだ」

 

「ホールケーキてなんでやねん!?………はぁ〜、ほんで、用事ってなんなん」

 

「話が早いな…そうだな、何処から何処まで話したものか…」

 

「待て、その言い方ぁ、やっぱ厄介事か」

 

「あぁ、そうだな、そこまで大きな問題には成らないかもだが、少なくとも彩葉にとっては人生が狂いかねん事だ」

 

「…はぁ!?」

 

 

 

 

「――――とゆう事で、未来が変わらなければ4年後の夏に彩葉は月から来た赤ん坊を拾い、数日で大きくなったその子とドタバタで楽しい生活を送るが、月からの迎えが来てその子は帰ってしまう…とまあ色々省いたが以上だ、何か質問は?」

 

「〜〜〜〜、なんも分からん!月?彩葉が赤ん坊拾う?お前が【鳴神】でしかもヤチヨちゃんもホントはAIじゃなくて宇宙人でこの話教えてもろたって!しかも歴史がなんか違うって何がどうなってんねん!」

 

「まぁそうなるか」

 

「そもそも何でいきなり俺に話したん!?」

 

「色々手伝ってもらおうと思って」

 

「手伝うって何を!?」

 

 

「ハッピーエンド」

 

 

「………はぁ、証拠は?この話がホントの事やっててゆう証拠はあるん?」

 

「証拠か…そうだな、朝日」

 

「何や」

 

「次は俺の秘密だ、驚くなよ」

 

 

手のひらをお互いの間に持っていき

 

 

 

 

―――その手を包み込む様に稲妻が奔る―――

 

 

 

「…えっちょ、ハァ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――あかん、今日はもう寝るわ」

 

「あぁ、ゆっくり休んでから考えてくれ。…あぁ後一つ」

 

「な、なんや」

 

「そう身構えるなよ、ただのお祝いだ…ランキング10位おめでとう【帝アキラ】」

 

「…それも知ってんのかい、あぁケーキはそれでか、はぁ、ありがとうさん、でも正直伸び悩んでんねんで」

 

「ふむ、そうだな…お前はもっと遊び心を入れてみたら良いかもな」

 

「遊び心?」

 

「あぁ、配信とか実際に相手した時とか感じるんだよ、【帝アキラ】はただガチでやるより、見てるやつを楽しませようとしてる時の方が強いって」

 

「…そうなんか、知らんかった」

 

「まぁあくまで俺の意見だ、せいぜい参考程度にな」

 

「あぁ、…またな拓望」

 

「あぁ、またな朝日」

 

そうして幼馴染はあっさりと、しかし特大の爆弾を爆発させて帰って行った、正直自分はどうしたら良いんだと朝日がふらつきながらキッチンに戻った時、あることを思い出した

 

「あっ!カップ麺!…………汁が1滴もない…」

 

昔から拓望と関わると不憫な目に会うのが多い朝日であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曇り空、雪でも降りそうだなと思いながら鹿嶋拓望は京都のある大きな病院へと赴いていた、受付を済ませたどり着いたのは【酒寄朝久】と書かれた病室、扉を開き入室する

 

「朝久さん、お久しぶりです」

 

中には点滴や呼吸器に繋がれて1人の男が眠っている

 

「最近これてなくてすいません、お詫びと言ったらなんですが最近朝日と会った話でもさせて下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

京都にいた頃の自分は学校に行けてなかった、両親や祖父母からは「時が来るまでは危ないからだ」と、当時はまるで意味の分からない理由で行かせてもらえなかった。その代わりに祖父母や家庭教師の人に勉強を教えてもらっていた。

 

そんな中近所に住んでおり兄妹両方とそれなりに歳が近かった酒寄家と親しくなり、よく3人で遊んだり偶に互いの家にお泊りをした。そうして数年が過ぎた頃、朝久さんは体調を崩しやすくなり、それに伴って精神面も少し不安定になっていた、そしてある日、交差点のど真ん中で立ち止まり続け、前を見ていなかった車に轢かれてしまった

 

「あの日、轢かれる寸前のあなたを見て助けようとした俺は力に目覚めた、実際、この手はあなたに届き命を取り留める要因の1つになった」

 

話ながら朝久さんの頭から足先まで手をかざしていく

 

「うん、体調面は問題無し、ただ相変わらず中枢神経が傷ついてるな」

 

(これじゃあ意識を戻せても体は動かせないな…とにかく研究を待つしかないか)

 

その後、世間話をしばらくしてそろそろ帰るかと立ち上がったと同時に扉が開き1人の女性が入ってくる

 

「げ」

 

「げ、とはなんやえらい挨拶やなぁ拓望」

 

「あ〜、ははは、お久しぶりです紅葉さん」

 

 

 

 

 

 

 

酒寄紅葉、幼少期に両親に見捨てられたにも関わらず、4人の弟妹を女手1つで育て上げ、今現在も一流の弁護士として活躍している文句無しの超人である。しかしその性格は自他共にとても厳しく正論で上から叩き潰す事を得意としている。幼少期、酒寄兄妹と共にお説教でメンタルをボコボコにされた事は今でも忘れられない…

 

「で…今日は旦那の顔でも見に来てくれたん?もうすぐ高校生やゆうのにえらい余裕があるんやねぇ、自分の能力を過信する愚か者はすぐ足元すくわれるで」

 

「ははは…(相変わらずだな)大丈夫ですよ、常に万全を心掛けてますから」

 

「あらそう、まぁアンタがそう思うのはええけどいざって時にどうにもならんくてもアンタの責任やからな、せいぜい気いつけや」

 

「肝に銘じます…あぁそうだ、僕高校から会社経営も一部任される事になるので、少し早いですが、仕事仲間としてもよろしくお願いしますね、顧問弁護士さん」

 

「あらそうなん、無いとは思うけど適当な仕事したらすぐにでも見限らせてもらうからね、それでも良ければよろしゅうさん」

 

「はは、気が抜けませんね……話は変わるんですけど彩葉は最近どうしてますか?」

 

「…あの甘ちゃんは、最近より一層甘ちゃんやね、明確な道のりも分かってへんのにがむしゃらにやれば目標にたどり着けると思うとる、途中で何も出来ずに終わるって私が幾ら言うても聞く耳持たんわ」

 

ずいぶんボロクソに言っているが、彩葉に譲れないものが出来た事自体は嬉しそうだ、ただやっぱりどうしても心配らしい

 

「そうですか、安心しました」

 

「…安心?話を聞いて無かったんな?」

 

「ちゃんと聞いてましたよ、大丈夫ですよ。例えがむしゃらでも、道が見えてなくても、彩葉はあなたが思ってるよりずっと諦めの悪い子ですし、何よりあなた達の子供ですから」

 

「何やそれ、そんなん全然大丈夫な理由にやかなってへんで」

 

「そうですか?」

 

「そうに決まっとろ、大体、うちらの娘やから言うたってあの子の甘ちゃん具合を知ってるやろ」

 

「はは、そう育てたのはあなた自身ですよ、紅葉さん」

 

「…何やて?」

 

「あなたは確かにとても凄い人だ、常に完璧さを求め、妥協や半端、他者からの手助けを許さない、何故ならそうならなければ生きてこられなかったから」

 

「………」

 

「けど彩葉はそうじゃない、あの子には愛情を注いでくれる両親に頼れる兄貴がいる、あなたとは余りにかけ離れた環境で育った」

 

「…愛情て」

 

「そうでしょう?あなたは自分の様に育って欲しいと思って厳しくしてる、それは紛れもなく愛情です。

ただまぁ、いくら厳しくしてもあなたに成るのは無理ですよ。確かに彩葉にはあなたに並べるポテンシャルがあるでしょう。けど彩葉は彩葉だ、あなたの分身じゃない、それに自分の様に成って欲しいならあなたは彩葉を捨てて消えればいい。あなたの親がそうしたように、あなたが自分の考えが正しいと思うならそれが一番手っ取り早いはずですから」

 

「…それは」

 

「けどあなたはそうしなかった、彩葉のことが大事で愛おしいから捨てる事なんて出来なかった、これではあなたも十分に甘ちゃんですよ」

 

「!…甘ちゃんか、始めて言われたわ」

 

「でしょうね、まぁけどそのおかげで彩葉はあなたと違う強さを得ましたよ。彩葉の周りにはあの子を助けたいと思う人が必ず集まる。それは彩葉がどれだけ自分が苦しくても自然と誰かを助けてしまうからであり、そんな姿を見て感化され、恩返ししたいって思う人を生み出すから」

 

「…赤の他人に助けられる様ではどんだけたっても一人前には成れんね…」

 

「それはどうですかね、確かにあなたほど完璧じゃないかもしれない、あなたより迷うかもしれない、それでも彩葉は諦めずに必ず望む未来を掴み取って見せますよ。…どうしても不安ならあなたが助けてあげてくださいよ…母親でしょう」

 

「………」

 

「「この世で頼れるのは自分一人」でしたっけ、それは違うと思いますよ、少なくともあなたぐらいには彩葉は助けてって言ってもいいはずだ。そしてあなたも素直に助けてあげればいい、赤の他人ではなく家族なんですから。…ちょっと助けられただけで弱くなる様な彩葉じゃないですよ」

 

「………えらいべらべらと好き勝手言ってくれるんやね」

 

「間違ってはないでしょう?」

 

「………そうかもしれんね」

 

「それと、俺も色々手助けさせてもらいますからね」

 

「……お好きに」

 

「はい、好きにします。…じゃあ今日はこれで失礼します、あと、最近朝日に会ったんですけど元気そうでしたよ」

 

言いながら立ち上がり、今度こそと扉に手を掛けた所で呼び止められ、振り返る

 

 

 

「………また遊びにおいで」

 

「…はい、またお邪魔します」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

――――――――

――――――

――――

――

―

 

 

 

 

 

 

 

「お父さん、待っとってな、絶対私が助けたげるから………たくみ兄も絶対に…」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。