悪の組織の敵怪人ですが、メンタルぶっ壊れた魔法少女拾いました。 作:ロンリー
✗月a日
俺らしくもないが、日記をつけてみることにした。まずは何から語ろうか………そうそう【悲報】俺の第二の人生、人間じゃなかった件についてから話そうか。
俺は転生者という奴だ。前世では交通事故に巻き込まれて死んだ。俺の前世での生活については特に語ることがないから割愛する。好物はうどんだったのだけは語っておくか。せめてそれくらいは前世の俺を偲んでやってくれ。
そんなこんなでラノベ特有の「目覚めたら知らない天井」展開かと思ったら……目覚めたら知らない天井どころか、知らない世界だった。所謂『異世界転生』という奴だろうか? テンプレの一歩先を行くにも程がある。
俺の身体はムシを擬人化したみたいな気持ち悪い姿に変貌していた。出来損ないの仮面○イダーって感じだ……なんかの番組で脊髄ぶっこ抜きをやってた仮面○イダーが紹介されてたが、そんな感じのイメージだ。鏡を見た瞬間、悲鳴すら出なかった。人間は本当に驚くと声も出せなくなるらしい。
俺を転生させた……というより生み出した奴は「今度のは失敗か。」と呟いて俺を下がらせた。開口一番それかよ。俺が反抗的な態度を取ると、側近らしき黒騎士にボコボコにされたので、大人しくその場からトンズラをこいた。プライドより命が大事、これは前世から変わらない俺の信条だ。
今はこの『ずっと夜な異世界』について調べる時……また色々落ち着いたら日記を書こうと思う。
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✗月e日
大変なことがわかってしまった。落ち着いて一つずつ語ろう……まず俺の今いる世界……名前は『ネガミンド』。
ここには基本夜しかない。おまけに不気味な雰囲気が漂っているが、このネガミンドの住民はむしろこの不気味さが心地よいらしい。頭おかしいんじゃねぇの。俺なんか居るだけでSAN値削れそうなのに、当の住民たちは平然と夜道を歩いてる。順応性高すぎだろ。
そしてこのネガミンドと、その住民である怪人たちの創造主こそが『ミュードラ』。
この間俺が反抗的な態度をとった奴でした。要するに俺は生まれて五秒で生みの親に殴りかかったわけですね。ヤバいですね。前世でも反抗期らしい反抗期はなかったのに、まさか異世界デビュー即反抗期を迎えるとは思わなかった。
そしてこのネガミンドは、色々な世界から負のエネルギーを集めて最終的にネガミンドと同化させてきたコテコテの悪の組織なんですわ。そして噂によると、今ちょうど同化しようとしている世界が『人間界』とか呼ばれている場所らしくてですね。どうやら謎の魔法を扱う少女に苦戦しているらしいです。
はい!つまりは魔法少女世界の敵怪人に転生したんですね俺は!ウッソだろお前!!なんでよりによって人類の敵サイドなんだよ!
しかも当たり前だけど周囲に俺と同じような化け物しかいねぇし、何なら俺だけ造形がアレすぎて少し浮いてるんだけど!?
ほかの奴らはもうちょいファンシーなのに、俺だけ明らかに世界観が違う見た目してんだけど!? 誰だ俺のデザイン担当、後で出てこい。
その上、俺は中身が人間だから、人間界侵攻って聞いてすげぇ複雑な思いになっちゃったよ!ぶっちゃけ侵攻してほしくないよ!それにこの感じ、たぶん負けるじゃんこの世界!魔法少女に滅ぼされるじゃん!
くそっ!いったいどうしたら良いんだぁっ!
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✗月j日
この世界での生活にも慣れてきた。周りからは相変わらず変わり者・腫れ物みたいな扱いをされているが、関係あるか! 俺は俺だぁっ!!……そうでも思わないとメンタルが死にそうでヤバいんだ。俺は中身は人間だからか、ネガミンドの住民とは根本的に価値観が合わない。
ネガミンドの奴らはミュードラの支配を快く受け入れている……それが平和だと信じ込んでいる。俺にはその感性がどうにも合わなくて……だから腫れ物として扱われているんだろう。文句もない。むしろ変に馴れ合われるよりよっぽど楽まである。
そして、どうやらこの世界では人間界へ戦力は逐次投入されているらしい……というよりも、強力なネガミンドの住民が人間界へと通れるほどのゲートを作るには時間がかかるようだ。俺も早くこの世界から抜け出したい。どうにかなんねぇかなぁ。
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✗月n日
ただ何もせず暮らす日々も飽きてきたので、最近は修行をよくしてる。俺の身体は結構便利で再生能力がバカ高い……この間めっちゃ強そうな怪人に絡まれてボコボコにされたけど、即座にリジェネしたからな。こっちの攻撃手段が通らなかったから逃げたけど!!逃げ足だけは自慢なんだ。前世でも徒競走だけは得意だった。人生、無駄な特技なんてないもんだな。
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✗月r日
どうやら斥候としてネガミンドの住民の何人かを人間界に送り込む計画があるらしい……前提条件は隠密行動ができるか、人間に化けられるか。試したところ、前世の影響か分からないが、俺は人間に化けることができたので志願してみることにした。これでネガミンドから抜け出せればよいのだが。
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✗月v日
人間界へ繋がるゲートに応募した斥候達が集められた。透明化できるやつだったり、俺と同じで人間に擬態できるやつだったりと、種類は色々だがみな斥候向きの能力を持っている。
俺も人間への擬態能力で斥候の基準をクリアした。これで久方ぶりに人間世界へと降りられるぜ!!というかそもそも向こうは俺の知っている人間界なのか?もしかしたら全然変わってる世界なのかもな。
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✗月✗日
人間界にて、メンタルぶっ壊れた魔法少女を拾った。
逃亡生活の始まりだ。大丈夫、逃げ足には自信があるんだ。
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「ねぇ、
「日記だ。キリも良いからしばらく書くのやめるかな。」
俺はそっと問いかけてくる赤髪の少女にそう答える。少女に深くフードをかぶらせてマスクもつけさせて、顔も見えないようにする。
完全に誘拐犯の手口だし、事実今から俺がやるのは誘拐だが……別にいいだろう。因みに、キリヤって言うのは俺の名前だ。前世の……今世では名前らしい名前はなかった。大抵が『オイ』とか『お前』みたいな呼ばれ方だったからな。
俺と少女はそっと町の道と出る……町中のテレビの液晶には今日も今日とて魔法少女の活躍を謳う文句が流れていた。
その裏で、どれだけの血が流されているのか。どれだけの少女が涙を隠して戦っているのか。何も映さないままに。
俺も何もかもを知っているわけじゃない。知った気でいるだけだ……だからこそ『戦いたくない』と嘆いたただの女の子を助けたいと願った。それが俺の人間としての心が願う事だった。
たとえ、この身体が魔法少女にとって敵である……怪人であったとしても。
それはそれとして勢いで動きすぎた!!完全に魔法少女誘拐する怪人ムーブだコレ!どうしましょうこれ!