俺、美少女になる(声だけ) 作:タルトタタン
件名:【選考結果のご連絡】株式会社ライブエフェクト
●●様
株式会社ライブエフェクト採用担当の〇〇と申します。
この度は、多数の企業の中から弊社にご応募いただき、誠にありがとうございました。また、先日はお忙しいなか、弊社の面接にご足労いただき、重ねてお礼申し上げます。
選考の内容を踏まえ、社内で慎重に検討しましたところ、誠に残念ではございますが、今回はご期待に添いかねる結果となりました。大変申し訳ございませんが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。
「……ご応募頂いた事にお礼申し上げると共に、略式ながらメールにて通知申し上げます。末筆になりますが、●●様のこれからのご活躍を心よりお祈り申し上げます。ですか、そうですか」
勝利の美酒になりそこねた悲しき酒は、最早目の毒なので一気に呑んでしまう。
「"あ"ぁ"ぁ"」
社会によって荒んだ心が酒によって流される。それにしてもまたしても駄目だった。これで何社目だっけか。分からない。分かるのは、数え切れないぐらいの人間にお祈りをされてまるで神様みたいな気分になった事だ。お祈りするなら金をくれ。それともそんなに偶像崇拝するなら、いっそ辛い現実なんて捨てて、
なんて戯言は捨てておいて。それにしても、やっぱり難しいか。
「フォロワー二桁で、駆け出しのアニメ声のおっさんを一つ返事でに入れてくれる事務所なんて良く考えなくてもある訳が無い」
つい先日、配信のフォロワーが漸く二桁いった。のだが、同接は一人から二人程度だ。正直焦っていた。このままじゃまずいと。そこで俺は思った。何が足りないのか?出来ない事には何が理由がある。俺の配信に人が集まらないのも何かがいけないからに違いない。
そう思って考えた結果。足りない物だらけだった。メモに書いたら吉幾三の歌みたいになるぐらいには何も無かった。それでまず人を誘い込むにはコラボが必要だと思った。その為、事務所に入れば簡単に事務所内の人間とコラボできるだろうと思ったんだがそもそもの話だった。
「あぁ、酒がどんどん消えていく」
人と関わるのは一旦やめるか。やっぱり一人で何かお酒と絡めてコツコツやっていくスタイルでいこうか。そうすれば、経費で落ちるし。にしてもお酒と絡めた配信って晩酌以外で何かあるか?
「駄目だ。そもそも、配信って何すれば良いんだ?良く分からん」
忌々しいメールを閉じ、動画サイトを開き他の配信者の動画を見ながら酒を煽って、脳を揺らす。何か出ろ〜出ろ〜。
「うぷっ」
アイデアじゃない何かが出かけたので、必死に収納しながら考える。ってまた広告か。車の広告ね〜。いや酒飲んでるし、現実で車なんて運転したら捕まる。
「いや、ゲームの中なら捕まらないか」
★★★★★★★★★
「今回はGo!カートをやっていこうかなと」
《コメント》
・古いな
・まさか初代?
「そう。まぁ、そこは重要じゃなくて大事なのはガソリンでね」
言い終わると同時に、缶を開け喉へとアルコールをぶち込んだ。喉から出る音が配信を通じて視聴者に届いたようで。
《コメント》
・なんだ今の音
「お酒の音で〜す。って事で、今回の配信は泥酔Go!カートで一位を取るまで終われない配信をします。と言うかするよ」
《コメント》
・は?
・可愛い声で馬鹿な事言ってるわこの人
「まず、レースをする時には必ず酒を呑む。そして、ガソリンが入ったらレーススタート。で、取った順位に応じて酒を飲む回数も変わる。以上ルール解説終わり、スタート!」
《コメント》
・まてまて
・死にたいのか?
・ヤバすぎるだろ
ちなみに他のCPUのレベルは最強なので、最初に一位を取って終わりなんて事にはならない。さてっと。
「俺達の戦いはこれからだ!」
コントローラーを持ちながら、酒のテンションでそう叫んだ。きっと後で見たら恥ずかしくなるんだろうな。後の事は知らない。