メスガキ強化人間に煽られすぎて夜しか眠れない 作:さかなかさ
宇宙世紀に転生しました。しかもサイド3のズムシティ。ヤダ! 一年戦争ヤダ! 平和が一番! ラブ&ピース! ママ戦争止めてくるわ!
ザビ家の批判をしたジャーナリストとか著名人は、何故か窓から落ちて死んじゃうんですよね。サイド3の建物って、窓から落ちやすいみたいなんですよ。怖いな〜、戸締まりしとこ〜
ギレンかキシリアが暗殺してるってはっきりわかんだね。
ええ。はい。ビビってサイレントマジョリティーになりましたよ。政権批判して死ぬ勇気はなかった。
反戦運動とか知らねえよ! ボケ!
というわけで、士官学校に入学しました。どうせ戦争になるんなら死ににくい将校になってやる。
てっ、シャア同期やん! シャアのせいでジオンは敗北するんだよなぁ(偏見)
なんかバタフライエフェクトでガバってシャアが死なないかな。と思うものの、死ななかった。クソが。暁の蜂起で連邦兵を殺して、最悪の気分になった。
士官学校卒業後は、紆余曲折があってモビルスーツ乗りになった。巨大ロボは男の子のロマンだからね。
部隊配属後は、格闘戦の草分けのガデムおじさんに鍛えられた。チマチマ銃で撃つより、近寄って斬ったほうが早い。
サイド3のキンツェムコロニーのクーデター未遂を鎮圧したりしてたら、時報が鳴ってしまった。
転生者だけど、運命は変えられなかったよ。
サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を仕掛ける。そこまでは良い。
問題はやり方だ。ジオン軍は、スペースノイドにとっての故郷であるスペースコロニーに毒ガスを注入したり、核を撃ち込んだりした。
はっきり言って最悪だ。これで人類の半数を殺したのだ。
勝てば官軍。歴史は勝者が作るもの。しかし、ここまでして、ジオン公国は戦争に敗北する。ドブカスがぁっ!
§ § シャアッ(効果音)§ §
戦争がはじまった。俺はモビルスーツパイロットとして戦闘に出ることとなった。後方に回されるとかないかなぁ、とか思っていたが、そんなことはなかった。
「進路オールグリーン。ザクⅡ、エーリヒ・ベルク出る」
「御武運を。エーリヒ中尉」
俺の部隊の攻撃目標はサイド1に駐留している連邦艦隊だ。俺の小隊も攻撃の一翼を担う。
艦隊が出撃していれば艦隊を吹き飛ばす。コロニー内のベイに艦隊が停泊しているようなら、コロニーごと吹き飛ばせ。というのが、上からのオーダーである。
「アーレン、イシーナ。コロニーに攻撃はするな。コロニーを撃てば民間人が巻き込まれる」
「……了解しました。隊長」
「隊長…? 本気ですか? 私はオーダーを完遂するべきだと思います。敵艦隊を見逃せば味方の後方が遮断されるかもしれません! 命令は絶対です」
俺は戦争犯罪人にはなりたくないのだ。あと、この戦争で自分が死ねれば良いなって思ってる。転生したのに、何も出来なかった無能だからだ。
見逃した連邦艦隊が、俺を殺すのも一興じゃないか。うわ〜希死念慮〜〜
「イシーナ伍長、どうやら君の考えは杞憂だったようだな。それに、敵は精鋭で優秀らしい」
セイバーフィッシュが4機。そして、サラミス級が2隻。奇襲に対応してスクランブルしてきたのだろう。敵ながら非常に優秀だ。
「戦闘機は任せる。俺はサラミスをやる」
サラミスから伸びる砲火の雨に飛び込んだ。ズンと機体に重い衝撃が走る。アラートが狭いコクピット内に響き渡った。
「掠り傷だな。我ながら悪運が強い」
ショルダーシールドで受け流したので、機体は無事だ。大した損傷じゃない。取り付いてしまえばサラミスは無防備だ。対艦斧を、思いっきり艦橋に叩きつける。
「ははっ、楽しいな。フェアな戦争は!」
続けてもう一隻も同じように沈めた。こちら側が生命を張って、向こうも生死を掛けている。プリミティブな生き残りを掛けた闘争こそが、戦争で有るべきなのだ。
「隊長、ご無事ですか?」
「無事と言えば無事だ。小破程度だな。シーナ機は?」
返答はなかった。LOST表記は出ていない。となると、独断専行か。
「アーレン。お前、わざと止めなかったな……」
連邦艦隊が駐留していたであろうスペース・コロニー。それは、ベイの部分を中心にポッカリと口を開いていた。
そして、真空へと繋がった穴に、モノや人間が吸い出されていく。
死神だ。そこにはモノアイを輝かせた死神がいた。ザクというのはこんなに悍ましかったのだろうか…?
「隊長、目的は達成しました。これは私が独断専行したことです。隊長に責任は有りません。私は隊長にこんなことで躓いてほしく有りません」
「何をやったのか分かっているのか? 民間人の虐殺だぞ。赤ん坊や子供だってコロニーには居たんだぞ」
「それが何か? 我々ジオン国民を、宇宙に棄てた
そうか。そうだった。これが俺の罪だ。ザビ家を傍観し、一年戦争を止められなかった。俺の罪だ。
「死ね……」
イシーナ機にベクトルを合わせ、斬りかかる。
「隊長ッ、何を!?」
――小爆発を伴い。連邦軍機はスペース・デブリとなった。
俺が斬ったのは、デブリに紛れザクを狙っていた連邦軍の生き残りだ。
「……まだ生き残りが、流石はエーリヒ隊長です!」
俺は臆病者だ。ここで、イシーナを殺すことも出来ない。イシーナは俺のためにコロニーを攻撃した。俺が悪いんだ。転生者でありながら、何も出来なかった俺が。
もう、良いや。俺が努力してもどうにもならん。
軍をやめよう。フォン・ブラウンあたりに移住してのんびり暮らそう。
と思っていたら、なんやかんやでルウム戦役でも生き残ってしまった。辞表を出すタイミングが無かったとも言う。はぁ。もうやだ引退しよ。
という旨を、上官に伝えました。俺は報連相が出来る男なのだ。
「つまり中尉は怖じ気付いたということだな? スペースノイドの独立のためには、民間人であろうと子供であろうと赤子であろうと殺す。それが戦争というものだ。自明の理だろう? なぜ、こんな簡単なことが分からん? 戦争だぞ。戦争をやっているんだぞ」
「ええ。怖じ気付きましたよ。俺は戦争が大嫌いなんですよ。無抵抗の赤子や子供を殺して、それがジオン独立に役立つわけがない。単なる虐殺で、憂さ晴らしですよ。畜生の所業だ。人間でなくなる前に、俺は降ります」
中佐は、豊満な胸を揺らしながら何か考えているようだった。
「エーリヒ・ベルク中尉。貴官はサイド1で2隻、ルウムで3隻のサラミスを沈めた。言わばエースパイロットだ。そんな君の引退を軍が認めるわけないだろう」
「どう言われようとも俺は軍を辞めますよ。人殺しはもうゴメンなんで」
「まあ待て。君にうってつけの配属先がある。私の個人的なツテでね。フラナガン機関というのを知っているかな? あそこは子供を強化人間をとして使い潰すところでね。君には、その廃棄品を救って欲しい」
ジオンの暗部に首を突っ込ませる気か。フラナガン機関なんて厄ネタに誰が突っ込むかよ。
「おや、嫌そうな顔をしてるね。私の友人は、処分される子供をとても勿体なく思っていてね。実戦経験豊富なパイロットなら、使い途を見出だせる可能性があると考えているそうだ」
「行きませんよ。そんなところ」
「これは、独り言なんだが。君が行かなければ、子供たちは処分されるんじゃないかなぁ。それと、反戦的な英雄なんて誰も必要としていないよ。ギレン閣下は君を高く買っている。しかし、キシリア少将はそう思っていないだろう。君の反戦的な言動が記録されたコクピットボイスレコーダーが、キシリア機関に渡っているよ。もし退役しようものなら、処刑されちゃうんじゃないかなぁ…?」
なるほど。いや、やったのアンタだよね? 戦果を挙げたから駒として使おうと思ったんだよね。
中佐は、俺に胸を押し当てた。そして、耳元で囁く。
「エーリヒ。君は優秀な私の
お前ギレンシンパだったのかよ。理解のある上官ちゃんだと思ってたのに……これだからジオンはカス! すぐ内ゲバしやがって!
もちろん、部屋には行かなかった。下半身でモノを考えて、政治に巻き込まれるのはゴメンだぜ。