今回は梅梅と呂布の結婚式に、見物に来た猫猫と猫猫についてきた壬氏と高順のお話です。
初対面(ほんとは知ってる)三人を前にどう接するのか。
笛の音が鳴り、飾り物がうねうねと踊る中、それはそれは盛大な結婚式が繰り広げられていた。
「ほう。これが花街の結婚式か。どんちゃん騒ぎして終わりなのかと思ったが・・・」
「なかなか格式高いものなのですね」
(なんでこいつが一緒に来るんだよー・・・粘着質め)
花火が上がり、神輿に担がれた二人がゆっくりと往来する。
「梅梅姉ちゃんだ。おーい!」
パタパタと手を振る猫猫。
そんな彼女に気付いたのか神輿の上の梅梅が手を振り返してくれた。
「ふむ。彼女は見たことがあるな。そうか、彼女が梅梅・・・横に座っているのが――――」
婿殿か、そう言おうとした瞬間、
「「!!!」」
何か圧倒的オーラに身を正す壬氏と高順。
「壬氏様、感じましたか?」
「ああ・・・あれは大尉殿にも引けを取らない・・・いや、それ以上の化け物かもしれん」
戦慄する二人をしり目に、肝心の猫猫はというと、
「んー・・・陰になって見えないな・・・どんな変態くそ爺だ・・・?」
ひょこひょこと梅梅の隣にいるであろう人物をのぞこうとする。
「薬屋、こっちだ」
「おおっと・・・ああよく見え・・・?」
?と猫猫は首を傾げた。
「どうした?薬屋」
「30・・いや25か・・・?あの年齢で銀4万だって・・・?」
ブツブツという呟きに耳を傾ける壬氏。年齢だけ聞き取れた壬氏は、
「年齢に問題でもあるのか?」
「年齢・・・確かにおかしいですね」
納得がいったと高順がうなづく。
「高順まで?いったい何が・・・」
一人頭をひねる壬氏。
はあ。とため息をついて、もしものことがあれば巻き込むつもりで、
「壬氏様。あの婿殿。いくつに見えますか?」
「30か25くらいか?」
「ええそうです。
「何がだ?」
「壬氏様。今回の妓女がいくらで身請けされたのかご存じですか?」
「うん?そういえば高額、としか聞かなかったな」
そこで壬氏はようやっと気が付いた。
「そうか!銀か!薬屋!今回の彼女はいくらで身請けされたのだ?」
「お耳を拝借してよろしいですか?あと、聞いても絶対騒がないように」
「わかった」
「ではごにょごにょ・・・」
「!?それはあの若さでは説明がつかんな・・・」
「それにこれだけの式を迎えるというのも疑いがぬぐえません。それだけの銀を支払った後こんな大婚礼を?」
「緑青館が出してくれたのではないか?」
壬氏の答えにフルフルと首を振る猫猫。
「あのやり手婆がそんな手心を加えるはずがないでしょう。ということはこの式自体も婿殿が出したということでしょう」
「いくら出世頭とはいえありえん話だな・・・」
「緑青館に行ってみますか?」
「そうだな、一応寄ってみるか」
そんなこんなで緑青館。
「おやおや!壬氏様こちらにどうぞ!お茶とお菓子もあるので~ほほ~では!」
バタンとやりて婆はまたカモが来たと、そそくさと居なくなった。
外は暗く宴が始まり歌えや踊れやの大宴会。そんな中式を挙げた新郎新婦は微笑みをたたえてその席に身を投じていた。
(ま、何はともあれ梅梅姉ちゃん嬉しそう)
開いた窓からアハハハ!と声が聞こえる。
「おいお婆、聞きたいことあるんだけど」
「なんだいなんだいこんな美男子二人もつれて・・・」
やり手婆は機嫌がよかった。今ならペラペラしゃべってくれそうだ。
「いや、一人既婚者だから。ところでさ梅梅姉ちゃんの銀、あの若旦那が払ったの?」
「ああ・・・即断即決でね。お互い好きあってたみたいだけどさ」
「でも四万もの銀。どうやって準備したんだよ・・・」
「そりゃあんたにも教えられないね。大体、四万もの銀を持ってるなんて知られたら、呂布は平気でも梅梅が危ないからね。あんたもむやみやたらに言うんじゃないよ」
「わかってるよ(こういうとこの気配りはできるんだよなぁ)」
「もしよろしければ取引に使われた銀を見せてはもらえませんか?」
壬氏がキラキラ顔で言う。
「いいですよ。ただし驚かないでおくれね」
ヒーヒッヒッヒと笑い声をあげて部屋を後にするお婆。
「偽造ですか?」
「一応な」
茘国で貨幣の偽造は絞首刑に処される。あの様子を見るにただの銀ではなさそうだ。
「お待たせしましたよ。呂布の小僧が出したのはこれです」
「!!!き、」
「「金貨!?」」
思ってもみなかったものを前に固まる一同。
「これを・・・何の疑いもなく受けたのかお婆・・・」
「馬鹿を言うんじゃないよ。帝の紋の位置、天秤使っての重量測定。懇意にしてる両替屋の主人に見てもらったり、とことん疑ったよ。でもどれも間違いなくこれは“金貨”だって結論に至ったんだよ」
「ちょっと貸して・・・うわっ本物だ・・・」
金貨はぐにゃぐにゃと猫猫の手の内で曲がりくねる。
「く、薬屋・・・!おま、なんという力を・・・!」
「こら猫猫!折角の金貨をぐにゃぐにゃ折り曲げるんじゃないよ!」
「いてっ!でも確認も必要だろう?はい壬氏様」
「あ、ああ。こんなもの私には曲げることも・・・できた・・・」
「ああ!旦那!」
「す、すまない!金がこんなに柔らかいものだとは知らず・・・」
「金は比重が重く、人の手でも変形させることのできる柔らかい金属です。しかも一生錆びることはなく、不老不死の象徴でもあります」
「お婆さん。この非礼は間違いなく詫びます。これと同じだけの銀を届けさせますので、この曲がった金貨はお譲りしてもらえませんか?」
「まぁそういうことなら・・・」
「たっだいまぁ!あれ、お婆と猫猫が三人いる・・・まいっかー!ごくごく・・・」
「梅梅!お客様の前ではしたないよ!」
「だって私、もう妓女じゃないもーんあははは!」
「あの静かな梅梅姉ちゃんがぶっ壊れた・・・」
「飲みすぎだな」
「ええ休ませねば少々危険ですな」
うーんとうなる室内に朗々と響き渡る。
「失礼する。ここに梅梅はいませんか?」
「「「!!!」」」
びっくりしたのは、ずいぶんな巨漢であることと、鎧姿であったことだ。鎧は鬼の形相を象ったものでありかなりの威圧感がある。
「・・・んん。この度は婚姻おめでとうございます」
礼をとり、まずは祝福する高順。
「ありがとうございます」
こぶしを握りそれをもう一つの手で握る礼をとった。
「!武官の礼・・・あなた様は武官だったのですか?」
「ええ、遠い昔の。壬氏様」
「「「!!?」」」
壬氏はまだ自分の名を言っていない女人の猫猫除けば男はこの場に二人。しかも壬氏、と名前を言い当てられたのはこれが初めてである。
「・・・なぜ私の名を?」
深刻そうにする壬氏と高順。猫猫はというと・・・
(やっべ梅梅姉ちゃんの手紙に高確率で壬氏様と高順様の名前乗ってるー!?)
「あっはっはっは。梅梅は猫からの便りを大事にしてましてなぁ、よく読み聞かされたものです。なのでカマをかけてみました」
「猫・・・」
「小猫ですか・・・」
カクリと肩を落とす気苦労人。
「すう・・・すぴー」
「おっと嫁の気が落ちたようなので寝かせてきます。お婆。梅梅の部屋に入るよ」
「け!あんたらは夫婦になったんだから好きにすればいいじゃないかい!早く宮でも作って隠居しな!」
ずいぶんな言葉に、
「おいおい。今日は緑青館も儲かったろう?何をへそ曲げてるんだ?」
彼が梅梅をやさしく抱き上げると壬氏がへし曲げてしまった金貨が写る。
「ああこれか。壬氏様、金は重く柔らかいので取り扱い注意ですよ」
「あ、ああ・・・気を付けることにするよ」
では、と彼は静かに去っていった。
「びっくりしたぁ・・・」
「あんななりだけどね、いい奴さ。毎日下男の仕事手伝ったり、禿に乞われて異国の茶菓子を作ったり。自分の宮を作るまでは、って梅梅共々緑青館を手伝ってくれている」
「異国の茶菓子?」
ふっと沸いた単語に猫猫が反応する。
(人間、知らずに毒を食らうことがある・・・もし毒なら・・・!)
ゴゴゴ!と猫猫にすごみが増す。
(食べてみたーい!)
てんで平和な解決をしたが。
「なんだい、興味でもあるのかい?」
「少しばかり」
「では茶菓子を下げましょうかね~♪」
そう言って去っていくお婆に、はぁと一息ついて、
「壬氏様・・・やり手婆の前で心臓が止まるようなことしないでくださいよ」
ジト目でにらむ猫猫。
「壬氏様、私もさすがにどうかと」
高順も猫猫に賛同した。
「わかっている・・・しかし金貨とはな。それも純金の・・・これ粘土じゃないのか?」
また手の中でグニグニと曲げたりする壬氏。
「粘土ならもうすでにポロポロと崩れておりますよ。それでも気になるなら炉に入れて溶かしてみるとよろしいかと」
「そうかそれで含有物もわかるし本当に金なら整形し直せばいいだけか」
ふむふむと頷く壬氏。
「よかったですね臨時収入ではないですか」
猫猫の言葉にぎょっとする壬氏。
「税金をそんなことに使うわけないだろ!脱税で私が罰せられるではないか!」
「冗談です。ほら来ましたよ」
「失礼します入ってもよろしいか?」
鎧を外した姿の男、呂布が現れた。
「構いませんよ。実は私たちは貴方に問わなければならないことがありますので・・・」
「では失礼して・・・さて、どこから話そうか――――」
その日は遅くまで話し合いが続けられ、
壬氏と高順は緑青館に
猫猫は実家の薬屋に泊まった。
ちなみにお婆が持ってきた例の異国の菓子は、
「う、うまいなこれ・・・」
「異国の菓子と言っていましたがこれは何という菓子なのですか?」
高順が聞くと、
「発音が難しいんだけどね、『まふぃん』ていうらしいですよ」
「人参、バナナにバター、卵・・・あとはなんだろ・・・」
もぐもぐと食べながら分析する猫猫。
「え?人参が入っているのか?」
壬氏がびっくり眼で問う。
「ええ。嫌いでしたか?」
「い、いや嫌いというわけではないが・・・普通煮込んだりするものだろう?」
「そのあたりがすごいですね・・・下手な高級とは名ばかりの茶菓子よりもよっぽどいいですよこれ。赤子でも食べられるかも・・・」
「歯がそろえばですか?」
「ええ・・・お婆。これ余りないってない?玉葉様の鈴麗姫に持っていきたい」
「失礼ながら私も・・・」
高順が言いづらそうに言う。何せこの男、孫までいる賢妻家なのだ。
「わかったよ。奉先のやつに朝一番で作るように言っておくよ」
そういって今日は終わるのだった。
「奉先!奉先!いるかい?」
大あくびをかきながら呂布が下りてきた。
「なんだいお婆朝から呼び出したりして・・・」
「昨日の客がお前の、まふぃんを気に入ったようでね。まとめて何個か作ってくれないかい?」
その言葉に呂布は、
「んー・・・材料、足りるかな。あの子たちに頼まれたものは作ってしまったし・・・」
「それならこのくらいで足りるかい?」
「ああ、大丈夫(作り方知らないのに材料費ピッタリ・・・さすがやり手婆・・・)
とりあえず買い物に行く呂布であった。
――――Interlude――――
「休暇ありがとうございました」
「いいのよ。お姉さんどうだった?」
「実に幸せそうでした。(最後は酔いつぶれてたけど)」
酒に強い梅梅があんなになるなんて一体どれだけ飲んだのだ・・・と思わなくはないが。
「あ、皆にお土産があるのでした」
ごそごそと籠いじると、
「なんでも、異国の菓子だそうで、まふぃんというのだそうです」
おおーと歓声が上がる。
「不思議な形ねぇ」
「キノコみたい!」
「猫猫・・・まさか本当にキノコを・・・」
侍女頭の紅娘が顔を青くして言うが、
「何を言うのです。ちゃんとした焼き菓子ですよ。それとも毒見が必要でしょうか?」
「あははは!いいわ。皆、いただきましょう」
ゴクリとつばを飲み込んで一斉に口に含む。
「お、」
「「「「おいしいーーー!!!」」」
「なにこれ、すっごくおいしいわ!」
「あの、歯がきーんとなるほど甘いわけでもないし!」
「バナナかしら・・・それにしてもこの薄い紅色は・・・」
「うーうー」
「こら鈴麗。あなたにはまだ――――」
「食べられますよ」
「「「え!?」」」
一同共学に固まる。
「はちみつは入っていませんし、このほのかな油気でのどを詰まらせることもないでしょう。作るとき、私も同席しましたが日に一つくらいなら毒になるような素材は使っていませんでした」
「でも毒は入っているのよね・・・?」
侍女の一人が進言する。
「いいえ。そもそも毒ではありません。皆さんも普段から食べているものですよ」
「普段から?」
「微量の砂糖に卵、バターですよ。砂糖はいうに及ばず、卵は問題ありませんが、バターは油ですから食べすぎ注意です」
(まぁよっぽど食べないと毒にはならないと思うけど)
「それってつまり・・・」
「よほど食べない限り問題ないのでは?」
「はい。だから先ほどから言っています。日に一個なら問題ないと」
ということで。
猫猫は籠から最後のマフィンを取り出した。
「鈴麗姫、どうぞ」
「や~♪」
自分だけもらえないことにぐずり始めていたが満面の笑みで猫猫のもとへとやってきた。
そして、
「あむ!」
生えてきたばかりの歯で簡単にちぎれた。そして味わてから目をキラリとさせて、
「あーう!!」
夢中でもぐもぐと食べ始める鈴麗姫ポロポロと食べかすを残しながら本当に夢中で食べている。
その間に猫猫は玉葉妃と紅娘に近づいて何やらこそこそと。
すると、
「まぁそうなの!?」
「薄紅色は何かと思ったら・・・」
マフィンには人参が入っていることを伝えたのだ。
「鈴麗姫に聞こえますと先入観で食べなくなってしまうかもしれないので秘密にしておいてください」
「わかったわ」
「わかりました」
「うふふ、あんなに夢中になって。初めての甘味の味に我を忘れているようね」
侍女達が慌てて鈴麗姫の食べこぼしを奇麗にしている。
(梅梅姉ちゃんの結婚式、行って良かったな)
猫猫は普段あまり緩めない顔を微笑みに変えていた。
一方壬氏はというと。
「甘未はウケたか?高順」
「はい。妻や孫に至るまでかなり気に入った様子でした」
「そうか。よかったな。しかし呂布殿には世話になりっぱなしだ。何か返礼できないものか・・・」
「それなのですが・・・どうやら自分たちの住む宮を作りたいそうで・・・あれこれ土地を探しているようなのです」
それを聞いた壬氏は、うーん、と悩んだ。
「後宮が巨大だからな…今空いてる土地には見当がつかないな。仕方ない、礼はまた今度ということで・・・ついでなのだが例の金貨、どうなった?」
例の金貨とは壬氏が思いっきり捻じ曲げてしまったやつである。
「はい。鍛冶職人に確認したところ間違いなく純金製だったと」
その言葉に、はぁ・・・とため息をつく壬氏。
「これは・・・主上にも伝えなければならんな」
「呂布殿の財産は茘国の国家予算にも匹敵する勢いです。まさかあんなに・・・」
一体いくら持っているのだ、と本当のところを追求したところ、彼は三人だけの秘密として種明かしをしてくれた。
急に現れた洞窟の入り口。恐る恐る入ると石畳の階段があり、降りていくと、
『な、なんだこれは!』
床一面の金貨の山ほかにも金で形作られた造形物、金と朱で編み込まれた屏風など様々な金の山。
『これが俺が武将として得た財産にございます』
『き、貴殿はさぞや名のある武将だったのだな・・・』
『そうですねぇ・・・以前は人中の呂布馬中に赤兎ありと、称されたこともありました』
『赤兎というとあれか!赤兎馬っ!!!』
(実際には俺が赤兎馬で乱入すると敵兵が逃げていく感じだったけど)
興奮冷めやらぬとばかりに燥ぐ壬氏に高順が制止をかける。
猫猫は、
(お宝の山~!でも薬はないのかなぁ。浴びるほどの金で豪遊もいいけど、やっぱり薬いじってたいなぁ)
『はは。猫猫には少々つまらないものだったかな?』
『そうですねぇ・・・こうして見せられても自分のものになるわけじゃなし。なんか薬になるようなものとかないですかね?』
ずいぶんな言いぐさでありさすがの壬氏も高順も顔を青く染めた。
『く、薬屋!なんということを!』
『この方は茘国の財すべてをお持ちのような方ですよ!』
ごにょごにょと叱責される猫猫。結局ちぇっと不貞腐れていると。
『薬か・・・それならいいものがある』
そういうと、棚の上にあった大きなツボをとる呂布。
『これは・・・桃・・・?』
そこには水で満たされたツボの中に瑞々しい桃が入っていた。
『猫猫ならこれが何かわかるんじゃないかい?』
(宝物庫に入れられるような桃?しかもどこも腐った様子のない美しい桃だ。美しい・・・桃)
その瞬間、猫猫に電撃が走る。
『これ・・・“仙桃”じゃ・・・』
『ば、馬鹿な・・・!仙桃だと・・・!?』
――――仙桃といえば神々が気まぐれに下肢してくださった幻の桃である。その効能は人を不老不死へと変え、いかなる病魔も退けるという。
『さすがに詳しいな。ただここの仙桃はいささか小さくてな、あらゆる病魔には効果が出るだろうが・・・不老不死にはならんだろう。猫猫にはこちらが・・・』
『シャアア!にゃんす!にゃんす!!』
猫猫は猫のように呂布の掲げた仙桃へと飛び掛かる。
『はっはっは!やっぱり有効であったか!ほれほれ、ほれほれ』
『シャー!』
どんなに飛ぼうとも、呂布の身長は二メートルと少しある。猫猫の華奢な体ではどうやっても届かない。ぴょんこぴょんこと跳ねる猫猫を壬氏が捕まえる。
『薬屋!猫のように飛び掛かるな!』
『でも仙桃ですよ!?あの幻の果実が!霊薬が秘薬が!!!』
『わかる!気持ちはわかるが落ち着け!』
必死になだめる壬氏。だが猫猫はもう獲物を見つけた猫のように彼の持つ仙桃をロックオンしてしまっている。
『はっはっは!では口止め料として・・・』
彼は猫猫、壬氏、高順に一つづつ手渡した。
『いただけるのですか!?』
『口止め料と言ったろう?ここのことは誰にも言わず、うたかたの夢とでも思いください。わかったね、猫猫』
(コクコクコクコク!)
『では出ましょう』
とそんなことがあったのだ。
「で、どうなのだ、高順。昨日はお前が試すと持って行ったではないか」
「ええ・・・それなんですが・・・」
まず高順は仙桃を切って六つに切り分けた。一つは自分一つは妻一つは娘息子そして次男の馬閃、最後に孫にと分けたそうな。
(呂布殿の言葉が嘘でも桃は桃だ。おいしくいただこう)
パクリ、と一斉に食べたとたん、
「おいしい~!」
「瑞々しくって果汁があふれる・・・」
「おじいちゃんこの桃なあに!?」
問われた高順は額に汗を流して、
「季節もののおいしいとされる桃だよ。そんなにおいしいかい?」
「もう最高!こんな桃食べたことがないわ!」
「父上。どこからこんな桃を・・・」
次男坊の馬閃が問うもはっきりとは言えない高順はまた返答に困り、
「こ、これはある方から下肢していただいた特別な桃なんだ!それよりみな何か効果は――――」
と効果を確認しようとした高順だが、そも自分にもう効果が表れていた。
「これは・・・」
「なぁに~?ポカポカするー」
(今なら何でもできそうなほど力があふれている・・・!)
それにと。孫が言ったように体の芯がポカポカとし、なにかから守られている気がする。
(よし、一か八かだ)
「馬閃」
「はい」
「ちょっとこい」
はぁ・・・と高順はあるものを取って倉庫に馬閃を連れだって入っていった。
「で、父上何をする気ですか?」
「今からこれを飲む」
高順の手にあったのは押収した毒だ。
「な、なにを馬鹿な!!死ぬ気ですか!?」
「いや死ぬつもりはない。だから馬閃、この解毒薬をもって待機してくれ」
「解毒薬を持ってって・・・頭でもうったのですか!?」
高順は仙桃のことを言えないので、
「黙って従え。行くぞ」
そう言ってごくりと毒を飲んでしまった。
「・・・。」
「ち、父上?」
「・・・。」
「父上!?」
「・・・・なんともないな」
「え、ええええ!?」
高順はピンピンしていた。
「これは壬氏様にもお伝えせねばな・・・」
「な、え?え?」
何も伝えられない馬閃はひたすらに戸惑うのだった。
「ということがありまして・・・」
「お前は薬屋か・・・?毒をあおるなど・・・」
「否定はできぬところですが・・・」
なんとも難しい顔をする高順。
「今も力がみなぎっているのか?」
「はい。体を守るポカポカとしたのも健在です」
はぁ・・・ともう一度深い溜息を吐き。
「どう帝に報告するかなぁ・・・」
無視もできないかと言って放置もできんと壬氏は頭を悩ませるのだった。
はいここまで。今回は秘密を少し。そしてソフトタッチな邂逅。まさかの現代菓子の登場。呂布がマフィンを焼いている姿なんて苦笑ものですが・・・呂布の財宝は中に宿った青年が真三国無双シリーズで呂布を使って稼いだものとなっています大体は石なのでそれを変換して金にしました。
さて次回!呂布の宮は見つかるのか?朝廷の反応は?こうご期待!