もちろん軍として機能してはいますでしょうが、場数も経験もなさすぎです。
では本編行きます。
――――Interlude――――
自分は悪夢でも見ているのだろうか。
「「「ぐわあああ!!」」」
目の前の大男が大声を上げたと思ったら、一直線に突進。手に持つ木の棒で百人を薙ぎ払った。
カタカタと手が震える。自分はとんでもない人間とたたかわされているのではという恐怖。
「あ、相手は一人だ!囲んで・・・」
無駄だ。あの猛獣は人の檻など易々と粉砕して襲い掛かる・・・!
私の記憶はそこで潰えている。
なぜなら包囲網ごと私は薙ぎ払われてしまったからだ。
――――Interlude out――――
武官千人を前に、懐かしい空気を感じている。
(覚えがないのに懐かしい・・・そうか俺の呂布は――――)
いつもこんな空気の中いたんだなと思った。
(なら――――)
俺だって証明しないとな――――!!!
ドシャアアン!!!
「ウオオオオオオーーーー!!!」
こちらに津波のように迫ってきた武官達が、あまりの
「ふん!」
そこに稲妻のように突進した。
「せいや!!!」
一撃で前列にいた百人が吹き飛ぶ。
まだだ。俺の知ってる呂布はこんなもんじゃない・・・!!!
「か、囲むのだ!相手は一人ぞ!」
なんと遅い指示か。だがその言葉受けて立とう!
オオオオー!
「手加減できるかわからんぞ!」
豪と一閃。
「どけい!!」
大地を踏みしめて気の爆発で一瞬にして囲んでいた敵が吹き飛ぶ。
一閃また一閃。敵が雑魚のように吹き飛ぶ。
(なんだなんだ!イージーモードか!?でも容赦しないぜ!)
「オオオオオオオ!!!最強の武を見せてやる!!!」
一閃で、二百いや、三百もの武官が吹き飛ぶ。
「へっ・・・こりゃあもう模擬線じゃねぇ・・・俺たちは奴の餌だ」
感の効く李白が戦慄した顔をする。
「ではあきらめるか?」
隣に立つのは馬閃。
「まさか!当たって砕けろです!!」
「「おおおおお!!!」
その後一刻ほどで勝負がつき、(もちろん呂布の圧勝で)壬氏と帝は開いた口が塞がらないということになった。
「りょ、呂布殿お疲れさまでした・・・」
「肩慣らしにもならんが・・・帝。ご満足いただけましたかな?」
「ま、満足だ・・・まさか本当に千人の武官を圧倒するとは・・・」
ううむと考える帝。
(いやー、ハッスルしすぎたかなぁ。帝も困ってら)
「あの・・・」
玉葉妃が手を挙げた。
「奉先様に武官を鍛えていただいては?」
玉葉妃の言葉に壬氏は表情を明るくして、
「それはいい!日々の調練だけでは物足りないということがわかりましたからよき考えかと」
しかし呂布は渋面を浮かべた。
「恐れながら・・・俺は最近伴侶を迎えたのです。まだ自分の宮も建てられていませんが、銀はもう準備済みの所まで来ています。長期間、妻の元を離れるのは・・・」
「そうか。・・・ではおぬしが手軽に通勤できて、なおかつ住み込みではない、ということならよいか?」
「は?はぁ・・・私も一端の武将ですからしっかり稼がないと、とは思っていましたが・・・」
「それならば・・・高順。近郊に空いた土地があったな。阿多の離宮のその西だ」
「今地図をお持ちしますのでお待ちを」
(阿多妃の離宮は確か南・・・その西。南西ということは・・・)
「主上、地図をお持ちいたしました」
「うむ。ここから南西・・・と、あった。ここだ」
確かに馬でもあればそうかからず通勤できるが・・・
「ここは・・・帝の直轄領ではありませんか・・・?」
「うむ。そうだ!」
(そうだ!じゃねぇよ!)
「朕の趣向に付き合わせてしまったからな。それにしても見事な武勇。天晴である」
「はぁ・・・本当にこの地をもらってよろしいのですか?」
「いいとも。お主がいれば茘国は安泰だ!」
「では武官の調練の任。任されました」
はっはっはっは!という帝の上機嫌で幕を閉じるのだった。
「お前は肩が外れているな。ふん!これで良し。あとは打撲くらいだろうから軟膏でも調薬してもらえ」
「あ、ありがとう・・・」
「お前は骨にひびが入ってしまっているな・・・固定して安静に」
「は、はい・・・」
「次は――――」
と、呂布がぶっ倒してしまった武官の容態を見ていると、その様子を遠目に見ていた玉葉妃が、
「あんなに大暴れしたのに、普段は優しい殿方なのね」
「ええ。少々無骨ですが、よい将軍となってくれるでしょう」
そんな風に流す壬氏に、
「そんなに悠長にしてていいの?」
「はい?」
壬氏はわかって無いようで、
「奉先様って育ての親を娶ったんでしょう?挨拶、大丈夫かしらぁ?」
「ッ!!!」
挨拶、という言葉に壬氏は電撃が走るのを感じた。
「・・・。」
冷や汗だらだらの壬氏を見て玉葉妃はカラカラと笑った。
「あんまりいじめると、怖ーい鬼が出るかもしれないわよぉ」
「・・・ッ!!」
からからと笑う玉葉妃だった。
ガラガラと荷馬車に揺られて花街を目指す。
もう空は茜色だ。
「まさか、帰りの馬車まで準備してくれるとはなぁ・・・」
花街は今からが本業だ白鈴や女華は忙しくしているだろうか。
(梅梅は元気かなぁ)
いつも胸にあるのは愛しい妻のこと。
「今日も激しいのかなぁ・・・」
「?旦那、何かおっしゃいましたかい?」
「い、いやなんでもない」
口に出すことじゃなかった。反省。
「旦那つきましたぜ」
「ありがとう。また頼む」
「へい」
「ただいまぁ」
「奉先様~!」
ぴゅーとやってくる梅梅。
「大丈夫ですか!?帝に何かされませんでしたか!?」
「この通り何でもない。それにさすがにいかんだろう?帝を疑うなんて」
「奉先様の武勇は天下一ですからね。何か『お試し』があったんじゃないかと・・・」
(あー・・・やりました。お試し。これは口が裂けても言えないや)
ハハハハと笑ってごまかす。
「そうだ梅梅。宮の場所、決まったぞ」
「え?どんなとこですか?」
「中宮から南西にいった土地だ。同時に俺の仕事も決まった。武術指南役だ」
「え・・・それでは奉先様は中宮で寝泊まりを・・・?」
涙目の梅梅に、呂布は慌てて、
「だ、大丈夫だ!そのための南西の土地だ!馬があれば、いや、馬がなくとも夕暮れには帰ってくる!」
「約束ですよ?」
「ああ。約束だ」
しっかりとうなづいて梅梅を抱く。
「ふふ。今日こそ負けないですからね?」
「それはどうかな?」
二人でクスリと笑って二階の梅梅の部屋に入る。
今日も男女の戦いは止まらぬようだ。
「おはよう」
「おはようごぜえやす旦那」
「昨日は大変でしたねぇ」
「その後問題ないか?」
「へい。ちょっと火付きが悪くても旦那から教えてもらった着火剤のおかげで一安心でさ」
「でもまぁ、さすがに大仕事でしたからねぇ。みんなくたびれておりますよ」
「休暇は持ち回りで回しているんだろう?」
「へえ・・・今日休暇のやつを、みんな羨ましがってましたぜ」
「そうか。ケガには十分気をつけてな。お婆のことよく聞くだぞ」
「「「へい!」」」
(まずは今日の分のマフィンを作って・・・)
カタンとオーブンぽいものに放り込み、
「あれも作っておくか」
オーブンから菓子を取り出して、
呂布はあるところを目指す
「おはようございます羅門『ルォメン』さん。今いますか?」
花街の裏手のあばら家を訪ねる。ここが確か猫猫の実家だ。
「おや、早いねぇ若旦那さん。さ、どうぞ・・・」
カタン、カタンと杖をつく音が鳴り響く。
(うーむこうしてみると薬草のにおいって結構強いなぁ)
いやではないが、ちょっとこう、鼻から抜けていく感じが慣れない。
「よっこらせ・・・で、何を調薬してほしいんだい?」
「赤しそはありますか?」
「ああ、あるよ」
「それに塩を少々。塩は買ってきたのがあるのでこれを」
「ふむ。これだけかい?」
「ええ。赤しそを粉上にしたものに、少量の塩を混ぜこんで『ゆかり』というものにします」
「ゆかり、か・・・良い名前だねぇ。それでこれ、何に使うんだい?」
流石の羅門も未来の調味料のことは知らないのか使い方を聞いてくる。
「使い方はいろいろありますが、調練を終えた体は塩分と水を欲します。そこで握り飯にでも振りかけてやれば・・・」
「栄養価を保てるというわけだね。どれ・・」
薬研ですりつぶしていたものをぺろりと舐める羅門。
「ああ、これはいいねぇ・・・汗をかいた体にぴったりだ。赤しその風味も相まって実にいい・・・過剰に取らなければ体にもいいだろうね」
「ええ、羅門さんにそう言っていただけて安心です」
調合してもらったものを懐にしまう。
「これ、売り物にしてもいいかい?」
「もちろんいいですよ。まぁ、薬じゃなくて調味料ですが」
「はっはっは、こういうものも面白いからね」
「では銀はこのくらいでどうでしょう」
「うんいいよ。使ったのは赤しそだけだからねぇ・・・」
「ありがとうございます。では」
あばら家を後にして緑青館に戻る。
「奉先様!」
「ああ、梅梅戻ったよ」
「どちらに行かれていたんですか?」
「猫猫の実家さ。羅門殿にこれの調合を頼んでいた」
「懐に入っていたゆかりを取り出す」
「まぁ!これおいしいですもんね!」
「これから調練に行くから少し多めに持っていたかったんだ」
「今日は中宮で過ごされるのでしょうか・・・?」
「いや、今日もちゃんと帰ってくるよ。心配しないでくれ」
「よかった!今日もお待ちしてますね」
チュ、と頬に接吻され呂布は苦笑。
「旦那ぁ!中宮から迎えの馬車が来ましたぜ!」
「では行ってくる!」
「はい!」
「いってらっしゃーい」
「旦那、いってらっしゃい!」
みんなに送り出されて呂布は笑顔で身をひるがえした。
「と意気揚々と出てきたのに・・・」
通されたのは翡翠宮。その台所。
「なぜに台所!?」
「昨日の大暴れで武官がほとんど負傷してしまったのよ。だから鈴麗の食べられる甘味を作れる貴方を呼んだの♪」
(玉葉妃・・・茶目っ気があるなぁ・・・)
「・・・わかりました。今日は菓子職人としての任を果たしましょう」
その言葉に、ぱあっと笑顔になる侍女たち。
「やったー!」
「味見なら任せて!」
「ちょっと桜花『いんふぁ』ずるいわよう」
「そういう貴園『ぐいえん』だって味見する気満々じゃない!」
「二人とも落ち着いて・・・」
「「愛藍『あいらん』はだまってて!!」」
きゃっきゃする侍女たちだが、
(こんな風に一か所で騒いでたら・・・)
「あなたたち・・・!仕事をしなさい!!」
ゴン、ゴン、ゴン!と紅娘が拳骨を見舞っていた。
「ふふ・・・あははは!」
玉葉妃はその光景をみて笑っていた。
「はぁ。さて、」
やるか、と気分を切り替える。
「紅娘様、帳面の準備はよろしいですか?」
「ええ。万端よ」
「まずはマフィンを作ります。材料は・・・」
こうしてお菓子教室が始まったのだが。
「戻りました。・・・ん?」
猫猫が壬氏からの用事を済ませ翡翠宮に戻った猫猫は宮の中が妙に甘ったるいことに気づく。
「ずいぶん甘ったるいな・・・なんだ?菓子でも作ってるのか?」
そういって厨房へ行くと、
「お、猫猫。帰ったか」
「奉先兄!これどうしたの?」
机の上に並ぶのはどれも異国の菓子。
マフィンだけでなくクッキーやパフェまで準備されていた。
「とりあえず鈴麗姫が食べられそうなやつと・・・なにか豪華なものと言われて作ったんだが・・・これは喚起が必要だな」
「てかなんで奉先兄が翡翠宮に・・・?」
「わからん・・・帝のお戯れでちょっとばかし暴れたら、今日は武官達が動けないんだと」
「暴れたって・・・どの規模?」
ん?と窓を開けている呂布は悪戯でもばれたように、
「千人組み手をちょっと・・・」
「はぁ!?」
とんでもない数字にさしもの猫猫も、驚きを露わにした。
「千人・・・全部倒したの?」
「・・・うん」
はぁ、とため息をつく猫猫。
「だから今日、医局が忙しかったのか・・・」
「大きなケガはしてないと思うんだが・・・」
「それはつまり、小さなケガはあるってことでしょ」
(つーか千人はっ倒したって・・・どんな化け物だよ・・・)
「梅梅には秘密にしてくれ!」
「梅梅姉ちゃんが聞いたら気絶しちゃいそうだな・・・」
溜息をつく猫猫そこに、
「あら、帰ったのね猫猫」
「はい。愚兄のせいで随分と働かされてしまいました」
「ぐむ・・・」
愚兄と呼ばれてちょっと傷つく呂布。
「あははは!あれはすごかったわぁ。武官達が気の毒になるくらい」
「しかしながら俺、いてっ!わ、私は武人なりますれば・・・」
「それにしても、けた外れの暴れっぷりだったじゃない。誰にもできない、偉業よ」
俺、と言ってしまうところで尻を猫猫につねりあげられた呂布は、飛び上がりながらも言葉を改め言い訳をする。
「明日からは調練でしょう?頑張って♪」
「・・・猫猫」
「んー?」
クッキーを一個さくりと口にしていた猫猫は、
「お前さんの周りにはやり手のお人しかおらんのか・・・」
「あーご愁傷様」
と言いながら猫猫二つ目のクッキーを手に取る。
それを見た紅娘がべし!と猫猫を叩いた。
「おお!やっておるな」
と帝がやってきた。
「主上!」
すぐさま礼をして頭を下げる一同。
「よいよい皆、表をあげい。奉先が菓子作りにせいを出していると聞いてな。様子を見に来た」
(厳めしい人なのかと思ったが、意外とユーモアのあるお人なのか?)
と首をかしげている呂布。
「どれ朕にも見せい。ほう・・・これはまた珍妙な」
意外と珍しいもの好きなのか、心なしか目をキラキラさせている。
ということで大試食会となり、翡翠宮の机へと運ばれる。
「皆も食べてよい。朕はまず平べったいものから・・・」
「しゅ、主上!毒見もなしに・・・」
おつきの部下がそう進言する。帝は目を丸くして。
「こ奴が毒など仕込むわけがあるまい。その気になれば、ここにいる全員のそっ首を落とし、宮中を易々と滅ぼし、天下をとれる男ぞ?つまらぬ毒殺などせんと思うがなぁ。なぁ奉先」
「お戯れを・・・」
と呂布は恥ずかし気に頭を下げる。
(できないとは言わねーのかよ。マジで怪物だな奉先兄)
「ということでこ奴には毒を盛る意味合いがない。だから大丈夫だ」
「主上がそうおっしゃるなら・・・」
そういってしぶしぶと引き下がった。
「では改めて・・・」
サクっと音が響く。
「うむ!歯ざわりはあるのにすっと溶けていく!これならば鈴麗にも大丈夫そうだな」
「はい。そちらは卵白と少量の砂糖しか使っておりませんので鈴麗姫にも害はないかと」
「卵白、とは?」
素朴な質問をされ、ああ、この時代では知られていないのかと、ポンと手を打つ。
「卵白とは卵の黄色い黄身の部分をとった透明な部分です。白身とも呼びます」
「ああ、あれは卵白と申すのか。あのドロドロがこんな美味な菓子に。鈴麗。食べるか?」
「あーう!」
それまで甘い匂いに、うずうずとした様子だったが母に止められていたが、父の許しが出てとことことやってきた。
「ほれ、あーん」
「あーむ。っ!!!」
サクリと幼い姫でもかじれたのだろう、だがすぐにシュワシュワと溶けてほんのり甘みを残した。
それが気にいたのか、
「う、う、う」
もっと、もっと、と皿に一生懸命手を伸ばす。
「こーら、はしたないですよ鈴麗」
「うー!」
玉葉妃が抱き上げると、ぶすーっとご機嫌斜め。
「はっはっは!鈴麗も虜か。次に行くとしよう」
お次はみんな大好きマフィン。バナナだけのもの、人参あり、すべてなしのプレーンと様々だ。
「おいしいわぁ♪」
桜花が感動したように言う。
「出来立ての温かいのがまたいいわねぇ・・・」
貴園がほうっと吐息を漏らす。
「美味いな。これも鈴麗が食べられるのか」
「はちみつは幼いうちは毒になるので使っていません。それと・・・」
お耳を拝借して、薄紅色のは人参が入っているので、鈴麗姫には教えないよう伝えた。
「はっはっは!そうか、それは秘密にしなくてはな。ほら、鈴麗、おいで」
「あーい!」
もうすでに食べて、それがおいしいものと知っている鈴麗姫は、迷わず父の持つそれに飛びついた。
「まぁ姫様!」
「よいよい一生懸命に食べる娘も可愛いものだ」
帝はご機嫌で一生懸命食べる鈴麗姫を眺めるのだった。
「今回はこれが最後です」
今の今までオーブン(仮)に入れていたものを木べらで取り出す。
「こ、これは・・・」
「なんていい香り・・・」
一同が幸せそうにほほを緩める。
「紅娘さん大き目の皿はありますか?」
「は、はい・・・」
紅娘は夢見心地のような表情で皿を探している。
(ちょ、奉先兄!幻惑材はダメだって)
なんとも失敬な事を言う義妹。
(失敬な。そんなもの入ってない!)
「これでどうでしょうか?」
「大丈夫です。ではこれを・・・」
ゆっくりと青い大皿の上に置く。
「じゃあ切り分けます」
誰もがゴクリとかたずをのむ中、呂布はみんなが食べられるように切り分ける。
(なんだか戦ってる時よりも緊張するぞ・・・)
視線が、痛い。慎重に慎重に切り分けて、
「お待ちどうさまです。リンゴのパイです」
「なるほど。リンゴか」
ポンと手を打つ猫猫。
「どうしたの?」
貴園がおっとりと問う。
「リンゴは熱を通すと甘くなります。また皮にも本体にも高い栄養価があり、一日にリンゴを一個食べれば風邪知らずという言葉もあるくらいです。ですが・・・」
「何か問題があるのか?」
帝が問うと、呂布が答えた。
「蜜ですよ」
「蜜?はちみつのこと?」
と玉葉妃が言う。しかし呂布は首を振った。
「いえ。このパイにはちみつは入っておりません」
「じゃあ蜜って?」
桜花が物おじせず問うてきた。ここは妹の出番だと猫猫見る呂布。
その意をくんだのか、猫猫が続ける。
「リンゴの芯には蜂蜜のような蜜がたまります。幼子にとっても唯一食べても平気な蜜です。ですが、これだけとろりとしていれば、はちみつが入っているのと区別がつきません。ですから念のため作った際は幼子には与えないほうがいいでしょう」
「なるほどな。でもこれは平気なのだろう?」
神妙にうなづく帝であったが、
「だがこれは入っていないのだろう?」
「はい。純粋にリンゴだけです」
「なら少しでも・・・」
「それはやめたほうがいいでしょう。食べてみればわかるのですが、結構嚙む力が要ります。生地が特殊なのでそれなりに噛み応えがあるんです」
「そうか。では皆の衆。この出来立てをいただくとしよう」
「「「「はい!!!」」」
「・・・猫猫なんでお前まで参加してんの?」
「えー!いいだろ別にぃ。妹は可愛がるもんだぞー!」
はぁ、とため息をついて、ほらと取り分けてやる呂布。
「うはぁ!この熱々のリンゴ~!かぶりつく他ない!」
「がぶっ」「あむ!」「はぷ」
それぞれが口に入れたとたん固まってしまった。
「え?誰も反応がない?え、怖いんですけど!?」
慌ててワタワタする呂布。
すると、
「「「う、」」」
「う?」
「「「うまぁああい!!!」」」
ドゴーン!と声が響いた。
はい。前半は武で無双。後半は菓子で無双でした。うーんもうちょっとゴリゴリの無双感が出したかったんですが。
今後のことで伏せておきたいことがあってこれ以上は書けませんでした。
今後に期待ということで。
では!