今回は呂布の強さの秘密に迫っていきたいと思います。
これは憶測ですが、三国無双のキャラはこれを体得しているのではなかろうかと、
思って書いていきます。
では!
宮中で呂布のお菓子が話題になりつつある今日この頃。
「ふわ・・・あふ」
当の呂布は大あくびをかき、体を伸ばしていた。
そして事前に汲み上げられた水で顔をじゃばじゃばと洗う。
「ふう。よし!」
昨日はアップルパイのせいでとんでもないことになりかけたが、何とか脱出に成功し平和な夜を迎えたのだが・・・
「この時代にアップルパイはやりすぎたかなぁ・・・でも豪華な、って言われたしなぁ」
そうだ。自分は悪くない。悪いのは甘味の虜になるほうが悪いのだ。
「というわけで。今日の分のマフィンを焼いておかないとな」
材料は禿の子たちが準備したのがあるので大丈夫。
それにしても流石にいっぱい、とは言えないがこんなにお給金を使って大丈夫なのだろうか?
「まぁ給金の使い方も勉強のうちってことで」
何事も無駄なことはないのだ。
「いってらっしゃい!奉先様~!」
「「「いってらっしゃい!!!」」」
「いってくる」
今日も迎えの馬車が来ていて、それに乗り込む。
「今日こそは調練だな!」
と意気揚々と乗り込む。
なのだが・・・
「朝早くすまんな奉先」
「いえ、主上がお呼びとあれば・・・」
ヌンデ?主上ヌンデ?と思っているところに帝からお声をいただく。
「奉先。昨日は大儀であった。あのように美味な菓子を朕は知らぬ。また作ってくれるか?」
「はっ・・・時間さえいただければ・・・どうしても工程に時間のかかるものがございますので・・・」
「うむ。そこは配慮しよう。今度、朕の食事係を遣わすので、伝授してほしい」
「かまいません。ですが習得には長い時間を要するでしょう。その辺にも目をつぶってもらえれば・・・」
「わかった。それで、今日そちを呼んだのは南西に作る離宮の件で呼んだのだ」
(帝の直轄領だからなぁ・・・やっぱ無し、とか?)
最悪を考えていた呂布だが、意外な申し出があった。
「離宮をな、こちらで準備することにした。見取り図を渡すから、希望があれば遠慮なく言うがよいぞ」
「え・・・は?離宮自体までいただけるということですか?」
まさかの申し出にぽかんとする。
「うむ。昨日の甘味の褒美とでも思ってくれればいい。なので今後も時間のある時に頼むぞ」
「わかりました」
武官の礼をして確かに承る。
「では奉先殿、兵舎にご案内いたします」
「ありがとうございます高順様」
ということで高順に連れられて兵舎に案内される。
「ここです。道は覚えられましたか?」
「はい。ほかの施設には行かなかったのでしっかり記憶できました」
自分は頭がよくない。戦のことならば頭は回転するのだが、他のことはてんでだめだ。なので、間違っても変なところに立ち入らないように、兵舎への道のりだけを教わった。
「下手に後宮になど迷い込みたくないですからね」
「はっはっは。あそこは宦官以外立ち入れませんからな」
(菓子のことを考えると頻繁に呼ばれそうだけどなー)
また昨日の翡翠宮に案内されることも少なくなかろうと思う。
「一同注目!」
高順の声が響く。その声に体をほぐしていた武官達の視線が集まる。
「皆も知っていると思うが、ここにいる呂・奉先殿に指導をいただく!一同!礼!」
バッと一斉に礼をとる武官達。
「では後は奉先殿、頼みます」
その言葉にズンと巨漢が前にでる。
瞬間、
ブワッ!!!
「「「!!!」」」
強烈な闘気を浴びて武官の背筋が伸びる。
「紹介に預かった呂・奉先だ。無理は言わぬが、一度根から叩き直す所存だ。それなりの覚悟をしろ。いいか!俺はお前たちを最強へと導く!恐れずついてこいッ!!!」
「「「オオオオオオ!!!」」」
まるで鬨の声が上がるような様子に高順は、
(こちらまで震えてしまった。なんという扇動力)
そして調練が始まった。
「「「はっ!はっ!はっ!」」」
まずは素振り。その様子を呂布は静かに観察しながら回る。
(ま、まじか。このお人に見られてると、またぶっ飛ばされるんじゃないかと震えるぜ・・・)
李白は素振りしながら震えそうな手を必死に留めた。
(流石、主上が天下一とおっしゃられた御仁だ、視線だけで身が震える)
馬閃も一様に気合が入っていた。そんな中呂布は素振りの様子を見て、
(やはり一からの鍛錬が必要か。鍛え方が・・・ん?)
その中で二人逸材を見つけた。
「そこの二人。ちょっとこい」
その二人とは先ほどの馬閃と李白だった。
「「はい」」
(な、何かまずったか!?)
(何か気に障っただろうか・・・?)
それぞれの思いに、呂布は、
「二人とも上を脱げ」
「え?は、はい!」
「わかりました」
李白は驚きながら、馬閃は冷静に指示に従う。
(・・・ほう)
かなり筋肉がついている。突出していない均整の取れたよい肉付きだ。
「二人とも、名は?」
「り、李白と申します!」
「
(なるほどこの若者が梅梅の手紙にあった白鈴殿を身請けしたいと願っている男児か。それと馬閃。確か高順殿の次男坊という話だったな)
「二人は筋肉をつける鍛錬も、基本となる武芸も十分習熟している。なので次の段階だ」
「次の・・・」
「段階?」
通常ならこう思うことだろう、体が鍛えられ、武芸も十分ならそれは皆伝なのでは?と。だが、この男の理想形はさらに上に行く。
「お前たちには『気』の鍛錬をしてもらう」
「へ?気?」
「師、奉先様。気とは?」
説明を求められまぁ、当然だよなぁと思う呂布。
「気とは誰もが所持している不思議な力だ、丹田という言葉を聞いたことはないか?」
「そりゃあ武芸を収める奴なら・・・」
「私も聞いたことがあります。丹田で気を練れるようになって一人前、と。では・・・」
「そうだ。お前たちはもう下地ができている。よって、他の者とは違い、こちらの鍛錬だ」
そう言って呂布は二人に座禅を組ませた。
「いいか。丹田は腹の少し下の位置だ。そこでまず内側から湧き上がる熱を感じろ。呼吸を深くして意識するのだ」
「「・・・。」」
すっと目を閉じて瞑想する二人をじっと見つめる呂布。
しばらくすると、もぞもぞと落ち着きなく集中しきれていない李白が目に入った。
(くっそー。俺こういうじっとしてるの苦手なんだよ・・・)
じっとしていられない質なのだろう。だが、集中を乱されても困るので、
「・・・はっ!」
バチン!
「いってぇ!」
「集中しろ李白。それではいつまでたっても気は感じ取れんぞ」
「は、はい・・・」
シュンとしながらもう一度静かに瞑想する李白。
「奉先様」
李白とは違い静かに瞑想していた馬閃が問う。
「どうした」
「気・・・らしきものは感じ取れたのですが・・・」
「ええ!?」
馬閃の言葉に驚く李白。
「私の気は、丹田に留まらず、体全体に拡散しているようなのです・・・」
自信なさげに言う馬閃だが、呂布は驚いていた。
(そういえば原作でも馬閃って体が異様に頑丈だって言われてたっけ)
「自信をもっていいぞ馬閃。それは気によって身体強化ができている証拠だ。体が頑丈だ、と言われたことはないか?」
「はい。私は馬の一族の中でも特に頑丈なようで・・・」
「よし。ならば次は身体強化の発展系、筋力強化をしてみよう」
「筋力・・・強化?」
「そうだ。今のお前は言わば『守り』の状態。それを『攻め』の強化に切り替えるのだ」
「はい。やってみます・・・!」
「おい!重りはあるか!」
「は、はい!今お持ちします」
ズンズンと積み上げられる重りに李白は顔を青くする。
(バカバカ!そんなもん持ち上げられるかっ!)
動揺をあらわにする李白にベシン!とまた木の板で叩く。
「こんなものだろう。当然、今のままでは持ち上げることは叶わんだろう。だが、気を使えば・・・」
ヒョイっ
「・・・。」
「マジか」
「うむ。方天画戟より少し重いくらいか」
ズズウンと下ろされる重り。
「まずはこれが目標だ。いいか、これは気を使わねば確実に待ちあがらん。故に気の習得が絶対条件だ。死ぬ気で取り組め」
そう言って呂布は他の武官のもとに行ってしまった。
「・・・馬閃様、あれ行けると思います?」
「わからん。だが、奉先様はやってのけた。なら俺たちにもできるはずだ」
そう言って再び座禅を組む馬閃。
「・・・。」
その様子を見て李白も大人しく座禅を組んだ。
その日二人は天下一とはいかに遠いのか実感したのだった。
――――Interlude――――
後宮。壬氏の執務室。カリカリと書類を片付けていた壬氏が高順に問いかける。
「どうだった高順」
ニヤニヤとする壬氏に困り顔で、
「最強の軍に変えると豪語しておられましたよ」
「はっはっは!それは頼もしいな。武官は士気が下がってしまったのではないか?」
これから訪れる苦難に辟易としているのではと危惧する壬氏だが、
「いえ・・・それが、奉先殿の凄まじい求心力で、逆に士気はとても高いですね」
「ほう・・・奉先殿にかかれば茘国が安泰、という主上のお言葉も本当かもしれないな」
ふむと、考えるそぶりを見せる。
「なにせ奉先殿一人であの強さですからね。あの方が本気で実地調練なされるのなら・・・」
「反乱を起こされても困るし、定期的に視察に行くか」
「それがよろしいかと」
と、そんな心配もされていたのだった
――――Interlude out――――
「稽古やめ!」
「はぁ!はぁ!」
「きっつかったぁ・・・」
「な、なんで、なんで、打ち込み稽古もしてないのにこんなにつらいんだ・・・!?」
意見は様々だが、やっていたのは素振りと基礎訓練それと、馬閃と李白の瞑想だけである。
だが、素振りはもちろんのこと、基礎鍛錬に至るまで厳しく調整、調練された武官達はへとへとであった。
「李白は大丈夫か・・・?」
「結構バシバシたたかれてたけど」
李白はシュ~と頭から煙を出し倒れて、チーンという音がなりそうだった。
「己の不甲斐なさを感じるぜ・・・」
「まったくな。私はもう少しで何か掴めそうなのだが」
「そんな馬閃様が羨ましいですよ・・・」
馬閃は元から気を使用していたことを知り、その力の出どころまではたどり着けたのだが、気の性質の変化、守りの型から攻めの型への変換がうまくできずにいた。
「今日は全然動いてないから体が固まっちまった」
ぐいぐいと柔軟をする李白。
「我々はすでに下地ができていると言われたが・・・瞑想しすぎて筋肉を落としたらすぐさま基本調練行きだろうな」
「維持は自分でやれ、ということですか」
馬閃の言葉を聞いて、ひょいと体を翻し、腕立て伏せをする李白。
「おい。調練は終わりだろう」
「最後のクールダウンですよ。やっぱり体動かさないと変な感じなので」
「やりすぎて仕事で動けない、とかはやめろよ」
馬閃はため息を吐いていった。
調練の終わった呂布は面談室にて猫猫を待っていた。
「ふう・・・ここは涼しいな」
夏ほどではないが先ほどまで動いていたので何とも心地いい。
ピヨピヨと鳥が鳴く中ぼーっと待っていると。
「どうしたの?奉先兄ちゃん」
目の前に猫猫がいてびっくりする呂布。
「お、おう!呼び出して悪いな」
慌てて取り繕うも猫猫にはバレバレらしく、
「寝ようとしてたでしょ」
「あー・・・うん・・・はい」
「まったく。人のこと呼び出しておきながら寝るなよ」
「面目ない・・・」
シュシュシュと小さくなる呂布。
「それで?どうしたの?」
「ここから南西に離宮を立ててくださることになったんだが・・・」
「え?奉先兄ちゃん、まだ山のように金貨持ってるでしょ?」
「しぃー!それは秘密だって!」
機密事項をさらりと口にする妹に顔を寄せて注意する。
(俺は絡まれても平気だが梅梅が危ない!)
(っと、そうだった)
ゴホン!と改めて、
「それで?こっちは奉先兄ちゃんの菓子が再現できないって、紅娘様が嘆いてるんだから早くしてくれよ」
「?そんな難しいのはアップルパイ・・・リンゴのパイ以外はないと思うんだが・・・」
「なんかまふぃんが膨らまないらしいよ」
「うーん・・・もしかして材料の分量を量らないで、目分量でやってるからじゃないかなぁ」
その言葉になるほど、とうなずいた猫猫は、
「で、兄ちゃんの要件は何?」
「ああ。離宮を立ててもらうことは話したよな?それで見取り図が渡されたんだが・・・」
懐から今回建てられる予定の離宮の見取り図を出した。
「これだ」
「ふうん。どれどれ・・・」
今日ここに来たのは、猫猫に見取り図を見てもらってアイデアをもらうことだったのだ。
「やっぱりオーブンを作るとなると厨房の位置が・・・」
「でもそれだと・・・」
あーでもない、こーでもないと議論を重ねる。
結局、纏まった案が出たのはだいぶ時間が過ぎてからだった。
「こんなところか。わざわざ呼び出して悪かったな」
「いいよ。梅梅姉ちゃんの喜ぶ顔が見たいのは一緒だし」
長時間話し合っていたので茶を準備してもらった。
それでのどを潤し、見取り図を懐にしまう。
「ところでさ、武官の李白様って知ってる?」
「ああ。伸びしろがありそうだから特別訓練をさせてる。それがどうした?」
「実は・・・」
李白は緑青館の白鈴を真剣に身請けしたいと考えているようだと、猫猫は語った。
(やっぱりそうなのか・・・でも)
「それで猫猫はどうしてほしいんだ?」
「援助を・・・いや李白様のことだから受け取らないか・・・なにか支援してあげられる方法ない?」
「んーそうだなぁ・・・」
李白が胸を張って銀を受け取れる方法・・・
「白鈴さんは李白のことどう思ってるんだ?」
一方的に身請けされても幸せにはなれないだろう。
「印象はいいと思う。文通し始めたみたいだし、体的にも・・・いてっ!」
「年頃の女の子が男を脱がして観察するな」
「私は筋肉の付き具合を・・・」
「・・・。」
ヌウゥン。と言外に威圧される猫猫。
「わ、わかったよ。もうしない」
「そういうのは医官になってからな」
「禁じないの?」
意外そうに見上げる猫猫。呂布は優しい声音で、
「猫猫は薬師だ。いずれ医療にも興味を持つかもしれない。だから禁じたりしない」
「でも医官には男しか・・・」
医官は男だけがなれるというこの茘国。だがそんなのは偏見だ。
「俺の前世では女人の医官もたくさんいたよ。もちろん男性のほうが多かったけど、それなりの人数がいた」
「ホントに!?」
「そうだとも。それに、脈をとったり、目の異常を見たり、触診してみたり、ということは医官でなくともできるだろう?そういうのを専門に担当して状態を医官に適切に伝えるのも、また別な医官だと思うが」
「そうか・・・そうだよね」
「それに!まだまだ猫猫は若い。この先どう転ぶかなんてわからないんだから、あきらめないでいるのがいいと思うぞ」
「うん。わかった。ありがとう、奉先兄ちゃん」
(まぁ憶測だけど。確か原作では――――)
いや、考えても仕方ない。もう自分という異物が混ざりこんだ世界だ。この先どうなるかは本当にわからない。
「李白のことは任せてくれ。ちょうどいい方法が見つかったから試してみるよ」
そう言って立ち上がる呂布。
「あ!奉先兄ちゃん今日も緑青館に帰るんでしょ?」
「ああ。梅梅が待ってるからな」
「これ。やりて婆に渡して」
「わかった。ではな」
そういってその場を後にする。
「さ、凱旋だ」
梅梅は喜んでくれるだろうか。今日はまだ考えることもあるが、まずまずいい結果が得られた。
「今日も頼む」
「へい。気を付けてくだせぇ」
今日も帰ろう。
はい、ここまでです。おそらくですが三国無双シリーズのキャラってみんな気を体得してるんじゃないか、というのが私の見解でした。だってじゃなきゃ、どけぇい!の一発で衝撃波が発生し数百人がぶっ飛ぶなんてありえないでしょう。しかも武器のリーチが伸びたりするし。
ということで次回。