キャラは僕のオリジナルでいいよっていうからこんな感じになってます。
「はぁ…やっと学校終わった」
エレンは気だるそうに伸びをすると誰かにメールを送る
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ねぇレイ、学校終わったから迎えに来て
いいから早く
遅い、1分で来て
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短いやり取りを終えたエレンは、満足そうにスマホをしまうと、そのまま教室を後にした。
校門へ向かって歩いていると、いつもとは違う騒がしさが耳に入る。
「ねぇ、見た!?」
「え、めちゃくちゃカッコいいんだけど……!」
「だれ、モデルの人…!?」
「彼女いるのかなぁ!」
校門の近くには女子生徒たちが何人も集まり、興奮した様子で一点を見つめていた。
ざわめきは次第に大きくなり、人だかりはさらに広がっていき見てみるとレイヴントがバイクに寄りかかってエレンを待っていた。
無駄のない立ち姿と漂う独特の存在感が、自然と周囲の視線を引き寄せていた。
まるで周囲の騒ぎなど意にも介さないかのように、レイヴントはただ迎えを待ち続けていた。
エレンは少しムスッとした。
レイヴントへ向けられる黄色い歓声が妙に気に障る。
少しだけ頬を膨らませ、不機嫌そうな表情のまま人混みをかき分けて近づいていく。
「お、エレン。ちゃんと10分で来たぞ――」
「うるさい。……早く出して」
ぶっきらぼうに言いながらも、そのまま迷いなくバイクの後ろへ腰を下ろす。
レイヴントはそんな彼女の様子に苦笑しながらエンジンをかけた。エレンはレイヴントの背中へ軽く額を預け、小さく呟いた。
「……早く行こ」
「どこか寄りたいところはあるか?」
「ゲーセン…」
「腹とかは空いて――」
「ゲーセン」
「仰せのままに、尻尾気を付けろよ。」
エレンにヘルメットを被せ、近くのゲームセンターに向かって走らせる。
その道中、不意にレイヴントの背中へ額を預けていたエレンがさっきの女子たちを思い出し、小さく本当に聞こえるか聞こえないかほどの声で呟く。
「……私が最初に目付けてたのに」
「ん? なんか言ったか?」
その一言に、エレンの肩がぴくりと跳ねる。
「な、なんでもないから……!///」
慌てて誤魔化す声に、レイヴントは「そうか?」とだけ返し、それ以上は深く追及しなかった。
一方のエレンは、ヘルメットの中で真っ赤になった頬を隠しながら、誰にも聞こえないよう小さく息をつく。
(危なかった……聞かれてなくてよかった……)
そんな彼女の胸の内など知る由もなく、レイヴントは穏やかな速度でバイクを走らせ続ける。
「着いたぞ。」
「ん…」
エレンは小さく頷きながらヘルメットを外す。
少し乱れた髪を手櫛で整えるその頬には、さっきまでの赤みがまだわずかに残っていた。
レイヴントはそんな様子に気づくこともなく、建物に入りながら尋ねる。
「なんか取りたいヤツでもあったのか?」
「そ。……でも全然取れなくて」
少しだけ唇を尖らせながらエレンは答える。
「だから、手伝ってもらいたくて呼んだ。」
「なるほどな。けどクレーンゲームなんて案外簡単だろ?アームの強さ、商品の重さ、重心、それとアームを入れる位置。この辺を見極めれば、一発で取れるだろ?」
あまりにも当然と言わんばかりの説明に、エレンは思わず目を丸くした。
(……こいつ、本気で言ってる?)
くるりと振り返ると、エレンは一台のクレーンゲームを指差す。
「ほら、取ってほしいのはこれ」
ガラスケースの中には、ふわふわでもふもふなロボットのぬいぐるみが並んでいた。
丸いフォルムに大きな瞳。抱きしめたくなるような愛らしい見た目で、奥の景品台にちょこんと座っている。
エレンはそのぬいぐるみをじっと見つめ、それからレイヴントへ視線を向けた。
「前回来た時何回もやってるんだけど、全然動取れなくて……」
期待と、少しだけ意地悪そうな笑みを浮かべながら、彼女は腕を組む。
「……あんたならできるんでしょ? お手本見せ――」
「取れたぞ」
「………………は?」
言葉を遮るように返ってきた、あまりにもあっさりとした一言。
エレンが呆然と視線を向けると、レイヴントは何事もなかったかのように景品を片手で持ち上げていた。
「いや、だから取れたぞ。ほら」
そう言って差し出されたのは、ついさっきまでガラスケースの奥に鎮座していたロボットのぬいぐるみ。
エレンは受け取ることも忘れ、ぽかんと口を開けたまま固まる。
「……不正した?」
「んなわけあるか」
「絶対ハッキングしてアームの力強めたでしょ。あんたならそういうことも簡単でしょ?」
疑いの眼差しは一切揺るがない。
レイヴントは呆れ気味に頷いた。
「確かにできるが、そういうのは悪徳な所にしか使わない。今回は純粋に実力だ」
さらりと言い切るその姿に、エレンは悔しそうにぬいぐるみを抱きしめる。
「……ムカつく」
「なんとでも」
ただ事実を述べただけ、とでも言いたげな淡々とした返事に、エレンはますます悔しそうな顔をした。
それでも腕の中に抱えたロボットのぬいぐるみを見つめると、頬がほんの少しだけ緩む。その様子を見たレイヴントは何も言わず見てないフリをする。
――しかし、それで終わりではなかった。
「ねぇ、あれも欲しい」
エレンが指差した先には、別の景品。
「……あと、あっちも」
さらにもう一つ。
レイヴントはため息をつきながらもクレーンゲームの前に立つ。
アームが降り、景品を掴み、そのまま景品口へ1発で取る。
さらにもう一つ。
やはり一発。
景品が次々と袋の中へ収まっていくたび、周囲から小さなどよめきが漏れる。
「……あんた、強すぎない?」
ようやく疑いが晴れたのか、エレンは呆れ半分、感心半分といった表情でレイヴントを見上げた。
当の本人は、何事もなかったかのように最後の景品を手に取り、エレンへ差し出す。
「ほら」
「……ムカつくけど、ありがとう」
素直になりきれない礼を口にしながらも、エレンは嬉しそうに景品を抱きしめた。
「あ…今更だけど、これどうやって持ち帰ろう」
「そういうの考えてから言ってくれ……まぁいい、任せろ。」
ポケットから手のひらサイズの球体を取り出す。
金属質の滑らかな表面を持つその球体には、小さなボタンがひとつだけ付いている。
そのボタンを軽く押した瞬間――球体が淡く発光し、景品は光に包まれるようにして一瞬で吸い込まれていった。
「……ッ!」
目の前で起きた現象に、エレンは思わず目を丸くする。
レイヴントは収納された球体を軽く持ち上げ、どこか得意げだった。
「なかなか面白い発明品だろ?」
「いつの間にそんなの作ってたの?」
驚きを隠せないエレンに、レイヴントは肩をすくめる。
「最近ようやく完成してな。景品みたいな大きな荷物も簡単に持ち運べるし、日常でも何かと便利だから、最近はこればっかり使ってる」
「へぇ、今度ちょっとだけ貸してくんない?」
「今度な――」
その瞬間、レイヴントのスマホから軽快な着信音を鳴らした。
「悪ぃ、ちょっと待っててくれ」
画面を確認した彼は、そのまま通話ボタンを押す。
「……リン? どうかしたか? あぁ……」
通話を始めたレイヴントを横目に、エレンの頬がわずかに膨らむ。本人は隠しているつもりでも、不満げな表情は隠しきれない。
相手が女性――しかも、自分もよく知るリンだと分かった途端、胸の奥が少しだけざわついたのだ。
(仕事、だよね……別に、気にしてるわけじゃないし)
そう自分に言い聞かせるものの、レイヴントが電話に意識を向けるたび、エレンの視線は自然とそちらへ向いてしまう。
レイヴントがスマホを切る。
「すまん、急遽依頼がはいった。」
「……ふーん」
「怒ってるか?」
「別に…怒ってないし……」
返事とは裏腹に、唇は尖ったまま。
レイヴントはその様子を見て少し困る。
「分かりやすいな」
「分かりやすくなんてないし」
「じゃあ何でそんな顔してる?」
「……別に」
視線を逸らしたまま答えるエレン。
数秒の沈黙のあと、小さな声で本音が漏れた。
「せっかくたくさん遊べると思ったのに……」
「あぁ…そういうことか」
拗ねたように指を絡めるエレンに、レイヴントは困ったように笑ってから優しく頭をぽんと叩いた。
「埋め合わせはちゃんとする。」
「……ほんと?」
「約束だ。今度は一日空ける。ゲームセンターでも買い物でも、好きなだけ付き合う。」
その言葉を聞いて、エレンの表情は少しだけ明るくなる。
「……絶対だから、破ったら許さないから」
「あぁ、だから今日はここまでだ。送ってやる。」
帰り道。
レイヴントのバイクの後ろに乗ったエレンは、別れを惜しむように無意識にぎゅっと彼の背中へ抱きつく力が強まる。
――このまま走っていたい。
そんな叶うはずのない願いを抱えたまま、バイクはゆっくりと見慣れた住宅街へ入っていく。
やがてエンジン音が静かに落ち、バイクはエレンの家の前で止まった。
「着いたぞ。」
その一言で、夢のような時間は終わりを告げる。
エレンはすぐには返事をしなかった。
回した腕をほどくこともできず、ただレイヴントの背中に頬を寄せたまま、小さく唇を噛む。
「まだちょっと不機嫌だな。」
「うっさい…」
拗ねたような返事。
レイヴントはそんな彼女を見て、ふっと優しく目を細める。
「 ……まったく」
呆れたように呟くと、ゆっくりとバイクを降り、エレンの前へ回り込んだ。
「……なに?」
問いかける声もどこか拗ねたままだ。
レイヴントは何も答えず、そっと彼女の頬へ手を添える。
温かな手のひらに包まれ、エレンは思わず息を呑んだ。
二人の視線が重なる。
次の瞬間――。
レイヴントは少しだけ身をかがめると、エレンの柔らかな頬へ、そっと唇を重ねた。
ほんの一瞬。
羽が触れるほどに優しい、不意打ちのキスだった。
「……これで機嫌は直るか?」
エレンは数秒遅れて何が起きたのか理解すると、みるみるうちに耳まで真っ赤に染まっていく。
「…………え?」
間の抜けた声が漏れ、頬に触れられた場所を両手で押さえる。
鼓動がうるさいほど高鳴り、頭の中は真っ白だった。
「な、な、な……っ!」
言葉にならない声だけが口からこぼれる。
レイヴントはそんな反応を見て小さく笑うと、照れ隠しのように頭をぽんと軽く撫でた。
「今日はゆっくり休め。また連れて行ってやる。」
そう言ってレイヴントはバイクに乗り込み、行ってしまった。
「……ほんっとにずるい。」
消え入りそうな声でそう呟く。
「そんなことされたら……もう怒ってなんか、いられないじゃん……。」