ゼンゼロのキャラとの日常   作:そらまめまめま

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つい長めに書いちゃった


あなた
雲嶽山の門下生で、瞬光の幼馴染件恋人

いつもおちゃらけていたが瞬光の事があってから、どこか無理をしている笑顔をするようになった。

原作通り瞬光が始まりの主を倒したが、その代償として感情も、体も動かせなくなりただの生きてるだけの状態に陥ってしまった彼女をずっとお世話している。


序盤から結構鬱です。
苦手な方は閉じてください


代償を払いきった彼女と、諦めきれない僕。

 

 

 

 

「ずっと一緒にいてね!」

 

 

 

 

 

 

 

「ん……ふぁ〜」

 

 

差し込んできた朝の日差しが瞼を照らし、あなたはゆっくりと目を覚ました。

 

何度か瞬きをしてから、隣へと視線を向ける。

 

 

「おはよう瞬ちゃん、今日はいつもより顔色がいいね」

 

 

隣にいた瞬光は、まるで精巧に作られた人形のように動かなかった。

 

あなたの呼びかけに応えることも、表情を変えることもない。ただ静かに、その瞳はどこを見るでもなく、虚空を見つめている。

 

それでも、あなたは楽しげに言葉を紡いでいく。

 

 

「そうだ、今日は映画館に行こっか。予告が出てから、ずっと行きたいって言ってたもんね。」

 

 

まるで、つい先日交わした約束を思い出したかのような口ぶりだった。

 

 

「それじゃあちょっと失礼するね」

 

 

瞬光を着替えさせ、車椅子に乗せると、自身の支度も終えさせ車椅子を引いていつもと変わらない穏やかな足取りで歩き始める。

 

 

「聞いてよぉ、昨日藩さんがさぁ料理の味付けを間違えたんだよ。珍しいよねぇ。いつもそんなミスしないのにさ」

 

 

他愛もない世間話を続けながら、あなたは車椅子を押していく。

 

まるで、隣にいるのがいつも通りに言葉を交わし、時には笑い合うこともできる相手であるかのように。

 

ふと、あなたは車椅子の横に回り、瞬光の顔を覗き込んだ。

 

その表情に、変化はない。

 

呼吸をしていることを除けば、まるで時間だけが切り取られてしまったかのようだった。

 

それでも、あなたは少しも気にした様子を見せなかった。

 

 

「ふふっ、楽しみだねぇ」

 

 

そう言って、再び車椅子の後ろに回る。

 

今日もまた、二人で出かける。

 

それがごく当たり前の日常であるかのように。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

ルミナスクエア

 

 

 

「やっぱり電車だと時間がかかるねぇ。あ、そうだ。今度この近くで美味しいスイーツの食べ放題があるらしいからさ、一緒に行こうね」

 

 

そんな話をしながら、彼は瞬光を連れて映画館へと入っていった。

 

まるで、これから先も二人で出かける予定がいくつもあるかのように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画を見終えた帰り道。

 

 

 

映画館を出たあなたは、先ほどまでスクリーンに映し出されていた物語を思い返しながら、ぽつりと口を開いた。

 

 

「あんな悲しい結末だなんてねぇ。感動はできるけど、ああいうのを作る人の感情は分からないよ。そう思わない?」

 

 

問いかける声は、いつもと変わらず穏やかだった。

しかし、当然ながら返事はない。

 

あなたは瞬光の顔を覗き込む。

 

その瞳は相変わらず、どこを見るでもなく虚空を見つめていた。

 

あなたが見た映画は、八年間、植物状態となった恋人のそばで話しかけ続ける男の物語だった。

 

周囲からは何度も否定され、いつ目を覚ますとも分からない相手を待ち続けることに、意味などないとまで言われる。

 

それでも男は、彼女に語りかけることをやめなかった。

 

まるで、いつか必ず返事が返ってくると信じているかのように。

 

 

「……はぁ」

 

 

あなたは小さく息を吐いた。

 

その視線は、車椅子に座る瞬光へと向けられている。

 

しばらくの間、何かを考えるように黙り込んでいた彼だったが、やがていつものように口元を緩めた。

 

 

「……ま、僕にはちょっと理解できないかなぁ」

 

 

軽い調子でそう言って、再び車椅子のハンドルを握る。

 

けれど、その足取りは先ほどよりも、ほんの少しだけ重たい。

 

あなたはもう一度瞬光の顔を見つめ、そっと身を屈めると、その頬に優しく口づけを落とした。

 

 

「……帰ろっか、瞬ちゃん」

 

 

返事はない。

 

それでも彼は、微笑んだまま車椅子を押し始める。

 

夕暮れの街に、二人の影が長く伸びていく……片方は自分の足で歩き、もう片方は押されるままに進んでいた。

 

その光景は、どこまでも穏やかで。

 

――ひどく、寂しかった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

適当観

 

 

「ただいまぁ〜」

 

 

帰ってくると、たまたまいたアキラが出迎えてくれた。

 

 

「兄弟子、おかえり。今日も瞬光とお出かけかい?」

 

「あ、アキラくん。ただいま〜。そうだよぉ、今日は映画を見に行ってきたんだぁ」

 

 

彼は楽しげに答えながら、車椅子を押して家の中へと入っていく。

 

 

「へぇ、映画か。何を見てきたんだい?」

 

「ん〜? それはねぇ……」

 

 

一瞬、言葉が途切れた。

 

けれど、それもほんの一瞬のこと。

 

あなたはすぐにいつもの調子を取り戻すと、持っていた荷物をアキラへと差し出した。

 

 

「そうそう。アキラくん達にお土産があるんだよ。師匠達と分けてね」

 

「お土産? わざわざ買ってきてくれたのかい?」

 

「うん。せっかくだからねぇ」

 

 

にこにこと笑う彼の顔には、いつもと変わらない明るさがあった。

 

映画を楽しんできた帰りに、家族への土産まで買ってくる。

 

どこにでもある、何気ない日常の一幕。

 

けれど、アキラの視線は自然と、彼の後ろへと向かった。

 

車椅子に座る瞬光。

 

その瞳は、今日も変わらず虚空を見つめている。

 

 

「兄弟子、その…」

 

「ん〜? どうしたの?」

 

「……いや、何でもないよ」

 

 

何かを言いかけたアキラは、結局、その言葉を飲み込んだ。

 

 

「じゃあ僕、瞬ちゃんを部屋に連れていくねぇ。お土産、みんなで食べてよ」

 

「ああ、ありがとう。兄弟子」

 

「どういたしまして〜」

 

 

軽く手を振り、あなたは車椅子を押して廊下の奥へと進んでいく。

 

アキラはずっと何か言いたげの顔をしていたが、なんとなく察していたあなたは振り返らず部屋に戻った。

 

部屋に戻ってきたあなたは瞬光を車椅子から下ろし、ベッドに寝かせる。

 

 

「……必ず、元に戻してみせるからね。」

 

 

あなたは身を屈め、眠り続ける瞬光の額にそっと口づける。

 

しばらくの間、その顔を見つめていたあなただったが、やがてゆっくりと身を起こした。

 

向かった先は、部屋の隅に置かれた机だった。

 

机だけではない、壁にまで所狭しと貼り付けられた紙の数々。

 

そこには、無数の情報や資料、書き込み、関連性を示す線が広がっていた。

 

一見すれば、何かの研究室のようにも見える光景だった。あなたはその前に立ち、並べられた情報へと目を向ける。

 

まだ足りない。

 

情報が足りない。知識が足りない。何もかもが足りていない。

 

けれど、だからといって諦める理由にはならなかった。

 

どれだけ時間がかかろうと、どれだけ困難な道のりだろうと、手がかりが残されている限り、探し続ける。

 

そう決めていた。

 

 

──コンコン。

 

 

静寂を破ったのは、扉を叩く音だった。

 

 

「〇〇、少しいいか」

 

 

聞き慣れた声に、あなたは資料から目を離さないまま返事をする。

 

 

「はーい、どうぞぉ」

 

 

ゆっくりと扉が開き、儀玄が部屋へと足を踏み入れた。

 

入室した儀玄は、まず室内を見渡した。壁を埋め尽くす資料の数々に、机の上に積み上がった書類。そして、それらに囲まれるように立つあなた。

 

その光景を目にして、小さく息を吐いた。

 

 

「お前さん、また情報集めか。」

 

「はい。この前、釈淵が関連があるかもしれない情報を送ってくれ、今度こそ何か得られるかもしれないんです。」

 

 

あなたは振り返り、いつもと変わらない調子で答えた。

 

その声音は穏やかだった。

 

けれど、儀玄にはわかっていた。

 

あなたは、もうずっと休んでいない。

 

瞬光が倒れてから、どれほどの時間を費やしてきたのだろう。どれだけの資料を読み漁り、どれだけの可能性を検討し、どれだけの絶望を飲み込んできたのだろう。

 

それでも、あなたはは手を止めない。

 

儀玄はしばらく沈黙したのち、重々しく口を開いた。

 

 

「……こんなことを言うのは、宗主としても、お前さん達の師匠としても失格なのだろうが」

 

 

あなたは、なんとなくその言葉の先がわかってしまった。

 

 

「私達では……もう瞬光をどうすることもできな──」

 

「何が?」

 

 

遮った声は、あまりにも静かだった。

 

儀玄の言葉が途切れる。

 

あなたは、ゆっくりと顔を上げていた。

 

先ほどまで浮かべていた柔らかな笑みは、もうない。

 

その瞳に宿っていたのは、明確な怒気だった。

 

 

「まだ情報を探しきったわけじゃないでしょう?」

 

 

あなたが儀玄へと向き直る。

 

 

「何を根拠にそんなことを言うんですか?」

 

 

声音は低い。けれど、決して大きな声を出しているわけではなかった。

 

だからこそ、その言葉の一つひとつが、鋭く響いた。

 

 

「それとも、師匠にとって瞬ちゃんはもう、それまでの存在なんですか?」

 

「それは、断じて違う。私は──」

 

「じゃあ、邪魔すんなよ」

 

 

儀玄の言葉を、再び遮る。

 

先ほどまでの丁寧な口調はすでに跡形もなく、あなたは儀玄を真っ直ぐに見据えていた。

 

その目には怒りだけではない、もっと深い何かが渦巻いている。

 

焦燥。恐怖。失いたくないという、痛いほどの執着。

 

それらすべてを押し殺しながら、あなたは吐き捨てるように告げた。

 

 

「もう、あんたは何も知らなくていい」

 

 

儀玄の表情が、わずかに強張る。

 

あなたは構わず、さらに言葉を重ねた。

 

 

「陸老師のときのように……何も知らずにいればいい」

 

 

それは、ただの拒絶ではなかった。

 

まるで、決して触れてはならない何かに蓋をするような言葉だった。

 

儀玄は何も言えなかった。

 

目の前にいるのは、確かに自分の弟子だ。

 

いつも飄々としていて、時には人を食ったような態度を取り、どんな状況でも軽口を叩く。

 

そんな、見慣れたはずの弟子。しかし今、儀玄の目の前にいるあなたは、まるで別人のようだった。

 

 

「……出てってください」

 

 

絞り出すような声で、先ほどまで儀玄を睨みつけていたあなたは、ふいに視線を落とした。

 

握り締めた拳が、小さく震えている。

 

 

「〇〇──「出てけよ!!」…っ」

 

 

怒号が部屋中に響き渡った。

 

儀玄の言葉を遮るように、あなたは叫んだ。

 

壁に貼られた資料が、声の余韻に揺れる。その場に立ち尽くす儀玄を、あなたはもう見ていなかった。

 

視線は床に落とされたまま、肩がかすかに上下している。

 

 

「……お願いだから」

 

 

先ほどの怒声が嘘のように、その声は弱々しかった。

 

 

「今は……一人にさせてください。」

 

 

それは、拒絶というよりも、懇願に近かった。

 

これ以上、何も言わないでほしい。

 

これ以上、何も諦めさせないでほしい。

 

そして何よりも──今、自分がどれほど追い詰められているのか、誰にも気づかないでほしかった。

 

儀玄は、何かを言おうとして口を開いた。

 

しかし、結局、言葉は出てこなかった。師として、宗主として、かけるべき言葉はいくらでもあるはずだった。

 

落ち着け、と。

 

一人で抱え込むな、と。

 

お前まで壊れてしまっては意味がない、と。

 

けれど、そのどれもが今のあなたには届かないことを、儀玄は悟っていた。

 

今ここで何を言ったところで、あなたを追い詰めるだけなのだろう。

 

 

「……わかった」

 

 

短く答え、儀玄は踵を返した。

 

扉へと向かう足取りは、普段よりもずっと重かった。

 

やがて扉の前で立ち止まり、一度だけ振り返る。

 

 

「……何かあれば、いつでも頼れ。」

 

 

返事はなかった。

 

あなたは机の前に立ち尽くしたまま、壁一面の資料を見つめていた。

 

儀玄はそれ以上何も言わず、静かに部屋を出た。

 

カチャリ、と扉の閉まる音が響く。

 

 

「……わかってるよ」

 

 

ぽつりと、声が落ちた。

 

誰に向けた言葉なのか、自分でもわからなかった。

 

閉ざされた扉の向こうにいる儀玄か。

 

それとも、今もベッドで眠り続けている瞬光か。

 

あるいは、答えの見つからない資料を前に、立ち尽くしている自分自身か。

 

 

「もう助ける方法なんてないって……わかってんだよ」

 

 

声が、かすかに震えた。

 

わかっている。そんなことは、とっくにわかっていた。

 

どれだけ資料を集めても、どれだけ知識を深めても、瞬光が目を覚ますという保証はどこにもない。

 

誰よりも自分が、その現実を理解していた。

 

理解しているからこそ、怖かった。

 

この先、どれだけ探し続けても、何も見つからなかったら。

 

いつか、本当に何もできることがなくなってしまったら。

 

そのとき、自分はどうすればいいのだろう。

 

何を支えにして、生きていけばいいのだろう。

 

考えたくもなかった。

 

だから、あなたは探し続ける。

 

まだ何かがあるはずだと。

 

まだ何かできるはずだと。

 

そう信じていなければ、瞬光がいない未来を受け入れてしまいそうだったから。

 

 

「諦めきれないんだよ……」

 

 

掠れた声が、静かな部屋に溶けていく。

 

あなたは一歩ベッドへと近き、瞬光の傍らに腰を下ろす。そっと手を伸ばし、その手を握った。温もりはある…確かに、ここにいる。

 

それなのに、どれほど手を握っても、その手が握り返されることはなかった。

 

普段なら、どんなときでも軽口を叩いてみせる口元から、笑みが消えていた。

 

 

「瞬ちゃんが作った金木犀のケーキ、食べたいなぁ…」

 

 

ポタポタと、拭っても拭っても、涙が止まらず出てくる。

 

 

「グスッ……瞬ちゃん…もう一度だけ、おしゃべりがしたいよぉ…グスッ…まだまだ…グスッ、したいこと、たくさんあるのに…」

 

 

くだらない話をして、くだらないことで笑って。

 

ときには喧嘩をして、仲直りをして。

 

そんな、何でもない時間を、これからもずっと過ごしていきたい。

 

それだけでよかった。

 

特別なことなんて、何もいらなかった。

 

ただ、隣にいてほしかった。

 

いつものように笑ってほしかった。

 

自分の名前を、呼んでほしかった。

 

 

「…っ、瞬ちゃん……」

 

 

握った手に額をそっと寄せると、温もりはまだそこにあった。

 

だからこそ、余計に苦しかった。

 

こんなにも近くにいるのに。

 

手を伸ばせば、触れられるのに。

 

どうして、こんなにも遠いのだろう。

 

 

「……お願いだから……」

 

 

零れ落ちた声は、あまりにも小さかった。

 

誰にも聞かれることのない、弱音。いつも笑っているあなたが、誰にも見せたくなかった、本当の気持ち。

 

 

「……僕を、置いていかないでよぉ……」

 

 

 

 

 

 

 

 




Xで代償を払いきってただ生きているだけ状態になってしまった瞬光を見て、唐突に書きたくなった

こういう鬱めなやつってあり?なし?

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