※この作品では、モンスターハンターの公式設定には無い独自の解釈・設定等が含まれる場合がございます。ご注意ください。
【隔ての砂原── ベースキャンプ ──】
「今までで一番強かったモンスターって、何ですか?」
「……何だろう。その質問、答え次第で炎上しそうな気がする」
龍歴院ハンターは恐れつつも、一番強いモンスターを考える。だが、候補が多すぎて絞りきれない。
「どいつもこいつも化け物だから選ぶの大変だなぁ」
「僕はハッキリ答えられますよ」
「え、誰?」
自信満々な調査隊ハンターに、龍歴院ハンターは思わず耳を傾ける。
「極ベヒーモス」
「誰!?!?」
全く知らないモンスターの名前を出され、龍歴院ハンターは再び聞き返してしまう。
「え……ホントに誰? 初めて聞いたんだけど……」
「異世界からやってきたモンスターです」
「いせ……かい……?」
「最近だと零式オメガが強かったですね」
「ぜろしき……おめが……?」
「それも異世界です」
「全部"いせかい"じゃねぇか!!!!」
すかさずツッコミを入れる龍歴院ハンター。てっきり"ミラボレアス"と答えるかと思いきや、全く知らない場所から来た全く知らないモンスターの名ばかり出され、理解に苦しむ。
「ってか、"いせかい"って何!? どっかのフィールド!?」
「そこ説明すると長くなるので今回は省きます」
「いや教えてくれよ……」
いちばん重要な部分を省かれ、唖然とする龍歴院ハンター。きっとその"いせかい"とやらは、ギルド上層部も秘密にするほどのヤバい場所なのだろう。
龍歴院ハンターが"いせかい"考察する中、調査隊ハンターが話を戻す。
「で、一番は?」
始まりに戻り、悩む龍歴院ハンター。悩みに悩み抜いた後に、口を開く。
「一番……、まぁ……超特殊許可の『青電主ライゼクス』かなぁ」
「……確か、二つ名モンスターでしたっけ? ライゼクスの」
「そう。その中でもズバ抜けて強い個体が『超特殊許可』って枠に指定されて、条件を満たしていないと狩りに行かしてもらえない」
「制限厳しくないですか?」
「
「怖いですねぇ」
「俺はその"いせかい"とやらの方が怖いよ」
正直に話す龍歴院ハンター。やはり"未知"とは常に怖いものである。それが禁忌級となれば、なおのことである。
「改めて聞くけど、"極ベヒーモス"って何?」
龍歴院ハンターの質問に、調査隊ハンターが答える。
「エオルゼア……って場所から来た新種の古龍種です。その中でもズバ抜けて強いヤツに"極"が付きます」
「へぇ、古龍なんだ」
「まぁ異世界から来てるんで、現存のモンスターの系統樹に組み込めないから"古龍"扱いなんでしょうけど」
「……つまるところ異世界って、この世界とは別に世界のこと?」
「そうです」
「怖……」
やっと理解できた龍歴院ハンター。系統樹に分類できないモンスター、"古龍"ですらギリギリ分類できるにも関わらず分類不明ということは、つまるところこの世界の生き物ではないという、シンプルな道理である。
そんな存在が新大陸に出現していたとは中々に背筋が凍るが、それよりも重大な事実に気づく。
「ねぇねぇねぇ、ずっと前から思ってたことがあるんだけど……」
「何ですか?」
調査隊ハンターが耳を傾ける。
「……今年って、ヤバくね?」
「超分かります……。絶対厄年ですよね」
二人は共感し、互いの手を繋いでブンブンと振りまくった。
「というか今年に限らず、ここ数年ずっと厄年な気がしない?」
「分かります……なんか立て続けに事件が起きてますよね」
ハンターたちはここ数年の出来事を思い返す。やれ1000年に一度現れる厄災に、黄金纏う地母神、撃龍槍をブン投げてくる女王、異界から現れた魔法使いの怪物などなど、どれもこれも調査団および龍歴院メンバーを困らせた化け物ばかり。
そんなヤツらがたった数年の間、絶え間なく現れ続けるこの世界。果たして無事と言えるのか、甚だ疑問である。
「……実はまだ、龍歴院ハンターさんにしてない話があって……」
「何?」
龍歴院ハンターは耳を傾ける。
「ギルドからミラボレアス討伐要請を受ける前に、ミラボレアス並にヤバい古龍が新大陸に来てたんですよ……」
「……何だろう、寒気がする」
「それが『煌黒龍アルバトリオン』でして……」
その名を聞いた瞬間、飛び上がるようにその場から離れた龍歴院ハンター。そして、一度息を飲んでからもう一度確認する。
「アルバ!??」
「はい……」
「何で!!?」
「おそらく、アルバより前に現れた『赤龍ムフェト・ジーヴァ』に反応して新大陸にやってきた……ってのが調査団の見解ですね」
また知らない名前の登場に、龍歴院ハンターは警戒する。
「……ちなみにその、ムフェト・ジーヴァってのは"異世界"生まれなの?」
「いえ、ムフェト・ジーヴァは前に新大陸でエネルギーを独占しようとした『冥灯龍ゼノ・ジーヴァ』の成体で、異世界出身では無いです」
異世界出身ではないことを聞き、安心する龍歴院ハンター。しかし、『冥灯龍ゼノ・ジーヴァ』……このモンスターの名は聞き覚えがある。
確か、新大陸古龍調査団が解明した"古龍渡り"、その調査中に起きた異変の元凶が『冥灯龍ゼノ・ジーヴァ』であると、報告書に書いてあったのを思い出す。
「……確か新大陸って、『地脈』があるんだっけ? そこに流れるエネルギーを独占してたゼノ・ジーヴァの成体がムフェト・ジーヴァで、それがあの煌黒龍を引き寄せた……」
「はい」
真剣に、冷静に考える龍歴院ハンター。それはつまり、ムフェト・ジーヴァはただでさえ幼体の時点で厄介であるにも関わらず、それが成体となり、あの煌黒龍が目をつけるほどの力の持ち主となると、モンスターの格としては上澄みも上澄み。
「……もしかしなくてもムフェト・ジーヴァって、禁忌?」
「情報が少ないので断定できませんが、かなりダメ寄りですね」
「ほらまた『ここ数年厄年説』が補強されちゃったよ!! というかアイツら禁忌のくせに割と見かけるの何なんだよ!!!」
「先輩の気持ち、凄く分かります。分かりすぎて涙が出そうです」
ポロポロと涙をこぼす調査隊ハンター。禁忌級古龍との戦い、それを引き金に次々と化け物クラスのモンスターが現れ、最後は本物の禁忌と戦わされ、そして禁足地でもまたヤバいモンスターと戦わされる。過酷としか言いようがない。
調査隊ハンターは涙を拭いつつ、話を戻す。
「ちなみに先輩は煌黒龍とどこで……?」
「あぁ……溶岩島だよ」
「溶岩島?」
聞きなれない地名に首を傾げる調査隊ハンター。そこに、龍歴院ハンターが補足を入れる。
「絶海の孤島で火山島。すげぇ過酷な環境で、周囲が溶岩まみれでろくに資源無さそうなのに、何故かヤバいモンスターばかり集まってくる」
「周囲が溶岩まみれの島……」
調査隊ハンターは思い返す。確か、導きの地に溶岩地帯というものがあったが、あんな感じの雰囲気なのだろうか。
「その……集まってくるモンスターがヤバくて……」
「はい」
「まず鏖魔、黒炎王、青電主、宝纏。他の2つ名モンスターも来てるけど、その中でもコイツらは群を抜いてヤバい」
「そして猛り爆ぜるブラキディオス。コイツも湧いてくる」
「え……? ブラキディオスの特殊個体も……?」
「さらにそこに煌黒龍アルバトリオン」
「……」
「あとミラボレアスも出る」
「そこ魔境すぎませんか!?!?」
魑魅魍魎、禁忌いっぱいの惨状に、調査隊ハンターは思わず声に出す。
「たぶん人類が滅ぶとしたらそこから始まると思うよ」
龍歴院ハンターはサラリと言い流した。しかし、彼の目は不思議と明るく見えた。
「まぁ、実際滅びかけてるけど……」
「私たちハンターが各所で頑張ってるからこそ、何とか滅びずに生きている感じはするな」
「……ですね!」
二人は互いに拳を突き出し、グータッチをした。
お金のため、装備のため、生活のため、そして人々の安全を守るため、ハンターは狩の道を極め、歩み続ける。
道の先に禁忌がいようが関係ない。目の前に
今、同じ狩魂をもつ者たちが揃い、ここに居るのも何かの奇跡。そう考えた調査隊ハンターがある提案をする。
「あ! どうせなら、今から禁忌級モンスター狩りにいきます?」
「え!? 誰!?? というか何、今非常事態宣言!?」
「さっきチラッと話した『零式オメガ』ですよ」
「異世界の!? いんの!? 今!?」
「1ヶ月に1回くらいの頻度で来ますね」
「多いな!!!」
「まぁそれは普通の『オメガ』も合わせての回数で、もっと強い『零式オメガ』がやってくるのは半年に1回……? くらいですかね」
「だとしても多いわ!!!」
怒涛のツッコミに対し、「ですよねぇ……^^」と返す調査隊ハンター。新大陸も溶岩島もおかしいが、禁足地も大概である。
「ちなみに装備って持ってきてます?」
「あぁ、めちゃくちゃ大金はたいてアイルー達に運ばせた」
「そうですよね持ってきて……え? あるんですか?」
「あるよ」
まさかの回答に呆気を取られる調査隊ハンター。それはつまり、この地では見られない武器や防具、はたまた『2つ名モンスター』の装備も見られるということだろうか。
「……後で見せてもらっていいですか?」
「いいよ」
快く承諾する龍歴院ハンター。あの伝説のハンターの装備が見られるなど、古龍見つけるよりも遥かにレア過ぎるチャンス。是非とも見させていただこう。
……ジェマさんにも見せていいか、後で聞くとしよう。
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#EP02『世界は滅亡と隣り合わせ』、完。
次回、『装備編』。
※注意:この作品の世界観では、オメガは毎月来るしミラボレアスも数ヶ月〜数年単位で来るし、アルバトリオンもよく見かけますが、原作のモンハンシリーズにそんな設定ないのでご注意ください。