Vol.9 外交を始めよう!
ネクストライスクールが開校してから、およそ八ヶ月の月日が流れていた
DU外縁部に位置するかつての寂れた廃校は、いまや周囲の景観から完全に浮き立つ異彩の建造物へと変貌を遂げていた
外壁には元ガテン系の現場作業員である土建部部長・木村ミヤカたちの指揮のもと、幾重もの補強装甲と通信・通電時に実体弾の衝撃や熱エネルギーを完璧に拡散する相転移シールドの発振器が隙間なく設置されている。かつて荒れ果てていたグランドは高精度な自動防衛砲台と防衛ラインが張り巡らされ、まさに「鉄壁の要塞」という言葉を体現していた
「――ふぅ。これで今月の工芸部の輸出収益と、防衛ラインの定期メンテナンス費用、それに中央技術研究所の予算配分案の整理は完了ですね」
生徒会室
陽光が差し込む執務机で、書類の山を綺麗に整理し終えた少女が小さく息をついた
ネクストライスクール新生徒会長――西条ハレカである
きっちりと隙なく着こなした制服、美しく整えられた髪型、そして凛とした佇まい。前世で市長や政治家として辣腕を振るった彼女の手腕は、生徒数五百名を超えるこの特殊な転生者学園の行政・法務基盤を短期間で完璧に組み上げていた
「お疲れ様、ハレカ。相変わらず仕事が早いな」
応接用のソファから声をかけたのは、ネクストライの実質的な現場総責任者――赤坂レイカだった
黒髪のウルフカットに、鮮やかなターコイズのアクセサリを揺らすボーイッシュな美少女。その腰には、彼女の愛銃であるケルテックSUB-SDPをベースにした「ゼロモーメントポイント」が収められており、腕には自身の神秘「絶対加速」の自壊負荷を相殺する「ミスティック・ナイトロシステム」の腕時計型デバイスが光っていた
「レイカさんこそ、防衛部との合同演習の立ち合い、ご苦労様でした。……ところで、例のゲヘナ学園に関する噂、耳に入っておりますか?」
ハレカが書類の一端を示しながら、静かな、しかし重みのある声で尋ねる
「ああ、もちろん聞いてる。ゲヘナを長年支配していた『雷帝』が失脚したんだろう? 生徒会である
「ええ、更に風紀委員会には『空崎ヒナ』という名の恐ろしい戦闘力を持つ少女が入ったとか。ゲヘナは現在、雷帝の失脚による混乱と、新体制への移行に伴う激動の渦中にあります。……そして、その万魔殿から、先ほど我がネクストライスクール宛に『親書』が届きました」
「親書?」
レイカが眉をひそめる
ハレカはエレガントな動作で一通の豪華な封筒を提示した。金箔の装飾が施された、いかにも自己主張の激しい手紙だ
「内容は……『万魔殿議長・羽沼マコト自らが、新興勢力であるネクストライスクールを視察し、今後の統治方針を言い渡してやる』といった趣旨の、実に高圧的な外交訪問の打診――いえ、一方的な通告といったほうがよろしいかと」
「ははっ、相変わらず無茶苦茶だなあのアホ議長……」
レイカは苦笑いを浮かべつつも、瞳の奥に鋭い光を宿した
原作ゲーム本編から約3年前のこの時代、キヴォトスは世代交代などで、混沌の真っ只中だ。ゲヘナ、トリニティ、ミレニアムといった三大巨大学園は、突如現れて未知のオーバーテクノロジーと圧倒的な防衛力を誇るネクストライスクールを強く警戒している
雷帝失脚によってゲヘナの新たな顔となったマコトが、自らの威信を示すためにこの学園を「威圧」しにやってくるのは、ある意味で予想通りの展開だった
「どうする、ハレカ? 追い返すか?」
「まさか、我が校は連邦生徒会から管轄権の暫定承認を得た正規の学園です。ゲヘナのトップが向こうから出向いてくださるというのなら、堂々と迎えるまで………政治とは、相手が大きく出れば出るほど、こちらの手札の美しさが引き立つものですから」
微笑むハレカの言葉には、元政治家としての圧倒的な威厳と余裕が満ちていた
数日後
「ハッハッハッハ! 見よ、万魔殿の部下よ! あそこが最近キヴォトスで生意気にも噂になっている、正体不明の転生者どもの学園か! DUの外縁部だというのに、随分と小生意気な大層な城を築いているではないか!」
ネクストライスクールの正門前
高らかな高笑いを響かせていたのは、ゲヘナ学園万魔殿の議長――羽沼マコトであった
金髪をなびかせ、豪華な軍服風の衣装に身を包んだ彼女は、胸を張って威風堂々と立ち尽くしていた
その背後には、万魔殿が誇る重戦車「虎丸」が鎮座しており、そのハッチから困惑した表情で顔を出している少女――万魔殿のモブ部下が控えていた
「あの、議長……。本当にこんな物々しい所へ乗り込んで大丈夫なんですか? 相手はあのカイザーPMCの襲撃部隊を単身レベルで返り討ちにしたっていう噂の学校ですよ……」
「何を恐れているのだ! この私、万魔殿議長・羽沼マコト様が直々に出向いてやったのだぞ! あの雷帝を追い落とし、ゲヘナの頂点に立った我が万魔殿の威光を見せつければ、あのような弱小新興校など一瞬で平伏――」
マコトがそこまで言ったとき、ズシン、と重厚な作動音が響いた
正門の重厚な防壁がスライドし、中から数名の生徒たちが姿を現したのだ
先頭に立つのは、金髪ツインテールにラフな服を着こなした少女――佐藤アリカ。その手にはAA-12をベースにした重厚なショットガン「ゴー!ジャンプ!」が握られている
「なんやなんや、門の前でやかましいハゲタカがおると思ったら、ゲヘナの変な制服着た連中やないか! ウチらのシマに挨拶もなしに戦車持ち込むとは、ええ度胸しとるやんけ!」
興奮のあまり強烈な播州弁を撒き散らすアリカの横には、黒髪ボブカットでアンニュイな雰囲気の少女・高橋ミナサが佇んでいた。ミナサはインナーイヤフォン型の「ヒアリング・コントロールシステム」を指で微調整しながら、冷ややかな視線をマコトに向ける
「アリカ、大声出さないで……耳に響く。それに、一応相手はゲヘナの生徒会、万魔殿の議長らしいよ。知らないけど」
「知らんけどってなんやねん! まあええわ、レイカとハレカさんが『通せ』言うてから案内したるけど、変な動きしてみぃ、この『ゴー!ジャンプ!』でハチの巣にしたるからな!」
アリカが威嚇するようにショットガンの弾倉をガチャリと叩く
その瞬間、門周辺に配置された自動防衛砲台が一斉に旋回し、虎丸へと照準を合わせた。さらに、巡回中の防衛部生徒たちが掲げるシールドには、青白い光の力場――「相転移シールド」が展開され、彼女たちが手にする「パルスライフル」や「個人携行型レールガン」の銃口が重低音を上げて励起し始めた
「なっ……!?」
部下の少女の顔色が一見して真っ青になった
歴戦の直感が、全身の毛根を逆撫でるほどの強烈な危機感を告げていた
(なに……何ですかあの装備!? あのシールドのエネルギー密度、それにあの手持ちの火器……戦車砲クラスの出力が、個人携行サイズに収まってる……!? 軍事の常識が根底から壊れてますよ! 下手に刺激したら、この虎丸ごと一瞬で蒸発させられる……!)
冷や汗をダラダラと流す部下は、マコトの服の裾を激しく引っ張った
「ぎ、議長……! ヤバいです、ここマジでヤバいです! 今すぐ撤退して、風紀委員会の空崎ヒナでも連れて直談判し直しましょう! あんな化け物みたいな兵器、親衛隊でも相手になりませんよ!」
だが、自信過剰の極みにあるマコトは、部下の死にそうな進言を「ふはは、怯えるな!」と一蹴した
「ふん! ハッタリに決まっているだろう! あのような珍妙なカラクリ道具に我が万魔殿が屈するものか! おい、案内しろ! 貴様らのトップに謁見してやる!」
アリカは「なんやアイツ、ごっつ腹立つ顔しとるな……後で一発殴ってええか?」とミナサに耳打ちし、ミナサは「リーダーに怒られるからやめな」と気だるげに返しながら、一行を校舎へと誘導した
ネクストライスクール本校舎の応接室
重厚な革張りのソファに腰掛けたマコトは、足を組み、不敵な笑みを浮かべていた。隣には「早く帰りたい……」というオーラを全身から発している部下が控え、対面には生徒会長の西条ハレカ、そして赤坂レイカが座っている
「単刀直入に言おう!」
マコトはバッと腕を広げ、朗々と語り始めた
「我がゲヘナ学園は、あの老害たる『雷帝』を排し、この私――羽沼マコトが率いる万魔殿のもとで新たなる黄金期を迎えようとしている! そこでだ、新興勢力である貴様らネクストライスクールに、特別な慈悲を与えてやろうと考えた!」
「……ほう。特別な慈悲、でございますか」
ハレカは優雅にお茶を一口すすり、完璧な政治家の微笑みを崩さずに先を促す
「そうだ! 貴様らが持つその独自の技術と敷地、そして防衛戦力を我がゲヘナの傘下――いや、”万魔殿直属の特別技術保護区”として組み込んでやる! さすれば、トリニティやミレニアムといった他学園の脅威から、我がゲヘナの圧倒的武力をもって守ってやろうではないか! 感謝するがよい、ハッハッハッハ!」
高らかに笑い飛ばすマコト
レイカは思わず呆れて天を仰ぎそうになったが、隣のハレカの雰囲気が微妙に変わったのを感じ取った
ハレカの笑みは、さらに深く、そして氷のように絶対的な威厳を帯びていた。前世で数多の政治闘争と泥沼の議会を勝ち抜いてきた元市長の「政治家スイッチ」が入った瞬間だった
「――たいへん魅力的なご提案、誠にありがとうございます、羽沼議長」
ハレカは静かに書類のファイルをデスクの上に滑らせた
「ですが、外交上の協議を進めるにあたり、幾つか事実関係の確認をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「む……? なんだ、書類か?」
「ええ、まず”他学園の脅威からの保護”についてですが……我がネクストライスクールは先月、カイザーPMCの最新鋭重装甲部隊及び機械化歩兵大隊の強襲を受けました。その際、我が校の防衛部隊は『損害ゼロ』、敵部隊の完全無力化までにかかった時間は”十二分四十三秒”*1でございます」
ハレカは淡々と、しかし決定的な数値を突きつける
「また、我が校の財政は、工芸部が生産する最高級ガラス工芸品の輸出により、連邦生徒会管轄区全体でもトップクラスの黒字を計上しております。さらに、現在ゲヘナ学園が保有する主力戦車の装甲厚と主砲出力、ならびに万魔殿の維持コストに関する公開データを試算いたしましたところ……」
ハレカは一瞬だけ言葉を切り、優しく微笑んだ
「……我が校が万魔殿の傘下に入った場合、我が校からゲヘナへ提供される技術・資金的メリットに対し、ゲヘナから我が校へ提供される安全保障上のメリットは『実質ゼロ』どころか、我が校の防衛リソースを割いて万魔殿を護衛しなければならない計算になります。……羽沼議長、これは我が校にとって、どのような『外交的メリット』があるとお考えでしょうか?」
「な, なにぃ……!?」
マコトの笑顔が凍りついた
ロジックの密度が違いすぎる。高慢なハッタリと威圧で押し切ろうとしたマコトに対し、ハレカは前世の行政経験に裏打ちされた完璧なデータと論理の刃で、マコトの提案を微粒子レベルに粉砕したのだ
「ぐ, ぐぬぬ……! だ, だが我がゲヘナには圧倒的な兵力がある! 風紀委員会をはじめとする無数の生徒たちが――」
「お言葉ですが議長」
ここで、これまで黙っていた部下の少女が、青ざめた顔でそっとマコトの耳元で囁いた
「……先ほど門で見た装備、ハッタリじゃありません。あそこの生徒たちが着けているシールドと銃器は、ウチの者が束になってかかっても数分で全滅させられるレベルです。それに……風紀委員会の名前を勝手に出したら、後で空崎ヒナ委員長にどんなお説教を食らうか……」
「い、言い出しっぺの貴様まで、どちらの味方だ!」
マコトが冷や汗を流しながら怒鳴るが、動揺は隠しきれない
そこへ、タイミングを見計らったようにレイカが穏やかなトーンで助け舟を出した
「まあまあ、ハレカもそこまでにしておけよ。……マコト議長、俺たちの生徒会長の言う通り、傘下に入るとかそういう上下関係の話は、お互いにとってメリットがないんだ。……だが、俺たちはゲヘナと敵対したいわけじゃない」
レイカは腕を組み、まっすぐにマコトを見つめた
「雷帝が倒れて、ゲヘナは新しい時代を迎えたんだろ? だったら、古い力による威圧じゃなく、新しい『対等なパートナーシップ』を結ばないか?」
「対等な……パートナーシップだと……?」
マコトが眉をひそめる
「そうだ。我がネクストライスクールは独立した学園として自治権を保つ。その代わり、ゲヘナ学園とは『相互不干渉・経済友好協定』を結ぶ。うちの工芸部が作る特別なガラス製品や非軍事の生活支援技術をゲヘナに優先供給してもいい。ゲヘナからは、DU外縁部における物流ルートの安全確保と、相互の情勢情報の共有をお願いしたい」
レイカの提案は、マコトの面子を潰さず、かつネクストライの主権を完全に守る完璧な落としどころだった
「ふ、ふん……! なるほど、貴様らなりに我が万魔殿と友好を結びたいという誠意は伝わったぞ!」
マコトは露骨にホッとした表情を浮かべつつ、すぐに扇子をバッと広げて胸を張った
「よいだろう! この万魔殿議長・羽沼マコト様の寛大な心に感謝するがいい! 我がゲヘナと貴様らネクストライスクールは、対等なる同盟国として友誼を結んでやる!」
(ふぅ……なんとか面目が保てたぞ……!)と内心で冷や汗を拭うマコト
ハレカとレイカは顔を見合わせ、満足そうに頷き合った
協定の基本的な骨子が固まったところで、レイカたちはマコトと部下を学園の地下施設――中央技術研究所へと案内することにした
「ここは我が校のアーティファクト研究部……通称、中央技術研究所だ」
エレベーターが地下深くへと降り立つと、そこには広大なSF映画のような研究エリアが広がっていた
中央のガラスケースには、旧地下防空壕跡から発掘された神秘の正十二面体結晶――「オーパーツ」が青白く怪しい光を放ちながら浮遊している
「ようこそ、ゲヘナ万魔殿の皆さん!」
白衣を翻して早口で駆け寄ってきたのは、アーティファクト研究部部長・青花ヒバナだった
知的な眼鏡の奥の瞳をギラギラと輝かせ、ショートヘアを揺らしながら、自慢の装備を掲げる
「ちょうどいいところに来てくれました! こちらが我が研究所の誇る『相転移シールド』の第二世代ジェネレーターです! このオーパーツから抽出した相変化エネルギーを波長変換し、外部からのあらゆる実体弾衝撃及び熱エネルギーを空間位相の歪みによって100%拡散・無効化します! さらにこちらの『個人携行型レールガン』は、ローレンツ力を応用した電磁投射砲で、戦車砲並みの初速と威力を手持ちサイズで実現! そして私のこのスマートグラス型『テクニック・コネクター』は、脳波レベルで周辺機器を遠隔操作(リモート・リンク)し――」
「あー、ヒバナ、ストップ。相手の理解が追いついてないから」
レイカが苦笑しながらヒバナの白衣の襟首を引っ張って止める
一方、マコトと部下は言葉を失っていた
部下の少女はオーパーツと数々のオーバーテクノロジー兵器を交互に見比べ、もはや笑うしかなかった
「……議長。……本当に、今日ここで調子に乗って攻め込もうなんて思わなくて良かったですね。もし万魔殿がここに攻め込んでたら、ゲヘナの歴史が終わってましたよ……」
「ぐ……ぐぬぬぬ……!!」
マコトは必死に顔を引きつらせながら、プルプルと震える声で言った
「ふ、ふん! まあまあのおもちゃではないか! 我が万魔殿の科学力をもってすれば、このようなもの、明日には作れるわい! ハ、ハッハッハッハ……!」
あからさまな強がりである
だが、その瞳には「二度とこの学校には逆らうまい」という強い恐怖と敬意が刻み込まれていた
そんなマコトの様子を見て、レイカは心の中で笑いを噛み殺していた
前世ではごく普通の日本人だった自分たちが、知識と技術を結集し、この過酷なキヴォトスでついにゲヘナのトップと対等に渡り合えるまでに至ったのだ
「――さて、マコト議長。協定の調印式に移りましょうか」
ハレカが差し出した調印書類に、マコトはどこか緊張した手つきで署名を走らせた
「よし! これにて、ゲヘナ学園とネクストライスクールの”友好不干渉協定”は成立だ!」
「ええ、ありがとうございます、羽沼議長。今後とも末永く、良きお付き合いを」
ハレカが上品にお辞儀をし、レイカがマコトに手を差し出す
マコトはその手を握り返し、誇らしげに胸を張った
夕暮れ時
ネクストライスクールの正門前で、マコトと部下は帰路につこうとしていた
重戦車「虎丸」のハッチに乗り込んだ部下は、見送りに来たレイカに向かって、申し訳なさそうに深々と頭を下げた
「レイカさん……本当に、うちの議長が色々ご迷惑をおかけしました。……でも、おかげでゲヘナにとっても無駄な衝突を避けられて、本当に助かりました」
「気にすんなって。マコト議長のおかげで、うちもゲヘナとのパイプができたんだ。お互い様さ」
レイカが爽やかに笑うと、部下の少女は少しだけ表情を和らげ、ぽつりと呟いた
「……正直、風紀委員会の空崎ヒナより、あなたたちの学園の方が何倍も恐ろしいですよ。……はぁ、帰ったらまた議長の無茶振りの処理か……面倒くさいなぁ……」
少女は溜息をつきながらハッチを閉めた
「さらばだ、ネクストライスクール! 我が万魔殿の盟友として、せいぜい励むが良いぞ! ハッハッハッハ!」
高らかな高笑いを残し、虎丸と共に去っていくゲヘナの一行
それを見送りながら、レイカの隣にハレカ、アリカ、ミナサ、そしてヒバナが並んだ
「行っちゃいましたねぇ、変な銀髪の人」
アリカが「ゴー!ジャンプ!」を肩に担ぎながら言う
「うるさかったけど……まあ、敵にならないならそれでいいや」
ミナサがフッと息をつく
「ふふ、これでゲヘナとの関係は安泰ですわね。雷帝の失脚という混乱期において、ゲヘナの生徒会と直接の友好協定を結べた意味は極めて大きいわ」
ハレカが満足そうに書類を抱え直す
「よし! これで外交の第一歩は成功だな!」
レイカは夕日に染まるネクストライスクールの校舎を見上げた
開校から八ヶ月。かつて路地裏で途方に暮れていた自分たちは、いまやキヴォトスの巨大勢力と対等に交渉し、自らの居場所を完璧に守り抜く存在となった
「さて……次はトリニティか、それともミレニアムか。……どこから来ようと、俺たちの『ネクストライスクール』は絶対に揺るがないけどな!」
レイカの力強い言葉に、仲間たちは笑顔で頷いた
過酷で混沌としたキヴォトスの未来へ向けて、ネクストライスクールの新たなる進撃は、これからも続いていくのだった