転生者共の学園生活   作:矢守龍

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Vol.8 前線介入

アビドス大砂漠――

 

視界を遮る赤黒い砂嵐が吹き荒れる中、地表を揺らす重低音が地響きとなって響き渡っていた

 

「全機、砲撃準備! 泥棒猫どもを跡形もなく粉砕せよッ!!」

 

カイザーPMCのアビドス軍事拠点。その地上外郭施設を見下ろす高台で、肥満体の身体を高級スーツに包んだカイザーコーポレーションの理事長が、高笑いを上げながら指揮棒を振り回していた

 

その背後に立ち並ぶのは、異様な威容を誇る超重装甲無人兵器の群れ――『ゴリアテ』

 

本来であれば数体しか配備されていないはずの特級要塞兵器が、今や砂嵐の闇の中に14体という異常な密度で並び立ち、その巨大な複眼センサーを赤く発光させていた

 

「ハッハッハ! アビドス対策委員会め、そしてシャーレの先生め! 貴様らがどれほど足掻こうと無駄だ! 我がカイザーPMCは、近年キヴォトスの中央で急速に勢力を拡大している『ネクストライスクール』なる不気味な新興勢力の動きすらも警戒し、本社からの予算を惜しみなく投入してこのゴリアテを大量増産させていたのだよ! 貴様らごとき貧乏スクールの残党など、ハエ叩きのように叩き潰してくれるわ!」

 

理事長の嘲笑とともに、14体のゴリアテが一斉に多連装ロケットポッドと大口径キャノン砲を天空へと向けた。

 

「くっ……! みんな、遮蔽物の裏へ退避して!!」

 

砂煙に塗れた防弾ベストの襟を掴み、叫んだのはシャーレの先生だった

 

先生の視線の先では、息を荒らげたシロコ、ノノミ、セリカがボロボロになった物陰に滑り込み、通信機越しにアヤネが悲痛な悲鳴を上げている

 

『先生! 敵の反応、増え続けています! 大型無人兵器ゴリアテが14体……!? そんなのあり得ません! アビドス自治区の単一の防衛線を突破するための火力じゃないです!』

 

「ん……弾薬が、もう尽きかけてる。でも……ホシノを助けるまでは、引き下がれない!」

 

アサルトライフル「WHITE-FANG 465」のマガジンを叩き落とし、最後の予備マグを装填するシロコ。その瞳には、怪我を負いながらも消えることのない強い意志が宿っていた

 

「ダメですよシロコちゃん! これ以上の突撃は集中砲火を浴びます! ……本当に、どうしてこんな数が……!」

 

ミニガンを持ち直すノノミの額にも、うっすらと汗と砂埃が混じり合って流れていた

 

「あーもう! カイザーの理事長、やりたい放題やって!!」

 

セリカが怒りに震えながら突撃銃を構え直すが、目の前に立ちふさがる14体のゴリアテの重装甲は、通常小銃の弾丸をことごとく弾き返してしまう

 

そこへ、激しい爆破音とともに派手なコートをなびかせた少女が物陰へと滑り込んできた

 

「アハハハハ! 待たせたわねアビドス対策委員会! 便利屋68、が助けに来てあげたわよ!」

 

「アル! ムツキ! カヨコ! ハルカ!」

 

先生が叫ぶ。便利屋68の面々――アル、ムツキ、カヨコ、ハルカは、アビドスとの「貸し借り」と柴崎ラーメンの件、そしてカイザーへの反発から、この絶望的な戦場へと自ら飛び込んできていた

 

「クフフ〜、すごい大惨事だね〜! ゴリアテが14体なんて、爆破しがいがありすぎるよ〜♪」

 

ムツキが爆弾を投げつけ、ハルカが狂気的な笑みを浮かべてショットガンを連射する。カヨコも冷静にハンドガンで敵のセンサーを狙い撃つが――

 

ドドドドドンッ!!

 

ゴリアテ14体から放たれた誘導ミサイルの大群と大口径キャノン砲撃が、アビドスと便利屋68が潜む遮蔽物エリアを一瞬にして火の海に変えた

 

「きゃああっ!?」

 

「うわっ!?」

 

すさまじい爆風と熱波が吹き荒れ、全員が地面に吹き飛ばされる

 

「くっ……ハハ、流石にこの物量は笑えないわね……! でも、便利屋の名誉にかけて、ここで逃げるわけには……!」

 

アルが血の滲む唇を噛み締め、狙撃銃を構え直そうとするが、弾倉はすでに空だった

 

14体のゴリアテが重い足音を響かせ、じりじりと包囲網を狭めてくる。その巨躯から放たれる赤色レーザーポインターが、倒れ込むシロコやアル、そして先生の胸元に集中した

 

高台の上で、理事長が勝利を確信して腕を突き上げる

 

「終わりだぁーッ! カイザーの絶対的な力に屈するがいい! 全機、斉射――」

 

理事長が全弾発射の命令を下そうとした、その時だった

 

――ズドォォォォンッ!!

 

砂嵐を丸ごと切り裂くような、聞いたこともない暴虐な重低音がアビドスの空に響き渡った

 

高台の先端に陣取っていたゴリアテの1体――その分厚い複合装甲の胸郭が、目に見えぬ「超高圧の力」によって一瞬で貫通された。一瞬の遅れののち、ゴリアテ内部のジェネレーターが過重負荷を起こし、内部から白熱した炎を噴き出して崩壊を起こす

 

チュドォォォォンッ!!

 

一瞬前まで絶対的な威容を誇っていた超重兵器が、たった一発の砲撃によって木端微塵に爆砕されたのだ

 

「な……なにぃ!? 我が誇るゴリアテが一瞬で……!? 一体どこからだッ!?」

 

理事長が目を剥いて絶叫する

 

煙が立ち込める砂嵐の彼方――地平線を割るようにして、猛スピードで突進してくる1台の車の姿があった

 

 

 

 

 

「あははっ! 決まったっす! 狙い通り一発でコアをぶち抜いたっすよ!」

 

爆走する高速連絡車の荷台。吹き荒れる砂風の中で茶髪ロングを大きくたなびかせ、ドヤ顔で超大型の銃を構えていたのは、ネクストライスクール1年の霧状ヘルタだった

 

ヘルタが手にしているのは、本校のアーティファクト研究部が総力を挙げて開発した『リニアランチャー』

 

以前ミレニアムでカエデが使用したあれを再調整し、連射力などを強化したものだ……揺れる連絡車の荷台の上で絶妙なバランスを取りながら、ヘビー級の砲身を完璧にコントロールして撃ち放ったのだ

 

「〜♪ 原作知識組として、この登場タイミングは100点満点っすね! 良い子の皆、お待たせっす!」

 

「浮かれるなヘルタ! 敵の防衛線の真っ只中に突っ込むぞ! カリネ、次のターゲットの照準データをヘルタに!」

 

荒々しくステアリングを切り、砂丘の起伏を跳ねるように踏み越えていく連絡車の運転席。黒髪のウルフカットから覗くターコイズカラーの毛先を激しく揺らし、不敵な笑みを浮かべて指示を出したのは赤坂レイカだった

 

「了解っすリーダー。敵ゴリアテ、残り13体。右翼の3体がこちらに砲身を向けてくるっす!」

 

助手席に座る銀髪ショートの街肩カリネが、膝の上に置いているタブレットを高速でフリック操作しながら、クールかつ冷静に状況を伝達する

 

「ヘルタ!銃身回復後、二発目を狙ってるやつらにむけろ!」

「了解っす!!」

 

 

砂煙の中から突入してきた車が、ドリフトを決めながらシロコやアルたちの潜む物陰の前へと横滑りで停車した

 

「な……なんだあいつらは!? ネクストライスクールだと!?」

 

高台の理事長が思わず後ろにのけぞる

 

地の上に倒れ込んでいた先生は、目を見開いてその名を叫んだ

 

「レイカ! ヘルタ! カリネ!」

 

先生は一切の敬称を省き、駆けつけてくれた三人の名を力強く呼んだ

 

「遅くなってすまない、先生! 約束通り、助けに来たぞ!」

 

レイカが車から飛び出し、不敵な笑みを浮かべて身構える。荷台ではヘルタがリニアランチャーを構え直し、助手席から降りたカリネがサブマシンガンを構えた

 

「レイカ……! ヘルタ! カリネ! 本当に来てくれたのか!」

 

先生の顔に、確固たる希望の光が宿る。先生はすぐに立ち上がり、現場の全員へ向けて指揮の声を張り上げた

 

「よし!レイカ、アル。君たちで少しだけの間ここを頼める?」

 

「問題ないわ先生……依頼はしっかり遂行するわよ?」

便利屋68のアルは、驚きに目を見張りながらもコートを勢いよく翻した

 

「あぁ、俺らも問題ない」

レイカ達は銃の初弾を装填する

 

「クフフ〜、了解社長〜! 派手にドカンといこう〜♪」

 

「ハルカ、社長の足を引っ張る奴らは……全員根こそぎ排除しますぅぅッ!!」

 

「よし!みんな!行くよ!」

 

「ん! 了解、先生!」

 

先生と対策委員会はホシノを助ける為に建物内へ走っていった

 

 

「よしヘルタ、カリネ! 左の雑兵とゴリアテを!便利屋は右を!社長さんと俺は真ん中をやるぞ! 」

 

「〜♪ 了解っすリーダー! リニアランチャーのチャージ完了っす! ゴリアテなんて何体来ようが撃ち抜いてやるっす!」

 

ズドォォォォォォォンッ!!!!

 

ヘルタが放ったリニアランチャーの第二砲撃が、青白い極光となって一直線に疾走した

 

その圧巻の一射は、正面のゴリアテの複合装甲を打ち砕くだけにとどまらず、背後に控えていたもう1体をも巻き込んで一瞬にして蒸着・爆砕させた

 

「ひ、ひぃぃぃぃっ!? ゴリアテが……また2体一瞬で消し飛んだぁぁ!?」

 

高台の上で頭を抱えて悲鳴をあげる理事長

 

「カリネ、左の雑兵が寄ってくる! 押さえろ!」

 

「了解っす!」

 

カリネは静かな声で応じると、タブレットをポケットに押し込み、拳銃を撃ちつつ、素早くポジションを変えた。迫り来るカイザーの無人軽戦車や足軽ドローンのセンサーへ向けて寸分違わぬ精密射撃を叩き込み、敵の進軍を完全に足止めす

 

一方、右翼を担当する便利屋68も猛攻を開始していた

 

「クフフ〜、そーれ、ドカンとね〜!」

 

ムツキが投げつけた集束爆弾がカイザー歩兵隊の真ん中で炸裂し、鉄くずの雨を降らせる

 

「社長の邪魔をする虫ケラども……許さない……許さない許さない許さないッ!!」

 

ハルカが凄まじい執念で前線へ躍り出ると、ショットガンの至近距離射撃でカイザーの装甲車を叩き潰していく。カヨコが背後から的確にCover射撃を加え、隙を見せた敵を確実に仕留めていく

 

「ふふん、見なさいカイザー! これが便利屋68の、そしてアウトローの力よ!」

 

アルは狙撃銃の弾薬をカリネから受け取った予備マグで補給すると、優雅にコートをはためかせ、正確無比な狙撃で中央の指揮官ドローンを撃ち抜いていく

 

そして戦場の中央――赤坂レイカは、愛銃のゼロモーメントポイントを構え、果敢に前線へと突進していた

 

「カイザーの理事長! ネクストライを警戒して増産した?」

 

レイカは疾走しながら射撃を繰り出し、カイザーの歩兵ロボットの関節部を的確に破壊していく

 

「お前たちがどれだけ鉄くずを積み上げようが、俺らもアビドスも折れないからな! 」

 

レイカの放った弾丸が中央のゴリアテの光学カメラを粉砕し、体勢を崩したところへ、アルの追撃の狙撃が突き刺さる

 

「ヘルタ、三発目は行けるか!?」

 

「〜♪ バッチリっすリーダー! 次のデカブツもまとめてゴミ箱行きにしてやるっすよ!」

 

荷台の上で、ヘルタが不敵な八重歯を見せて笑う。その手の中で、リニアランチャーが第三の極光を放つべく、解き放たれる瞬間を今か今かと待っていた

 

アビドス大砂漠に吹き荒れる砂嵐の中、ネクストライスクール有志と便利屋68による圧巻の防衛戦は、カイザーPMCの誇る大軍勢を完全に圧倒し始めていた。ホシノ救出へと向かった先生と対策委員会の背中を守り抜くため、彼女たちの熱き戦火は、どこまでも高く燃え上がり続けていくのだった

 

「くそっ……あいつはいつ来るんだ!!」

 

「そ、そろそろかと……」

 

カイザー社員がおびえる声を上げた、まさにその瞬間だった

 

 

――ドドォォォォォンッ!!!!

 

突如として、カイザーPMCの防衛線の背後――砂嵐の真っただ中から、地響きを遥かに超える凄まじい爆発音が轟いた

 

カイザーの残存歩兵部隊や無人戦車が、何の前触れもなく次々と空中に打ち上げられ、炎の渦となって弾け飛ぶ

 

 

アルが目を丸くして振り返る。ムツキも爆弾を投げる手を止め、煙の向こうを凝視した

 

砂嵐と炎煙を切り裂いて現れたのは、狐のお面を斜めにかぶり、艶やかな着物を纏った一人の少女の姿――

 

「あは……あははははははっ! 素晴らしい、素晴らしい戦火ですわ! カイザーの豚どもから『防衛線を荒らす邪魔者を一掃してほしい』と頼まれて来てみれば……なかなか派手にやり合っているではありませんか!」

 

舞い散る粉煙の中で、狂おしい高笑いをあげる少女

 

キヴォトス最凶の指名手配犯『七囚人』の一角――狐坂ワカモだった

 

カイザー側がこの防衛線を何としても維持するため、裏で破格の報酬と取引を交わして雇い入れていた最強の傭兵・切り札。ワカモ自身は、ただ無尽蔵の火力を叩き込める戦場と取引の条件に惹かれて現れたに過ぎず、この基地の奥に大好きな「先生」が突入していることなど露ほど知らなかった

 

「き、来た……!『災厄の狐』だぁーッ!」

 

高台の上で理事長が歓喜の声を上げる

 

ワカモは狐のお面の間から琥珀色の鋭い瞳を光らせ、豪快に弾幕を繰り出しているネクストライと便利屋68を見下ろした

 

「ふふふ、カイザーの頼みなどどうでもいいのですが……わたくしの目の前でこれほど派手な爆煙を上げる不快な羽虫どもは、まとめて灰にして差し上げますわ!!」

 

ワカモはそういうと手に持ってたライフルを構える

 

バンッ!!

 

「!!なんでここに!?」

 

レイカの叫びと同時に、猛烈な爆風が立ち込める

 

「ひゃああっ!?なんで七囚人の一人がここにいるのよ!?」

 

アルが狙撃の体勢を崩しながら悲鳴をあげる

 

「『七囚人』の狐坂ワカモっすね。まさかカイザーがこんな切り札まで用意してるとは……っ!」

 

ヘルタがリニアランチャーの砲身をいまだにゴリアテへ向けようとするが、ワカモが放った一撃の狙撃弾がエネルギー供給回路に直撃した

 

「くっ……チャージが途切れたっす!?」

 

「ヘルタ、下がれ! あれは単体で部隊を壊滅させる化け物だ!」

 

レイカはゼロモーメンポイントを低く構え、瞬時に前に躍り出た

 

「みんな! カイザーの残り雑兵とゴリアテを押さえろ! あの狐の相手は……俺がやる!」

 

「リーダー!? 一人でタイマンなんて無茶っす!」

 

カリネが驚きに目を見開くが、レイカの背中は微動だにしなかった。ターコイズカラーの髪を揺らし、その瞳には強い闘志が燃え滾っている

 

(ワカモはまだ、先生がこの基地の内部に突入したことを知らない……! ここでアイツに暴れられたら、建物ごと吹き飛ばされて先生たちまで巻き込まれる! 何としても俺がここで食い止めなきゃダメだ!)

 

「安心しろ、俺には『知識』がある。それに……ここでアイツを抑え込まなきゃ、作戦全体が破綻する! 便利屋の皆も、ヘルタとカリネを頼む!」

 

「〜っ、言われなくても! リーダー、死なないでくださいよっす!」

 

「任せなさいネクストライ! 右と左の鉄くずどもは、この便利屋68が片付けてあげるわ!」

 

アルが叫び、ムツキとハルカ、カヨコが残りのゴリアテやカイザー兵の足止めのために散っていく。ヘルタとカリネも体制を立て直し、レイカの背中を守るように周囲の敵へ射撃を開始した

 

砂嵐が渦巻く中心地

 

崩落した巨大な瓦礫の上で、赤坂レイカと狐坂ワカモの二人が、互いに銃口を突き合わせる形で対峙した

 

四、赤蓮と漆黒――決絶の死闘

「ふふふ……あら? カイザーの雑魚どもを散らしていたネクストライの小娘さんですか。わたくしの邪魔をしようだなんて、身の程を知らないことですわね」

 

ワカモはお面を少しずらし、妖しく美しい笑みを浮かべた。その手にある『深淵の咎』の銃口から、立ち昇る赤黒い硝煙。

 

「邪魔……ね。カイザーの金で動く傭兵気取りか?」

 

レイカは不敵に口元を歪め、銃口を向ける

 

「傭兵? ふふ、失礼なことを言わないでいただきたいですわね。わたくしはただ、この不愉快な鉄くずの群れと貴女がたの騒音を消し去りたいだけ……! 邪魔立てするなら、容赦なく吹き飛ばすまでですわ!」

 

ワカモの琥珀色の瞳に、狂乱の火が灯る

 

――ズドンッ!!

 

ワカモが躊躇なく狙撃銃を放つ。音速を超える大口径弾がレイカの頬を掠め、背後のコンクリート壁を粉砕した

 

「速ぇ……! だが、軌道は見えてる!」

 

レイカは原作知識によるワカモの戦闘をスキルやゲームの動きから大まかに予測し、自身の神秘を少し使い素早く避ける……

 

右へダッシュし、立ち昇る爆煙をすり抜けながらゼロモーメントポイントを指切り連射する

 

ババンッ! ババンッ!

 

「 わたくしの射線を完璧に読んでいるとでも……!?」

 

ワカモは着物の袖をたなびかせながら軽やかに跳躍し、空中から複数の桜型小爆弾をばら撒いた

 

バンッ!!

 

「くっ……!」

 

レイカは地面をローリングして回避。そのまま立ち上がりざまに、ワカモの着地地点へ向けて精密射撃を叩き込む

 

弾丸がワカモの方ギリギリをかすめる……

 

「!? やりますわね……! ですが、これならどうですの!?」

 

ワカモは着地と同時に一気に距離を詰め、狙撃銃の銃身の先についている銃剣を大振りに振るってレイカの首元へ殴りかかってきた。遠距離狙撃手でありながら、圧倒的な筋力とスピードによる近接格闘

 

ガキィィィンッ!!

 

レイカは愛銃のレシーバー部分でワカモの銃身を間一髪で受け止めた。激しい金属音とともに、火花が散り、両者の視線が至近距離で鋭く交錯する

 

「ネクストライのリーダー……でしたかしら? 貴女の目、ただの生徒の目ではありませんわね。まるで、わたくしの動向も、この戦場の動きも、全て『最初から知っていた』かのような……不気味な目をしていますわ!」

 

「知ってるさ……! お前がどれだけ強くて、どれだけ狂暴かもな!」

 

レイカは速やかに顎を引いて頭突きを繰り出し、ワカモの体勢を崩すと同時に足を払った

 

「だけどな……! 俺たちネクストライは、このキヴォトスで起きるすべての『最悪』を叩き潰すためにここに立ってるんだよ!!」

 

ガキンッ!!

「あは……あはははっ! 最高ですわ! 単身でわたくしとここまでやり合える生徒がいるなんて……! 認めます、赤坂レイカ! 貴女は真っ先に排除すべき『敵』ですわ!!」

 

ワカモがお面の隙間からみせる目をレイカは見る……

 

(よし……これでワカモの意識は完全に俺に向いた! 先生たちがホシノを助け出すまで、一歩も引く気はねえ!)

 

「望むところだ……『災厄の狐』! ネクストライの意地、見せてやる!!」

 

レイカは残りのマガジンを叩き込み、全身の限界を超えて足を踏み込んだ

 

赤黒い砂嵐が吹き荒れるアビドスの戦場で、先生たちの突撃を守り抜く少女と、戦火を楽しむ狂乱の災厄――二人の誇りと銃弾が交錯する激闘は、さらなる展開へと足を運んでいた……

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