転生者共の学園生活   作:矢守龍

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Vol.2 地下のエクスプレス

「……う……ぐ……っ」

 

頭の奥を揺さぶるような鈍い衝撃とともに、赤坂レイカは意識の泥から這いあがった

真っ暗闇だ。視界を遮る濃密な闇と、肌を刺す冷やりとした地下の空気が身体を包み込んでいる。鼻腔を突くのは、生臭い土の匂いと古びたコンクリートが粉砕された焦げ臭い煙の匂いだった

 

(俺は……そうだ、廃校舎の床が崩落して……)

 

レイカは真っ先に腕の中の感触を確かめた。

左腕には小刻みに震える小さな肩――1年生の天笠ネカ。右腕には先生の身体をしっかりと抱え込んでいた。さらにその下には、レイカが落下の土壇場で力任せに引き寄せた2年生の霧状ヘルタが重なるように倒れ込んでいる

 

「……おい、みんな! 生きてるか!?」

 

レイカはかすれた声で叫びながら、腕に装着された腕時計型デバイス『ミスティック・ナイトロシステム』のバックライトを点滅させた。青白い光が僅かに周囲を照らし出す

 

「う……あうぅ……頭がグラグラするっす……」

「……ひゃいっ!? れ、レイカ先輩……!? わたし……生きてます……!?」

 

ヘルタが頭を抱えながら身を起こし、ネカが丸眼鏡のズレを直しながら悲鳴じみた声を上げた

 

「二人とも、怪我はないか? 骨が折れてたりしないか?」

 

「だ、大丈夫っす……! 落ちるときにリーダーがすごい勢いで自分たちを抱え込んで守ってくれたおかげで……擦り傷くらいで済んでるっす!」

 

「私も……怪我はありません! レイカ先輩が土壇場で空間を蹴るみたいにして減速してくださったおかげです……!」

 

落下する刹那、レイカは自身の神秘『絶対加速』をフル稼働させ、落下する空間の運動基準を強制的に再定義・減速させて衝撃を最小限に抑え込んでいたのだった

 

「……ふう、よかった。で……先生は!?」

 

「……ううん……うん、私も大丈夫だよ。ありがとう、レイカ。君が身体を張って庇ってくれたおかげだ」

 

先生がゆっくりと身を起こし、着ていたスーツの埃を払いながら穏やかな笑みを浮かべた。ヘイローを持たない普通の大人である先生が無傷で済んだことに、レイカは心底胸を撫で下ろした

 

「無事で何よりだ……。よし、全員の無事は確認できたな」

 

レイカは腰のホルダーから愛銃『ゼロモーメントポイント』を引き抜き、側面のLEDライトを点灯させた。強力な白い光線が暗闇を一直線に切り裂く

 

続いてネカが震える手でタクティカルライトを取り出し、周囲の安全を確認し始めた

 

「レ、レイカ先輩……モモトークの端末を確認しましたが、電波が完全に遮断されています……!」

 

ネカが画面を見せると、通信強度のインジケーターは赤く「OUT OF SERVICE」と点滅していた

 

 

「通信不能か……。地下深くへ落ちた上、この岩盤の密度が高いのかもしれないな。ヘルタ、そっちの通信機は?」

 

「だめっすリーダー! 生徒会チャンネルも防衛部用の高出力波も、ノイズすら拾わないっす……完全に途絶してるっすね」

 

「となると、外部への救援要請は期待できないな。……ハレカや防衛部のツヨシたちが異常に気づいて捜索隊を出してくれるだろうが、救援を待つにもまずは上方の状況を確認しないと」

 

レイカはライトの光軸を真上へと向けた

はるか頭上、彼らが落ちてきたはずの天井を見上げる

 

「……くそ、ダメか」

 

ライトの光が照らし出したのは、見上げるような高さに積み上がった膨大な瓦礫と土砂の山だった。旧校舎の中央ホールごと崩落したため、巨大なコンクリート片と鉄骨が隙間なく噛み合い、完全に天井の穴を塞いでしまっている

 

「上方の崩落箇所、完全に埋まっていますね……。これを人力で掘り返して登るにはリスクが高すぎます。下手に触れば、二次崩落を起こして私たちが生き埋めになってしまいます」

 

ネカが冷ややかに分析すると、ヘルタが肩をすくめた

 

「退路遮断、通信不能……完全に閉じ込められたっすね。うわぁ、本格的なサバイバル展開になってきたっす……!」

 

「呑気に感心してる場合か!……だが、絶望するにはまだ早いぜ」

 

レイカはウルフカットの髪をガリガリと掻き回し、ライトで足元から続く暗闇の奥を照らした

 

「ここを見ろ。ここは単なる自然の空洞や抜け穴じゃない」

 

ライトの光が映し出したのは、風化したひび割れたコンクリートの壁面と、規則正しく配置された埋め込み型の配管、そして天井を走る太い電線ケーブルの束だった

 

「構造体……!? 崩落した廃校舎の地下に、こんな人工的な施設が存在していたなんて……」

 

ネカが目を見開き、スキャナーを壁面に当ててデータを読み取り始める

 

「データ解析……壁面のコンクリート強度および配合パターンから推測すると、ネクストライスクールが設立される以前……数十年以上前に存在していた旧学園の地下インフラ施設です! 旧図面には存在しなかった非公開の区画ですね」

 

「よし。上がダメなら、この地下施設を探索して別の出口を探すしかない。線路や排水路、あるいは管理用の階段があるはずだ。全員、警戒を怠らずに足元に気をつけて進むぞ」

 

「「了解っす/はいっ!」」

 

先生を中央に挟み込む形で陣形を組み、一行は地下施設の奥へと広がる未知の暗闇へ足を踏み出した

 

 

 

ギシ……ギシ……

 

重苦しい静寂が支配する空間に、4人の足音だけが静かに響く

空気は冷たく湿り気を帯びており、微かに古い機械油と金属が酸化した匂いが漂っていた

 

「リーダー、ここって昔は何に使われていた場所なんすかね?」

 

肩に大型機関銃『ラッシュTHEネーム』を担いだヘルタが、周囲の壁をキョロキョロと見回しながら尋ねる

 

「さあな。ネクストライの敷地になる前の古い施設だ。規模から言っても、ただの備品倉庫や防空壕の類じゃない。なにか大型の資材や設備を隠走するための拠点だった可能性がある」

 

「……レイカ先輩、見てください! 足元に何かあります!」

 

歩を進めていたネカが足を止め、ライトの光を足元へ集中させた

埃と砕けたコンクリートの粉塵に埋もれていた床面。そこをレイカがブーツの底で払いのけると、鈍い銀色の光沢線が浮き出た

 

「これは……鋼鉄のレール(線路)……!?」

 

「本当だ……! 二条の軌条が平行して奥へ伸びているね」

 

先生が屈み込み、線路の表面を指で軽く触った

 

「幅は一般的な標準軌かな。しっかりと床に固定されている。地上からこの地下施設へ、大量の物資や大型機材を運び込むための専用引き込み線だったのかもしれない」

 

「線路が敷かれているってことは、どこかへ繋がっている証拠っすよ!」

 

ヘルタがパッと表情を明るくさせた

 

「線路をたどっていけば、地上への搬出口とか、別の駅みたいな場所に出られるんじゃないっすか!?」

 

「ああ、その可能性は高いな。道迷いのリスクも減る。よし、この線路を追っていくぞ」

 

一行は床を走る二本の鋼鉄線を道標にして、緩やかな下り勾配のトンネルを突き進んだ

しばらく進むと、トンネルの先で線路が複雑に枝分かれし始めていた。ポイント切り替え用の手動レバーや、錆びついた信号機が暗闇の中に浮かび上がる

 

「線路が何本も増えていく……! レイカ先輩、この先は……!」

 

「分岐操車場か、あるいは……」

 

レイカたちが巨大な強化スチール製の防水シャッター――経年劣化で大きく歪み、半開きになった隙間を潜り抜けた瞬間、ライトの光軸が広大な大空間を捉えた

 

「「「うわあぁぁぁ……っ!!」」」

 

全員の口から、感嘆の吐息が漏れた

 

そこは、サッカーグラウンドがすっぽり収まるほどの巨大なドック——地下車両基地だった

 

天井からは巨大な移動式クレーンのフレームが吊り下げられ、壁沿いには高圧電流の配電盤や油圧整備用のキャットウォークが多層階に渡って張り巡らされている。無数の工具ラックやパーツボックスが整然と並び、かつてここが高度な機械整備の拠点であったことを物語っていた

 

「すごいっす……! 地下にこんな巨大なメカ基地が隠されてたなんて、男の……じゃなくて乙女のロマンっすよ!!」

 

ヘルタが目を輝かせてキャットウォークを見上げ、跳ね回る

 

「落ち着けヘルタ。だが、本当に大した規模だな……。ヒバナやサレが見たら狂喜乱舞しそうな設備だぜ」

 

レイカが苦笑しながらライトをドックの中央、メインの1番線ピットへと向けた

 

「……待て。ピットの上に……何かあるぞ」

 

「え……?」

 

ライトの束が一線に集まり、暗闇の中に鎮座する巨大な構造体を浮き彫りにした。

 

 

 

そこに佇んでいたのは、圧倒的な存在感を放つ一両の「貨物機関車」だった

 

「機……機関車……!?」

 

ネカが丸眼鏡を押し上げ、絶句する

 

その姿は、かつて日本で運用されていた重厚な箱型・凸型のディーゼル機関車(DD51やDE10といった名車)を想起させる力強い骨組みと武骨なシルエットを持っていた。しかし、単なる旧時代の遺物ではなかった

 

車体全体は、ツヤを抑えた洗練された「純白」を基調に塗装されている

フロントパネルや側面には、軽量高張力合板と複合装甲プレートが追加リベット留めされており、鋭利なLED高輝度ヘッドライト群や、電磁パルスシールドの発生ユニットと思われる幾何学的なディテールが整然と組み込まれていた

 

武骨なレトロデザインと、最先端の近未来技術が見事に融合した——まさに「近代化カスタム」が施された異形の鉄の獣

 

「な、なんすかこれ……めちゃくちゃかっこいいっす!!」

 

ヘルタが我慢できずに機関車の側面へ駆け寄り、装甲プレートをペタペタと触りまくる

 

「白いボディにゴツい装甲……重厚感があるのに古臭さを感じさせない……! これ、本当に数十年も前に放置されたものなんすか!?」

 

「いや……後から誰かが手を加えたか、あるいは当時最新鋭の試作機として開発されていたのか……」

 

レイカは機関車のキャブ(運転席)のステップに手をかけ、ひらりと身軽に昇降口へ登った

 

「先生、ネカ、ヘルタ! 中を調べるぞ!」

 

4人は運転室の扉を開け、内部へと滑り込んだ

広い運転室には、重厚なスロットルレバーやブレーキハンドル、アナログの圧力ゲージが並ぶ一方で、センターコンソールには最新型のタッチパネル式マルチモニターや、ネクストライスクールでも見かけるような高密度バッテリー用接続コネクタが後付けされていた

 

「ネカ、スキャナーでシステムの生存確認と、動力源のチェックをしてくれ」

 

「は、はいっ! システムアナライズ起動します……!」

 

ネカが端末を機関車のメインコンソールに接続し、データケーブルを打ち込む。ホログラム画面に緑色の波形と高速でスクロールする英数字が浮かび上がった

 

「……信じられません。主要回路、生存率78%……! 定期的な自動防腐処理回路が生きていたようです!」

 

「動力源はどうだ? 昔のディーゼルか? それとも電気か?」

 

「両方のハイブリッド構造です! 基本メインエンジンは高効率のバイオ合成燃料を使用する内燃機関ですが、大容量キャパシタと電動モーターを併設した高出力ハイブリッド方式ですね」

 

ネカが画面の数値を食い入るように見つめながら声を弾ませる

 

「そして……奇跡的です! 燃料タンクを確認しましたが、完全密閉式の不活性ガス封入タンクになっており、内部の合成燃料は全く劣化していません! 満タン近く残っています!」

 

「燃料が残ってる……!? 本当かネカ!?」

 

「はい! ただ、長年の休眠によってメインバッテリーが完全に放電状態にあります。そのため制御コンピュータが立ち上がらず、スターターセルが回らない状態です。……ですが!」

 

ネカが眼鏡の奥の瞳をキラリと光らせた

 

「予備の補助電源ラインをバイパスし、外部から一時的な初期電圧を叩き込んでやって、セルモーターの固着を手動で解除してあげれば……この機関車、動きます!!」

 

 

 

「動く……! 本当に動くのか!?」

 

レイカの胸に、熱い高揚感が込み上げてきた

 

ただ埋もれて救援を待つだけの防戦一方から、己の力で切り拓く攻勢へ

この広大な地下空間を繋ぐ線路の先には、必ず地上や外部の路線へと抜けるルートが存在するはずだ

 

「よし……! 決定だ」

 

レイカは不敵な笑みを浮かべ、愛銃『ゼロモーメントポイント』のグリップをポンと叩いた

 

「この機関車を修理・起動して、この闇の地下通路を突破する! 地上へ脱出するための俺たちの『エクスプレス』だ!」

 

「賛成っすリーダー!!」

 

ヘルタが機関銃を掲げて叫んだ

 

「暗いところでウジウジ待つのは自分たちの性に合わないっす! このカッコいい白い機関車で、爆音鳴らして脱出してやるっす!!」

 

「私も賛成です……! 機関車の構造データと整備マニュアルのデータ、一部システムから復元できました! 手順さえ分かれば、私たちの技術力で十分に修理・起動可能です!」

 

ネカも緊張を吹き飛ばし、真面目で力強い表情を見せた

 

「私も手伝えることを何でもやるよ」

 

先生が頼もしく頷き、みんなの顔を見渡す

 

「整備の作業分担を決めよう。レイカが全体の指揮と重作業、ネカがシステムのバイパスと回路復旧、ヘルタと私で機械系のオイル注油や手動セルの固着解除を担当しよう」

 

「最高だ、先生!」

 

レイカは腕の『ミスティック・ナイトロシステム』の表示を確認し、的確に指示を飛ばした

 

「作業開始だ! ネカは運転室で制御盤のバイパス処理! ヘルタと先生はエンジンルームへ回って、V型エンジンのクランクシャフトとスターターギヤの固着チェック! 俺は高電圧バッテリーの充電ラインを作業用バッテリーと直接繋ぎ直す!」

 

「「「了解!!」」」

 

こうして、崩落した地下深域の静寂の中に、整備工具の打撃音と作業の声援が響き渡り始めた

 

 

 

「くっ……固いっすねこのギヤ! オイルが固まりかけてるっす!」

 

機関車の横腹、重厚なエンジンハッチを開放した整備スペースで、ヘルタが巨大なスパナを両手で握り締め、汗をかきながらボルトに体重をかけていた

 

「ヘルタ、焦らなくていいよ。浸透潤滑スプレーを吹きかけて、少し置いてから回してみよう」

 

先生がハンディライトでギヤの噛み合わせを照らし、潤滑油を丁寧に注ぎ込んでいく

 

「あ、ズルッと動いたっす! 先生、回ったっすよ!」

 

「よし、これでスターターギヤの固着は解除されたね。エンジンブロックの動作系はクリアだ!」

 

一方、運転室の床下に潜り込んだネカは、無数のカラフルな配線と基板が入り組んだ制御ユニットと格闘していた

 

「ええと……旧規格の制御線路を、ネクストライ式のパルス変換回路にブリッジして……あ、違います、この青い線をサブアースへ落として……!」

 

ネカは汗で丸眼鏡を曇らせながらも、持ち前の知的好奇心と精密な観察眼を発揮していた

 

(レイカ先輩たちが作ってくれたネクストライスクール…… その技術の根底にあるパルス技術の伝達理論…… 予習しておいて本当によかった……!)

 

ネカは前世の知識と、ネクストライで学んだ最新の工学知識を頭の中でフル回転させ、失われた回路を一つ一つ繋ぎ直していく

 

そして機関車の底部、バッテリーピット

レイカは携行していた予備のシールドバッテリーと、自身の愛銃『ゼロモーメントポイント』の高出力パルスセルを配線で直結していた

 

「へっ、まさか自分の銃のバッテリーからバイパス電源を取ることになるとはな」

 

レイカはニヤリと笑い、配線の絶縁テープをしっかりと巻き直した

 

「よし! バッテリーバイパス完了! ネカ、システムの通電テストはどうだ!?」

 

「はいっ! メインスイッチ、投入します……!」

 

ネカが息を呑み、センターコンソールの赤いメインブレーカーを力いっぱい押し下げた

 

カチッ……!

 

じわ……っと、暗かった運転室のメーターパネルに、鮮やかな琥珀色の光が灯る

アナログの圧力計や電圧計の針がビクッと跳ね上がり、マルチモニターに「SYSTEM BOOTING...」の英字が浮かび上がった

 

「通電成功です……!! システム、無事に起動しました!!」

 

「よっしゃあぁぁっ!!」

 

ヘルタがエンジンルームから飛び出してきて歓声を上げる

 

「残るは……エンジンの始動だけだな!」

 

レイカが運転席の主スロットルレバーを握り締め、先生、ヘルタ、ネカの3人が固唾を呑んで見守る

 

「みんな、しっかり掴まってろよ! 一発で叩き起こす!」

 

レイカはスタートボタンを強く押し込んだ

 

キュキュキュキュキュキュキュキュキュ…………!!

 

スターターモーターが甲高い金属音を立てて高速回転を始める

しかし、数十年もの眠りについていた巨大なV型内燃機関は、すぐには目を覚まさない。燃料ラインのエア噛みと、冷え切ったシリンダーが抵抗となって苦しげな音を立てる

 

キュキュキュ……キュキュ……

 

「頑張れ……! 動いてくれっす……!!」

 

ヘルタが祈るように両手を握り締める

 

「燃料ポンプ圧上昇……! シリンダー内圧力正常……! いけます、かかってください……!」

 

ネカがモニターの数値を叫ぶ

 

レイカは目を鋭く光らせ、握りしめたスロットルレバーを僅かに押し込んだ

 

「動いてくれ……!」

 

キュキュキュ……——ドウォォォォンッ!!!!

 

重厚な爆発音が地下ドック全体を震わせた

2本の巨大な排気管から黒煙が吐き出され、続いて腹の底に響くような力強いアイドリング音覚醒の咆哮が轟いた

 

ズズズズズ……ズドドドドドドド……!!!

 

メーターパネルの圧力計が一気に緑の安全圏へと振り切れ、車体全体が生き物のように心地よく振動し始める

 

「「「かかったあああぁぁぁぁぁっ!!!?」」」

 

レイカはウルフカットを揺らし、最高の笑顔で親指を立ててみせた

 

「完璧です……! 各部圧力、油温、電圧、すべて正常範囲内! この機関車、完璧に走れます!!」

 

「やったっす! やったっすリーダー! 先生!」

 

ヘルタとネカが跳び上がって抱き合い、先生も胸を撫で下ろして眩しそうに輝く白き機関車のキャブを見渡した

 

純白の装甲を誇る貨物機関車——地下の眠りから目覚めたこの『白き急行』は、暗闇の中で頼もしいヘッドライトの光を一直線に照射していた

 

「よし、全員搭乗完了だな!」

 

レイカが運転席に腰を下ろし、ブレーキ解除のエアバルブを開放する

 

「あれ?リーダー?貨物も連結したままですがいいんすか?」

 

「あ……でも外すのもだし、このままいくか……」

 

シューッ……! と甲高いエア排出音が響き、固着していた制動装置が完全に解かれた

 

「行こう、みんな。この地下を突き抜けて、地上へ帰るぞ!」

 

「「「オーッ!!!!」」」

 

力強い歓声とともに、レイカはスロットルレバーを前進位置へと倒し込んだ

 

重厚なジョイント音を響かせ、白き貨物機関車は静かに、しかし確実に、未知の地下軌道の奥へと向かって加速を開始したのだった――

 




キャラ設定

天笠ネカ
前世が高校生でブルアカをかなりやりこんでおり、少し癖のある黒髪を後ろで緩くまとめており、丸眼鏡を身につけている
自身の銃である『Shotゴー』はアメリカ軍に配備されているMK153 SMAWをもとになっている


イベントストーリー時期
時計仕掛けのパヴァーヌ編第二章後となっており、第二章 波動を証明するフォーレ Vol.16 報告とネクストステージと第三章との間の話となっている
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