転生者共の学園生活   作:矢守龍

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Vol.3 出口を探して

ゴトッ、ゴトッ、ゴトッ……!

 

重厚なジョイント音を響かせ、白き貨物機関車は地下の暗黒トンネルを力強く疾走していた

運転席のフロントガラスに反射するヘッドライトの光が、次々と流れていくコンクリートの壁面を白く照らし出す。車体後方には、何が積まれているのか分からない謎の貨物コンテナをしっかりと連結したままだ

 

「調子は上々だな。足回りの異音もなし、出力系統も安定している」

 

運転席のメインコンソールに手を添えながら、赤坂レイカは満足そうに頷いた

ウルフカットの黒髪が、計器類の琥珀色の光に照らされて揺れている。毛先の鮮やかなターコイズブルーが、狭いキャブの中で微かにアクセントになっていた

 

「すごいっすよリーダー! こんな古い地下路線なのに、まるで整備された専用軌道みたいにスムーズに走ってるっす!」

 

助手席側のスペースで、霧状ヘルタが身を乗り出すようにして窓の外の暗闇を覗き込んでいる。その肩には、いつでも展開できるように大型機関銃『ラッシュTHEネーム』のストックが控えめに立てかけられていた

 

「そうだね。レイカが見事にエンジンを叩き起こしてくれたおかげだ。しかし……」

 

中央の簡易シートに腰掛け、スーツの裾を整えながら先生が柔らかな笑みを浮かべた

先生はふと、窓の外から視線を戻し、隣でハンドルを握るレイカの横顔に目を向ける

 

「こうして落ち着いて話すのは久しぶりだね、レイカ。……少し、ネクストライスクールについて教えてくれないかい? 君が中心となってこの学園を立ち上げ、今や全校生徒が1300名を超える巨大な独立学園にまで発展させたその経緯をさ」

 

先生の穏やかな問いかけに、レイカは少しだけ苦笑いを浮かべ、片手でウルフカットの髪を軽く掻き回した

 

「教えると言っても、大層なものじゃないさ……。ただ、俺たちがこのキヴォトスという世界で、自分たちの居場所と未来を自らの手で掴み取りたかった。それだけだ」

 

レイカは言葉を選ぶように、ほんの一瞬だけ視線を落とした

(もちろん、「前世の記憶」や「日本」といった本当の事情——転生者としての機密規則に関わる部分は絶対に伏せる必要があるが……)

 

「元々、俺やハレカ、アリカたちが初期の段階で集まったとき、この世界でただ流されるまま生きるんじゃなくて、自分たちの足で立てる場所が必要だと思ったんだ。理不尽なトラブルや、外部からの脅威に屈しないだけの『力』と『組織』を自分たちの手で作ろうってな。……それが、ネクストライスクールを立ち上げたきっかけだ」

 

「自分たちの居場所と、未来を作るための学園……。トリニティやゲヘナ、ミレニアムと並び、『第4の学園』と呼ばれるまでにネクストライを成長させた君たちの苦労は、並大抵のものではなかったはずだね」

 

先生が感心したように目を細めると、隣で聞いていたヘルタがフンッと威張るように胸を張った

 

「そうっすよ! リーダーやハレカ先輩の苦労は半端じゃなかったっすからね! 特にリーダーなんて、聞いた話だと創初期は生徒会長として寝る間も惜しんで学園の基盤を作って、そのあとにハレカ先輩へ生徒会長の座を譲ったあとも、現場の総責任者として走りっぱなしなんすから!」

 

ヘルタはそこまで言うと、急にニヤニヤとした悪戯っぽい笑みを浮かべて先生の方を向いた

 

「それにしても先生、聞いて驚くっすよ? リーダーってば、普段あんなにカッコよく現場の指揮とか執ってますけど、私生活……っていうかDUシラトリ地区にある自分の家じゃ、結構なマイペースなんすからね!」*1

 

「お、おいヘルタ、余計なこと……」

 

レイカが思わず冷や汗をかきながら制止しようとしたが、元気な2年生の勢いは止まらない

 

「だってもっと聞いてほしいっすもん! リーダーの家、なんか休日に自分が勝手に合鍵……じゃなくて、勝手にピンポン押して上がり込んでも、お茶入れてくれたりして普通に迎えてくれるっすよ! この前なんて、冷蔵庫にあったプリンを勝手に食べたら『あとで買いに行けよ』って言われただけで怒られもしなかったっす!」

 

「それ、勝手に人の家であんたが我が物顔でくつろいでるだけだろ……! ていうか何で俺の私生活の暴露大会が始まってんだよ!」

 

レイカが頭を抱えてツッコミを入れると、後方のシートに座っていた1年生の天笠ネカが、丸眼鏡をキュッと押し上げながらクスリと笑った

 

 

「ふふっ、ヘルタ先輩は相変わらずリーダーのプライベートに侵入しすぎですね。……でも、ヘルタ先輩だって人のこと言えませんよね?」

 

ネカがクスクスと笑いながら、ヘルタへと視線を向けた

 

「えっ? 自分がどうかしたっすか? ネカちゃん」

 

「だってヘルタ先輩、休日になるとよくレイカ先輩に半ば強制連行されるみたいに、防衛部の演習場や特訓エリアに連れていかれてるじゃないですか。『鬼のリーダーにしごかれてヘトヘトっす~』って、この前執務室の机でグッタリしてたのは誰でしたっけ?」

 

ネカの鋭い指摘に、今度はヘルタが「ぐっ……!」と言葉を詰まらせ、顔を真っ赤にして慌てた

 

「そ、それはあれっすよ! 次の防衛任務や生徒会補佐としての実地訓練の一環として、リーダーが特別にスパルタメニューを組んでくれてるだけっす! ……まあ、あの特訓メニューは死ぬほどキツイっすけど!」

 

「身を守るためだ、文句言うな。お前が日頃からトラブルメーカー気質を発揮して突っ走るから、いざって時に足腰が立たなくて困らないように基礎を叩き込んでやってるんだろ」

 

レイカが苦笑しながらハンドルを操作しつつ、バックミラー越しに後ろを振り返る

 

「むー、まあ感謝はしてるっすけど……。でもリーダーの特訓、容赦ないっすもん!」

 

キャブの中に明るい笑い声が広がり、さっきまでの地下の閉塞感や緊迫した空気が少しだけ和らいだ

 

「こうして見ていると、学年の壁を越えて本当に仲がいいんだね。ネクストライがこれだけの規模に急成長した理由が、少し分かった気がするよ」

 

先生が温かい眼差しでレイカたちを見渡すと、ネカは少し表情を引き締め、ピンと背筋を伸ばした

 

「……あ、そういえば、さっきからずっと話そうと思っていたんですけど……」

 

「ん? どうしたネカ」

 

ネカが手元のタブレット端末を軽くタップしながら、少し心配そうな、しかし好奇心旺盛な目を光らせた

 

「アーティファクト研究部の部長である青花ヒバナ先輩のことなんですけど……地下ドックへ落ちる直前、執務室の端っこでまた何か新しいものをコソコソと組み立ててたんですよね」

 

その名前が出た瞬間、レイカの眉間がピクッと痙攣した

ハンドルを握る手に、わずかに力が入る

 

「……ヒバナが? あの研究狂がまた何か作ってたのか……?」

 

「はい。何というか……ヒバナ先輩、最近またオーパーツの解析データと、学園内のスクラップ置き場からかき集めてきた金属パーツを組み合わせて、新しい試作品の設計図をニヤニヤしながら眺めていたんです」

 

ネカのその言葉に、運転席の空気が一気にピリついた

レイカは思わず深い溜息をつき、両手で顔を覆いたい衝動に駆られた

 

「勘弁してくれ……。あいつが何か新しいものを作り始めると、大体ロクでもない大騒動か、前代未聞の超兵器が完成するんだよ……。この前だって……いや、思い出すだけでも胃が痛い」

 

ネカが首を傾げ、さらに続けようと口を開いた

 

「ええとですね、なんでも今度は……『手持ちで扱えるサイズだけど、圧倒的な火力を叩き出す特殊な剣』を作っているとか何とか……。機動力の高い戦闘員が個人携行して、一撃で戦局をひっくり返せるような代物らしいです。周囲の部員たちにも手伝わせて、工芸部の佐屋サレ先輩のところにも素材を発注しに行ってましたよ」

 

「「…………は?」」

 

レイカとヘルタの動きが、完全にピタリと止まった

 

 

「い、今……ネカ、何て言った?」

 

レイカの声音から、先ほどまでの余裕が綺麗に消え去っていた

 

「え? だから、手持ちサイズの特殊な剣を……」

 

「ちょっと待て。手持ちサイズって言ってもな……あいつが作る剣だ。ただの剣のわけがないだろう?」

 

「それがですね……設計図の数値を見たんですけど、単なる近接武器の枠に収まっていなくてですね。刀身自体に高密度なエネルギー収束フィールドを展開可能で、対艦戦闘すら視野に入れたような超破壊力を秘めた剣だとか……」

 

ネカがサラッと恐ろしい事実を告げた瞬間、レイカの脳裏に、以前ヒバナが口走っていた危険な研究計画の断片が鮮やかに蘇った

 

(まさか……あの時言ってた試作コンセプトを形にしてるのか!? 以前みんなで開発した超巨大な『ランゲージフィルム』の技術を無理やり個人携行サイズに凝縮して、手持ちの超兵器に落とし込もうって魂胆か……!?)

 

レイカの背筋に、冷たいものがサーッと流れた

個人の腕力や神秘出力で強引に扱う前提の、ぶっ飛んだ兵器を作り上げようとしているヒバナの姿が目に浮かぶ

 

「絶対に……絶対に嫌な予感しかしない!!」

 

レイカは思わず声を張り上げ、ハンドルをガタガタと揺らした

 

「あいつ、この前の時だって散々周囲をハラハラさせたってのに、今度はまた何を企んでやがるんだ……! 俺が現場の総責任者として留守にしている隙に、学園の敷地内でとんでもない化け物を生み出す気かあいつは……!」

 

レイカの焦り様を見て、ヘルタは乾いた笑いを浮かべるしかなかった

 

「あ、ははは……。ヒバナ先輩のことだから、きっとまた『ロマンです』とか言って、とんでもないオーバースペックの剣を完成させてるっすよ……。戻った頃には、研究部のフロアの壁に大穴が空いてたりして……」

 

「笑い事じゃねえよ! 帰ったら速攻でアーティファクト研究部に突撃して、ヒバナの野郎の計画を厳しく監査してやる……!」

 

レイカが頭を抱えて頭痛を堪えていると、ネカはキョトンとした顔で首をかしげた

 

「れ、レイカ先輩、そんなに嫌な予感しなくても……もしかしたら、すごく役に立つ強力な切り札かもしれませんよ?」

 

「いいや、ヒバナが作る『強力な切り札』の大半は、俺たちの胃に穴を開けるか、予算吹っ飛ぶ代物と相場が決まってるんだよ……!」

 

白き貨物機関車は、運転席でのそんな慌ただしい絶叫と苦笑いを乗せたまま、さらに地下深くに広がる未知の軌道の闇へと、轟音を上げて突っ込んでいくのだった――

 

*1:
転生者の共に学園を Vol.0 転生した―― にてレイカが最初にいた家




あとがき
はい、今回はあまり書いてこなかったネクサスライの生徒のイメージ立ち絵をAIを使って書いてみました……
  
まず手始めに天笠ネカのイメージを書いてみましたが……まぁ、こんなものかな?と思っています
まだまだ詰められると思うので宜しくお願いします!
ちなみに、ブルアカや色々な事が書かれてますがこれは読書側専用ということで小説内の先生や生徒には見れません

天笠ネカ

【挿絵表示】


キャラ性能

天笠ネカ ☆1
SPECIAL
爆発
軽装甲
サポーター

EXスキル サーチング・ゴー
味方一人に対して、スキルコスト減少とEXスキル効果を45%増加を付与

ノーマルスキル 生徒会サポート体制
毎40秒ごとに敵に対して円状に250%分のダメージを与える

パッシブスキル 執務補佐の仕事
攻撃力を47%増加

サブスキル 執務効率化
コスト回復量を12%増加
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