投票の結果、佐藤アリカ次点で青花ヒバナに決まりました!
なので、今回は一番目はアリカが主役となっています!
ネクストライスクールの広大な敷地内には、連邦生徒会の承認を受けて急ピッチで整備された真新しいアスファルトと、かつてそこにあった遺物の名残が奇妙な調和を見せていた
その一角、穏やかな陽光が差し込む中庭のベンチで、一人の少女が大きな伸びをした
佐藤アリカ。前世は大学生の女性であり、現在はスポーティーで活発な印象を与える小柄な体躯を躍らせるように動く、感情豊かな少女だ。金髪のツインテールが軽やかに揺れ、彼女が表情をコロコロと変えるたびに、周囲の空気がパッと明るくなるような華やかさがあった
「ふあー、今日もあっちこっち走り回って足がパンパンやわ! でも、みんな一生懸命やし、ウチもじっとしてられへんねんな!」
興奮気味に独り言を呟いたアリカは、無意識のうちに故郷の言葉である播州弁を零していた
彼女の今日のスケジュールは、学園内の様々な部活のヘルプで埋め尽くされている
朝一番には木村ミヤカが率いる土建部の現場に顔を出し、改修工事中の校舎で資材の運搬を手伝い、その圧倒的な力仕事の早さにガテン系の作業員崩れの生徒たちから喝采を浴びた
昼前には佐屋サレが部長を務める工芸部に赴き、ガラス細工の微細な仕分け作業を器用にこなし、そして午後は防衛部や物資管理の雑務を引き受けて、学園の隅々まで足を運んでいたのだ
動きやすいジャージ風のコーディネートに身を包んだアリカは、額にうっすらと浮かんだ汗をタオルで拭いながら、ふと息をついた
「さて、次は……北棟の倉庫にある資材の確認やってな。赤坂レイカちゃんや高橋ミナサちゃんみたいに目立った神秘があるわけやないけど、ウチにできることなら何でもやったるねん!」
レイカは黒のウルフカットにターコイズカラーの毛先が映えるボーイッシュな美少女で、「絶対的な加速」という規格外の神秘を持っている
ミナサは柔らかく落ち着いた佇まいでありながら、「拡張された聴覚」という鋭敏な知覚能力を誇る
そんな友人たちの背中を見てきたからこそ、アリカは自分の足で動き、このネクストライスクールを支える一員でありたいと強く願っていた
しかし、その平穏な日常の裏で、不穏な影が忍び寄っていることを、この時のアリカはまだ知る由もなかった
ネクストライスクールは、キヴォトスの既存の三大巨大学園(ゲヘナ、トリニティ、ミレニアム)に並ぶ、あるいはそれを脅かす「第4の学園」として、急速にその知名度と勢力を拡大していた。その急激な成長は、当然ながら外部からの巨大な関心、そして時として悪意ある視線を引き寄せることになる
北棟の裏手、古びた防空壕の入り口付近に差し掛かった時だった
ミナサほどではないものの、活発に動き回る中で鍛えられたアリカの直感が、ピリリと波立った
「……ん? なんか、変な音がする……」
遠くから、微かに重低音の足音が響く。それは学園の生徒たちが履くスニーカーの軽快な音ではなく、硬質なコンバットブーツがアスファルトを踏みしめる、規律正しい、しかし異様なプレッシャーを伴う足音だった
さらに、低くくぐもった無線通信の音声や、金属装甲が擦れ合う音が風に乗って微かに届いてくる
アリカは反射的に身をかがめ、物陰に身を隠した
「嘘やろ……こんなところに、誰や?」
そっと顔を覗かせると、そこには見慣れない迷彩服に身を包み、最新鋭の重火器を構えた屈強な男たちの姿があった。企業のロゴが刻まれた防弾プレート、無機質なヘルメット。キヴォトスの裏社会や商業エリアで暗躍する民間軍事会社、カイザーPMCの戦闘部隊だった
数にして優に一小隊規模。彼らは隠密裏に学園の防衛網の隙間を縫い、地下に眠る未知のオーパーツのデータや、新興勢力であるネクストライスクールのインフラ情報を強奪するために侵入してきたのだ
(よりによって、なんでこんな時に……! 通信機でみんなに知らせようとしたら、あかん、電波ジャミングかけられてるわ!)
手持ちの端末を確認すると、画面のアンテナピクトは綺麗に消え去っていた。完全に孤立無援の状況
カイザーの部隊はすでに周囲を制圧しつつあり、このままでは北棟の倉庫や、その奥にあるアーティファクト研究部の重要区画が敵の手に落ちてしまう。
そうなれば、青花ヒバナたちが命がけで解析している技術が奪われ、学園全体の安全が脅かされることになる
アリカの胸の内で、恐怖と、それを上回る激しい怒りが沸騰した
「ふざけんなや……! せっかくみんなで作り上げたこの学園を、勝手に荒らされてたまるか!」
小柄な身体から、ピリッとした緊張感と闘志が放たれる
アリカは背中に背負っていた銃をスリングから外しを静かに手に持つ。彼女の相棒であり、命綱でもある銃火器──ゴー!ジャンプ!なった
それは、転生してからずっと持っていた銃でありレイカがゼロモーメントポイントと名付けたように、自身も明日へ飛んでいくという意味でつけた銃でもあった……
分厚いドラムマガジンが装着されたその銃は、一見すると少女が扱うにはあまりにも重く、荒々しすぎる代物だったが、アリカはその重みを心地よい手応えとしてしっかりと受け止めた
「ウチの機嫌を損ねたこと、後悔させてあげるわ!」
敵の先頭を進む偵察班の兵士二人が、ちょうどアリカの隠れる物陰のすぐ脇を通り過ぎようとしたその瞬間
「――そこやっ!」
アリカは物陰から飛び出し、一気に間合いを詰めた
突然の奇襲にカイザーの兵士が驚愕し、慌ててライフルを向けようとするが、それよりも早くアリカの指がトリガーを引いた
ドガガガガガガッ!
炸裂するような轟音と共に、12ゲージの散弾がフルオート連射される……
元の銃がAA-12である為、特有の優れた反動制御機構により、小柄なアリカの身体が吹き飛ばされることはないが、その一撃一撃は確実に対象の重装甲を粉砕するだけのエネルギーを叩き出した
「ぐあっ……! なんだ、ガキ一人だと……!?」
「ガキって言うな! 舐めとったら痛い目見るでほんまに!」
不意を突かれた一人は相転移シールドの試作品を持っていなかったのか、圧倒的な制圧力の前にたまらず吹き飛び、地面に倒れ伏した
もう一人の兵士が慌てて反撃の銃口を向けようとするが、アリカは身軽なステップでその場を飛び退き、建物の柱を蹴って軌道を変えながら、隙だらけの胴体へ正確に銃撃を叩き込む
ガガガガッ!
「うわああ!」と叫びながら、二人目の兵士も力なく崩れ落ちた
しかし、銃声が響いたことで、周囲に展開していたカイザーPMCの主力部隊が即座に反応した
「敵襲だ! 北棟裏手、侵入者あり! ガキ一人のみ、だが重武装だ! 制圧しろ!」
無線を通じた怒声と共に、角の向こうから次々と屈強な傭兵たちが十人以上姿を現す……
圧倒的な物量と火力の差が、アリカの小さな背中に重くのしかかった
普通であれば逃げ出すべき状況だったが、アリカの表情は恐怖ではなく、むしろ闘志に満ち溢れたコロコロと変わる豊かな感情のなかで、戦闘狂のような鋭い光を帯びていた
「上等やないか! ウチを誰やと思ってんねん!」
アリカはドラムマガジンを素早く確認し、敵の密集地帯に向けて突撃を開始した
彼女にはレイカのような空間加速の神秘も、ミナサのような超聴覚もない。だが、前世の大学生としての冷静な思考力と、日々の部活の手伝いで鍛え上げられた抜群の身体能力、そして何より「この学園を守りたい」という強い意志があった
敵からの銃弾が、アリカの足元や周囲の壁を激しく抉る。コンクリートの破片が飛び散り、空気が熱を帯びる
「かすりもしぃひんわ!」
アリカは地面スレスレに身体を滑り込ませるようにスライディングし、敵の射線をくぐり抜ける。驚異的な反射神経で距離を詰めると、「ゴー!ジャンプ!」の銃口を敵の足元や武器の構えに向けて容赦なく放った
ドゴォォンッ!
至近距離から放たれるショットガンの圧倒的な制圧力は、カイザーの屈強な傭兵たちのバランスを完全に崩した。防弾装甲をまとっていまいと、12ゲージの衝撃波は内臓を揺らし、立て続けに放たれる連射は彼らに反撃の隙を与えない
「くそっ、なんだこの火力は……! バケモノめ!」
「バケモノちゃうわ、乙女の怒りや!」
アリカは軽快なフットワークで翻弄しつつ、遮蔽物を巧みに利用して敵の包囲網を一つずつ切り崩していく
「ていや!!」
ボギッ!
一人が銃撃を避けようと後ろに下がった隙を逃さず、アリカは一気に踏み込んで銃のストックで直接相手の顎を打ち抜いた
肉弾戦の鋭い一撃に、傭兵は白目を剥いてその場に倒れ込む
しかし、敵もただやられているわけではない。増援の部隊がさらに押し寄せ、アリカの退路を完全に塞ぎにかかった
「囲め! 逃がすな!」
四方八方から向けられる銃口。絶体絶命の包囲網……
アリカは息を荒くしながらも、ふっと不敵な笑みを浮かべた。播州弁特有のイントネーションで、彼女は独りごちる
「ほんま、しつこい連中やなぁ……。でもな、ここまでやられたら、ウチかて本気出さなあかんやろ?」
アリカは「ゴー!ジャンプ!」の機関部に仕込まれていた最後のパルスチャージを全解放した
それはアーティファクト研究部がパルスライフルと同じ装置を組み込まれてたもの……
銃身が青白く発光し、周囲の空気がピリピリと震え始める
「まとめて吹き飛んどけやあああっ!」
トリガーを押しっぱなしにした瞬間、通常のショットガンとは比較にならないほどの超高圧の衝撃波と弾丸の嵐が、扇状に前方の空間を完全に薙ぎ払った
ドゴォォォォン!!
凄まじい爆風と閃光が北棟の裏手を包み込み、押し寄せていたカイザーPMCの部隊は、その圧倒的なエネルギーの前にまとめて吹き飛ばされ、次々と戦闘不能に陥って地面に沈んでいった
静寂が戻ったのは、ほんの数秒後のことだった
煙が立ち込める中、アリカは肩で息をしながらも、「ゴー!ジャンプ!」をしっかりと構えたままその場に踏みとどまっていた。小さな身体はかすかに震えていたが、その瞳には強い光が宿っていた
「ふう……危なかったぁ……。けど、なんとかなったやん!」
その時、遠くから慌ただしい足音が響いてきた
「アリカっ! 大丈夫!?」
「今の爆音、こっちから聞こえたぞ!!」
聞き覚えのある声に振り返ると、そこには心配そうな顔をした赤坂レイカと、高橋ミナサの姿があった。レイカの黒髪ウルフカットの毛先が風に揺れ、ミナサは周囲の音を聞き分けながら真っ直ぐに駆け寄ってくる。さらに少し遅れて、土建部や防衛部の生徒たちも続々と集結してきた
現場の惨状と、倒れているカイザーの傭兵たちを見たレイカは、目を見開いて息を呑んだ
「アリカ、一人でこいつらを……?」
「うん! なんとか撃退したで! ……って、もう、めっちゃ怖かったんやからな!」
強がりを引っ込めて、アリカは急にへなへなと地面に座り込み、感情豊かな顔をクシャッとさせて泣き笑いのような表情を作った
ミナサは優しく微笑みながらアリカに歩み寄り、そっとその肩を抱き寄せた
「お疲れ様、アリカちゃん。怪我はない?」
「服がちょっと汚れたくらいや! それより、学園のデータとかは無事やったから安心してや!」
レイカは倒れている傭兵たちを一瞥したあと、安心したように息をつき、それから頼もしい仲間を見つめて誇らしげに微笑んだ
「さすがやな、アリカ。ウチらの自慢の仲間やで」
「そらそうよ! ネクストライスクールのピンチを救ったんやから、今度みんなでお肉奢ってもらうからな!」
緊張の糸が切れたアリカの明るい声が、まだ少し煙の残る北棟の空に響き渡った
「さてと……干渉に浸るのもいいですが、カイザーの侵入経路を聞き出さなければ……」
「あぁ……今回の件、悪いが全員見なかった事として扱うかもしれんな……」
防衛部の相崎ツヨシとレイカがそう言うと、待機していた防衛部の生徒により、拘束されたカイザーPMCは連れて行かれる……
「ちなみに、どうするつもりで……」
「まぁ、ツヨシさんに任せるつもりでいるから分からないが……まぁ、取り調べだな……」
カイザーPMCによる突然の襲撃という苦難を乗り越えたことで、ネクストライスクールの絆はさらに強固なものとなり、彼女たちは来るべき未来の戦いに向けて、再び歩みを進めるのだった
設定集
ゴー!ジャンプ!
レイカがゼロモーメントポイントと名付けたように、自身も明日へんでいくという意味でつけた
アーティファクト研究部がパルスライフルと同様の仕組みをフルオートショットガンへと移したという経歴があり、一撃の威力を上げるパルスチャージが使用可能となってる
ちなみに似たような改造をゼロモーメントポイントは受けている
どのキャラ主軸のストーリーを見たい?
-
佐藤アリカ
-
高橋ミサカ
-
青花ヒバナ
-
西条ハレカ
-
木村ミヤカ
-
志賀カエデ