カジノのルールなど独自でめっちゃ調べましたが、違うところがあると思います
もし、可能であれば感想などに間違えてた個所やルール書いていただけると幸いです
ゴールデンフリース号の船内にあるネオンと歓声が渦巻く巨大な娯楽施設――「プレイラウンジ」
その一角に据えられた、緑色のフェルトマットが張られた巨大なルーレット台の前に、街肩カリネと立火ジュカの姿があった
不当な言いがかりと身分証明のトラブルによって、優雅なAクラスルームからCクラスへと強制的にランクダウンさせられた二人は、自分たちの名誉と宿泊資格を取り戻すため、このカジノエリアへと足を踏み入れていたのだった
「……さて、ジュカ。手持ちの軍資金は二人合わせて『1000クレジットのチップ、計23枚』。総額で23,000クレジットといったところだね」
カリネは自身のジャケットのポケットから取り出したプラスチック製のチップの束を指先で器用に弾きながら、冷静なトーンで現状の戦力を分析する。一攫千金を狙うギャンブラーとしては決して潤沢とは言えない初期資金だったが、その銀髪の瞳に宿る光はどこか挑戦的で、揺るぎない自信に満ちていた
「はい……。失敗すれば、私たちはこの船でずっとCクラスのまま過ごすことになります。絶対に負けられない戦いですね」
1年生の立火ジュカは、支給されたチップを大事そうに両手で抱え込みながら、ごくりと生唾を飲み込んだ。、生徒会執務補佐としての緊張感と責任感が、その小さな背筋をピンと張り詰めさせていた
周囲では、着飾った乗客たちが「赤だ!」「いや黒に張れ!」「もう一勝負だ!」と嬌声を上げ、ディーラーが繰り出す白亜の小球の行方に一喜一憂している
「まずは、この場のゲームの特性とディーラーの癖を観察しよう。最初から全額を突っ込むのは愚策だ」
カリネはそう告げると、ルーレット台の空いているスペースに寄り添い、まずはゲームの動静を眺めることにした
中央の円盤が、ディーラーの優雅な手つきによって回転させられる
そして、白い小さな玉が高速で回転する円盤の中へと放り込まれた
「ハイ、ベッティング・タイム・イズ・オーバー。ノー・モア・ベット」
ディーラーの涼やかな声とともに、締め切られる
ガラガラガラ……と独特の摩擦音を立てながら、玉は遠心力に逆らうようにルーレットの壁面を滑走する。参加者たちの視線がその一挙手一投足に釘付けになる中、玉は徐々に勢いを失い、傾斜に沿って数字の刻まれたポケットへと落ちていった
パチン、と小さな段差に弾かれ、玉が不規則に跳ねる
そして、数度のバウンドの末に収まったのは――「黒の8」のポケットだった
「あ……黒の8でしたね」
ジュカが結果を確認して小さく呟く
「ふむ……」カリネは腕を組み、わずかに目を細めた。ルーレットの回転速度、ディーラーのリリース時の指の力加減、そして円盤の摩擦係数や段差の摩耗具合。カリネの脳裏で、直前に行われたゲームの物理挙動データが瞬時にスキャンされ、一つの仮説として組み上げられていく
「……なるほど。大体の構造は把握できたよ、ジュカ」
「え? もうですか?」
「ああ。理論上、この手のゲームは完全な確率論に見えて、いくつかの物理的変数を逆算すれば、確率の偏りを十分に予測の範疇に収めることができる」
カリネは冷徹なまでの分析眼を光らせ、次のゲームの開始を待った
再び、ディーラーがルーレットを回転させ、白い玉を放り込む
「ベットをどうぞ!」
周囲の客たちが我れ先にとチップをそれぞれの数字やエリアに投げ入れていく中、カリネは微動だにせず、鋭い視線で回転する玉の軌道を追い続けた
そして――ベット締切のまさに直前
「そこだ」
カリネは手元にあったチップから「3枚」をひょいとつまみ上げ、ルーレット台のレイアウト上にある19から24までの6つの連続した数字――ラインの上に正確に置いた
ルーレットには様々な賭け方が存在する。赤黒や奇数偶数といったもっとも基本的なものは配当が2倍であるのに対し、一つの出目をピンポイントで当てるストレート・ベットは最高36倍の配当を誇る
今回カリネが選んだのは、6つの連番数字をカバーするラインベットであり、配当倍率は「6倍」。手堅く、かつ着実にチップを増やすための布陣だった
「締切です。ノー・モア・ベット」
ディーラーが告げ、玉はいよいよ減速のフェーズへと入る
ガラガラガラ……と金属的な回転音が小さくなり、玉は数字の境界にあるブラス製の段差へと差し掛かった
「あっ……!」
ジュカが思わず息を呑み、握り締めた両手に力がこもる
玉は段差に当たって一度ピョンと跳ね上がり、隣のエリアへと滑り込もうとした――その瞬間
コトッ
収まったのは、「赤の23」のポケットだった
カリネが直前に予測し、チップを置いていた「19〜24」の範囲内である
「お……! やりました、カリネ先輩! 当たりましたよ!」
ジュカが自分のことのようにパッと顔を輝かせて小さく飛び跳ねる
ディーラーは表情を変えることなく、淡々と的中者たちへの配当処理を行っていく。カリネの置いた3枚のチップは、6倍の配当を受けて「18枚」――つまり18,000クレジット分の価値となってカリネの手元へと戻ってきた
「ふむ、悪くない滑り出しだね」
カリネは返却されたチップを軽くジャラリと鳴らし、微かに口角を上げた
「次もこの調子でいきますか?」
「いや、次は少し賭け方を変える」
ディーラーが再びルーレットを回す
今度はカリネ、わずか数秒の間に素早くチップをまとめ、「16から18のストリート」に向けて12枚のチップを叩きつけるように置いた
「そこまで賭けて、大丈夫なんですか……!?」
ジュカがヒヤヒヤした様子で尋ねる間もなく、ディーラーが締め切りを宣言する
回転を終えた玉は、今度は吸い込まれるように一つのポケットへ落ちた
――「黒の17」
「また……当たった……!」
ジュカが目を見開く
ディーラーから払い出されたチップの山を確認し、ジュカが計算して思わず息を呑んだ
「か、カリネ先輩……今ので、手元のチップが『144,000クレジット分』に跳ね上がりましたよ……っ!?」
たった二度のゲームで、元手の何倍もの資産を叩き出したカリネは、まったく動揺した様子もなく、淡々とチップの整理をしていた
「確率の収束と、ディーラーの癖に対する僕の予測演算が正確にかみ合っているだけさ。……さて、次が最後だ。せめて、Bクラスまで行ける資金を稼いぐ」
ディーラーが三度、玉を放り込む
周囲の他の客たちも、連勝を重ねるこの銀髪の少女の異様な雰囲気に気づき、どっと背後を取り囲むように集まり始めていた
「おい、あいつの賭け方を見ろよ……また一箇所に集中させてやがる」
「正気かあんな大金……」
周囲のざわめきを完全に無視し、カリネは手元にあった大量のチップから、なんと「120,000クレジット分」のチップをそっと掴み取った
そして、迷うことなくルーレットの数字盤の中央――「黒の29」のシングルナンバーのマスへと、ドンと置いたのだ
「なっ……!?」
ジュカが隣で心臓が止まりそうなほどの衝撃を受け、声を失う
それは、ルーレットにおいて最も的中させるのが困難であり、同時に最も高い配当――「36倍」を生み出す単点買い――ストレート・アップだった
全財産のほとんどを一つの数字に叩き込むような狂気の賭け方に、周囲の客たちからどよめきが漏れる
「締切です。ノー・モア・ベット」
ディーラーの冷徹な声が響き渡り、テーブル上のすべての動きが静止する。
回転する円盤の中で、白い玉はまるで意思を持っているかのように、激しく金属板を叩きながら回り続けていた
(いける。さっきの微小な減速カーブと、円盤の温度変化による金属の伸び縮みを考慮すれば、この軌道の収束点は間違いなく――あそこだ)
カリネの脳裏では、膨大な物理演算がコンマ数秒の誤差をも許さずに出目を弾き出していた
カタカタカタ……ン……ッ
最後の段差に激しくぶつかった玉は、ピタリと一つのポケットに吸い込まれた
――「黒の29」
「…………は?」
ディーラーの動きが、わずかに止まった
周囲の客たちが自分の目を疑うように顔を近づけ、そして次の瞬間、ラウンジ全体が割れんばかりの大歓声とどよめきに包まれた
「う、嘘だろ……!? シングルナンバーをピンポイントで当てやがったぞあのガキ……!」
「化け物かよ……!」
ディーラーは冷や汗を拭いながら、震える手で莫大な配当のチップをカリネの方へと押し出した。36倍の配当。元手の12万クレジットが、一瞬にして膨れ上がり、もはや手元の小さなトレイには乗り切らないほどの山のようになって返ってきたのだ
「……ふう。これで、文句なしでBクラスにいけるだけの資金は稼いだな」
カリネは冷静に汗一つかかぬ顔でチップを回収し、呆然と口を開けて固まっているジュカに振り返った
「か、カリネ先輩……あなた、いったい何者なんですか……? どうしてそんなに、ルーレットの出目が完璧に分かるんです……? イカサマなんてしてないですよね……!?」
ジュカが半泣きになりながら問い詰めると、カリネはれっきとした事実を、ごく当たり前のように告げた
「イカサマなどしていないさ。すべて実力だ。……まあ、強いて言うなら、すべては『リーダーのせい』かな」
「リーダー……? 赤坂レイカ先輩のせい、ですか?」
「そうだ。君も知っているだろう、防衛部でのあの地獄のような実戦訓練をね」
カリネは遠い目をして、かつての特訓の日々を回想した
「リーダーの神秘『絶対加速』。あれは単に足が速くなるだけの能力じゃない。運動エネルギーの基準を外部書き換えし、光の残像すら置き去りにするほどの超高速機動だ。あの人と手合せや模擬戦をやるとね、人間の動体視力の限界を遥かに超越したスピードでいきなり背後に回り込まれて実弾を叩き込まれる。そんなんばっかりやらされているうちに、自然と人間の目や脳の処理速度が極限まで鍛え上げられてしまったのさ」
カリネは肩をすくめて続ける
「だからね、このルーレットの玉がどんなに不規則に跳ねようと、リーダーの理不尽な超高速移動に比べれば、スローモーションのようにのろく見えるのさ。落下地点の予測なんて、僕にとっては朝飯前ってことさね」
それを聞いたジュカは、顔を真っ青にして完全にドン引きしていた
(……いくらネクストライの中枢メンバーで、実戦経験豊富な先輩方だと言っても……やってることがもう人間の領域を超えたバケモン過ぎますよ!?あと、リーダー本当に何してるんですか!? )
ジュカは背筋に冷たい汗が伝うのを感じながら、ゴクリと喉を鳴らした
「……カリネ先輩。これ以上ここで荒稼ぎすると、オデュッセイアの経営者からマークされたり、面倒な厄介ごとに巻き込まれたりしそうなので……今のうちに勝ち逃げして、別の場所に行きましょう……?」
「そうだね。これ以上の目立ちすぎる行動は、今回の本来の目的から外れてしまう。行こうか、ジュカ」
二人は山のようなチップを専用の引き換え証に変えると、周囲の羨望と畏怖の視線を一身に浴びながら、そそくさとプレイラウンジをあとにしたのだった
――その頃
華やかな洋上の豪華客船とは遠く離れた、陸地にあるDUシラトリ地区
ネクストライスクールの管理ビルから少し離れた、落ち着いた佇まいのプライベートカフェの一室
そこには、現場総責任者である赤坂レイカと、ミレニアムサイエンススクール「セミナー」の副会長――八金タチカの二人が密会するように向かい合って座っていた
外見は完璧で格式高いセミナーの副会長として知られるタチカだが、今この場には一人の監視の目もなく、彼女はぐったりとソファに深く腰掛けながら、疲労困憊といった様子でアイスティーのストローをくわえていた
「はあ……ほんと、どうしてこう次から次へと面倒事が起きるんっすかね……レイカさん」
タチカがぐったりと肩を落としながら、完璧な上品ぶった仮面をかなぐり捨てて愚痴をこぼす
レイカは冷たいアイスコーヒーのグラスにストローを差し込み、トントンと氷を揺らしながらフッと息を吐いた
「こっちのセリフだ、タチカ。お前が送り込んできた『問題児』の一人が、よりによって俺たちの共同開発データをごっそり持ってトンずらこいたせいで、こっちは朝から大忙しなんだぞ」
「うっ……! それはこっちも悪かったって思ってるっすよ! でも、こっちだって被害者なんっすからね! コユキの奴め、あとで捕まえたら絶対に数年間はセミナーの地下倉庫で計算ドリル漬けにしてやるっす……!」
二人の話題の中心にあるのは、言うまでもなく「ゴールデンフリース号」で現在進行形繰り広げられている一大騒動の件だった
レイカ視点としては、日頃から過酷な事務仕事や政治交渉に追われている生徒会長の西条ハレカや、補佐のカリネ、ジュカたちに少しでも羽を伸ばしてリフレッシュしてきてもらおうと、AIRFLY部の功績で手に入ったAクラスの招待状を快く譲ったというのに、よりによってその船にミレニアムの機密泥棒が逃げ込み、結果として現場がめちゃくちゃな大混乱に陥っているという皮肉な状況に頭を抱えていた
一方のタチカ視点としては、ネクストライとの極秘共同開発弾薬のデータが外部やブラックマーケットに流出する恐怖に怯えながらも、「もし、ハレカたちネクストライの生徒会メンバーに、今回のミレニアム側のセキュリティ失態や、自分たちの共同開発データが盗まれたことが知られたら、両学園の外交関係や信頼関係にどんな亀裂が入るか分からない」という政治的な焦りを強く抱いていた
「……それで、タチカ。お前は一体どうやってあの船から、ハレカたちにバレずにそのデータを回収するつもりでいるんだ?」
レイカがジト目でタチカを見据えると、タチカは眉間を押さえてブンブンと首を横に振った
「それが分かれば苦労しないっすよ……! 幸い、向こうにはC&Cと先生が極秘裏に潜入してコユキを追っているはずだから、実働部隊としては最高のメンツが揃ってるっす。だけど、船の規模が大きすぎるし、一般客や他の学園の生徒も大勢乗っているっす。下手にドンパチやってネクストライのハレカ先輩たちに目撃でもされたら、私たちが裏でコソコソ共同開発していたことが一発でバレちゃうっすよ!」
「だな……。ハレカは頭が切れるし、行政やルールの不備にはめちゃくちゃ厳しいからな。あいつに『タチカ副会長、これは一体どういうことですか?』なんて優雅な笑顔で詰められたら、お前のそのボロが一瞬で出て冷や汗ダラダラになるぞ」
レイカの容赦ない指摘に、タチカは「うっ……想像しただけで胃に穴が空きそうっす……!」と小さく身を震わせた
「とにかく、これ以上被害が拡大する前に、先生やC&Cがうまくコユキを拘束して、証拠のデータごと回収してくれるのを祈るしかないっすね……。あーあ、頼むからこれ以上、私の胃を痛めつけないでほしいっすよ……」
タチカがテーブルに突っ伏して本気のため息をつく
レイカも、愛用のハンドガン「ゼロモーメントポイント」の感触をふとポケットの上から確かめながら、どこか嫌な予感を拭いきれずにコーヒーを飲み干した
――だが、この時点での二人は、まだ知る由もなかった
自分たちが心配し、あるいは隠し通そうと奔走しているその裏で、
「ネクストライの精鋭であるはずのカリネとジュカが、早々に警備員の勘違いでCクラスへとランクダウンさせられ、カジノで狂気的なまでの物理演算ルーレット無双を繰り広げていること」を
そして、「ハレカのいるAクラスルームに、無計画な不法侵入者である先生とC&Cの面々が雪崩れ込み、伝説の『バニーガール制服』を巡る阿鼻叫喚の地獄絵図がすでに完成していること」を
平和なバカンスを夢見た者たちの思惑は、それぞれの「想定外」によって、音を立てて崩れ去り始めていたのだった――
あとがき
はい!昨日に引き続き、今回は街肩カリネのをやってみました!
カリネのヘイローはめっちゃシンプルとなっています
【挿絵表示】
キャラ性能
街肩カリネ☆3
貫通
振動装甲
STRIKER
アタッカー/MIDDLE
EXスキル タッチ&GO! COST4
敵一人に対して、攻撃力800%分のダメージを与える
ノーマルスキル ファストリロード
リロードの際、会心値を35.4%増加。さらに会心ダメージ率を65.7%増加
パッシブスキル 先輩たちの為に!
会心ダメージ率を14%増加
サブスキル 生徒会の仕事
防御タイプが重装甲の敵を攻撃時、攻撃力の12%分の追加ダメージ