デュエル・マスターズOverLordW(オーバーロードダブル) 作:シグレサメ
夕哉が目を覚ますと、緑から連絡が来ていた。緑がゴルファンタジスタとの新たな力を手に入れてから5日、ついに出産予定日と言われている。
「結局、この日までスチーム・ナイトは動かなかったか……」
夕哉はそう言って朝の支度をする。土曜日だから急いだ準備こそないが、スチーム・ナイトの情報自体はあり、緑以外の4人が対応していた。その上で更に、そのクリーチャー達が弱過ぎると話に上がっていた。
『4ターン目まで何もせずにターンが帰ってきた時、流石に目を疑ったからな』
『正直、一つの戦法というか、皆が別のゴールに向かって走っていって結果お互いに足を引っ張りあってるみたいな』
夕哉も一度戦ったが、概ね抱いた感想は飛水や火奈と同じだった。ジャシンに聞いてみても、「わからない」としか言われなかった。元々クリーチャー世界にいなかったクリーチャーの上、更に意図が読めないとなると、夕哉達はどうすれば良いのかわからなくなっていた。
「お兄ちゃんおはよ、朝ごはんどうぞ」
「ありがと夕花、俺の代わりにやってくれてありがとね」
「なんかお兄ちゃん大変なんでしょ?良いよ良いよ!」
「うぅん、それでもありがとう」
夕哉はそう言って朝食を取る。暁美は朝の散歩のようで、シイノはまだ夢の世界の中だ。
「なんか変だよね、お兄ちゃんが最近戦ってるクリーチャー」
「まぁね、まぁ油断せず行くよ」
夕哉がそう言い終えてご馳走様と手を合わせた直後、夕哉の携帯が鳴った。
「緑くんから連絡だ、皇龍病院にクリーチャーが出た!!」
夕哉はそれを聞いた瞬間すぐに準備を始め、3分後には家を出ていた。
「なんで、急にクリーチャーが!?しかもあんな大規模な!!」
「大方、どこからか掴んだあの夫婦の予定に合わせる形で来たのだろう」
「じゃあなんで!?」
「……人間もクリーチャーも、何度も同じことを繰り返していると、どうしても注意力が落ちる。訓練を何度もやると、意識しなければだんだん疎かになるだろう?それと同じだ」
「そこまで計算づくだったってこと……?」
夕哉はそう言って角を曲がると、同じく手元の誰かと話していた少女とぶつかる。
「いった!」
「あ、ごめんなさい!夕哉くん!?」
「御白。ごめん、前方不注意だった」
「私もです。でも……」
2人は病院の方を見る。病院の周りをクリーチャーが取り囲んでおり、これ以上騒ぎが大きくなればとんでもないことになる。
「公輝さん達は?」
「遠隔で公輝さんが、現地で遥風さんが対応してるそうです。飛水くんと火奈ちゃんは、もうあの喧騒の中みたいです。手はびっくりするほど早く回ってるんですが……」
「……どこに隠れてたのかってくらいのクリーチャー。まぁスチーム・ナイトか」
「ですね。なんていうか、ここまで計算づくっぽそうで、凄い嫌です」
「うん、罠に飛び込まされるみたい」
2人は少しの沈黙の後、夕哉から話し出す。
「緑が院内にいるだろうけど、やっぱりそれじゃ戦力足りないと思う。御白とドランで一度突っ切っていって、内側を助けてあげて。外側は飛水と火奈もいるし、俺は外から少しずつ減らしてく」
「まぁ、緑くんが一番大変ですからね。行ってきます!」
「道を作って、ジャシン!!」
「フン、光文明のための道を余が作るとはな」
ジャシンが闇のマナを一直線に流し、闇文明でないクリーチャー達が一斉に離れる。出来た病院までの道のりをドラン・ゴルギーニと上に捕まった御白が駆け、残った闇のクリーチャーを跳ね飛ばし、病院の目の前でドランのカードをしまい、中に入っていった。
「あそこで自動ドア壊したりしないの、御白だなーって思う」
「言っている場合か。余達も行くぞ」
ジャシンがそう言って夕哉を導こうとすると、何か凄い速度と爆音を鳴らしながら後ろから何か近づくのを察知する。ジャシンはそれに気づき、カードから飛び出してその物体を受け止めた。
「ほう、バイクで余の眷属に害をなそうとは、品がないやつだな」
「品がなくて結構。俺は黒井夕哉かジャシンのどちらかを潰せればどちらでも良い」
そのバイクに跨っていた人間は、バイクから降りてヘルメットを取る。バイクとヘルメットは黒く塗装されており、黄色の稲妻が走ったデザインが、一際目を引く。そこから降りヘルメットをした男はまるで暴走族のような黒のスカジャンとジーンズを着ており、そこにも稲妻があしらわれている。そして夕哉は顔を見ようとするが、彼はヘルメットを取らない。声や風貌などから、20代前半くらいの男であると、なんとなくわかる程度だった。
「俺は明星 駆蹴(あけぼし かける)。お前の作った影だ」
「影?最近似たようなのに会って大変なんだ。とりあえず顔見せてくれない?」
「断る。俺は顔がコンプレックスなんだ」
夕哉はそう言いながらも、周りの様子を確認する。幸いなことに、火奈と飛水はクリーチャーの大群相手に互角に渡り合っている。話す時間程度は確保できそうだった。
「ねぇ、影って何?なんで俺なの?」
「お前が成してきたことは知っている。COMPLEXやワルドバロムを倒した英雄だってな」
「俺一人の力じゃないよ。この説明もニ度目だし」
「そうか。だがお前は真の意味で英雄になれない。その前に大罪を犯したからな」
「………?」
駆蹴は飛水と火奈の方、つまりクリーチャーの大群を指差す。
「お前達はこのクリーチャー達の出現を偶然としたが、そうでなく予測した者もいる。ここまで言えばわかるだろ?」
「真沢の、研究の被害者なの……!?」
「被害者ではない。お前がジャシンと出会ってすぐの頃、研究を潰され最後は身投げした可哀想な研究者だ。あと一応断っておくが俺は被害者じゃない、被験者だ。あの研究は多少の倫理問題はあれど、その末に出来上がるものはクリーチャーを使役した軍隊だった。多少クリーチャーの力が強いとは言え、5人だけで精一杯に戦っている現状を見ると、笑えてくるよ」
「……フン、真沢の忘れ形見か」
「まぁ、平たくいうとそうなるよね」
(真沢の最後を詳しくは知らないみたい、ならそのまま騙しておくしかないか)
真沢(まざわ)は飛水の叔父であり、クリーチャーをこの世界で一足早く見つけた研究者だった。彼はクリーチャーの力の強大さに絶望し、それを使役して人間の世界を守るための人体実験を行なっていた。主な被験者は夕哉の妹である夕花や、ゴルファンタジスタを取り上げられた緑など。倫理的問題やクリーチャーを使った際の負担などの問題で夕哉達と衝突し、彼自身は深くに身を投げたことで、決着がついたはずだった。その亡骸は、もう既に処分されている。
「ねぇ、どこまで知ってるの?倫理的な問題はあるって言ってたけど」
「俺はお前達が真沢のアジトを潰した頃、別のモデルケースとして各地で修行をしていた人間だ。真沢の性格で、虹村が落ちたら終わりという計画は作らないだろうよ」
「まぁ、そうだね」
「しかし貴様は、なぜ今になってやってきた」
「ワルドバロムのニュースだよ。定例連絡が2週間なく、真沢が死んだと察して、俺はその時からクリーチャーが現れる時が来るまで修行を続けた。そしてお前らがワルドバロムを止められず、ニュースの1面を飾った時、俺が戦わなきゃならないと、そう思ったんだよ」
「皇龍市には戻らなかったの?」
「真沢の意志を継げるのは、俺しかいないからな。修行するしかなかった」
「でも、そんなに強いなら、俺たちと一緒に戦ったりできないの?手が足りないってわかってるなら、余計に」
夕哉がそう言った時、駆蹴の後ろをクリーチャーが5体ほど襲い掛かろうとする。駆蹴が後ろを振り向き手をかざした瞬間、バイクはその形を残したまま人形のクリーチャーへと変形、それらを全て殴り飛ばしてしまった。
「……お前、本気で言ってるなら頭の病院行くのを勧めるぜ?俺の目標を、俺の全てを殺したやつに、力なんて貸せると思うか?」
「夕哉、来るぞ!」
「「デュエマ、スタート(!)」」
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夕哉と駆蹴のデュエマは、駆蹴の先行で始まった。駆蹴は火と闇のカード、《影速 ザ・トリッパー》をマナチャージしているが、夕哉も1ターン目に《邪龍 ジャジーブラッド》をチャージし、迎撃の形を取っていた。
「チャージ、ターンエンド」
「マナチャージ、《ブルーム=プルーフ》を召喚!出た時に山札の上から1枚を墓地に!そっちが召喚以外でクリーチャーを出した時、そのクリーチャーを破壊する!ブルーム、久しぶりに頼む!」
ブルームは箒を振り回して駆蹴を威嚇するが、駆蹴は一切動じず、次の手を進め、ブルームを撃墜する。
「3マナ、《魔誕翔天マルピア》。こいつは出た時相手1体のパワーをマイナス4000できる。ブルームを破壊」
「魔誕のカード!?何処から……!?」
「お前らが保護だなんだって言ってる間にいくつかとっ捕まえたんだよ。クリーチャーなんてそんな風に使ってやるのが一番良いんだからよ」
「そんなことない!ジャシン達とは色々あったけど、今は本当の相棒に近づいてる!そんな風にクリーチャーを使うなんて……」
「じゃあ、今そこで暴れてるクリーチャー、全部保護してから言ってみろよ」
「………!!」
「夕哉よ。動じるな、屁理屈だ。できないとわかっていることを押し付けているだけだ」
「あぁ、できないから言ってんだよ、理想論で具体的な対策をしていた真沢を折れさせた罪は、そんだけ重いんだよ。ターンエンド」
「……俺のターン!」
夕哉はカードを引き、マナチャージをしたあと、深呼吸をする。
「行くよ、呪文、《邪侵入》!山札の上から4枚を墓地に置いて、《至高の邪騎 スベルニル》をバトルゾーンに!そこからG-NEO進化!《至高の魂(プリミティブ・ソウル) アビスベル=ジャシン帝》!」
「お得意のジャシンか」
「出た時にカードを2枚引いて2枚捨てる!そして墓地からコスト4以下のブルーム=プルーフを蘇生!すぐブルームを倒したってことは、倒さなきゃいけない理由があったってこと!」
「なるほどな、そういう観察眼はあるのか」
「ターンエンド!」
「俺のターン、マナチャージし、マルピアの2体目を召喚。出た時にもう一度ブルームのパワーを下げる」
「2枚目か……!」
「さて、行こうか。マルピアでシールドを攻撃」
「至高の魂 アビスベル=ジャシン帝でブロック!」
「待てよ、こいつは火と闇の、デーモン・『コマンド』だ。……手札から侵略、《禁断の轟速 ブラックゾーン》」
駆蹴がそういうと、マルピアが眩い光に包まれる。近くにあったバイクがマルピアの鎧となり、先程の人型を形作る。そこに生まれたのは、手足のタイヤを空転させ、ジャシンに襲いかかるクリーチャーだった。
「真沢が言っていた。クリーチャーの力というのは人間が使う以上ある程度デチューンされるらしく、結局殆どは使い手の強さに左右されるそうだ。お前はどうだ、黒井夕哉?」
ブラックゾーンはジャシンに高速で近づき、思いっきり飛び蹴りを喰らわせる。ジャシンはそれを受け止め、スベルニルと協力することで凌ごうとするが、ブラックゾーンはそれすらも読み、ジャシンの逃げ先に槍を投げつけていた。
「出た時、相手の最もパワーの小さいクリーチャー全てを封印する」
「ジャシン!!」
(封印されて、ジャシンが機能停止した!同じ文明のコマンドを出さなきゃ解除されないけど、あのカードしか入れてない!)
「まずは自分の心配をしろ」
夕哉 シールド2
「ぐぅっっっ!!!」
「トリガーはあるのか?」
「シールドチェック!シールドトリガー!《ヴォルカ・グルーカ》!出た時にバトルができる!マルピアとバトル!超魂X効果も合わせてパワーは8000だ!」
「破壊され墓地に送られる。ターンエンドだ」
「俺のターン!ジャシン、ちょっと待ってて!」
夕哉はカードを引き抜き、すぐに逆転の体制に出る。
「4マナで召喚!スベルニル!墓地からジャジーブラッドを蘇生してスベルニルにG-NEO進化!出た時効果で墓地を3枚増やして、《ボルシャック・ガラワルド》を手札に!ブラックゾーンを破壊!」
「まぁそれくらいはするだろうな」
「……ヴォルカでシールドを攻撃!」
駆蹴 シールド4
「なんだ?やけを起こしたか?トリガー無しだ」
(俺と駆蹴のデッキは似ている。ターンを進めてパーツを揃えて、一気に必殺コンボを叩き込むデッキだから。邪王門を使ってもらった時に竜也さんに教えてもらったけど、そういうデッキは基本、『ターンを無理やり取るためのシールドトリガーが入る』!!)
「ジャジーブラッドでシールドをWブレイク!」
駆蹴 シールド2
「シールドチェック。……なるほど、ブロッカーが立てられない分、今のうちに攻めるということか、理屈は通っている。シールドトリガー、《終末の時計(ラグナロク) ザ・クロック》。お望み通り、時間を止めてやる」
「今踏めた!クロックの効果で、ターンをそっちに渡すよ」
「あぁ、してやられたよ。だが知っているか?ブロッカーもメタクリーチャーも無しにこのデッキに、ソニック・コマンドにターンを返すのは、自殺行為だ」
そう言って駆蹴はカードを引き、マナにカードを置く。
「4マナ。《絶速 ザ・ヒート》。出た時に山上3枚を墓地に置き、その後クリーチャーを1枚手札に戻す。その効果で手札に戻すのは、《覇帝(はて)なき侵略 レッドゾーンF》」
「2回攻撃できる、レッドゾーン……!」
「ザ・ヒートで攻撃。その時侵略を2枚発動、ブラックゾーンとレッドゾーンFだ。ブラックゾーンは墓地からも侵略できるからな。それによって、お前の最もパワーの小さいクリーチャーを封印し、レッドゾーンFの効果でGストライクを発動できなくする。これで終わりだ」
夕哉 シールド0
「シールドチェック。真沢は、こんな強いデュエリストを…!」
「お前がまともにクリーチャー退治をできていたら、会わずに済んだかもな」
「いや、俺が、俺たちが真沢と戦うことを選んだ時点で、いずれそうなってたんだと思う。でも、それでも俺は、自分の意見を曲げるつもりはない」
「は?」
「倫理的な問題がなんだと言ってそんな風に人を犠牲にしていったら、いずれ本当は必要だったものまで必要なくなる。自分の不都合なもの全部が邪魔になる。ジャシンと出会うまで、俺が、そうなりそうだったんだから。だから俺は曲げないよ。真沢のやったことが正しかったとしても、俺は俺たちのやり方で、自分たちの大好きな世界を守る」
「……へぇ、そうかよ。それがお前のエゴかよ。……そんなやつに、世界を背負わせてたまるかよ!!!」
駆蹴がクロックをタップしようとしたが、その瞬間クロックは墓地へと跳ね飛ばされた。
「シールドトリガー!《ストーム・ハイパーXX》!場の異なるコストの数のクリーチャーだけパワーが上がり、出た時そのパワー未満を破壊できるクリーチャー!クロックを破壊だ!」
「だが、レッドゾーンFは攻撃終了後一番上のカードを墓地に置くことでアンタップする!これで終わりだ!」
「いや、ストーム・ハイパーXXは、火のフレイム・『コマンド』」
ストーム・ハイパーXXが自身の力を持っている双剣に集め、封印されたあのクリーチャーへと注ぐ。そしてパキパキと封印の槍は崩れ落ち、中から夕哉の相棒が復活する。
「夕哉よ、復活させるのが土壇場すぎるぞ!」
「ごめんジャシン!でも、戻ってきてくれたじゃん!」
「フン、こんなところでくたばってたまるか!」
「……お前は、何故。……ブラックゾーンで、ダイレクトアタック」
「デュエマに勝って、ヴォルカも解放するよ!ジャシンでブラックゾーンの攻撃をブロック!」
ブラックゾーンがジャシンに殴りかかるが、ブラックゾーンの動きに当初のキレはない。攻撃を緩衝して受け止め、スベルニルが自ら囮となることで、ジャシンは場に生き残った。
「なるほどな。ターンエンド」
「……俺のターン」
夕哉がそう言ってカードを引こうとした時、2頭のドラゴン、カクメイジンがデュエマに割って入る。
「夕哉!お前また……!!」
「飛水!?デュエマしてたはずじゃ……!?」
「途中で真沢って聞こえてきて、聞き耳立てないわけないだろ!」
「どういうことだ」
「お前、情報を最前線で受け取らなかったから齟齬が発生してるな。夕哉は虹村には勝ったが、真沢本人を倒してない。俺が、真沢を倒した。そして、地下深くに落ちていくのを見届けた」
「………」
駆蹴は黙り、静かに反芻している。
「飛水何言ってるの!?言わなきゃばれなかったのに!」
「逆に聞くが、あいつの逆恨みを受け止めたり、受け流したりできるのか、お前?」
「でも……」
「相変わらず俺たち絡むと思考回路雑になるな。初めての男友達くらい少し雑に扱え」
「……ありがとう」
夕哉は立ち上がり、飛水は半歩後ろに下がり、夕哉に背中を預ける。
「話は聞いてる。お前の後ろから現れるクリーチャーも止める。一旦はこれで行こう」
「ありがとう。やっぱり俺幸せ者だ」
「……来いよ、黒井夕哉。青海飛水。真沢の意思を殺して、くだらない友情ごっこに興じる暇があるなら、俺を倒してみろよ?」
「分かったよ、俺のターン!」
夕哉の横にジャシンが立つ。ジャシンは駆蹴を睨み、『これ以上何かをするなら許さない』と再度臨戦状態に入る。
「……ジャシン。このカードを引けた」
「……お前に判断を任せる」
「オッケー。まずは5マナで至高の魂 アビスベル=ジャシン帝をバトルゾーンに。カードを2枚引いて2枚捨てる。墓地からスベルニルを蘇生し、スベルニルから出すのは、《トートロット=シャルロット》!このクリーチャーはこれ(7000)よりパワーの小さいクリーチャーをタップインさせる!これで侵略元を止められる!」
「……弱点を見られたか」
久しぶりにトートロットを呼び出し、夕哉はそれをタップさせる。
「トートロットでシールドをWブレイク!至高の魂の効果でアンタップさせる!」
駆蹴 シールド0
「シールドトリガー、無し」
「これで終わりだよ、ジャジーブラッドで、ダイレクトアタック!」
ジャジーブラッドがダイレクトアタックをし、駆蹴を捕まえようとする。その瞬間ゲルのような何かがそこに割り込み、そして夕哉にとって因縁の顔を持つあのクリーチャーが、ジャジーの前に立ち塞がった。
「モルス……」
「久しぶり、オリジナル。申し訳ないけどこいつはもらうよ。色んな意味で、使わない手がないからね」
モルスはそう言ってヴリドガルドに駆蹴を持たせて、何処かへ跳ね飛んでいってしまった。
「……ごめん飛水、逃した」
「スチーム・ナイトだと思ってたが、ヴリドガルドも絡んでくるとはな。夕哉、まだ行けるか?」
「ふぅ……。よし、行けるよ」
「夕哉!飛水!こっちやばい!助けて!!」
「分かった、すぐ行く!」
「1人でやらせてすまん火奈!」
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病院の1階はクリーチャーに占拠されていた。幸いなことに今日は休日で入院しているのと少数の医師、看護師しかおらず、1階はすぐに制圧されたが、2階はバリケードを張ってどうにか耐えている状態だった。
「恐怖、困惑、悲嘆。様々な感情が渦巻いている。我の一手が通ったようで何よりだ」
「流石です、《~邪眼帝~(インフェルノ・ロマノフ・クルーエル・サーガ》様」
「邪眼帝(じゃがんてい)でいいと言っただろう、ビスマルクよ、様付けもいらない。我自身も名前が長いと思っているからな」
そのドラゴンは両手に銃を持ち、リロードを終わらせる。ガスマスクのようなものをつけたそのクリーチャーは、その落ち着いた風貌から間違いなくここまでのスチームナイトと違う存在であることが伝わる。邪眼帝はそうビスマルクを注意した後、クリーチャーに指示を出す。
「突破できないあたり、誰かクリーチャーを使えるニンゲンが上の階にいるのだろうな。我の隊がそれに対応し、突破を行う」
「良いんですか、たった1隊で」
「我が選んだメンバーが信頼できないと?」
「そのつもりはありません。私はどうしましょうか」
「お前はテクノ・サムライの対応に向かえ、もうしばらくで来るはずだ」
「それは……あのクリーチャー使い達は良いのですか?」
「ビスマルク、お前をぶつけるわけにはいかない」
「ーーー!?」
「奴らを2度目の同じ戦法が通じる相手とは思っていない。テクノ・サムライを食い止めるのに、お前の防御力は頼りになる」
そう言われてビスマルクは胸を撫で下ろす。今のスチーム・ナイトを形作っているのは邪眼帝だ。彼は洞察力も鋭く、ビスマルクは大胆に情報を抜き取るにしても中々難しい状態にあった。しかも、変にニンゲン達の対応に向かうよう嘆願して内通がバレたら元も子もない。ビスマルクはテクノ・サムライの対応に向かうしかなかった。
「さて、この城をどうやって落とすか」
邪眼帝はそう言って、大胆不敵な笑みを溢すのだった。
「御白と!」「飛水の!」「今日のカード紹介!」
「光屋、今日のカードは」
「今日のカードは…《禁断の轟速 ブラックゾーン》です!」
「7コストの火闇、進化クリーチャーでパワー12000。厄介なT・ブレイカーだな」
「そうです。侵略により手札または墓地、もしくはバトルゾーンにからタダで重ねられるカードで、出た時にパワーの最も小さいクリーチャーを全て封印してしまいます!」
「封印されたら同じ文明の種族:コマンドが出るまで、そいつは場にいないのと同じわけだ。その間に一挙に攻撃を食らったらかなりしんどくなるな」
「そうなんですよ、コマンドを入れていないデッキにとってはほぼ復帰できない除去のためデッキによっては詰ませてしまうレベルのパワーを持ってるんです!」
「というわけで次回、『未来を生きるために・前』」
「というわけで間に合うように、行ってきます!」
「あぁ、夕哉と火奈は任せとけ」