デュエル・マスターズOverLordW(オーバーロードダブル)   作:シグレサメ

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危険なクリーチャー、ジャシンと共に戦うことになった黒井夕哉は、戦って様々な経験をしていくなかで、ジャシンそのものを変えるほどにお互いに影響を与え合っていく。ある日夕哉は友人である御白に呼ばれ、初心者のティーチングイベントに呼ばれることになったのだが……。


ソウル・オブ・ジ・アビス編
世界を広げるのは1歩から


 

御白が教えてくれた電車に乗って、俺は県外のイベント会場までやってきた。

 

「うわー……凄いや……」

「黒井夕哉様ですね、関係者ゲートへどうぞ」

「ありがとうございます、今日はよろしくお願いします!」

 

御白に呼ばれたのはデュエマのイベント会場、「デュエマビギナーズフェス」。名前の通り初心者を対象にしたフェスで、前に起きたクリーチャー事件により下がったデュエマの評判をまた上げるためと、御白のお父さん達が計画したらしい。

 

遊園地の一角を借りて行われているこのイベント会場は、屋外で物販、近くの室内テナントで俺や御白達インストラクターとのデュエマ体験会があり、それを沢山の《コッコ・ルピア》や《アクアン》、《霞み妖精ジャスミン》などの沢山のクリーチャーのバルーンやフィギュア、装飾が華やかに彩っている。流石、御白のお父さん達の会社のイベントだ。

 

「夕哉くん、おはようございます!」

「おはよう御白、これからだよね」

「はい、私達は午前中のインストラクターです!午後は自由にして良いそうなので、楽しんでいってください!」

「御白は?午後はどうするの?」

「お兄様のお付き合いです。まぁ私が勉強のためと言い出したんですけどね」

「そっか、お互い頑張ろう!」

「はい、夕哉くんも緊張しすぎないでくださいね!」

 

俺と御白はテナントの中に入っていって、椅子に座る。イベント開始のお知らせがされてしばらくするとポツポツと人が入り始め、俺は早速小学生くらいの男の子の対応をすることになった。

 

「僕、自分が好きだって言えるようなものが無くて…。だから、このイベントに来てみようと思ったんだ」

「もうすぐ9歳なんですけど、引っ込み思案で…。少しでも助けになればと思うんですが……」

 

後ろにいる彼のお母さんらしき人が心配している。多分バロム達が俺たちの街、皇龍市を襲ったニュースを見た上で、ここに来てくれたはずだ。その上で息子さんのことを心配してきてくれたんだ。俺は一度深呼吸をした後、彼と話し始めた。

 

「大丈夫。デュエマは凄く素敵なゲームで、色んな人と仲良くすることができるゲームだから」

「そうなの……?」

「うん。名前、教えてもらって良い?」

「颯太」

「よろしくね、颯太くん」

 

俺はそう言って男の子、颯太くんに5文明それぞれのデッキを見せて、気に入ったカードを選んでもらう。渡した中には闇文明、アビスロイヤルも入っている。公輝さん達が頑張ってくれて、この度市販された「普通の」アビスロイヤルの皆だ。

「これ、かっこいいね」

「いいね、《アビスベル=ジャシン帝》か!じゃあお兄さんはこの火文明、ドラゴンのデッキを使うから、早速対戦してみよっか!」

「うん!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

颯太 シールド5 マナ3

《ベル=ゲルエール》

夕哉 シールド5 マナ2

《奇跡妖精 マルス》

 

 

「マナをチャージして、3マナで《フォーク=フォック》を召喚!山札から3枚を墓地に置いて、墓地からジャシン帝を手札に。それで……」

「ベル=ゲルエールが攻撃できるね。フォックはこのターンに出たばかりだから召喚酔いして攻撃できないよ」

「分かった、ベル=ゲルエールで攻撃!」

「攻撃する時はこんなふうにタップ、休憩状態になるんだ」

 

夕哉 シールド4

「シールドが攻撃されたらそれは手札に加わるんだ。それで守るシールドがなくなって、相手に最後の攻撃、トドメを決めたらゲームに勝てるよ」

「わかった、えっと……ターンの終わりってどうするんだっけ」

「ターンエンドかな?」

「うん、ターンエンド!」

 

「オッケー、じゃあ俺のターン!奇跡妖精マルスの効果で火のクリーチャーの召喚コストを1軽減!《ボルシャック・テイル・ドラゴン》をバトルゾーンに!」

「うわ、強そう!」

「効果も強いよ、テイル・ドラゴンは相手1体、今回はフォーク=フォックを選んでバトル、パワー比べをすることができるんだ、テイル・ドラゴンのパワーは5000!」

「僕のフォックは4000だ……」

「だったらテイル・ドラゴンでフォックを破壊。そのままマルスでシールドを攻撃!」

 

颯太 シールド4

「シールドが手札に…」

「ちょっと待って、手札に加える前に、カードにシールドトリガーって書いてあるか見てくれない?」

「シールドトリガー……?」

「うん、シールドが壊された時、偶にそのまま出して、逆転を狙うことができるカードがあるんだ。それをシールドトリガーって言うんだよ」

「なるほど……。これもシールドトリガー?」

「うん、シールドトリガー、《ハンマ=ダンマ》だね」

「ハンマ=ダンマ!出た時に墓地を3枚増やして、ボルシャック・テイル・ドラゴンを破壊!」

「じゃあ俺もターンエンド。そろそろキラキラしたカードが出せる頃だね」

 

俺はそう言いながら、凄く懐かしいカード達に視線がいっていた。俺の人生を変えてくれたカード達。本物はここにはいないけど、でも人の気持ちを変えてくれるような体験を、絶対させたいと思っていた。

 

「うん、僕のターン!4コスト払って、《アビスベル=ジャシン帝》を召喚!」

「切り札の登場だね」

「うん!じゃあベル=ゲルエールでシールドを攻撃!」

 

夕哉 シールド3

「シールドトリガーは無いよ」

「ハンマ=ダンマでも攻撃!」

 

夕哉 シールド2

「シールドトリガー、《迫撃兵ショウマ》!出た時にコスト3以下のエレメント、ベル=ゲルエールを破壊!」

「嘘、やられちゃった!?」

 

「お兄さんも切り札を出すよ、お互いの場のクリーチャーの数だけコストが軽くなって4コスト!《ボルシャック・ガラワルド》を召喚!」

「うわー、これもかっこいい!」

「ガラワルドは出た時と攻撃時、パワー9000でバトルができる!しかもすぐ攻撃できるスピードアタッカー!まずはハンマとバトル!バトルに勝ったから1枚ドロー!」

「うわぁあ……どうしよう……」

「ガラワルドでシールドを攻撃!その時アビスベル=ジャシン帝とバトル!」

「ジャシン帝はパワー7000、負けちゃうよ!」

 

「大丈夫、ジャシンは手札を2枚捨てれば場に残ることができるから!」

「えっと……。そっか!手札を2枚捨てて生き残る!」

「うん、大事なのは諦めないことと、相手を侮らないこと、颯太くんならなんとかできるよ!」

 

俺はジャシンを初めて使った時を思い出す。御白に誘われて訳の分からないまま始めたデュエマは楽しくて、驚きが沢山あって、デュエマの奥深さにキリがなくて。そんな楽しいところに颯太くんも来て欲しい、その一心だった。

 

颯太 シールド2

「シールドトリガー、《ド:コータ》!マルスのパワーをマイナス3000して破壊!」

「破壊されちゃったか…。ショウマで攻撃してもジャシンのブロッカーで守られて、バトルに負けちゃうだけだしターンエンド」

 

「僕のターン!見たことあるよ!アビスラッシュ!」

「うん、ジャシンは墓地のアビスにアビスラッシュを与えて、墓地から2コスト下げて召喚できるようになるんだ」

 

颯太くんのバトルゾーンに、フォックが2体とダンマが1体、ゲルエールが1体並ぶ。俺の場のガラワルドとショウマは、ダンマに破壊されていた。

「よーし、フォークでシールドを攻撃!」

 

夕哉 シールド1

「シールドチェック!シールドトリガーは無いよ!」

「じゃあベルで最後のシールドを攻撃!」

 

夕哉 シールド0

「シールドトリガー、《ボルシャック・バリスタ・ドラゴン》!アビスベル=ジャシン帝を破壊!」

「手札を2枚捨てて生き残るよ!ジャシン帝で、とどめ!」

「……負けました!対戦ありがとうございました!」

 

周りからぱちぱちと拍手がされた。気づけば周りは少しずつ人が集まってきていたようで、颯太くんの勝利を讃えていた。

「……颯太、良かったわね」

「うん、ありがとうお兄さん!」

「こちらこそ、また会えると良いね!」

「うん、またね!」

 

俺はそれから大忙しだった。色んな人にデュエマを紹介して、戦って。凄く疲れたけど、それだけ充足感のある午前中になったと思う。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夕哉が昼食を食べ、御白と合流すると、御白は

「それでは私は午後からお兄様とイベントのお手伝いなので、夕哉くんは是非楽しんでいただければ!ステージは15:00からですよ!」

と残して走っていった。

 

「御白、本当に夢に向かって走ってるんだな……」

と夕哉が呟くと、モゾモゾと鞄が動き出す。中を開けてデッキケースを開くと、夕哉の相棒であるジャシンが凄い剣幕で夕哉に怒鳴ってきた。

「人間達は鈍いにも程があるのか!?クリーチャーがこの会場にいる、不味いぞ!」

「クリーチャーが!?というかジャシン、よく分かったね!?」

 

夕哉はそう言いながらもジャシンの示す方向に向かって走り出していた。

「つい先ほど余の嗅覚、闇のマナで感知できる範囲に乗って来た、近いぞ」

「クリーチャーの展示がいっぱいの会場だから、カモフラージュになっちゃってたのかも。とにかく見つけて……」

 

そう夕哉が言い切ろうとした時、先ほど親睦を深めた少年、颯太が大男にジリジリと距離を詰められていた。颯太は今にも泣きそうになっているが、気づけばかなりイベント会場の端まで来てしまっており、人通りはない。

「颯太くん、大丈夫!?」

「お兄さん!?」

「お母さんは!?」

「はぐれちゃって……。泣きそうになった時にこの人が近づいて来て、必死に逃げてたら追いかけて来て……」

 

夕哉は大男と颯太の間に体を滑り込ませ、大男を睨みつける。

「何のつもりですか、子供を追いかけるなんて」

「何もするつもりはない、ただ、少年が泣くのを止めなければならない」

「何を言ってるんですか、貴方のせいで泣いてるんですよ!?」

「貴方のせい……。そうか、貴方のせいか。奴らは情に訴えてくると聞いたが、本当のようですな」

 

大男の背中から、取り憑いていた甲冑に身を纏ったパンダのようなクリーチャーが現れる。

「えぇ、クリーチャー、なんで!?」

「颯太くん下がってて!」

「え、お兄さん、何するの……!?」

「やぁやぁ、私は《KENJI-番練羅999(ケンジーパンダネルラスリーナイン)》。テクノ・サムライとして、勝負させていただくところだが、まだ頭が来れるような状況では無い。この男のデッキを借りて、勝負という形にさせていただこう」

(テクノ・サムライ?聞いたことない種族のクリーチャー。ジャシンに渡されたこのデッキ、結局使うことになったけど……。ここにいる人達を守れるなら、それで十分だ!)

 

「「デュエマ、スタート!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

夕哉の先行で始まったデュエマは、お互いにゆっくりとした動き出しとなる。パンダネルラは取り憑いた人間が使っていたデッキをそのまま使っており、1ターン目から除去されづらい進化元、タマシードをバトルゾーンに出しているのだった。

 

夕哉 シールド5 マナ2

《フォック=ジャック》

パンダネルラ シールド5 マナ1

《ヘルコプ太の心絵(メモリー)》

 

「ほ、本物のクリーチャー……」

「颯太くん落ちついて、俺が守るから」

「私のターン、2マナで《進化設計図》を詠唱。山札を見て《超神羅星アポロヌス・ドラゲリオン》1枚、《カチコミ入道〈バトライ.鬼(オーガ)〉》2枚を手札に加える。ターンエンド」

「俺のターン、《ストーム・ハイパーXX》をマナに置いて、行くよ新戦力、《貴布人 テブルカッケ=エディ》をバトルゾーンに!山札の上から3枚を墓地に置いて、効果で墓地からの召喚を解禁する!」

「成程、墓地を使ったデッキというわけだな」

「それで終わりじゃないよ!フォック=ジャックでシールドを攻撃する時墓地を2枚追加、更にフォックは墓地の枚数×1000、パワーが上がるからパワー6000!パワードブレイカーでWブレイクができる!」

その時、フォックの効果で新たなジャシンが墓地に落ちる。

「夕哉よ、準備はいいな」

「うん、行くよ!」

 

番練羅 シールド3

「成程……シールドトリガーは無しだ」

「ターンエンド!」

「お兄さん凄い!3ターン目に2枚もシールドを破壊したんだ!これなら勝てるよ!」

 

颯太が上機嫌になり少し前に出ようとするのを、夕哉は優しく諌める。

「颯太くん、侮っちゃいけない。何があるかわからないのがデュエマなんだから」

「ほほう、良い武人だ。これは私も本気で行かなければならないな」

「武人って……。褒められてる気がしないんだけど?」

「褒めている。アビスの力を持つあたり、やろうと思えば世界を支配できると言っても過言ではないだろう」

 

夕哉はパンダネルラのその一言に眉を顰める。しかしパンダネルラは気にも止めず、何も言わなかったかのようにカードを引き、ターンを始めるのだった。

「私のターン、3マナでヘルコプ太の心絵をカチコミ入道〈バトライ.鬼〉へと進化。タマシードから進化したため相手1体とパワー6000でバトルができるが……」

「フォックは今パワー6000、テブルカッケはバトルの結果に関係なく相手を破壊するスレイヤー。お勧めしないよ」

「……そうだな。ならそのままカチコミ入道でシールドを攻撃」

「進化クリーチャーはすぐに攻撃できる……!」

「その通りだが、そこに更に付け加えるとしよう。攻撃は、デュエマの華だ」

 

カチコミ入道の後ろから、大きな人型のバイクのようなクリーチャーが覆い被さる。

「あれって、レッドゾーン!?僕も知ってる!!」

「侵略、《轟く侵略 レッドゾーン》。カチコミ入道は火のコマンドのため、タダで進化させられる。更にレッドゾーンの登場時効果でパワーの一番大きいフォック=ジャックを破壊する」

「フォック!」

 

フォックが吹っ飛ばされたのを夕哉が目で追った瞬間、更に大きな太陽のような不死鳥(フェニックス)が、更にレッドゾーンに覆い被さる。

「更に侵略!《超神羅星 アポロヌス・ドラゲリオン》!条件は進化のドラゴン!カチコミ入道はドラゴンでもある!」

「不味い……!」

「そしてアポロヌスは登場時にメテオバーンで進化元であるヘルコプ太、カチコミ入道、レッドゾーンを墓地に送ることで、相手のシールドを全てブレイクする!」

 

アポロヌスが力をため、巨大な光弾を夕哉に打ち付ける。夕哉は咄嗟に颯太を自分の後ろに隠し、攻撃を受け切ろうとする。

 

夕哉 シールド0

「うわぁぁぁっ!!」

「ぐうっ……!シールドチェック!」

 

パンダネルラは得意げにこう言う。

「更にアポロヌスの攻撃は継続している!これで終わりだ、アビス使いよ!」

「……負けられない」

「ん、なんだ?」

「こんな訳わかんないやつに訳もわかんないまま襲われて、颯太くんを助けられないまま負けてたまるか!シールドトリガー!《コミック=コロック》!シールドトリガーのブロッカーだ!これだけで十分防御できる!」

「何!?いや、アポロヌスでダイレクトアタック!」

「コロックでブロック!勿論バトルには負けるけど、俺自身はトドメを刺されない!」

「成程、最低限で、最大限の防御を……。面白い!だが、デュエマはまだ終わっていない!」

 

夕哉はニヤリと笑い、不敵にこの言葉を返す。ジャシンが墓地に揃い、墓地からクリーチャーを召喚する。

「あぁ、俺のターンは始まったばかりだからね。俺のターン!テブルカッケの効果で墓地から召喚!4マナで《至高の邪騎 スベルニル》をバトルゾーンに!」

「そんな馬1匹で何ができる!」

「スベルニルは出た時、スベルニルから進化できるコスト5以下のクリーチャーを墓地からバトルゾーンに出せるんだ。出すのは!《至高の魂(プリミティブ・ソウル) アビスベル=ジャシン帝》!」

「ハハハ、良い気分だ。感情というのも悪くない!こいつを叩き潰すぞ、夕哉!」

「うん、行こう、ジャシン!」

 

現れた黒い細身の体のジャシンを見て、颯太は「凄い…かっこいい……」と呟いた。夕哉は颯太の方を一瞬見て微笑み、パンダネルラの方に向き合う。

 

「至高の魂の登場時効果!カードを2枚引いて2枚捨て、その後コスト4以下のアビスをバトルゾーンに出せる!出すのは2体目のスベルニル!」

「また進化させるつもりか!」

「進化させるのはこいつ!《邪龍 ジャジーブラッド》!」

夕哉が呼び出したのは、ジャビビルの頃から更に頭が増え、水と闇と火の力を手に入れた3頭のジャブラッド。

 

「出た時に墓地を3枚増やして、墓地からストーム・ハイパーXXを回収!回収した11コスト以下であるアポロヌスを破壊!」

「だが!アポロヌスの選ばれた時の効果でマナを2枚破壊させる!だが……」

「あぁ、殴りきりの打点が揃っているなぁ?」

ジャシンの不敵な笑みを皮切りに、夕哉は攻撃を宣言する。

 

「ジャジーブラッドでシールドを攻撃!その時至高の魂の効果で、初めてアビスまたは進化クリーチャーがタップした時、そいつをアンタップさせられる!行け、ジャジーブラッド!」

 

番練羅 シールド1

「シールドトリガーは無い……!」

「テブルカッケで最後のシールドを破壊!」

 

番練羅 シールド0

「まだだぁ!G(ガード)・ストライク!《シュウマツ破鬼の封》!これでジャジーブラッドの攻撃を止める!」

「いいや、まだジャシンが攻撃できる!」

「くっ……!」

「希望から絶望への転落、中々面白かったぞ」

「ジャシンの言うことは気にしないで。でも、ちゃんと話は聞かせてもらうから。至高の魂 アビスベル=ジャシン帝で……!」

「私は、死ぬわけには行かないのだ!スチーム・ナイト打倒のため、頭のため、退却させてもらう!!」

「スチーム・ナイト?何を言って……」

 

そう言ってパンダネルラはジャシンの拳を当たる直前に避け、取り憑かれていた男は力なく崩れるのであった。

 

「ジャシン!」

「分かっておる、無力な人間には何もしない。……チッ、逃したと言うことか」

「情報を持ち帰るのが仕事みたいだったね。颯太くんは!?」

「いるよ、でも……」

 

夕哉は颯太の顔を見て、怖がらせていないか心配する。

「大丈夫、すぐお母さんに会えるから……」

「かっこよかった!」

「……え?」

「お兄さんのジャシン、特別なの!?凄いかっこよくて、お兄さんも追い詰められても全然動じてなかったし、あのジャブラッドもかっこよかった!」

「えーと……。喜んでくれてるの?」

「うん!本物のジャシンと一緒に戦えるなんて、凄いよ!」

「う、うん……。想定外かな、その反応は……」

「夕哉よ、余は付き合わぬぞ」

「……分かった、ジャシンは下がってて。これから言うこと、誰にも、お母さんにも言わないって約束できる?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あの後取り憑かれた男は医務室に運ばれ、颯太は母親と再開した。夕哉本人は帰路に着いたが、電車の中で御白に詰められることになった。

 

「いくら人を助けられたとはいえ、クリーチャーの力をそんな簡単に使うのは……。夕哉くんに言っても無駄ですかね」

「御白、ごめんって……」

 

揺れる電車の中で夕哉は御白に座らされ、御白に見下げられている。改めて夕哉が頭を下げると、御白も一つため息をついた後、空いた横の席に座った。

「夕哉くんすぐ無茶するので、これくらい言って漸くちょうど良いんですよね」

「反省してます……」

「まぁ何はともあれ、あの男の子を助けられて良かったです。秘密を言わないと言ってくれたんですよね?」

「うん。約束してくれた。凄い優しくて良い子だよ、颯太くんは。デュエマ頑張って、また会いに来るって」

「そうですか、夕哉くんお兄さんなので、相性いいのかもしれませんね」

「そうかも、しれない」

「なら良かったです」

 

御白はそういえばと話を続ける。

「そのテクノ・サムライ?スチーム・ナイト?っていうのなんなんでしょうね?見たことも聞いたこともない種族です。サムライやナイトは聞いたことありますが」

「だよね。それ気になってた」

「とりあえず、皇龍市に戻ったらデュエマ部の皆さんに相談してみましょうか」

「そうだね」

 

夕哉と御白はそのまま、夕焼けが彩る電車に揺られていくのだった。




「夕哉と!」「御白の!」「「今日のカード紹介!」」
「夕哉くん、今日のカードは…!」
「《至高の魂(プリミティブ・ソウル) アビスベル=ジャシン帝》!」
「新しくできたG-NEOクリーチャーのジャシンですね!5コストのパワー7000.G-NEOクリーチャーです!」
「うん、出た時に2枚引いて2枚捨てた後、墓地からコスト4以下のアビスを呼び出すことができるんだ。《至高の邪騎 スベルニル》がいれば、更に進化クリーチャーを呼び出すことができるよ」
「初めて進化クリーチャーまたはアビスがタップした時またアンタップする、2回攻撃、2回防御能力も強力ですね!」
「というわけで次回、『もう一人のジャシン・前』」
「もう一人の、ジャシン……?ですか?」
「ウィンナー2倍要求されるじゃん!絶対やだ!」
「え、そこですか……?」
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