デュエル・マスターズOverLordW(オーバーロードダブル) 作:シグレサメ
「ねぇ、ジャシン」
「なんだ」
俺はジャシンに声をかけていた。スチーム・ナイトは街の外に移動しているみたいで、緑が必死に追いかけている。(御白は体力が持たず、公輝さんの仲間が出してくれた車で追いかけてもらっている)少し話すくらいの時間は、あるはずだ。
「俺って、欲張りなんだよね」
「あぁ、とびきりのな」
「俺、多分さ」
照れくさいと言うか、なんで気づかなかったんだっていうか。
「俺、自分が何もしてないと思ってた。皆が、なんで俺たちを手伝ってくれるのか、よく分かってなかったかも」
「黒井夕花の件といい、お前はそう言う人間だな。ただがむしゃらに走ってきたが故に、ようやく気づいたか」
「うん。できることをやるって進んでいって。ようやく気づけた」
「人間は利害関係で繋がる冷たい面もあるが、それと同じくらい仲間を大切にしたいと言う、不合理な意思も存在する。余が、お前に教えられたものだ」
ジャシンは自分のカードを触る。至高の魂に至れたのは、少なくとも俺がいないとダメだったと言いたげなようだった。
「まさかお前自身が気づいていなかったとはな」
「……そうだね。正直、お世辞だと思ってたというか。相手がどれだけ俺のことを大事に思ってるかなんて、わかるわけないから考えないようにしてたというか」
「お前、感情も重いからな」
「ええっ!?」
「……貴様は欠点だらけだ。他の人間も、欠点がない人間なんて見たことがない。じゃあ何故貴様の元に人は集まる」
「俺を、大事にしてくれてるから、なの?」
「自信を持って喋れ…。多かれ少なかれ、家臣は余に力を依存し、余は家臣に雑用をやらせている。『お互い様』というやつだな」
「ジャシン……」
「まさかこれを気付かされた貴様に教えることになるとはな。貴様、かなりの人たらしだな?まぁなんだ、奴に成り代わられる程度では、光屋御白達は本物の貴様を探し始めるだろうな」
「……そうだね、家族以外にも、そうなれるんだ」
「貴様は母親と父親がいない時間が長かったのかもしれないが、それでも貴様と繋がりたい人間がいる。それを忘れるな」
俺の肩が軽くなるような感じがした。その瞬間、ジャシンは脚を振り上げて、何かをグシャリと踏みつけた。
「な、なに!?」
「ヴリドガルドの一部に取り憑かれていた。記憶は一部持っていかれただろうが、貴様が元に戻ったのなら奴もしばらくは動きづらいだろう」
「そっか。ずっとそれを……」
「余は、貴様とは利害関係だからな」
「そうかもね。でも、ありがとう」
ジャシンの心が開いてくれたおかげで、こんなふうに話せるなんて思わなかった。俺は恵まれてるけど、ジャシンの言う通り、もっと自分を信じていいんじゃないかと思えた。ジャシンに教えてもらえる日が来るなんて思わなかったけど、それ以上に、とにかく嬉しかった。
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御白と緑は、皇龍市の街外れまで来ていた。街外れと一言で言っても、そこはベッドタウンである皇龍市であるのに住宅もショッピングモールもない、大きな空き地だった。
「ここ、お父様が長らく土地管理に困っているところだと言っていました」
「土地管理?」
「えぇ、土地の持ち主がいなくなってしまったりしたことで、事実上誰の土地でも無くなってしまった、いわば迷子さんです」
「迷子……」
御白はその空き地の痕跡を探す。ただの空き地にしては不自然だった。雑草は抜かれ、ゴミはなく、よく手入れがされていて、人の手が入っているとしか思えない。
「クリーチャーが絡んでるんでしょうか」
「そうかも」
「………なんか、変です」
御白がそう言ったタイミングで、突然近くから叫び声が聞こえる。そちらの方を見ると、クリーチャーが2人の男女を追い詰めていた。そのクリーチャーは両手をあげて、2人を脅かしていた。次の瞬間ドラン・ゴルギーニがそのクリーチャーを押さえつけ、御白がそのクリーチャーの前に立ち塞がった。
「緑くん、あの2人をお願いします!」
「分かった!」
「私はあのクリーチャーを止めます!」
「わかりました、お願いします、急いで来てください!」
「すまない、走るのはやめてくれないか!?」
「え、どういうこと…?」
御白はそう言ってそのクリーチャーの前に出る。そのクリーチャーは少し驚いた顔をした後、こう言った。
「人は私を怖がって逃げるか、自分の実力すらも分かっておらず私(わたくし)に向かってくるかしかないと思っていましたが、どうもそうではないらしいですね」
「私は光屋御白。貴方が、スチーム・ナイトのクリーチャーですか?」
「その通り。私はスチーム・ナイト、《~西方より来る激流の竜騎公~(ハイドロ・ビスマルク)》皆さんから負の感情をいただこうと、僭越ながら活動させていただいています」
「私は光屋御白。クリーチャー、ドラン・ゴルギーニと一緒に、毎日をがむしゃらに過ごしています」
「毎日をがむしゃらにですか、ふふ。失礼。クリーチャーにも変わり者がいるとは聞いていましたが、まさか光文明の当主だとは」
ビスマルクと名乗るクリーチャーは、まさに騎士のようなクリーチャー。龍の鱗に身体を纏わせ、鋭い目で御白を見定めている。左手に握った本を開き、何かを書き込んでいる。御白はドランがいるはずのデッキケースに目を落とすが、ドランは反応しない。もう少し時間を稼げればと、御白は言葉を続ける。
「何をしているんですか?」
「負の感情の記録です。私たち斥候部隊は何をすれば良いのか、どうすれば効率的に負の感情を集められるかのデータ取得も仕事ですから」
「そうなんですね。なんでその感情を集めるんですか?わざわざ驚かしたり、恐怖させたりすることって勉強が必要なんですか?」
「効率のいい方法が見つかればその方がいいですからね」
「……最後の質問です。貴方は今、何人の人間を襲おうとしました?」
「……2人です」
御白はその態度に違和感を感じる。クリーチャーなら、簡単に人を害せる。そしてその答えから、人間のことをこのクリーチャーはよく知らない。なぜこの方法を取らないのかと御白が思案しているうちに、ビスマルクは少し考えた後、こう言った。
「我らの王は、それを使って大いなるクリーチャーの動力源にしようとしています。まぁ、それすらも私はよく知らないのですが」
「成程」
「これ以上は取引と行きましょう。貴方の負の感情を取り込めば、つまり貴方が負の感情に飲まれるほどの恐怖を与えられれば、私としてもかなりの大戦果と言えるでしょう」
「成程、じゃあ私はビスマルクさんのこれ以上の情報を引き出すために、というわけですね」
「その通りです。具体的に何を話しましょうか」
「具体的には……。「どうやってテクノ・サムライを倒すのか」とかが良いですね」
「成程、それは釣り合いそうです」
「「デュエマ、スタート!」」
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「……ここまで来れば、大丈夫だと思います」
ボクは男の人と女の人を引っ張って、安全なところまで、広くて人目の届く市民公園まで連れてきた。
「助かったよ、ありがとう」
「えぇ、本当にありがとうね」
「うぅん、2人とも怪我はない?」
2人は30代くらいのお兄さんとお姉さんで、ボクから見ても仲がいいように見えた。お姉さんの方を見ると、ボクが見たことない感じだった。
「えぇ、大丈夫よ。でも、お腹のこの子が」
「お腹の……?」
「あぁ、本来僕が助けなきゃいけなかったんだけどね」
「子供って、そこにいるの?ボク、初めて見た」
そう言って目線を2人に戻すと、2人はビックリした後、親切な笑顔に戻ってこう言った。
「私達、病院から帰る途中だったの。もう少しで出産だから、いつでも準備はしておけって」
「その途中であの化け物に会って、君に助けてもらったんだ」
「じゃあボク、赤ちゃんがいるお姉さんを……!」
「気にしないで、あのまま逃げてなかったらどのみち大変なことになっていたわ」
「彼女がそう言っているんだ、僕からもいうことはないよ」
「……お父さんとお母さんに、なるんですか?」
ボクは気づいたらそんな言葉を言っていた。頭にチラついたのは、あの時《魔誕の獅子 デスライガー》によって見せられた、親に捨てられたボクの記憶。
「あぁ、そのつもりだ」
「愛している彼と一緒に大好きな子供を育てられる、とても幸せなことよ」
「そうなんですね」
次の言葉も、ボクは無意識に言っていた。そうというより、もうそれしか、頭の中での選択肢はなかった。
「……ボクが、あのクリーチャー達から2人を守ります!」
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御白とビスマルクのデュエマは、ビスマルクの先行で開幕する。ビスマルクは水のマナをチャージし、そのまま《ビリビリ・ジェリー》を召喚。御白は光と闇のメカで、それに立ち向かう。
「御白さん、お待たせしました」
「ドランさん、ここまで何やっていたんですか!?」
「準備をしていました。初陣には出れます!」
「初陣…?」
「どうしました、マナチャージもせずにターンエンドですか?」
ビスマルクに急かされ、御白はカードをマナチャージする。
「1コスト!《忍式の聖沌 y4kk0(ヤッコ)》を召喚!ターンエンドです!」
「私のターン、光のマナをチャージし、ビリビリ・ジェリーの上に2コストで《~鉄装の氷騎士~(フランツ・オブ・アイスエイジ)》にNEO進化!そのままシールドを攻撃!攻撃時手札を2枚引き、進化クリーチャーなので手札1枚につきパワープラス1000!手札は4枚なので、パワー5000でシールドを攻撃!」
御白 シールド4
「シールドチェック、トリガー無しです」
(ドランさん、《ドラン・ゴル・ゲルス》はパワー4500。ギリギリ届かないのは歯痒いですね)
「ターンエンドですよ」
「私のターン、闇のマナをチャージして、2コストで《星姫機 エルナドンナ》を召喚!ヤッコでシールドを攻撃する時、革命チェンジ!行きますよ、ドランさん!」
「任せてください、御白さん!」
「はい!ドランさんの登場時効果でシールドをブレイクし、手札から《獲銀月 ペトローバ》をバトルゾーンに!月の民との戦いで、かぐらさんからカードを貰ったんですから!」
御白 シールド3
「ペトローバの効果で次のターンまでこのクリーチャーは離れません!」
「離れないクリーチャーによるビート、成程」
ビスマルク シールド4
「シールドトリガー、《~王家の御曹司~(ジャック・アルカディアス)》。出た時に相手1体を選び、パワーマイナス4000します。エルナドンナを撃破」
「保険がやられちゃいましたか、ターンエンドです!」
「私のターン、3マナでジャックアルカディアスの上に、《~西方より来る激流の竜騎公~(ハイドロ・ビスマルク)》を3マナで召喚させていただきます」
「6コストのクリーチャーが3マナでですか!?」
「はい、NEO進化するなら3マナで。私の効果でカードを3枚引き、1枚を山札の上に置きます。そしてフランツでドランを攻撃。もう一度手札を2枚引き手札は7枚、パワーは8000。ドラン・ゴル・ゲルスには楽々勝てますね」
「ペトローバでブロックです!」
「ではターンエンド」
(……攻撃してこなかった?フランツは手札が増えてパワー的にかなり厳しいことになっていますし、早いところ決着をつけたいですが…)
「私のターン!3マナで《忍鎖の聖沌 94nm4(ガンマ)》を召喚!それをタップして、ペトローバをハイパー化!一気に攻め込みます!ペトローバはハイパーモード中の攻撃時シールドを1枚追加し、更に手札からシールド枚数以下のコストを持つクリーチャーを呼び出せます!更にガンマはシールドが増えると、各ターンに1回メカ・メクレイド5!山札上3枚からコスト5以下のメカを使えます!」
「成程、一気に倍々に展開できるわけですか」
御白 シールド4
「ペトローバの効果で手札から《パトファール-P4(ポリスフォー)》をバトルゾーンに出して、メクレイドの結果は《セラフ・テンペストא(アレフ)》を召喚!セラフでクリーチャーが出た時カードを1枚ドローして、パトファールでペトローバを無敵状態に!これでフランツにも攻撃され返されません!」
「確かにそれはすごい良い戦法ですが…」
次の瞬間御白の目に飛び込んできたのは、ドランとガンマが一挙に吹っ飛ばされる状況だった。
「な、何が起きて……!?」
「私の効果です。私はプレイヤーが攻撃される時、山札の一番上を見てそれが手札枚数以下のコストなら実行(プレイ)、つまり召喚や唱えたりすることができる。今出した~不死の黄昏司祭~(グレゴリアス・デス・アンド・デイズ)》は、相手1体を手札に戻した上、相手が手札を捨てるたびに相手1体をタップして次のターンまで動けなくさせることができる」
「狙いは最初からカウンターだったんですね…!」
「ペトローバを倒せないのは残念ですが、その分手札が増えるのでよしとしましょう」
ビスマルク シールド2
「シールドトリガー、無し」
「……ターンエンドです」
「では、こちらのターンといきましょう」
ビスマルクはそう言ってカードを引く。カウンターを綺麗に決められた上、ドランもタップで機能不全となっている。御白の顔に冷や汗が伝った。
「私のターン、《予言者 ジャロッド》を1コストで召喚、更にその上にビスマルクの2体目をNEO進化」
「光文明の上に水文明ですか!?」
「スチーム・ナイトは王の復活のため手段は選びません、文明の越境など、大したことではないのです。そして先程のように手札を引いて山札を調整。まずはフランツでシールドを攻撃。カードを2枚引く効果は破棄し、手札は9枚なのでパワー10000」
「ニンジャチェンジ5!《聖(セント)カオスマントラ》!コスト5以上のメカであるドランさんと入れ替わり、出た時に相手のクリーチャーを全てタップします!ドランさんはメガ・ラスト・バーストを唱えて呪文、《豪龍の記憶》!シールドトリガーになったシールドを1枚増やします!更にセラフは離れた時と出た時の効果で2枚ドロー!」
「成程、しかしフランツの攻撃は継続。勿論トリガーとなったところは避けましょう」
御白 シールド3
「今日はシールド運が悪いですね……!トリガー無しです!」
「このターンは返しましょう。しかし私の罠を突破することはできるでしょうか?」
余裕綽々のビスマルクを見て、御白は一度深呼吸をする。ドランが言っていた準備の内容も、まだわかっていない。
(相手の場にはビスマルクが2体、フランツ、ジャックアルカディアス、グレゴリアスが1体ずつ。そして私の場にはカオスマントラさん、ペトローバ、ガンマ、パトファール、セラフがいます。カオスマントラさんの効果で皆タップしていますから、シールドに行かなければビスマルクの効果も使われないんですが。フランツがパワーの高さでカオスマントラさんを上回られていること、10枚も手札があったら次のターン何があってもおかしく無いこと。カオスマントラさんかペトローバのどちらかでWブレイクを入れなければどう考えても打点が間に合わないこと。こう考えると…)
御白がそう考え込んだ時、足元にコーンが当たった。気づけば自分の周りには規制線が敷かれており、自分とビスマルク以外は誰もいない。ビスマルクがやったようにも思えないと墓地のドランの方を向くと、彼はこう言った。
「彼は、息子は少し小心者なんです。才能こそあれど、それを使う方法に長けてはいない。そういうのもあって、恐らく規制線を張るという仕事に逃げたのでしょう」
「いや、規制線を張ってくださるのも大事な仕事ですけど…」
「その場合彼は逃げに使いすぎなんです。どうにかしてあげられないでしょうか」
「そうは言っても…。とりあえずカードを引きますね、私のターン」
御白がカードを引くと、このカードには《ドラン・ゴルギーニJr.》と書かれていたが、中には誰もいない。
「Jrさーん?何してるんですかー?」
「………」
「ドランさんが期待していますよ、規制線をこんな早く敷いてくれたことといい、多分Jrさんは凄い人ですよね?なんで……」
「僕は…、僕は、そうでもないです」
気弱そうなメカ・デル・ディネロが、御白の前に現れる。
「Jrさん!これからよろしくお願いしますね!」
「いやです、だ、だって僕は、何もできないクリーチャーで……」
「何を言っているんですか、G-NEOクリーチャーでその能力!弱いわけないじゃ無いですか!」
「で、でも、G-NEOクリーチャーのやり方は父さんに教えてもらっただけだし、この能力も光文明では普遍的なものだし……」
「何か、怖いんですか?」
まるで昔の自分を見るかのように感じた御白は、Jrの痛いところを意図的につく。
「だ、だって!父さんも御白さんも、一緒に戦って、光文明を救って、COMPLEXやバロムから世界を守って。そんなことしている人と僕なんかが釣り合うわけないじゃないですか!」
「……なるほど」
「でしょう、だから僕は……」
「じゃあ私は、COMPLEXやバロムを倒してなかったらあなたと釣り合うんですね?」
「え、いや、そんなことは……」
「運が良かっただけです。最高の友人たちがいて、相棒がいて。そこに偶々私がいただけ。少なくとも夕哉くんならそう言うでしょう。結局は目の前のことをやっていくしかないんです。どんな肩書きがあっても、私はデュエマが大好きで、ドランさんが大好きと言う肩書きは外したくありません。勿論あなたのことも、これから好きになっていきたいです」
「………」
「力を貸してくれますか?」
「……まだ怖いけど、ここで逃げたら、父さんに泥を塗る!」
「……わかりました、行きましょう!」
御白が顔を上げると、ビスマルクは先程と同じく待ってくれていた。ちゃんと話を聞いていたようだった。
「戦法は決まりましたか?」
「はい、まずは4マナで《ゴールド・フラウム》を召喚!召喚した時にヨビニオン!ゴールドフラウム未満のコストを持つガンマの2体目を、山札から呼び出します!更に登場時効果でシールドを1枚追加!これでメクレイド条件達成です!」
御白 シールド4
「成程、少なくとも1回はメクレイドできる算段でしたか」
「1回目、エルナドンナをバトルゾーンに!2回目!来ました呪文、《サイレント・サイレン》!効果でビスマルクを破壊です!」
「シールドを追加しながら除去、成程」
「このターン出たガンマをタップしてペトローバをハイパー化!カオスマントラさんでビスマルクを打ち取ります!」
カオスマントラが手元から手裏剣を出しビスマルクに投げつける。本と魔術を使って巧みに攻撃を交わすビスマルクであったが、次の瞬間背後から現れたビスマルクに切り刻まれた。
「これで行けます!ペトローバでシールドを攻撃!その時シールドを追加して、手札からコスト5以下のクリーチャー、《ドラン・ゴルギーニJr.》をアンタップしたガンマの上にG-NEO進化です!」
「うぉああ!こうなったら、ヤケクソでもなんでも!」
御白 シールド5
ビスマルク シールド0
「見事。ですが!シールドトリガー、《ヴィオラの黒像》!相手のカオスマントラを破壊!」
「エルナドンナの効果でシールド1枚を手札に加えて耐えます!」
「しかし破壊した事実には変わりない!そのコスト以下の私を墓地から蘇生!これでもう一度防御形態が整い……」
その次の瞬間、ビスマルクは山札に消えていく。何事かと御白の方を向いたビスマルクに、御白はこう答える。
「ドランJr.さんの能力は、召喚以外で相手のクリーチャーが出た時そのクリーチャーを山札に送る効果。しかし、自分ターン中も発動する上で進化クリーチャーにもなれるのは、すごく珍しいんですよ?」
「……成程、完敗ですね」
「ドランJr.さんで!ダイレクトアタック!!」
ビスマルクは目を瞑る。しかしJr.の車体はドリフトし、ビスマルクの目の前で止まった。
「取引の続きというわけですか」
「いいえ、気が変わりました。多分その感じだと、スチーム・ナイトの上司は他にまだたくさんいますよね。人間を襲う役割を直接させられるクリーチャーは特にそうだと思います」
「……バレていましたか」
「というか、なんであの人達を狙ったんですか?」
「……あの方に言われただけです」
「だったらお願いがあります。正直、少しでも味方が欲しいんです。テクノ・サムライとスチーム・ナイト。それ以外にも他の脅威もあります。ですから、スチーム・ナイトにいながら、私たちに情報をください。こちらはテクノ・サムライや、その脅威に関する話ができます」
「長期的な取引ということですか?私が裏切らない保証は?」
「貴方は人間を知らない。あの女性がお腹に命を宿していたことも知らなかったんですよね?恐怖や悲しみを手に入れるなら赤ちゃんを狙うだけのはずなのに、貴方はそれをしなかったですから」
「赤子が……いたんですか……!?」
「知らなかったんですか、もしくは、意図して知らされなかったんですか?」
「……意図して、知らされなかったと思います」
ショックを受けたビスマルクは少し項垂れた後、そう言って御白の手を取り、自分のカードを渡した。
「これが契約料です。私の力を使えますが、使うタイミングはお気をつけて。いくつかのスチーム・ナイトも渡しておきます。こちらの方は、適当なスチーム・ナイトから拿捕(だほ)したというので通るでしょう」
「ありがとうございます」
「正直驚きました。ニンゲンが私達と対等に取引をするとは。しかしその意味がなくなった時は、分かっていますね」
「はい」
「では、私は戻ります。しばらくは様子を見させてもらいますね」
「ビスマルクさん!」
「はい?」
「もしかしなくても、驚かしたり、負の感情を生み出させる方法がよくわからないんですね?一番に声をかけた理由は、それです」
「……私、受け身な性格なんですよ」
そう言ってビスマルクは帰って行った。それを確認したあとポケットからドランが出てきて、こう言う。
「良いんですか、敵とあんな取引をして」
「敵なんですが、色々見てそうも思えなくなって」
「……まぁ、ある程度及第点の取引をしたとは思いますが」
「Jrさんは?」
「緊張から解かれて寝ています」
「そうですか」
「夕哉さんのことを気にしてらっしゃるんですか?」
「……正直、テクノ・サムライやスチーム・ナイトが出たのと同時にヴリドガルドが現れたこと、偶然じゃ無いと思うんです。彼に一番狙われてるのは夕哉くんですし」
「しかしヴリドガルドはモルスという少年一人のものですが」
「分かってます。でも、今のうちにやれることはやっておきたいんです」
御白は不安そうにそう語ったのだった。
「御白と!」「緑の!」「「今日のカード紹介!」」
「今日のカードは…《ドラン・ゴルギーニJr.》です!」
「5コストのG-NEOクリーチャーで、パワー6500。メカのデッキじゃ珍しいすぐに攻撃できるカードなんだね」
「はい、相手が召喚以外でカードを出した時に山札に送る効果と、ターン終了時に進化クリーチャーを全てアンタップする効果も合わせて、負けないための効果がてんこ盛りなんですよ!」
「というわけで次回、『生きて良いと思えること』」
(正直、あれは賭けです。賭けていいと、思えたはずなんです)
「みしろ、どうしたの?」
「大丈夫ですよ、はい!」
「みしろ……?」