ある日、私は目が覚めると電車の席に座っていた。
「・・・私のミスでした。私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。結局、この結果に辿り着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて・・・今更図々しいですが、お願いします。先生」
私の向かい側に座っている少女はそう言う。
そして、血を流している。
私は心配し、声を掛けようとしたが、何故か口が動かないし、体も動かせない。
私は自分の身に起きている事に困惑していると、血を流している少女は話を続ける。
「きっと私の話を忘れてしまうでしょうが、それでも構いません。何も思い出せなくても、おそらくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから・・・ですから、大事なのは経験ではなく、選択。あなたにしか出来ない選択の数々・・・責任を負うものについて、話したことがありましたね」
多分、この子に話した覚えはない。
だけど、責任感は人一倍あると自覚している。
小さい時からポケモンを捕まえて、育てたりしてたからね。
「あの時の私には分かりませんでしたが・・・今なら理解できます。大人としての、責任と義務。そして、その延長線上にあった、あなたの選択。それが意味する心延えも。・・・ですから、先生。私が信じられる大人である、あなたになら、この捻れて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を・・・そこへ繋がる選択肢は・・・きっと見つかるはずです。だから先生、どうか・・・」
この子が何か言い掛けたことを最後まで聞けず、私の意識は暗闇に落ちる。
そして、次に聞こえてきたのは鋭い声だった。
「・・・い。・・・先生、起きてください。先生!」
私は鋭い声の主によって起こされる。
ソファから起き上がり、瞼を擦りながら鋭い声の主を探すと、一人の少女がいた。
"えっと・・・?"
「少々待ってくださいと言いましたのに、お疲れみたいですね。なかなか起きないほど熟睡されるとは。・・・夢でも見られていたようですね。ちゃんと目を覚まして、集中してください」
"ごめん・・・"
思わず謝ってしまった。
っていうか、私はさっきまで電車に乗ってたはずだけど、もしかして夢なのかな?
それに、血を流している少女も見当たらない。
私が周りをキョロキョロと見渡していると、目の前にいる少女がため息を吐いて状況を教えてくれる。
「はぁ・・・もう一度、改めて今の状況をお伝えします。私は七神リン、学園都市『キヴォトス』の連邦生徒会所属の幹部です。そしてあなたはおそらく、私たちがここに呼び出した先生・・・のようですが。・・・あぁ。推測形でお話したのは、私も先生がここに来た経緯を詳しく知らないからです」
うん、私も知らない。
だって、目が覚めたらここにいたんだもん。
もしかして、異世界転生ってやつ?
いや、死んだ記憶はないし、異世界転移かな?
私の頭の中が?マークでいっぱいになっているのを察したのか、リンちゃんが気遣ってくれる。
「混乱されてますよね。分かります。こんな状況になってしまったこと、遺憾に思います。でも今はとりあえず、私についてきてください。どうしても、先生にやっていただかなくてはいけない事があります」
"私は何をすればいいの?"
「学園都市の命運をかけた大事なこと・・・ということにしておきましょう」
私はリンちゃんについて行こうとすると、ポケットに入っていたボールがポンッと音を立て、白い光が現れる。
白い光が晴れると、私の相棒であるジュカインがいた。
「グエェー」
ジュカインは私を見て、辺りをキョロキョロと見渡している。
一方、リンちゃんはジュカインを見て困惑している。
「先生・・・その生物は?それに、先生のポケットから出てきたような気が・・・」
"説明するね。この子はジュカイン、私の相棒なんだ。普段はこのボールに入ってるんだ"
私はリンちゃんにジュカインの入っていたボールを見せる。
「グエェー」
「な、なるほど・・・」
うーん・・・リンちゃんの反応を見る限り『キヴォトス』ってところににポケモンはいないのかな?
もしくは、本当に異世界転移しちゃってたり・・・
「と、とにかくついてきてください」
私とジュカインはリンちゃんに案内され、エレベーターに乗る。
エレベーターから見る『キヴォトス』の景色は壮観だった。
ジュカインも目を輝かせながら『キヴォトス』の景色を見ている。
「『キヴォトス』へようこそ。先生。キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。これから先生が働くところでもあります。きっと先生がいらっしゃってたところとは色々な事が違っていて、最初は慣れるのに苦労するかもしれませんが・・・でも先生なら、それほど心配しなくてもいいでしょう」
リンちゃん見る目あるじゃん。
私が小さい時の旅で学んだことはいっぱいあるからね。
「それに、あの連邦生徒会長がお選びになった方ですからね。・・・それは後でゆっくり説明することにして」
(チン)
エレベーターは目的の階に着いた。
そして、エレベーターを降りると何やらざわついていた。
「代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!・・・うん?隣のお店の方は?それに、この生物は?」
「首席行政官。お待ちしておりました」
「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています」
「トリニティ自警団です!連邦生徒会長に直談判を!」
リンちゃんはエレベーターから降りると、四人の少女に囲まれて問い詰められている。
そして、四人の視線は私とジュカインにも向けられている。
「あぁ・・・面倒な人たちに捕まってしまいましたね」
リンちゃんは四人には聞こえない程度に愚痴ってから、こめかみに青筋を立てて、笑顔で挨拶をする。
「こんにちは、各学園からわざわざここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん。こんな暇そ・・・大事な方々がここを訪ねてきた理由は、よく分かっています。今、学園都市に起きてる混乱の責任を問うため・・・でしょう?」
リンちゃん、本音と苛立ちを隠しきれてないよ。
そんなんだったら、この子たちが怒っ・・・あっ、一人怒っちゃった。
「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」
「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱走したという情報もありました」
「スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」
「戦車やヘリコプターなど、出所の分からない武器の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」
・・・うん?
不良に襲われるならまだ分かるけど、風力発電所がシャットダウン!?
そして、脱走に出所不明の戦車やヘリコプターが出回ってる!?
もしかして私、とんでもない所にきちゃったの・・・?
私はダラダラと冷や汗を流している。
一方、リンちゃんは黙っている。
「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!」
「はぁ・・・」
リンちゃんは観念したかのようにため息を吐き、少し間を開けて白状した。
「・・・連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」
「・・・え!?」
「・・・!」
「やはりあの噂は・・・」
「・・・」
四人は驚きを受ける子もいれば、薄々察していたって感じの反応をする子もいる。
「結論から言うと『サンクトゥムタワー』の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが・・・先程まで、そのような方法は見つかっていませんでした」
「それでは、今は方法があるというのですか、首席行政官?」
「はい。この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです」
「この方が?」
"えっ、私?"
ちょっとリンちゃん!
急に話振らないでよ!
っていうか、私がフィクサーに!?
そんな話、全然聞いてないんですけど!?
「ちょっと待って。そういえばこの先生はいったいどなた?それと隣の生物は?どうしてここにいるの?」
「キヴォトスではないところから来た方のようですが・・・先生だったのですね」
「はい。こちらの先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です」
「行方不明になった連邦生徒会長が指名・・・?ますますこんがらがってきたじゃないの・・・」
うん、私もだよ。
私も連邦生徒会長って人の顔は見た事ないからね。
それはそうと、挨拶をしておこう。
挨拶は社会人の基本だからね!
"初めまして。私は訳あってキヴォトスで先生を務めることになりました。最初は分からないことがあるかもしれないけど、よろしくね。後、この子はジュカイン。私の相棒なんだ"
「グエェー」
決まった。
多少砕けた挨拶になったかもしれないけど、大丈夫そうだね。
「こ、こんにちは、先生。それと、ジュカイン・・・さん?私はミレニアムサイエンススクールの・・・い、いや、挨拶なんて今はどうでもよくて・・・!」
「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと・・・」
「誰がうるさいって!?わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、先生!」
ユウカを皮切りに、他の三人が私に挨拶をしてくる。
「ゲヘナ学園風紀委員会の火宮チナツです」
「トリニティ総合学園、正義実現委員会副委員長の羽川ハスミです」
「同じくトリニティ総合学園、トリニティ自警団の守月スズミです」
"うん、よろしくね"
チナツにハスミ、それからスズミ・・・うん、覚えた。
「・・・先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました。連邦捜査部『シャーレ』。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で、制限無しに戦闘活動を行うことも可能です」
"それは・・・すごいね"
最初聞いた時は部活の顧問になるだけかと思ってたけど、その実態はとんでもないものみたい。
私が顧問になっても持て余しそうだ・・・
「はい。何故これだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが・・・シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今はほとんど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に『とある物』を持ち込んでいます。先生を、そこにお連れしなければなりません」
『とある物』、か・・・そうやって説明するぐらいだし、きっととんでもない物なんだろうね。
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど・・・」
リンちゃんが無線でそういうと、ポテチを抱えた少女がホログラムで現れた。
『シャーレの部室?・・・あぁ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?』
「大騒ぎ・・・?」
『矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ』
「・・・うん?」
『連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?』
うーん・・・こりゃまいった。
やんちゃな子たちが暴れてるのか・・・やっぱりリンちゃんが言ってた『とある物』を狙ってるのかな?
『まぁでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な・・・あっ、先輩、お昼ごはんのデリバリーが来たから、また連絡するね!』
(ブツッ)
モモカを映していたホログラムが消える。
そして、リンちゃんは怒りで震えている。
モモカって子、後でとんでもない目に合いそうだね。
それはそうとして、今はリンちゃんを励まさないと。
"大丈夫?深呼吸できる?"
「はい・・・何とか・・・少々問題が発生しましたが、大したことではありません」
リンちゃんはそう言い、ユウカたちのことを見る。
「・・・?」
「な、何?どうして私たちを見つめてるの?」
「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々がいるので、私は心強いです」
「「「「・・・えっ?」」」」
四人の声が重なる。
あー、そういうことね。
先生のプロフィール
性別:女性
身長:170cm
所属:シャーレ
役職:シャーレ担当顧問
誕生日:7月27日
容姿:青い瞳、黒髪ロング、左耳にキーストーンが埋め込まれたピアス、黒色のパンツスーツ
趣味:ポケモン
手持ちポケモン:ジュカイン
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ポケモンバトルは基本的にアニポケみたいな感じです。