私たちは現在、D.U.外郭地区って所に来ている。
(ドカアアァァァァァン!)
"うーん・・・すごいね"
私怖っ・・・驚きすぎて関心しちゃってるじゃん。
「関心してる場合ですか!?・・・って痛っ!」
・・・あれ?
今ユウカに弾丸当たったよね?
しかも頭に。
"えっと、大丈夫?"
「えぇ、大丈夫ですよ!それよりあいつら違法JHP弾使ってるじゃない!?」
「伏せてください、ユウカ。それに、ホローポイント弾は違法指定されてはいません」
「うちの学校ではこれから違法になるの!傷跡が残るでしょ!」
傷跡が残る?
それは大変だ。
可愛い顔に傷が付いたら一大事だからね。
"付き合わせちゃってごめんね。私が何とかするから"
「もしかして、戦うんですか?」
「先生は私たちと違って、弾丸一つでも生命の危機に陥ってしまう可能性があるんですよ?」
ハスミとチナツが心配そうに私を見てくる。
あー、これ誤解されちゃったな・・・
"少し誤解してるみたいだけど、私じゃなくてこの子が戦うんだよ"
「グエッ!」
私の後ろからジュカインが飛び出してくる。
「・・・この子、戦えるんですか?」
"戦えるよ。さっ、行って!"
「グエッー!」
私がジュカインに指示を出すと、ジュカインは前に出る。
「何だあの生き物?」
「そんなの構うな、撃っちまえ!」
不良たちはジュカインに銃口を向ける。
うんうん、元気があるのは良い事だよ。
だけど、暴れるのはちょっと違うよね。
だから、お灸を据えてあげる。
"ジュカイン『ハードプラント』"
「グアッ!」
ジュカインはコンクリートで出来た道路に両手を付けると、道路を突き破って太い蔓が生えた。
「な、何だあれ!?」
「ぐわぁ!」
太い蔓は意志を持っているかのように動き、不良たち薙ぎ払って壁に叩きつけた。
そして、不良たちは動かなくなった。
まぁ、ここにいる子たちは私のいた世界の人たちよりも頑丈そうだし、頭に弾丸が当たっても痛い程度で済んでるから気絶しただけでしょ!
「グエッ!」
"ありがと、ジュカイン"
私は技の反動が終わり、戻ってきたジュカインの頭を撫でる。
ジュカインも私に撫でられて嬉しそうだね。
私はジュカインを撫で終え、ユウカたちの方を見ると、ジュカインの方を見ている。
"どうしたの?・・・もしかして、この子のこと撫でたい?"
「いえ、その・・・私が思っている以上に凄い生物だなと・・・」
「このジュカインという生き物はツルギに匹敵するかもしれませんね・・・」
「・・・まぁ、連邦生徒会長が選んだ方の相棒なんだから、当たり前か・・・」
「・・・触ってみてもいいですか?」
"うん。良いよ"
スズミが片手でジュカインのお腹部分を触る。
スズミはさっきまで無表情だったけど、今は僅かに口角が上がっている。
ジュカインも嫌がってないから大丈夫みたいだね。
「少し、ザラザラしてますね・・・」
"でしょでしょ!三人はどうする?"
「私は・・・それよりも、今はシャーレの奪還が優先です」
"あっ、それもそうだね"
大事なことを忘れていた。
今はやることがあるんだったね。
私たちはシャーレに向かうのだった。
あれからしばらく走り、シャーレの近くまできた。
体力には自信がある方だけど、動くならもっと動きやすい服装にすればよかった・・・
私は自分の服装に後悔していると、リンちゃんがホログラムで現れた。
『今、この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が判明しました。狐坂ワカモ、百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。似たような前科がいくつもある危険な人物なので、気を付けてください』
如何にもやばそうな子だね。
リンちゃんから物騒な単語がいくつも聞こえてくる。
"情報ありがとね、リンちゃん!"
『誰がリンちゃんですか』
リンちゃんは少し怒ったかのような素振りを見せてから、ホログラムが消えた。
これが、ツンデレってやつか。
私はニヤニヤしながらそんなことを考えていると、前方にリンちゃんが言ってたワカモって子がいた。
「グアッ!」
「騒動の中心人物を発見!対処します!」
「フフッ、連邦生徒会の子犬たちが現れましたか。お可愛らしいこと。・・・ですが、ここは任せましょう」
ワカモはそれだけ言い、シャーレの建物に入ってしまった。
そして、近くからゴゴゴゴゴッと音が聞こえて来る。
「・・・うん?この音は・・・」
「気をつけてください、巡航戦車です・・・!」
「クルセイダー1型・・・!私の学園の制式戦車と同じ型です」
「不法に流通された物に違いないわ!PMCに流れたのを不良たちが買い入れたのかも!つまりガラクタってことだから、壊しても構わないわ!行くわよ!」
ユウカ、ハスミ、スズミは戦車に向かっていった。
・・・私はワカモを追おうかな!
私は後方支援をしているチナツに話しかけた。
"チナツ、私はワカモを追うね。行くよ、ジュカイン!"
「グエッ!」
「えっ!?ちょっと先生!罠かもしれませんよ!」
チナツは私を止めようとするが、そのまま走る。
そして、シャーレの建物に入り、地下室にワカモの姿があった。
「うーん・・・これが一体何なのか、全く分かりませんね。これでは壊そうにも・・・あら?」
"さっきぶりだね"
「グアッ!」
「あら、あららら・・・あ、あぁ・・・」
ん?
どうしたんだろう?
体の動きが止まってるけど・・・
「し、し・・・失礼いたしましたー!」
"・・・え?"
ワカモはピューンと効果音がつきそうな速度で逃げてしまった。
ジュカインなんて、まだポカーンとしてるよ。
とりあえず、外も静かになったみたいだし、一件落着で良いのかな?
私はジュカインをボールに戻した。
そして、少し時間が経つとリンちゃんが地下に来た。
「お待たせしました。・・・何かありましたか?」
"まぁ、あったけど大丈夫かな"
「そうですか。ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています。・・・幸い、数一つなく無事ですね」
リンちゃんはそう言い、さっきまでワカモが見ていた物を手に持った。
「・・・受け取ってください」
リンちゃんは私に白い板状の物を渡してきた。
"これって・・・タブレット?"
「はい。これが、連邦生徒会長が先生に残した物。『シッテムの箱』です」
"『シッテムの箱』・・・"
何故だろう。
どこかで聞いたことがあるような名前・・・でも、どこで聞いたかは思い出せない・・・
「普通のタブレットに見えますが、実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みの全てが不明。連邦生徒会長は、この『シッテムの箱』は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました。私たちでは起動すらできなかった物ですが、先生ならこれを起動させられるでしょうか、それとも・・・」
"まぁ、やってみるよ"
「・・・では、私は邪魔にならないよう、離れています」
リンちゃんは地下室から出ていった。
それにしても、どうやって起動させられるんだろう・・・?
私がそう考えていると、脳裏に文章が浮かんでくる。
何も思いつかないし、試しにやってみるか。
[・・・我々は望む、七つの嘆きを。
・・・我々は覚えている、ジェリコの古則を]
私が脳裏に浮かんできた文章を打ち込むと、突然目の前が白い光に包まれた。
私はあまりの眩しさで目を瞑り、白い光が止んだのを感じ、目を開けると、そこは見たことも無い教室で、一人の女の子が椅子に座って机の上にうつ伏せで居眠りしている。
「くううぅぅ・・・くううぅぅ・・・むにゃ、カステラにはぁ・・・いちごミルクより・・・バナナミルクのほうが・・・くううう・・・えへっ・・・まだたくさんありますよぉ・・・」
うん、可愛い寝言。
だけど、起きて説明してもらわないとね。
私は女の子の頬を指で突く。
でも、寝言を言うだけで、一向に起きない。
仕方ない。
奥の手を使おう。
私はポケットからモンスターボールを取り出す。
"いけ、モンスターボール!"
私はモンスターボールを回転するように投げ、女の子の頭にクリーンヒットさせた。
流石にモンスターボールには入らなかったけど、女の子は起きた。
「うひゃ!?・・・んもう・・・ありゃ?ありゃ、ありゃりゃ・・・?え?あれ?あれれ?せ、先生!?この空間に入ってきたっていうことは、ま、ま、まさか先生・・・?!」
"そうだよ"
「う、うわあああ!?そ、そうですね!?もうこんな時間!?うわ、わああ?落ち着いて、落ち着いて・・・えっと・・・その・・・あっ、そうだ!まず自己紹介から!私はアロナ!この『シッテムの箱』に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をアシストする秘書です!」
なるほど、アロナはロトムみたいな感じか。
「やっと会うことができました!私はここで先生をずっと、ずーっと待っていました!」
"・・・寝てたんじゃないの?"
「あ、あうぅ・・・も、もちろんたまに居眠りしたりしたこともあるけど・・・」
"まぁ、よろしくね"
「はい!よろしくお願いします!まだ身体のバージョンが低い状態でして、特に整体周りの調整が必要なのですが・・・これから先、頑張って色々な面で先生のことをサポートしていきますね!あ、そうだ!ではまず、形式的ではありますが、生体認証を行います♪」
アロナはそう言い、私に近づいて人差し指を向けてくる。
「さぁ、この私の指に、先生の指を当ててください」
私はアロナに言われた通り、アロナの指に私の指を当てる。
多分、指紋認証みたいな感じなのかな?
「うふふ。まるで指切りして約束するみたいでしょう?」
"そうだね"
「(どれどれ・・・うーん・・・よく見えないかも・・・まぁ、これでいいですよね)」
"もう終わった?"
「・・・はい!確認終わりました♪」
ちょっと苦戦してたみたいだけど、アロナがそう言ってるんだから大丈夫だね!
それから、私はアロナに今起きていることを説明した。
「なるほど・・・先生の事情は大体分かりました。連邦生徒会長が行方不明になって、そのせいでキヴォトスのタワーを制御する手段がなくなった・・・」
"アロナは連邦生徒会長って人のことを知ってる?"
「私はキヴォトスの情報の多くを知ってはいますが・・・連邦生徒会長についてはほとんど知りません。彼女が何者なのか、どうしていなくなったのかも・・・お役に立てず、すみません」
"いいんだよ、謝らなくて"
連邦生徒会長はアロナでもほとんど知らない謎の人物ってことか・・・となると、リンちゃんや連邦生徒会の子たちなら知ってるのかな?
今度、時間があれば聞いてみよう。
「ですが、サンクトゥムタワーの問題は私が何とか解決できそうです」
"えっ、そうなの?じゃあお願い"
「はい!分かりました。それでは、サンクトゥムタワーのアクセス権を修復します!少々お待ちください!」
アロナはそう言い、サンクトゥムタワーにアクセスし始めた。
「サンクトゥムタワーのadmin権限を取得完了・・・先生、サンクトゥムタワーの制御権を無事に回収できました。今サンクトゥムタワーは、私アロナの統制下にあります今のキヴォトスは、先生の支配下にあるも同然です!」
今アロナ、さらっととんでもないこと言ってなかった?
しかも、キラキラした目で。
よくいるよね、見た目に反してやることがえげつない子って。
「先生が承認さえしてくだされば、サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管できます。でも・・・大丈夫ですか?連邦生徒会に制御権を渡しても・・・」
"うん、大丈夫だよ"
私が持ってても、どうせ持て余すだけだからね。
それなら、ちゃんと扱える人たちに渡したほうがいいよね。
「分かりました。これよりサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管します!」
アロナはそう言うと、私の目の前は再び白い光に包まれた。
目を開けると、電気のついた地下室に戻っていた。
そして、リンちゃんがこっちに向かってきた。
「お疲れ様でした、先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表して深く感謝いたします。これから追跡して討伐いたしますので、ご心配なく。それでは『シッテムの箱』は渡しましたし、私の役目は終わったようですね・・・あ、もう一つありました」
"えっ、まだあるの?"
「はい。と言っても、私についてくるだけで構いません。連邦捜査部『シャーレ』をご紹介いたします」
私はリンちゃんについていき、シャーレの施設を見て回りながら、最後にメインロビーに来た。
「ここがシャーレのメインロビーです。長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることになりましたね。そして、ここがシャーレの部室です」
リンちゃんは部室のドアを開けて入った。
そして、私も入った。
「ここで先生のお仕事を始めると良いでしょう」
"仕事って言っても、具体的に何をすればいいの?"
「・・・シャーレは、権限だけはありますが目標のない組織なので、特に何かをやらなきゃいけない・・・という強制力は存在しません。キヴォトスのどんな学園の自治区にも自由に出入りでき、所属に関係なく、先生が希望する生徒たちを部員として加入させることも可能です・・・面白いですよね。捜査部とは呼んでいますが、その部分に関しては、連邦生徒会長も特に触れていませんでした」
"つまり、私の好きにすればいいってこと?"
「そうなりますね。・・・本人に聞いてみたくても、連邦生徒会長は相変わらず行方不明のまま。私たちは彼女を探すのに全力を尽くしているため、キヴォトスのあちこちに対応できるほどの余力がありません」
なるほどね。
本来連邦生徒会がやらなきゃいけないことが、連邦生徒会長が失踪したせいでできなくなってるのか・・・私が代わりにやるしかなさそうだね。
"私で良かったら、代わりになるよ"
「そうおっしゃってくれて助かります。その辺りに関する書類は、先生の机の上にたくさん置いておきました。気が向いたらお読みください」
私は自分の机の上を見る。
机の上には、山になった書類が何個もあった。
キヴォトスは、私が思ってるより何倍も問題が山積みのようだ。
「それではごゆっくり。必要な時には、またご連絡いたします」
そう言い、リンちゃんは退室していった。
・・・とりあえず、外で待ってるユウカ達の所にいこうかな。
「えぇ。サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会が取り戻したことを確認したわ」
「ワカモは自治区に逃げてしまったのですけど・・・すぐ捕まるでしょう。私たちはここまで。後は、担当者に任せます」
「お疲れ様でした、先生。先生の活躍はキヴォトス全域に広がるでしょう。すぐにSNSで話題になってしまうかもしれませんね?」
"あんまり目立ちたくはないんだけどね。とりあえず、みんなお疲れ様"
「これでお別れですが、近いうちにぜひ、トリニティ総合学園に立ち寄ってください。先生」
ハスミはそう言って帰り、スズミもぺこりと頭を下げて帰っていった。
「私も、風紀委員長に今日のことを報告しに戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃった時は、ぜひ訪ねてください」
「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またお会いできるかも?先生、ではまた!」
チナツとユウカも帰っていった。
さてと、私もオフィスに戻って書類と格闘しようかな!
私はシャーレのオフィスに戻るのだった。
ジュカインのステータス
分類:みつりんポケモン
タイプ:くさ
高さ:1.7m
重さ:52.2kg
性別:♂
特性:しんりょく
覚えている技:『ハードプラント』『リーフブレード』『リーフストーム』『ドラゴンクロー』
持ち物:ジュカインナイト
図鑑説明:体に生えた葉っぱは鋭い切れ味。素早い身のこなしで木の枝を飛び回り、敵の頭上や背後から襲いかかる。
設定:先生が子供の時、博士から最初に貰ったポケモン。
首にジュカインナイトがついたスカーフを巻いている。
人のやっていることを真似する癖があり、主に家事全般などができる(そのせいで、先生は生活面がかなりズボラ)。
たまに、ボールから出てくる時がある。
先生の生活面のズボラさには呆れているが、なんだかんだでやってくれるし、先生のことが大好きである。