どけ!!!俺はブロリーのお兄ちゃんだぞ!!! 作:こねこねこ
―――――ありがとう、悠二。俺の弟になってくれて。
煉獄の焔から弟を守り抜き、脹相という人物の生涯は幕を閉じた。
悔いは無い。
もっと共に時を過ごしたかったという気持ちが無いといえば嘘になるものの、出せる全てを出し切って大切な弟がこの"先"へ進むための礎となれたのであれば―――――兄として、これ以上の誉れは無いだろう。
それに・・・最期に、自分のことを"兄貴"と呼んでくれた。
それだけで、満足だ。
―――――だった、のに。
脹相は目を覚ました。
二度と開く筈のなかった瞼を開くと、その目に映ったのは薄暗い天井だけ。
(・・・・・なんだ、これは?)
身体が、うまく動かない。
両手を翳してみれば、小さな小さな手のひらがそこにあった。
あの時確かに自分は死んだ筈だ。
そして、この赤子のような自分の手。
(まさか・・・転生、したというのか・・・!?人間に・・・!?)
咄嗟に術式を起動する。
・・・血が、うまく集まらない。
呪力はある。弱々しいものではあるが、確かに慣れ親しんだあの感覚自体は有る。
まだ生まれて間もない赤子の身、その上に半分呪霊であった前世の受肉体とは随分と使い勝手が違うらしい。
起き上がることすら出来ず、やがて手を持ち上げ続けるのにも疲れて脹相はパタリと大の字に力尽きた。
・・・周囲には他の者の気配もあるにはある。
頑張って首を傾け辺りを見回してみると、自分が寝かされているらしい器と同じものが周りにもいくつか見えた。
そして隣にも、自分のように赤子が仰向けに横たわっている。
ここは新生児ばかりが集められた施設なのか、それとも医療機関の類か。
今はそれ以上のことは分からず、再び天井をぼんやりと見つめた。
・・・・・悠二は、あれからどうなったのだろうか。
少しでも暇が出来ると、やはり考えるのは弟のことばかりだ。
転生してしまったのだとすれば、悠二の生きる時代とは遠く離れてしまったのかもしれない。
その存在を感じることも、もう―――――・・・・・
(・・・・・!?)
悠二はいない。
それは確かだ。
しかし―――"別の何か"を、自らの術式を通じて脹相は感じ取った。
(・・・・・まさか)
隣を見る。
赤子が泣いていた。
ここからは見えもしないし気付かなかったが、その子を挟んだ向こう側・・・二つ隣にいるらしき赤ん坊が大音量で泣き声を上げているらしい。
そしてその騒音を嫌がるように、目の前の"その子"が愚図っている。
その感情の揺れが。波が。目に映る光景とは別に、明確な"異変"として伝わってくる。
(・・・・・間違いない)
―――――弟だ。
九相図の誰とも違う。
悠二でもない。
恐らくは、今世で生まれた新しい兄弟。
この子は、きっと―――自分にとって十人目となる、末の弟なのだ。
視界が滲んだ。
上手く動かせない腕は伸ばしても届かない。
その手を握ってやることも、宥めて泣き止ませてやることも今の己には出来はしないが。
・・・・・嗚呼、まだ名も知らぬ弟よ。
兄はここにいる。
つい先ほどまで、転生した実感も弱く全てがぼんやりとしか見えていなかったというのに。
隣に弟が・・・守るべき存在がいるとわかった途端に、世界がハッキリと鮮明になった。
再び与えられた、"人"としての生。
道を選び間違え、兄弟同士で傷つけ合うことになってしまった前世と同じ轍は踏まない。
今度こそ弟を守り抜き、そして出来ることなら光の道を共に歩んでいこう。
―――――たとえ、何があろうとも。
とりあえず書きたいところだけ書こうと思ってます。