ミノリ「生徒諸君、連邦生徒会を打倒し、先生を救うのだ!」 作:やきそばVer2
原作:ブルーアーカイブ
タグ:BlueArchive ブルアカ 安守ミノリ 先生(ブルーアーカイブ) 空崎ヒナ 剣先ツルギ ブルアカの赤の部分 七神リン 過労死ネタ 連邦生徒会 桐藤ナギサ
その様子を見たミノリは、先生が過労死することを防ぐために、連邦生徒会に反旗を翻す。
ミノリは闘争の果てに勝利を勝ち取ることができるのか。
そして、先生の待遇はどうなるのか。
【シャーレ執務室】
「疲れた...もうやってられないよ...」
今日で五徹目を迎えた先生。
机の上の書類の山は、依然として高くそびえ立っていた。
「先生、来たぞ。」
本日の当番の生徒、安守ミノリが執務室に入ってきた。
「いらっしゃい、ミノリ...」
元気の無い声で、対応する先生。
「先生、風邪か?無理は良くないぞ。」
「風邪では無いんだけどね...今日で三日、あれ?六日だったっけ?寝れない日が続いててね...」
ミノリの問いかけに、疲れ果てた先生が答える。
「ちょっと待て、何日も寝てないだと!仮眠も取ってないのか?」
「仮眠ってなんだっけ?おいしいものだっけ?」
「重症だな、先生。早く寝ないとだめだ!」
「ミノリは心配性だな...このくらい平気だよ。」
「まともに受け答えもできない状態で、なにが平気なんだ!」
ひとまず仮眠室に運ぼうとするミノリ。
しかし、先生は強く抵抗した。
「やめてくれ、ミノリ...残業しないとお金が足りないんだ...」
「お金が足りないだと?こんなに働いているのにか?時給はいくらなんだ?」
「いくらだっけ...確か、200円くらいだったかな...」
「嘘だろ...先生…労働基準法違反なんてレベルじゃないぞ!!」
先生の労働条件の悪さに絶句するミノリ。
このままでは『先生が過労死してしまう』と確信する。
(こんな働き方絶対におかしい。こうなったら、あたしがなんとかするしかない!)
(一旦眠らせて体を休ませよう。)
静かに決意を固めるミノリ。
「先生、栄養ドリンクだ。」
意を決して懐に手を入れるミノリ。
以前、ある工務部の部員が「最近眠れない日が続いている」とこぼしていた。
その部員のために買っていた、睡眠薬の瓶を取り出す。
「ありがとうミノリ...変わったパッケージだね...」
迷うことなく飲み干す先生。
(ラベルすらまともに読めない状態なのか...)
あまりにもあっさり先生を騙せたことに、事態の深刻さを理解する。
(しばらく休んでいてくれ、先生。)
眠りに落ちた先生を仮眠室に運び込んだミノリ。
やさしくベッドの上に先生を寝かせ、モモトークを開く。
「工務部の全部員に通達。直ちにクーデターの用意をせよ。」
メッセージを一斉送信し、ミノリはレッドウィンターへと急いだ。
【レッドウィンター事務局:書記長執務室】
今週三度目のクーデターが発生し、またしても制圧された事務局本部。
連河チェリノは自身の椅子に縛り付けられていた。
「工務部の生徒め...首謀者はミノリか?」
「そのとおり。あたしがこのクーデターの首謀者さ。」
チェリノの問いかけに答えるミノリ。
次に発せられた言葉は、チェリノの想定したものではなかった。
「あたしたちは、連邦生徒会に戦争を仕掛ける!」
「だけど、あたし達だけじゃ戦力が足りない。事務局の戦力を手に入れるためにこのクーデターを起こした!」
「連邦生徒会と戦争をするだと?そんなことしたら、矯正局に送られてしまうぞ!」
「そんなこと些細なことだ!いかなる犠牲を払ってでも『先生を助ける』そのために立ち上がったのだ!」
「『カムラッドを助ける』だと?どういうことだ?」
「そのままの意味さ!このままでは激務によって先生は過労死してしまう...だから、あたしたちが先生を助けに行くのさ!」
怪訝な表情で、チェリノは問いかける。
「それは、確かな筋からの情報なのか?」
「あたしが直接見たんだ!」
「受け答えすらまともにできなくなっていた!」
「一刻の猶予すらない状態なんだ!」
ミノリの言葉に意を決したチェリノは答えた。
「カムラッドが激務なのは知っていたが...そこまで追い詰められているとは...」
「いいだろう!おいらも協力してやる!今すぐ出撃するぞ!」
「全生徒に伝えよ!レッドウィンター連邦学園はカムラッドを救うために戦争を仕掛ける!!」
【D.U.地区郊外】
突如として、連邦生徒会に反旗を翻したレッドウィンター連邦学園。
事務局と工務部を主力とする反乱軍は、D.U.地区郊外まで進軍していた。
これに対し、連邦生徒会はゲヘナ学園とトリニティ総合学園に兵力の派遣を要請した。
反乱軍の前に立ちふさがる、風紀委員会と正義実現委員会の部隊。
その最前列で反乱軍を迎え撃つ二人の少女。
空崎ヒナと剣先ツルギの二人は、先陣を切って反乱軍に切り込む。
「なにが目的かは知らないけど。秩序を乱す奴らは叩きのめす。」
「キエエエエエエ!死にたいやつはどこだー!」
「撃て、撃てー!なんとしても奴らを押し戻せ!」
「ここでやられるわけにはいかない!撃ちまくれ!」
反乱軍から撃ち出される弾丸の雨。
それらを全身に浴びつつも、ヒナとツルギは止まらない。
「この程度で止められるとでも。」
「キエエエエ、それで全力か?」
「化物め...なぜ倒れない...」
「撃て、近寄らせるな...グハッ!」
「このままでは先生が...ガハッ!」
ま熱したナイフでバターを切るかの如く、敵をなぎ倒していく二人。
「砲兵隊!撃ち方はじめ!!」
「火力であの化物二体を叩き潰せ!!」
チェリノの号令により、轟音と共に榴弾砲が火を噴く。
さすがに砲撃は堪えたのか、動きが止まる最強格二人。
それを双眼鏡で確認したチェリノは、次の一手を打つ。
「砲兵隊!目標変更!敵主力部隊を粉砕せよ!!」
「中央部隊は 後退せよ。代わりに右翼および左翼部隊で化物たちを両側から挟み込むのだ!!」
だが、その命令は実行されることはなかった。
「ナギサ様。対砲兵レーダーからの情報が届きました!」
「判明した敵砲兵隊の位置を味方砲兵隊に送ってください。」
「全砲射撃開始!!」
ティーパーティー傘下の部隊から放たれる砲弾の雨。
第二波攻撃の直前にレッドウィンター側の火砲が殲滅される。
(現代戦では、砲兵は撃ったらすぐに逃げることが基本。そうしないとこのような結果になりますから。)
「撃った後も陣地に留まるなんて……愚策です。」
ナギサは静かに紅茶を飲みながら、当然の結果だと言わんばかりに戦果報告を聞いていた。
ナギサが敵火砲を壊滅させた時、ヒナとツルギもまた猛攻を受けていた。
両側面から動きを止めた二人に襲いかかる敵軍。
チャンスとばかりに畳み掛けてきた。
「少しは効いたけど...この程度で倒せると思わないで!」
「久しぶりに良い攻撃を受けたなあ...ここからは、こっちのターンだ!」
砲撃直後にも関わらず、再び動き出す化け物たち。
本当の戦いはここからだった。
「キエエエエエエ!無駄!無駄!」
「この程度、エデン条約のときと比べたら朝飯前よ!」
通常戦力が相手であれば、チェリノの取った戦法は有効であっただろう。
しかし、相手は『特記戦力』とでも言うべき化物であった。
たった二人の敵に反乱軍は手も足も出なくなっていた。
そして、勢いのまま中央の部隊を強引に突破する二人。
妨害をほとんど受けぬまま、本陣までたどり着く。
「こうなったら、おいらが戦ってやる!」
反乱軍の指揮を取っていたチェリノの前まで突入した二人。
しかし、ツルギは違和感を覚えた。
「今回の首謀者はミノリだと聞いている。奴はどこだ?」
問いかけるツルギ。
その時、クロノス報道局の臨時ニュースの音声が辺りに流れる。
「速報です。今回の反乱のリーダーの方から、ビデオメッセージが届いています。」
流れ出す演説。
戦線が崩壊しつつあるのを悟り、一人戦場を離れたミノリが作成したものだ。
単純な力では勝つことができないことがわかったため、宣撫工作に切り替えたのだ。
「キヴォトスの全生徒諸君!あたしたちは、先生を助けるために行動している!」
それを聞いたヒナがつぶやく。
「先生のためですって?」
演説は続く。
「あたしは連邦生徒会により、酷使されている先生に会った。」
「先生は正常な判断すらできない状態だった。しかし、連邦生徒会によってその状態ですら休むことが許されない状況にされている!」
「それだけじゃない!わずか数百円程度の時給で、こんな激務をやらされている!」
「これが権力者による搾取でなければ、何が搾取であろうか!」
「権力者への非難は闘争の基本!」
「たとえ、この反乱が鎮圧されたとしても...あたし、いやあたしたちは...先生のために、この地におけるすべての圧政者が消えるまで、闘争を止めない!」
「キヴォトスの全生徒諸君!どうかあたしに力を貸してくれ!」
「そして、先生を救うのだ!」
「ねえツルギ。どう思うかしら?」
「あの先生のことだ、ありえない話じゃない。」
「あの人なら無理を隠すだろう。」
「あなたもそう思うのね。私と同じ意見ね。」
「なら、やることは一つね。」
演説を受けて、最強格の二人は寝返ることを決意する。
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「先生を助けるためですって!」
風紀委員会の指揮を取っていたアコ。
ニュースを聞いて驚きの声を上げる。
浮き足立つ風紀委員会の委員達。
正義実現委員会側でも、同様のことが起きているであろう。
(なんとかして動揺を沈めないと...いや、先生を救うためなら...敵に付くべきでしょうか?)
迷うアコに、ヒナからの通信が入る。
「アコ、反乱軍に協力するわよ!ツルギ委員長にも話を通してあるわ。」
「ヒナ委員長...承知しました。すぐに準備いたします。」
反乱を鎮圧することに失敗した連邦生徒会。
味方が全員寝返り、反乱軍の進軍を阻むものは無くなった。
【シャーレ仮眠室】
「あれ...いつの間に寝ちゃってたんだろう...アロナ、プラナ、私はどのくらい眠っていたの?」
「それどころじゃありません!先生!外を見てください!」
カーテンを開けると、多数の生徒達がシャーレビルを取り囲んでいた。
「邪悪な権力の犬よ!姿を見せたらどうだ!」
「連邦生徒会は先生を解放しろ!!」
外からはミノリの怒号が聞こえてくる。
ミノリ以外の生徒達も大声で怒鳴っている。
驚く先生。
先生の背後に、何人かの少女達が近づいてくる。
「起きられましたか、先生。」
リン首席行政官が先生に話しかける。
「私たちが先生を酷使したせいで...レッドウィンターの生徒達が反乱を起こしました。」
「ゲヘナとトリニティに鎮圧を要請しましたが...全員寝返ってしまいました。」
「サンクトゥムタワーも制圧され...大半の連邦生徒会の生徒達が捕まってしまいました。」
「FOX小隊と生き残りの生徒たちで、今は辛うじて防げていますが…突破されるのも時間の問題でしょう。」
「それに、ユキノ隊長が抑えていますが...FOX小隊すら寝返る可能性も高いです。」
「これまで大変な思いをさせてしまい、本当に申し訳ありません。待遇改善もお約束します。」
リンは続ける。
「連邦生徒会長の捜索に人員を集中させすぎていました。」
「シャーレが設立直後であったため、業務管理体制も不十分になっていました。」
「完全に私たちのミスです。言い訳になってしまいますが、申し訳ありませんでした。」
「これからは連邦生徒会側でもシャーレの業務を処理する体制を作り、仕事量も大幅に減らします。」
「先生の働きぶりに感謝するという意味でも、給与も大幅に引き上げます。」
「先生、無理を承知でお願いしますが...私たちを助けてください!」
先生はリンの話を静かに聞いた。
意を決した先生は、リン達にこう告げる。
「こうなったのは私にも責任がある。だから、大人として責任を取るよ。」
「しかし...待遇を放置していたのは、先生の責任では無いですが。」
「そんなことないよ。私が声を上げてたらこうはならなかっただろうし。」
「ここからは大人の仕事だ。」
深く頭を下げるリン達。
その姿を見ながら、先生は屋上へ向かった。
【シャーレ屋上】
「みんな聞いてくれ!」
先生が叫ぶ。
「さっきリン達と交渉をした!」
「彼女たちは、待遇面の改善と仕事量を減らすことを約束してくれた!」
先生は、少し間をおいて続ける。
深く息を吸った後、生徒達に真剣な眼差しで話しかける。
「君達の中には、連邦生徒会に不満を持っている子もいるかも知れない。」
「でも、私の顔を立てると思ってここは引いてほしい。」
「どうしても、君達が引かないと言うなら...私が責任を取る!」
「今すぐここから飛び降りて、私の命で償う!!」
『先生が本気で言っている』そのことは、誰の目にも明らかだった。
『先生が死んでしまうかもしれない。』
この事実により、取り囲んでいる生徒達はひどく動揺した。
しかし、一度振り上げてしまった拳を降ろすのは容易ではない。
一人を除いて全ての生徒が慌てふためく。
その「一人」の生徒が叫びを上げる。
「みんな落ち着くんだ!!」
「あたしたちの目的を思い出せ!!先生が過労死するのを防ぐために、あたしたちは立ち上がったんだろう!!」
「その目的は連邦生徒会側が折れたことにより、既に達成された!!」
「だったら、もう闘争を続ける必要もなくなった!!!」
「あたしたちは...闘争の果てに勝利を掴んだんだ!!!」
ミノリは続ける。
「だから、家に帰ろう!!!」
この演説を聞いた生徒達の反応は、三者三様であった。
しかし、その後の行動は全員同じだった。
ある者は『先生にこれ以上迷惑をかけたくない』という思いから。
またある者は『不満を持っていた相手である、連邦生徒会に一泡吹かせた』という達成感を感じながら。
一人、また一人と闘争をやめて、包囲の輪から離れていった。
先生の待遇改善を求める戦いは幕を閉じたのだ。
【シャーレ執務室】
ミノリ達による反乱から数週間後が経過した。
先生が処理する必要のある書類もリン達の頑張りにより、最低限の数になった。
しかし、それでも書類の数は多い。
そのため、妥協策として、当番の生徒を大幅に増やすことが決定した。
「みんな、貴重な青春の時間を奪ってごめんね。」
先生が当番の生徒達に、申し訳なさそうに話しかける。
「うへ~おじさんはちょうど暇してたから大丈夫だよ~」
「先生と一緒に居られる時間が増えて役得じゃんね☆」
「家計管理を手伝うよりも楽よ。」
「ん、問題ない。それよりもっと一緒に居たい。」
先生の心配に反して、一緒に居られる時間が増えたことに、大半の生徒は大喜びしていた。
それどころか『先生を助ける』ために当番ではない生徒すら、自主的に来るようになっていた。
過労死寸前になっていた先生は、生徒達の好意に甘えるしかなかった。
そんな執務室の様子をミノリは笑顔で見ていた。
「ありがとう、ミノリ」
先生が、小さくそう呟いたように見えた。
気のせいだったのかもしれない、しかしミノリも小さくつぶやく。
「良かったな、先生」
「もう、心配しなくて大丈夫そうだ。」
先生の労働条件が是正されたのを確認したミノリは、静かに立ち去っていった。
胸の奥に、達成感と安堵を抱きながら。
完
※本作は「Pixiv」にも同じ内容のものを投稿しています。
SSの長さはどう感じましたか?よろしければ、教えてください。
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長過ぎる
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少し長い
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丁度良い
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少し短い
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短すぎる