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線の魔法

 あるところに、三人の魔女がいました。

 

魔女たちはみんな仲良し。たまに集まってはいつも楽しく過ごしていました。

 

そんな魔女たちにも、譲れないものがありました。

 

 それは、子育てのやり方でした。

 

子供の将来の話になると、仲良しだった三人はいつも大喧嘩!

 

楽しかったお茶会は豹変!そこは火の海になり、雷が降り

 

嵐が家を吹き飛ばしてしまいます。

 

そんなある日、戦いに決着をつけようと一人の魔女が言いました。

 

「子供たちの成長を目で見えるようにしましょう!そうしたら誰の子供が

 

一番良い育ち方をしたかすぐにわかりますわ!」

 

本当にそうなのでしょうか?魔女たちは首をかしげました。

 

しかし、自分の息子の成長によって形が変わる『線』の魔法を見て

 

自分と息子の努力が目で見える魔法に、これはいいものだと皆で感心したのです

 

 それから数年間、線の魔法に夢中だった魔女たちは皆で集まることも忘れて

 

子育てに熱心に取り組みました。

 

そしてある日、誰からともなく魔女たちは久しぶりに集まったのです。

 

集まった魔女たちは線の魔法のことで頭がいっぱい!

 

 一人目の魔女が口を開きました。その魔女はとても優秀な魔法使いの末裔でした!

 

そして愛する息子にも大魔法使いになってもらうとしたのです。

 

魔女は大魔法使いにさせるために、あの日から才能のない友達の縁を切りました。

 

好きだった運動は必要な分だけに絞り込み

 

部屋には図書館まで増設し、朝から晩まで猛勉強!

 

今では国一番の魔法使い!誰もが魔女の子供の知識を求めています!

 

線の魔法は上にぐーん!と伸びて、その勢いは天井を突き破らん限りでした!

 

「どう?私の線の魔法は!こんなに立派に育った線はないでしょう?」

 

 それを聞いた二人目の魔女が口を開きました。その魔女はとてもお金持ちの魔女でした!

 

愛する息子に溢れんばかりの財で幸せになってほしいと考えたのです。

 

魔女は財を手に入れるには何よりも親交を深めることが大事だと考えたのです。

 

そのために、今の故郷を離れ、名だたる貴族や王家の子供が通う学校に通わせました!

 

騎士や英雄、お姫様までみんなと仲良くするように教育し、今ではこの国の王子様!

 

線の魔法は斜めにぐーん!と伸びて、窓を突き破らん限りでした!

 

「どう?私の線の魔法は!こんなに立派に育った線はないでしょう?」

 

 三人目の魔女は二人の話を聞いてため息をつきました。

 

「二人とも線の魔法に囚われて子供の幸せを考えてないわ。普通の暮らし、普通の幸せ、

 

普通の常識、そうやって生きていくのが一番じゃないかしら」

 

魔女の線の魔法はこの魔法が出来た時と一緒で真っすぐ伸びていました。

 

「普通に生きていればそんな歪な形にならないわ。私はこの子に幸せになってほしいの」

 

ため息をついた魔女は家に帰ってしまいました。

 

 家に帰った魔女は愛する息子を探しましたがどこにもいません。

 

慌てて国中を探しましたが、誰も子供を見つけることはできませんでした。

 

何年も、何年も探しました...

 

もう諦めかけたその時、息子の声が聞こえました!

 

なんとあの線の魔法から聞こえてくるじゃあありませんか!

 

慌てて線の魔法を使ったとき、魔女は驚きで倒れてしまいます。

 

線は上にいったり、右に行ったり、左にいったり、下に行ったり...

 

「僕は幸せな誰かになりたかったんだ」

 

その声を最後に、線は途切れてしまいました。


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