周りに居たはずの人は消えており喧騒もない
車窓から見える景色も知らないものになっている
そんな状況から始まる話です
淡々とした日常のような一コマです
夕暮れ時の電車に乗っていると、私の正面に女性が座っていた
周りには誰も乗っておらず、女性と二人きりだ
顔を伏せており寝ているように見える
そんな私の視線を感じたのか、女性はゆっくりと顔を上げた
逆光で顔はよく見えないが、不思議なことに瞳孔だけが妖しく、赤く、昏く光っていた
気がつけば、周りの景色も私の知らぬものになっており
日本を走っていることはわかるが何処を走っているのか全くわからない
なるほど、目が光っているのならこちらにも考えがある
私は、カバンの中からLEDライトを取り出して光ることをしっかりと確かめた
しっかりと光ったLEDを後頭部より挿入し目のすぐ後ろまで持ってくる
両目とも挿入が終わった。女性はその間も逆行で薄く嗤い両目が光っていた
トンネルに入り、電車内が真っ暗になる。女性の目だけが光りこちらを見つめる
なので私はスイッチを入れた
両目のすぐ後ろから緑に輝くLEDライト
光り輝く私の目
満面の笑みを浮かべしっかりと女性を見つめる
初めて女性の表情が変わる
驚き、思考が止まる表情
そしてドン引きをしていた
しばらくもしない内にどこからか、正面の女性からかはわからないが
「え、キモっ」
そう声が聞こえたかと思うとトンネルを抜けた
真っ暗な場所から明るい場所に変わる瞬間、視界がホワイトアウトする
喧騒が戻った
周りには他の乗客がいて、景色も知っているものになっていた
正面の席にはサラリーマンや主婦が乗っていて
私の左右にも人が座っている
戻ってこれたようだ
だが、何やら電車内が騒がしいことに気がつく
視線が私に向いている。迷惑客を見る目だ
なんだ私がおかしな格好をしているのかと思いつつも理由がわからず座ることしか出来ない
幸いにも、次の駅で降りるのでその間だけ我慢をするだけだ
駅に降りると駅員が困惑した表情でこちらへ近づいてくる
「すみません、他のお客様からクレームが入っておりまして」
何のことだろうか、思い当たることも無く首を傾げて言葉を続けるのを待つ
「あの、目がとても光っていて他のお客様から眩しいと……」
しまった。LEDを切っていなかったのだ
すぐにスイッチを切って駅員へ頭を下げる
「公共の場ではありますので、過度なライティングは今後はお控えください」
全く以ってその通りだ。あのトンネルを抜けた時点で気がつけなかった自分の落ち度に気落ちする
幸いにも通報などは無く、注意だけで済ませてくれたのでそのまま解放してくれた
少し苦い思い出が生まれたことを感じながら私は帰路へとつくのであった
寝起きで書いてたら1000文字超えたので投げておきます