名探偵プリキュア!ウルトラマンティガ 真実の光 作:Lotus000
◆
あんなとみくるがいる街へと向かいながら改めて、依頼を振り返ってみる。
漫画の原稿が入っていた純一さんのバッグが別の人のバッグと入れ違いとなった。
バッグにはリンゴ、ジャガイモ、玉葱、パンにエプロン。
そしてバッグには茶色い汚れがある。
バッグの持ち主は料理をするのだろうか。
「ジャガイモに玉葱、リンゴ……カレー?」
パンで食べる人もいるだろう。
いや、エプロンをバッグに入れて買い物に行くか?
だとしたら、飲食店の人か?
出勤前に食材を買う的な。
「お~い!」
「ひかる~!」
どこかから声が聞こえる。
周りを見渡すと、先程調査した駅前の広場であんなとみくるが手を振っていた。
僕は二人から調査の進捗などを聞いた。
新たに得た情報としては、エプロンにケチャップのようなシミがあったこと。
ジャガイモや玉葱には芽が出ており、リンゴも新鮮ではなく料理には適していないことだ。
「これがエプロンに付いたシミか」
バッグからエプロンを取り出して広げる。
二人の言う通り、ケチャップのようなシミが付いていた。
「このシミ……バッグに付いてるのと同じ?」
「でも、落として汚れたとしても中まで汚れる?水たまりはないし」
あんなが持っているバッグにも、エプロンと同じ色の汚れが付いている。
だが、中まで汚れるとは思えない。
それに食材の方は汚れていない。
「ん?落として汚れたのかと思ったけど……アスファルトだよ!」
「ほんとだ!」
あんなの言う通り、地面はアスファルト。
茶色く汚れていたから土だと思っていたがそうではないようだ。
「ポチ~!」
すると、ベンチの近くにいたポチタンが声を上げた。
「あっポチタン!ペンキ塗りたてだって!」
「ポチポチ~!」
「も~う!ちゃんと落ちるかな?」
どうやらさっきおじさんが塗っていた青いベンチに触れてしまい、手に付いてしまったようだ。
ポチタンの右手が青くなっている。
あんながポケットからハンカチを取り出す。
と、一緒に紙切れも落ちた。
「何か落ちたけど?」
みくるがその紙を開く。
――――あ。
「「見えた!これが答えだ!」」
「バッグはきっと!」
「あそこだ!」
僕らがやって来たのは絵画教室。
目の前の玄関のチャイムを鳴らす。
「は~い!」
「間違いない!この人だ!」
扉が開き、女性が出てきた。
絵の上手さはアレだが、みくるの描いた似顔絵通り波の形をした髪型で眼鏡にエプロンの特徴が一致している。
「あっ!私のバッグ!」
どうやら本人で間違いないみたいだ。
女性に案内され室内へ入ると、窓際に持っているバッグとそっくりなバッグが置かれていた。
「「「あれって!純一さんの!」」」
「そっくり!間違えても仕方ないね」
「三人とも、よくここだって分かりましたね」
「バッグに付いている汚れは土じゃないし、エプロンもケチャップじゃない。ペンキが付いたハンカチを見て思ったんです!汚れはペンキじゃないかって」
「でも、あんなの落とした紙……このチラシを見て思ったんです。付いてたのは絵の具だって!」
では、あの食材は何のためか。
料理として使うのは向いていないが、デッサンとして使うことはできる。
絵なら新鮮であろうとそうでなくとも描く練習に使える。
「そうなんです!ほんと……よく分かりましたね!」
「「私達、名探偵ですから!」」
バッグを女性に返却し、サムズアップをする二人。
後は純一さんにこのバッグを返すだけ――
「何が名探偵だ」
窓から声がする。
この声は……
「ほ~う、なかなか面白い漫画だ」
「さっきの!?」
先程、バッグを盗って行った怪盗団ファントムの男が再び僕らの前に姿を見せた。
バッグから漫画の原稿を取り出し、見ている。
「頂いていくぞ!」
男はその場から、飛び上がって逃げていく。
「純一さんの原稿が!」
「追いかけよう!」
「待て~!」
「来たか」
「逃がさないよ!」
跳びまわって逃げる怪盗団ファントムの男。
路地裏へと逃げ込んだところを挟み撃ちにすることができた。
あんなとみくるが背後を、僕が正面に立っている。
ニジーの時とは逆だな。
「ほう……まさか追いつくとはな!」
「なぜ絵画教室に原稿があるって分かったの!?」
この男は、食材やエプロンが入ったあの女性のバッグしか見ていなかった。
これだけで絵画教室にあるとは思いつかない。
「『パン』だよ」
「パン?」
「そうか……!」
「ひかる、分かるの?」
みくるが尋ねてくる。
「主に木炭デッサンで食パンが使われるんだ。消しゴムと違って紙を傷めず優しく消せる。でも、食パンだけで分かるなんて……」
「あぁ。新人が気付いたんだ」
新人?この男やニジー、アゲセーヌ以外にもまだいるのか。
「にしてもお前さん、本当は
「「「え?」」」
男が僕を見て言った。
「お前さんならとっくにこの漫画の入ったバッグがどこにあるのか分かっていたんだろう。だがこいつらが自分達の力で見つけられるように、何も言わず見守っていた。敵ながらあっぱれ!この“ゴウエモン”、後輩を思うが故の『愛』に感動したぜ!」
「そうなの!?」
「気づいてたの!?」
「?」
いやいや。
何を言っているんだ?
あんなとみくるが僕に驚いたような顔を向けるが、僕もあのチラシを見るまで絵画教室にあると思っていなかったんだが。
「さて、このオレに追いついたご褒美をやろう」
ファントムの男、ゴウエモンは扇子を取り出す。
「ウソよ、覆え!来やがれ、ハンニンダー!」
扇子から放たれた桜吹雪が純一さんの漫画へと吸い込まれる。
原稿に宿っている黄色のマコトジュエルが染まっていく。
「ハンニンダー!」
桜吹雪が散ると、漫画を媒体にしたハンニンダーが路地裏から道路に現れた。
「ひかる君、離れてて!」
「私達に任せて!」
「分かった」
二人は僕にそう言うと、ペンダントに手をかけた。
僕は二人が変身している間に、人目のない場所に移動して首にかけたミニチュアサイズのカメラを手に取る。
「よし、オープン。『プリキットカメラ』」
プリキットカメラを起動し、ハンニンダーが映るように位置を調整。
そして画面外でスパークレンスを取り出し、展開。
両腕を交差し、大きく回して空へ掲げた。
☆
「「名探偵プリキュア!」」
「私の答え、見せてあげます!」
「チャッ!」
変身をしたアンサーとミスティックは構える。
その隣にティガは並び立つ。
「え!?ティガ!?いつの間に!」
「ど、どこから!?」
これまでティガは、ピンチの時に現れていた。
ところが変身した途端、隣に立っていたものだから驚く二人。
「ハン ニン ダー!」
大きく跳び上がって拳を三人にめがけて放つハンニンダー。
「「ふっ!」」
THUNP!
二人はバックステップで、ティガはバク転で拳を回避する。
拳が地面に叩きつけられると吹き出しとともに衝撃波が追撃として迫って来る。
「ジュワッ!」
THU/NP!
迫って来る吹き出しをティガが力を込めたパンチで破壊する。
「「はぁーっ!」」
ティガの後ろからアンサーとミスティックはハンニンダーへ反撃をしようと飛びかかる。
「ハンニンダー!」
POW!
腕を交差させて大きく振るい、二人の攻撃を『POW!』の文字を出しながら退ける。
吹き飛ばされた二人に代わって、今度はティガがハンニンダーの頭上よりも高い場所からチョップを繰り出そうと構える。
「ハンニンダー!」
「ジャッ!」
WHOOSH!
右腕を大きく振るうと強い風が吹き、空中にいるティガを吹き飛ばした。
体勢が崩れたまま地面に落下し、煙が舞う。
「あっぱれだ!これがハンニンダーか。流石は“ウソノワール様”から授かった力!」
「ウソノワール?」
「あぁそうだ。我が怪盗団ファントムの偉大なるボス!ウソノワール様だ!」
ゴウエモンから怪盗団ファントムのボスの名を告げられるアンサーたち。
ハンニンダーのシルクハットの上に座りながら三人を見据えるゴウエモン。
「マコトジュエルはウソノワール様のために持ち帰る!だからお前たちには消えてもらう!」
「ハンニーンダー!」
BAM!
ハンニンダーが再度跳びかかる。
拳を地面に叩きつけると、吹き出しが鉄球のように転がり、後ろのビルに激突した。
「人を楽しませたいっていう純一さんの漫画をこんなことに使うなんて!」
「知ったことか!ウソノワール様がお喜びになれば、それでいい!」
アンサーの言葉に聞く耳をもたないゴウエモン。
「ハンニンダー!」
効果音を飛び道具のように使うハンニンダー。
効果音を用いた攻撃に回避をする三人だが、隙を見出すことが出来ない。
「隙が無い……!」
「あの攻撃を搔い潜らなきゃ……!」
掻い潜る。
言い換えると『回避しながら接近し、攻撃する』ということ。
そのためには俊敏さが求められる。
そう考えたのか、ティガの額のクリスタルが青紫色に輝く。
「――――――チャッ!」
額の前で腕を交差し、振り下ろす。
身体の赤色が紫へと変わり、紫と銀の姿となった。
「えっ!?身体の色が!?」
「前は赤だったのが今度は紫に!」
両手を平手に構えるティガ。
「へっ、色が変わろうが何もさせなければいいことよ!」
「ハンニンダー!」
BOOM!BOOM!BOOM!BOOM!
大量の爆発を起こすハンニンダー。
爆撃が迫って来る中、ティガは真上へ飛んで避ける。
「ハンニンダー!」
SLASH!
空中のティガを打ち落とそうと、両腕を振って斬撃の吹き出しを飛ばす。
「フッ!」
しかし、ティガは斬撃をすべて避けハンニンダーへ接近し、脳天へ左かかと落としを放った。
ハンニンダーは顔を地面へ叩きつけられる。
「あぶねっ!?」
ゴウエモンはいち早く危機を察知し、ハンニンダーのシルクハットから降りて離れる。
「は、速い……!」
「あの攻撃を全部避けた!」
「ええい!負けるなハンニンダー!」
「ハンニン……ダー!」
ZAAP
二人が驚くのも束の間、ハンニンダーは『ZAAP』の文字とともにビームを放った。
そこへミスティックがジュエルキュアウォッチを手に持ち、ティガの前に出る。
ジュエルキュアウォッチの長針を回転させる。
「ミスティックリフレクション!」
自身の前に四角形を描くように指を動かし、赤い宝石状のバリアを展開した。
真正面からビームを受け止め、弾いて見せた。
「な、なに~!?」
この隙をアンサーは逃さない。
アンサーもミスティックと同様にウォッチの長針を回転させる。
腰を落とし、紫のエネルギーを右手に溜める。
「アンサーアタック!」
今までにないアンサー全力の一撃。
WHAM!!
「ハンニン……!?ダー!?」
CRASH!!
身体をくの字に曲げるほどの一撃。
後方の建物へと吹き飛ばしたが、これでもハンニンダーはまだ倒せない。
だが、戦いに終止符が打たれる。
「漫画の原稿と!」
「純一さんの笑顔を!」
「「取り戻すんだ!」」
二人はジュエルキュアウォッチを構える。
そしてティガは、両腕を胸の前で交差させる。
瞬時に左右に伸ばしてから上にあげると、エネルギーが集約していく。
そのエネルギーごと両腕を左腰に置いた。
「「これが私たちの……アンサーだぁぁぁぁ!」」
「チャッ!」
二人の突撃と同時に右腕を伸ばし、光弾を放った。
爆散するとともに光の柱が昇る。
「「キュアット解決!」」
ハンニンダーに取り込まれていた黄色のマコトジュエルを取り戻し、ポチタンが吸収する。
ハンニンダーが浄化されたことでフィールドが消滅していく。
「オレも楽しませてもらったぞプリキュア!そしてティガ!また相まみえよう!」
そう言うと、桜とともにゴウエモンは姿を消した。
「ジュワッ!」
そしてティガも空の彼方へ飛び去って行った。
「はやっ!?」
「いつもより見えなくなるのが早いね!」
◆
「あ……ありがとう探偵さ~ん!」
ゴウエモンから漫画の原稿を取り戻し、事務所で待つ純一さんのもとへ届けた僕たち。
涙ながらに感謝を伝える純一さん。
あんなとみくるも初めての依頼を達成できて嬉しそうだ。
「うん?“ジュンジュン・コマッツ”?」
あんなが封筒に書かれた片仮名を呟いた。
「うん!僕のペンネーム」
するとあんなの様子がおかしくなった。
ものすごく動揺している。
「あっ!?あ……あの……あのジュンジュン・コマッツ先生!?」
「知ってるの?」
「うん!先生の漫画、大好きなの!純一さん、有名な漫画家さんになるよ!」
あんなは未来から来たからその名前を知っているのか。
あんながそう言うのなら純一さんの夢は叶うようだ。
「えっ!?ほんと!?それって名探偵さんの推理?」
「推理じゃなくて分かってるの!何て説明していいのか……う~ん……」
説明は簡単にはできない。
『未来から来た』なんて信じられないだろうし。
それに前に先輩が『未来は絶えず変わる』と言っていた。
純一さんの未来が変わってしまうかも。
「そんなすごい漫画家さんの作品なら、私も読みたい!」
「ボクも読む!!読みたい!」
みくるだけでなく先輩までもが純一さんの漫画に興味津々だ。
「待って!私が先だって!」
「私がさき~!」
三人の様子に僕と純一さんは笑ってしまった。
「よし、こうなったらジャンケンだ!」
順番はジャンケンで決めるようだ。
でも僕を忘れては困る。
「分かった!」
「せ~の……」
「「「最初はグー!ジャンケン……」」」
「「「「ポン!」」」」
あんなはグーを。
みくるもグーを。
先輩もグーを出した。
「はい。僕の勝ち」
「「「ええええぇぇぇ!?」」」
あいこと思われた勝負は僕が出したパーで決着した。
こうして探偵事務所、初の依頼を解決した僕たち。
だが、危機に直面することになることをこの時の僕らは――――まだ知らない。
スカイタイプでした~
題名の「音」はハンニンダーの攻撃を意味してました