名探偵プリキュア!ウルトラマンティガ 真実の光 作:Lotus000
〇→あんな
☆→三人称視点
●→るるか
□
「一人で依頼を引き受けた!?なんで相談してくれないの?」
「みくる学校だし……なんか……悪いかなって……」
あんなが学校にいるのは、依頼を引き受けたことが理由だった。
私から目をそらすように話すあんな。
ボイスメモで連絡をしなかったのは私が学校だからって……
「分かってるでしょ!?私には学校も探偵もどっちも大切だって!」
私は続ける。
「一人で調査して上手くいかなかったら?依頼人に迷惑がかかるでしょ!」
私の言葉にあんなは不服そうな顔をする。
でもこれは事実だ。
私達は探偵といっても、なったばかりの新人。
まだまだ一人前とは思っていない。
それは私もあんなも自覚してるはず……
「みくるだって!一人で依頼、引き受けたでしょ!」
確かに私も理事長から依頼を引き受けたけど……
「ボイスメモで連絡したけど出ないから……」
「調査中だったから……。それこそ調査が失敗したら真理子さんが悲しむよ!」
私が連絡した時点であんなは依頼を引き受けていたんだ。
「真理子さんって?」
「依頼人。妹の恵子さんを捜してて……」
ふと、あんなの後方にある燕の像に意識が向く。
正確にはその近くにいる人物へ。
この学園の高等部の制服を着た女子。
モニュメントを見ている。
もしかして……!あの人が警備員さんが話していた人影!?
その人はどこかへ行こうと歩き出していく。
「みくる?」
「ごめん!行かないと!」
あんなには悪いけど、その人を見失ってしまう前に走り出した。
〇
「話の途中なのに……」
依頼について話をしようとしたのに、みくるがどこかへ走り出してしまった。
また胸の奥が締め付けられるような感覚がする。
みくるに会って話せたはずなのに。
こんなとき、ひかる君ならどうしてたのかな……
ひかる君がいたらちゃんと話し合えてたのかな……
「ポチ……」
ポチタンが心配そうな顔をして私の顔を見る。
「ううん、大丈夫だよポチタン」
ポチタンが不安にならないように答える私。
すると……
「ポチ……!」
ポチタンが紐を私の身体に通す。
もしかしてこれって……
「ポチ~!」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
ポチタンに引っ張られる私。
何回目だろう。
でも、これはマコトジュエルが危ないってことだ!
みくると合流しないと。
□
「あの!」
その人がその場を立ち去ってしまう前に何とか追いつき、声を掛けた。
「幽霊……な訳ないよね」
今、目の前にいる女子高生は正真正銘の生きている人間だ。
幽霊じゃない。
「え?」
「い……いえ!あの……この辺で変わったものとか見てませんか?」
「さぁ……特には」
燕の像の近くにいたから何かしら情報を持っていると思ったけど、なかったようだ。
すると、私と彼女の間を一羽の燕が通り抜けるように飛行した。
「降りそうですね」
「ん?」
「よく言いませんか?燕が低く飛ぶと、雨が降るって」
私は世間話をするように話す。
突然聞いて、さよならは少し寂しいもんね。
「その手があったか……」
今、何か言ってたような……?
「ううん、おかげで助かったわ」
「はぁ……」
女子高生は礼を言うと、どこかへ歩いて行った。
私も、あんなのもとへ戻ろうとした。
そこへ……
「ポチィィィィィィ!」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇみくるぅぅぅぅぅぅ!」
「エ゛」
前方からポチタンに引っ張られて全速力でこちらに向かってくるあんなの姿が。
「みくる!マコトジュエルが危ない!」
「うぇ!?」
あんなはその勢いのまま私の手を掴む。
そのまま私もどこかへ走り出すのだった。
ポチタンに引っ張られてたどり着いた場所は、燕の像。
そしてその像の上に誰かがいる……
「あっ!恵子さん!」
「えっ?」
「私が捜してた人!」
この人は……さっき声を掛けた高等部の人だ。
この人があんなが依頼で捜している人?
「捜してた人?」
「ロンドンに留学中で、朝お姉さんの真理子さんが電話しても出なくて……」
「恵子じゃないよ」
女子高生はこちらに笑みを浮かべるとその制服を脱いだ。
現れたその姿は……
「ニジー!」
怪盗団ファントムのニジーだった。
「捜してる恵子さん、ロンドンにいるって言ってたけど寝てたのかも!」
「どうゆうこと?」
疑問をもつあんなに説明する。
「こっちが朝8時だとしたら……4月のロンドンは夜中の12時だから……」
「そっか!」
日本とロンドンの時差は普通9時間。
ただ、3月の最後の日曜から10月の最後の日曜まではサマータイムと言い8時間の時差が生じる。
日本の方がロンドンよりも時間が早く進んでいる。
だからこっちが朝に電話しても、ロンドンでは真夜中。
もう寝ててもおかしくない。
私はロンドンにいたことがあるから知ってたけど、あんなにはない。
だったら……
「私に話してくれればすぐに分かったのに!」
「さっき話そうとしたらみくるが行っちゃったんでしょ!」
「仕方ないじゃない!私も事件を追ってたんだからァ!」
「むむむむむむむむ……!」
あんなと言い争いになる。
その場を静めるように咳払いが。
「ボクをのけ者でヒートアップしないでいただきたい」
「なんで恵子さんに変装したの!?」
「留学した生徒を利用したのさ。彼女は海の向こうにいるからね。思いがけず会うことなんて絶対にないだろ?」
確かに……
変装する本人が街どころか日本にいなければ、鉢合わせになることはない。
「おかげで昼夜問わず好きなだけ調べられたよ」
「一体、何を調べてたの?」
私の言葉にニジーは答えた。
「この像をどう運ぶかさ」
像――ニジーが足場にしているこの学園のモニュメント。
今まで狙っていたものよりも遥かに規模が大きすぎる。
「街で何を使えばこの大きな像が運べるのか。とにかく調べ、考えに考えた」
「街で!?その姿を恵子さんたちは見たんだ……」
夜中に警備員さんが見たのも恵子さんに変装したニジーだったのね……
「フッフッフッ……どう運ぶのか決めかねていたんだが……
ニジーは私を見てそう言った。
ヒントを与えていた……?
いつ?何を?
「燕さ」
燕――――恵子さんだと思って話していたあの時。
世間話として話したことが……?
考える間にニジーは……
「ウソよ覆え!いでよ、ハンニンダー!」
ニジーは、どこからか赤い薔薇を取り出し、燕のモニュメントに投げ刺した。
そこから燕をモチーフとしたハンニンダーが姿を見せた。
だが、いつもと違う。
ハンニンダーが
「燕のようにして運べばいい。燕のように飛んで行けば簡単に運ぶことが出来る」
ハンニンダーにしてしまえば道具を使わずとも運べる。
正直、予想外だった。
「みくる!」
「……えぇ!」
とにかく、マコトジュエルを取り返さないと。
あんなの呼びかけに応じるように私達はペンダントに手をかけ、プリキュアに変身した。
「「名探偵プリキュア!」」
「私の答え、見せてあげます!」
☆
「一気に二つもマコトジュエルが手に入るとは。まさに一石二鳥」
「渡さない!幸せを運ぶといわれる燕は学校のシンボルなの!生徒と先生たちの思いのこもった像なの!」
「フッ。このボクにも幸せを運んでくれたようだね。ハンニンダー!」
「「ハンニンダー!」」
ニジーの指示を受け、二体のハンニンダーが飛び出す。
アンサーとミスティックは横へ跳んで回避しようとした。
ところが……
ドン!
アンサーは左、ミスティック右へ跳んだことで、二人はぶつかり合ってしまう。
思いがけないハプニングに二人の体勢が崩れる。
「「ハンニンダー!」」
「あぁっ!」
「うぅっ!」
突撃に構えることも出来ず、勢いをのせた蹴りが二人に命中する。
大きく吹き飛ばされ、地面へ叩きつけられる。
「見事だろ?息の合ったハンニンダーの攻撃。それに比べてみじめだね」
土煙が晴れ、何とか立ち上がる二人をあざ笑うかのように言葉を続けるニジー。
「君たちはまるで足並みが揃っていない」
「ハン!」
「ニン!」
再びハンニンダーが接近すると、二人にパンチを繰り出した。
「「うっ!」」
防御できたものの、衝撃を受け止め切れず再度後方へ吹き飛ばされた二人。
「全くもって相手にならない。今のキミたちからならば逃げ去ることは容易だろう……だが」
ニジーの言う通り、今のアンサーとミスティックは連携がとれておらず、防ぐのも精一杯といった状況。
そして今回のハンニンダーは燕。
今までのハンニンダーと比較しても素早い。
いざとなれば逃げることもできる。
だが、今のニジーに逃げようという考えは――――ない。
「名探偵プリキュアを倒せば、ウソノワール様もお喜びになる!」
ニジーは天を仰ぐように大きく手を広げ、声を大にして言った。
「ご覧になられていますか!ウソノワール様!」
返事が返ってくる気配はない。
「素晴らしいショーを御覧に入れます。ウソノワール様!」
「「ハンニンダー!」」
ニジーに応えるようにハンニンダーがまた飛び出す。
「像を取り返す!」
「マコトジュエルを取り返す!」
二人はジュエルキュアウォッチを取り出し、長針を11まで回す。
「「これが私たちの……アンサーだぁぁぁぁぁ!!」」
二人は身を屈め、同時に跳び出す。
これまで幾度となくハンニンダーとの戦いに終止符を打った決め技。
逆転の一手のごとく、二体ハンニンダーの巨体めがけて放った――――
だが……
「「あっ……!?」」
二体のハンニンダーは、二人の拳を片手で容易く受け止めた。
二人の決め技が全くと言っていいほど効果がなかった。
「同じ台詞を言わせないでほしいなぁ。足並みがそろっていないのだよ」
「ハン……」
「ニン……」
「ダァァァァァァッ!」
お返しと言わんばかりに、二体のハンニンダーは同時に力強い拳を二人に放った。
また吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。
「さぁ、そろそろ舞台から降りてもらおうか……」
土煙が晴れる。
アンサーは身体が痛む中、目を開くと目の前に落ちていたものが視界に入る。
「あっ……」
事務所を出る直前、ジェットから貰った伝説のプリキット。
『名探偵プリキュアの危機を救ってくれるらしい』。
まさに今がそのときでは――――。
アンサーはプリキットを手に取ると、ハンニンダーと向き合う。
「なに……それ……?」
ミスティックが尋ねるがアンサーは答えず、プリキットを天に掲げる。
「オープン!」
プリキットを起動するための言葉を言う。
しかし、何も起こらない。
「あれ……?オープン!オープン!」
何度も言い続けるアンサー。
それでもプリキットは反応しない。
「そんな……どうして……」
動揺し、動けないアンサー。
ミスティックも膝をついたまま。
そんな彼女たちにハンニンダーが一体、突撃する。
「キミたちにはもう舞台に上がる資格がないのさ!名探偵プリキュア!」
トドメだ。
誰もがそう思った。
「ポ~チィィィィィィ……!」
アンサーとミスティックの前にポチタンが立ち、光を放つ。
「ハンニン……!?」
「ポォォォチィィィィィィ……!」
「ポチタン……?」
視界を手で覆うほどの強力な光。
それがポチタンという小さな体の額のハートから放たれている。
「な……なんだ……!?」
「ポォォォォォォォォチィィッ!!」
ポチタンが叫ぶように力を解放させた瞬間――――
ハンニンダーを後方へ吹き飛ばした。
もう一体のハンニンダーが受け止めたものの、吹き飛ばされた方は支えられなければ立てないほど弱っていた。
変化はそれだけではない。
アンサーが持つプリキットがポチタンと同じように光り、そして消えた。
「このままでは……ハンニンダー!」
予想外のことが起き、不味いと思ったのか。
ニジーは動けるハンニンダーに指示を出した。
ぐったりとしたもう一体のハンニンダーを両手で持ち、飛び上がったハンニンダーの背中に乗ったニジー。
「マコトジュエルは二つも手に入れた……良しとしよう!さらばだ、名探偵の諸君!」
「あっ!?」
プリキュアを倒せなかったことに舌打ちをしつつも、ニジーはハンニンダーとともにその場から飛び去って行った。
「ポ……ポチィ……」
「あっ……ポチタン!」
力を使い果たしたようにポチタンは倒れた。
ポチタンに急いで駆け寄る二人。
フィールドが解除され、ひび割れた地面が元に戻る。
雨が降り始める。
「ポチタン……」
「ポチタン……」
二人が涙を浮かべながらポチタンを呼びかける。
「ぽ……ぽちぃ……」
力弱く声を出すポチタン。
雨が二人の身体を絶えず打ち付ける。
マコトジュエルを取り返せなかった――――。
ポチタンに無理をさせてしまった――――。
二人は心の中でこう思い続けていた。
『『私のせいだ』』
●
「時空の妖精……!!」
劇場の幕に映された戦いの光景を見つめ、ウソノワールは手に持つオペラグラスを握り締めている。
普段感情を表に出さず、言葉で圧を与えるウソノワールが部下がいるにもかかわらず苛立ちを露わにする。
あのように感情をむき出しにする姿を見るのは初めてではない。
半年ぶりだろうか。
「……」
私は映像を見つめる。
『時空の妖精』。
あの妖精が介入して来なければ、プリキュアは倒され、怪盗団ファントムの邪魔をする存在はいなくなるはずだった。
いや、まだ一人。
だが……
「ティガ……現れなかったわね」
マシュタンの言う通り、彼は現れなかった。
彼にはマコトジュエルを感知する力がないのか、あの場には現れなかった。
むしろあれが本来の戦い。
これまでティガが手助けしていたことが異常なのだ。
でも、彼がこのまま何もしないとは思えない。
ただ静かな時間が劇場に流れていくのだった。
次回はひかる出ます。出します。