名探偵プリキュア!ウルトラマンティガ 真実の光 作:Lotus000
□→みくる
☆→三人称視点
◆→ひかる
〇→あんな
●→るるか
□
二体のハンニンダーが合体して一体のハンニンダーになった。
戦いが繰り広げられている遥か海の向こうに浮かぶ雲が雷鳴とともに光る。
「力を合わせるとはこういうことさ!」
ハンニンダーの背中に乗ったニジーがそう言うと、ハンニンダーが突撃してきた。
「「わぁぁぁぁぁっ!?」」
ハンニンダーの攻撃で足場が破壊され、宙に放り出される。
別の足場に着地したことで叩きつけられずに済んだ。
でもパワーアップしたハンニンダーの猛攻は終わらない。
「ハンニン……ダー!」
両翼を大きく広げると、鳥の形をした無数の光弾が放たれる。
プリキットライトで足場を作ったとはいえ、数は無限ではない。
私もアンサーも流星群のように降りかかる光弾を回避しきれず直撃し、砂浜に叩きつけられた。
「アンサー!ミスティック!」
ゴロゴロゴロゴロ……
離れたところからひかるの声がした気がしたが、地面に落下した衝撃と雷鳴で聞こえなかった。
「フフフ……また一雨来そうだね。この空は、まるでキミたちの心を映しているかのようだ」
上空のハンニンダーから砂浜に倒れる私たちを見下ろすニジー。
立ち上がることも、言い返すこともできない。
「みくるに……傘を届けに行ったんだ……」
アンサーの声が聞こえる。
ミスティックではなく、
「えっ?」
「そしたら、友達といるみくるを見て……邪魔しちゃダメだって……でも……何よりも思ったの……
この時代で、この世界で一人ぼっちなんだって……!」
目に涙を浮かべ、顔を腕で覆い隠すアンサー。
「だから……私一人で調査して……!」
アンサーは私に顔を向けて……
「ごめんね」
涙を流したままそう言った。
「知らなかった……そうだよね。1999年に……この時代に来て、心細いよね……不安だったよね……なのに私……」
今思えば、あんなはよく事務所の窓から外を眺めていた。
きっと考えていたんだ。
なのに、私は……あんなが頼ることが出来る数少ない一人なのに……一人でマコトジュエルを取り返そうとして……
「私こそ、一人で……ごめん……!」
アンサーに寄ろうとするが、痛みに耐えられず倒れてしまう。
「ミスティック……」
「ハンニンダー!」
と、横に砂煙が舞う。
ニジーがハンニンダーとともに地面へ降りてきたのだ。
「さて、そろそろショーも終わりの時間だよ。プリキュア!」
ニジーが私たちへ最期のトドメの合図を出そうと左腕を前に出す。
「やめろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
突然、ハンニンダーの後方から大きな光が溢れる。
「チャッ!」
「ハンッ!?」
「おわぁっ!?」
ハンニンダーの横から銀色の足が繰り出されると、ハンニンダーはニジー共々吹き飛ばされる。
そして、それは私たちの前に降り立った。
「あっ……!」
「ティガ……!」
私たちのピンチに今度は駆けつけてくれた銀色の戦士、ティガ。
☆
「ようやくお出ましか……ティガ。キミが最も強敵なのはこれまでの戦いで十分わかってるよ。だが負ける気はない!」
ニジーを乗せたハンニンダーは再び空高く飛び上がる。
「さぁ、来たまえ!ティガ!」
空から地上にいるティガを見下すように挑発するニジー。
ティガは腕を交差して振り下ろし、スカイタイプへと姿を変えた。
「ジュワッ!」
ティガは飛び上がる。
上昇するハンニンダーを追って、上昇していくティガ。
一気にハンニンダーとの距離を詰め、超スピードを維持したまま、ティガとハンニンダーは空中で組み合う。
ティガはチョップを、ハンニンダーは足を胴体に叩きつけ合う。
鈍い音が何度も空に響く。
「ハンニンダー!」
「グッ!?」
ハンニンダーの嘴がティガの肩に刺さる。
バランスを崩したティガが垂直落下していく。
「ハンニン!」
落下していくティガめがけて、ハンニンダーは光弾を乱射する。
【二体分の力が合わさってスピードもパワーもある……でも負けるわけにはいかない!】
体勢を整えると、落下していく身体を上に起こし、飛行して光弾を回避する。
回避された光弾は海へと落ち、水柱が何本も立つ。
「ハッ!ハッ!チャァ!」
水柱の後ろからティガは
「ハン!?ニン!?ダァァァ!」
「うおっ!?」
二発は回避したものの、三発目が命中し怯むハンニンダー。
「ぐっ……奴はどこに……」
ニジーが海の方へ視界を移すが、既にティガの姿はない。
すると……
「なっ……上!?」
頭上から眩しい光が照らされる。
その正体はティガ。
「ジャッ!」
ティガがハンニンダーの頭上からエネルギーを纏い、拳を突き出して突撃し、ハンニンダーは砂浜へと落下していった。
「くっ……」
ニジーは地面へ落下する寸前にハンニンダーから離れ、転がるように受け身を取った。
ハンニンダーが落ちた場所の砂煙が高く舞う。
ティガも砂浜へ着地し、ファインディングポーズを取る。
「やはり手強い……」
「ポチ~!」
「ん?」
ハンニンダーに対して構えるティガを見て呟くニジー。
かすかに声が聞こえる。
右を見ると、離れた場所にポチタンとそれを抱えるジェットの姿が。
◆
このままハンニンダーを弱らせる。
今の姿では、パワーが足りなくてハンニンダーを倒しきれないかもしれない。
なら姿を変えて戦おう。
そう思い、腕を交差させようとした。
ハンニンダーの後ろにいるニジーが視界に入る。
横を見ている。
「ここで登場か……ベイビー妖精!」
ニジーが横を見て、僕も視線を移す。
離れた砂浜にポチタンを抱えたジェット先輩の姿があった。
【ポチタン!?先輩!?どうしてここに……!?】
事務所で待っているはずの二人がどうしてここへ来ているのか。
そのことに気を取られてしまった。
「だが、舞台には上げないよ!」
「ハンニンダー!」
ハンニンダーに再度顔を向けた瞬間、ハンニンダーが光弾をポチタンと先輩めがけて放った。
しまった――――
「何だよあれ!?」
「ポチ……」
一手遅れた。
光弾から二人を守るために僕はすぐに二人の元へ向かった。
地面ギリギリで飛び、風圧で砂が舞う。
大丈夫、
「これ!届けたいんだろ?あんなとみくるに!」
先輩がポチタンを離すと、ポケットから取り出した何かをポチタンに渡している。
「ポチ!」
「ここはボクに任せろ!行け!ポチタン!」
ポチタンがそれを受け取ると、中に取り込み、アンサーとミスティックのいる方へと飛んで行った。
光弾の軌道から逸れるように離れたおかげでポチタンは大丈夫そうだ。
だが、これも誤算だった。
「あいつらの邪魔はさせない!来るなら来てみやがれ!」
先輩が光弾が自分のもとへ向かってくるように挑発の声を上げる。
一発。
たった一発だけが軌道を変えた。
「ポチ……!?」
ポチタンとすれ違うように光弾が通過していく中、一発だけがポチタンめがけて向かっていった。
【ポチタン!!】
光弾を放って打ち消す――――
いやポチタンを巻き込みかねない、ポチタンの前に飛び込んで身体で受け止めるしかない。
でも、そしたらジェットが……!
時間がない。
ポチタンを守るか、ジェットを守るか。
選択が迫られている。
僕は……どうすれば……!!
ザッ
ジェットに視界を移すと、その奥で砂が軽く舞う。
金髪に輝くロングヘアーをなびかせ、黒い衣装を纏い、黒いダイヤのような髪飾りを着けた少女が立っていた。
【君は――――?】
その少女は手に持っている杖をこちらへ向けると、そこから紫色の閃光が放たれた。
一瞬でポチタンへの光弾を撃ち抜いたかと思うと、再度杖から放たれる。
今度はジェットへ向けられた無数の光弾を一気に撃ち消した。
僕は飛行をやめ、その場に立って少女を見る。
ポチタンが真横を通過していく。
少女はこちらを向いたまま表情を変えず、その場から跳んで行った。
その場には少女がいたであろう痕跡だけが残った。
今のは一体……?
〇
「はぁ……はぁ……」
「はぁ……はぁ……」
身体中が痛みを訴える。
でも、ティガのおかげで時間が出来た。
膝をつきながらも身体を何とか起こし、ハンニンダーを見る。
「アンサぁ……!」
「ミスティック……!」
隣のミスティックが私に手を差し出す。
表情が辛く、痛みを我慢しているのが感じられる。
「
「えっ……?」
「ジェット先輩が言ってた。あの時と……あべこべだ」
初めてみくると出会ったとき。
悩んでいたみくるの手を私は掴んだ。
今度は
『一歩踏み出せば答えはついてくる!』
『一歩の勇気が答えになる!……だよ!』
「あなたが気づかせてくれたから……」
私とミスティック、お互いが繋いだ手を強く握る。
「なにっ……!?」
私たちが立ち上がれることに驚くニジー。
「ミスティック!さっき1999年に、この時代に来て心細い。不安でしょって言ったけど……私もう平気だよ!だって、私の中にみくるがいるから!」
ミスティックは私の言葉を聞いて驚いた表情をする。
「えぇ!私の中にも……あんながいる!」
「私たちは……」
「「一人じゃない!」」
「くっ……!一人だろうが二人だろうがどうでもいい!ボクには後がない……倒すまでさ!」
ニジーが鬼気迫る顔でハンニンダーとともに向かってくる。
「ミスティックと二人でマコトジュエルを!」
「燕の像を!」
「「取り返す!」」
「ポチーー!」
二人で飛び出すと同時に、私たちの間からはポチタンが飛び出した。
そうだ……!
「「二人じゃない!三人で!」」
ポチタンから光の球が二つ出てくる。
それは前の戦いでは使えなかった伝説のプリキット。
前は使うことはできなかった。
でも今は違う。
私たちは伝説のプリキットを掴んだ。
「「オープン!」」
伝説のプリキットが光で包まれると、手のひらサイズから元の大きさになる。
虫眼鏡のような形、その持ち手を掴む。
「「プリキットミラールーペ!」」
「「ポチタン!」」
「ポチ~!」
ポチタンを呼びかけると、ポチタンの胸のクリスタルからマコトジュエルが飛び出し、私とミスティックは掴む。
「「マコトジュエル!」」
そのマコトジュエルをミラールーペにセットし、レンズ部分を展開する。
「見て!」
「感じて!」
「「ナゾを解く!」」
ミラールーペのジュエル部分を操作するたびに力が溜まっていくのが感じられる。
「「これが!私たちの!アンサーだ!」」
「「プリキュア!フライング・スペクトル!!」」
私とミスティックの持つルーペから放たれた二つの光が合わさる。
閃光が鳥のように一直線にハンニンダーに向かい、巨体を貫いた。
「「キュアット解決!!」」
「ハン……ニン……ダぁぁぁぁ……」
●
再起した名探偵プリキュアの新たな技によってハンニンダーが浄化された。
手に入れた二個のマコトジュエルを取り返された。
そしてニジーは敗北した。
帽子が脱げて倒れるニジーに私は近づく。
「帰りましょう」
「くぅっ……!」
ニジーの顔は見えない。
拳を強く握りしめていることから悔しさが伝わってくる。
だが、こうなることを選んだのはニジー本人。
自業自得である。
彼のいる方を見る。
先程まで私が立っていた場所を見つめている。
彼に見られないうちに私たちは虹ケ浜から立ち去った。
◆
戦いが終わった。
すっかり日が落ち始めている。
空を黒く覆っていた雲が晴れ、夕陽が僕らを照らす。
「お~い!」
あんなとみくるに撫でられるポチタンのもとに駆け寄る。
「みんな!無事だったか!」
「ジェット先輩!」
先輩も僕らのもとへ駆け寄る。
「うん?な~んだ。いっぱしのおとも妖精だな」
あんなとみくるに挟まれたポチタンを見て先輩は言う。
あんなとみくるもちゃんと思いをお互い出し合って、話せて良かった。
ただ、一つ。
気になるのは、あの少女だ。
ポチタンと先輩を助けた黒い少女。
あの子は……
「妹と連絡が取れました!」
後日、あんなが調査していた人探しの件で真理子さんが事務所を訪れた。
「いや~寝てて電話に出なかったみたいで!」
「ロンドンは夜中だったからですね」
「みくるが言った通りだ!」
あんなが受けた依頼も、みくるが受けた依頼も無事に解決できて結果オーライ、といったところか。
「ポチ~!」
「あぁ!?ボクのキャンディー!返せぇぇぇぇぇ!」
ポチタンは先輩のキャンディーを取り込んでいる。
先輩が追い回す。
こうして危機を乗り越えた名探偵プリキュア。
僕はティガの正体を誰にも明かすことは出来ない。
それでも、これからも怪盗団ファントムからマコトジュエルを守っていこう――――
そう心に思うのであった。
●
「お前の役目は終わった」
舞台に一人立つニジーにウソノワールは宣告した。
「う……ウソノワールさま……」
「行くがいい。奈落の底へ」
部隊の装置が作動したのか、ニジーの立っている足場が下へと下がっていく。
二階席にいるゴウエモン、アゲセーヌがニジーを見続ける。
普段仲がよいとは言い難いアゲセーヌでさえ、ニジーが奈落へと落ちていくことには動揺している。
「うそ……ウソノワール様!おっ……お待ちください!とびきりの情報があります!」
情報を提供したところで奈落に落ちることには変わりはないだろう。
私は目を瞑り、マシュタンを抱えたまま静かにする。
「ぷ……プリキュアの一人、キュアアンサーは
――――なんて?
下がっていく足場が停止する。
「恐らく、違う時代から来たんです……!」
「……何?」
ゴウエモンやアゲセーヌが驚く中、ウソノワールも反応した。
「違う時代から来た……プリキュア?」
「
戦闘はティガ6話のガゾート戦をイメージしてます。
次回は学校回なので、幕間にしようと思います。
次回もお楽しみに