名探偵プリキュア!ウルトラマンティガ 真実の光 作:Lotus000
◆
結婚式場から僕たちがあんなさんに連れられて着いた場所は、マコトミライタウン。
あんなさんはそこに住んでいるという。
「えっとね……ここが私の
「へぇ~!」
あんなさんが指を差したのは、高層マンション。
他の建物と見比べても、一番目立つもので、彼女の家庭が裕福であることが想像できる。
ただ……
『マコトミライタウン完成予想図』と上に書かれている。
それも『マコトミライタウン予定地』の看板に。
看板の向こう、目の前は大きな空き地が広がっていた。
「街ごとないんだけどおおおぉぉぉぉぉ!?」
「未来から来たって本当だったのぉぉぉぉぉ!?」
「えぇ……?」
「探偵事務所の名探偵じゃなかったの!?」
みくる……まだ事務所の人だと信じていたのか。
「だから私、嘘つかないって!誕生日パーティーがあるの!帰らないと!名探偵でしょ助けて~!」
「それを言うならあなたも名探偵ぃぃぃぃぃ!」
「ひとまず!」
みくるの肩を掴み、激しく揺さぶるあんなさん。
間に割って入るように僕は提案した。
「キュアット探偵事務所に行こう」
僕たちはあんなさんと初めて出会ったキュアット探偵事務所へやって来た。
「キュアット探偵事務所?」
「ここに名探偵プリキュアがいます」
「えぇ~!?他にも名探偵プリキュ――」
「シーッ!プリキュアがいることは秘密だそうです!」
二人の他にも名探偵プリキュアが存在するのか。
とゆうか、みくるは何故、プリキュアのことを知っているんだろう。
「秘密なのによく知ってるね」
「まぁ気にせずに!きっと力になってくれます」
あんなさんに指摘されてるし。
ひとまず、扉を開けて事務所の中へ入っていった。
「ごめんくださ~い!」
みくるが呼びかけるが返事はない。
それどころか照明が一つも付いておらず、所々に埃をかぶっているところもあり、この事務所に人が長いこと不在だったことが分かった。
しかしながら向き合った状態に配置されたソファー、机。
壁にはまことみらい市の地図が大きく貼られており、その周りに付箋が貼られていた。
以前までちゃんと使われていたのだろう。
「懐かしいような感じがする……」
「なんか、イメージと違う……」
「ポチ~」
「どなたかいませんか~?」
あんなさんが再度、呼びかける。
返事はない…
「依頼は断ってる」
いや、誰かいる。
「あっ、あの!力を貸してほしいんです!私、タイムスリップしちゃって…」
「冗談に付き合ってる暇はない。帰ってくれ」
「冗談じゃなくて本当に……」
「私たち、名探偵プリキュアなんです!」
姿を見せないが声はする。
近くの机から何かを擦るような音が聞こえる。
僕は机の反対側をのぞき込もうとした。
すると……
「いっ!?」
「んがっ……!?」
突然、視界が真っ黄色になったと思ったら鼻に何か硬いのがぶつかった。
「ひかるさん!?大丈夫ですか!」
「だ、大丈夫……」
僕たちは机の上に目を向けた。
そこには頭を擦りながらも何かを咥え、ゴーグルを着け、白衣を羽織った少年が僕らを見下ろしていた。
「子ども?」
「あれ?君、確かパティスリーチュチュに来てる人だよね?」
「ん。ボクのことを知ってるのか?」
そりゃあ、白衣着た金髪という特徴があるし。
「それより、お前たちがプリキュア?」
「僕は違くて……二人が」
僕から視線を移し、あんなさんとみくるの二人を観察する少年。
その緑の瞳が二人の心まで見透かすかのように。
「ないな」
「本当だよ!私、噓つかないから!」
あんなさんが少年の否定する言葉に食い下がるが、表情は変わらず。
だが、少年はあんなさんのペンダントに注目した。
「そいつは!……うわあっ!?」
少年は、バランスを崩して背中から落ちた。
「いてて……」
「妖精!?」
少年が倒れた場所には彼の姿はなく、入れ替わるように黄色の身体、ハート形のピンク色の石が額に埋め込まれている小さな姿があった。
あんなさんと一緒にいた妖精と似たような存在。
自分の姿に気付いた妖精は、すぐに人間の姿に戻った。
いや、なったと言った方が正しいか。
事務所の明かりをつけ、ソファーに座った僕たち。
正面にあんなさんとみくる、対面に僕と少年が並んで座っていた。
少年からお茶の代わりにいただいた飴を舐めながら彼と話をしていた。
「これでプリキュアに変身しただと?」
ルーペを使ってあんなさんが首にかけていたペンダントを調べる少年。
「妖精が人間になるなんて……」
「あなた、プリキュアのお供妖精?」
「いいや、ボクは……天才発明家・『ジェット』!探偵道具を発明するのが仕事だ」
発明家なのか。
天才って自称しているが。
「へぇ~!まだ小さいのにすごいね」
あんながそう言うと、ジェットは目を細めた。
「小さい?お前は何歳だ?」
「私、14歳だよ?」
「えっ?私ももうすぐ14歳!」
「そうなの!?はなまるびっくり!」
二人は僕たちの存在をそっちのけで話し始めた。
「フン……ボクが年上だな。ボクは222歳だ!」
「えっ!?222!?二世紀以上生きているのか!?」
「そうだ。お前たちよりもずっと長く生きている」
「少年じゃなくて、おじいさんだったのか。年配として敬うべきだったなぁ」
「年上でもそんな風に敬われたくないぞ!それに妖精の中でも、若い方だ!」
「222歳でも若いんだ」
怒られてしまった。
二人は聞いてないし。
「同い年なら敬語はなし!あんなでいいよ~!」
「じゃあ、私もみくるで!」
「分かった~!」
女子トーク+同い年トークに夢中な二人。
「これだから子どもは……」とジェットから言われる始末。
「ひかるさんはいくつなんですか?」
「そういえば、私も聞いたことなかったですね」
突然、二人に僕の年齢を尋ねられる。
正直、困った。
「あー……一応、16歳」
「16……私よりも二つ上なんですね」
「うん。でも、敬語はいらないよ。呼び捨てでも好きなように呼んで。僕もあんなって呼ぶことにする」
「ひかるさ、ひかる……。う~……慣れるまで時間かかりそう……」
話を変えるようにジェットが挟んだ。
「……で、お前らどこでこのペンダントを手に入れた?」
「ずっと前におばあちゃんにもらったの。でも、詳しいことは分からなくて」
「私はね、自分の机の上にペンダントが置いてあって。そしたらポチタンが現れたの」
飴を咥えながら話す二人。
「「ポチタン?」」
僕とジェットが聞き返す。
あんなと一緒にこの時代に来た妖精のことか。
いつの間に名前を付けたの?
「あれ?そういえばポチタンは?」
妖精ことポチタンの姿がないことに気付き、周りを見渡していると突然、事務所内に警報音が鳴り響いた。
『シンニュウシャ!シンニュウシャ!』
「研究室か!」
ジェットはソファーから飛び上がって部屋を出ていくと、どこかへ向かう。
僕らも彼の後を追うと、そこは地下室の研究室だった。
「あぁーっ!?ボクのおやつ!」
「「すごい量!?」」
部屋に入ると、地下室の天井から落ちてきたであろうお菓子が山のように積みあがっていた。
「発明で頭を使うからエネルギーが必要なんだよ!」
「にしてもこの量は……普段からこれは身体に悪いよ。ちゃんとしたご飯を食べないと」
「ぐっ……」
「ポチ~!」
ぐうの音も出ないジェット。
そんな彼だったがお菓子の山から飛び出したポチタンの姿を見ると驚いたように声を上げた。
「時空の妖精!?」
ポチタンのことを『時空の妖精』と呼んだジェット。
時空の妖精とは何かを尋ねるまでもなくジェットは語り始めた。
「時間と空間をワープするとっても珍しい妖精だ」
時間と空間をワープする妖精……もしかして!
「そうか……タイムスリップの原因はお前か!」
ジェットが言ってくれた。
あんなが2027年の世界からこの1999年にやって来たのはポチタンが力を使ったからだ。
「この妖精を使えば、もとの時代へ帰れるかも!」
「やった!」
「よかった!」
「ポチ~」
あんながもとの時代に帰れる方法が分かり、安心する僕たち。
ところが、ジェットがこんなことを聞いてきた。
「待て、そもそも赤ちゃんじゃなかっただろ」
「うん。ポチタン普通に喋ってた」
「タイムスリップで力を使い切ったんだ」
「使い切った……ってことは今はタイムスリップできないってことか」
「元の姿に戻らないとタイムスリップはできないだろう」
「そんな……」
希望が見えたと思ったら問題が発生し、気分が落ち込むあんな。
「どうすれば?」
「う~ん……マコトジュエルなら」
マコトジュエル?
ハンニンダーを浄化して手に入れたアレや僕が持っていたアレ?
「真実の力が秘められた宝石だ。それがあれば……」
あんなとみくるが顔を合わせる。
そういえばその時の僕は吹き飛ばされてるって二人には思われてるんだった。
「ただ、見つけるのは難しい」
「これのこと?」
そう言ってあんなはポケットからティアラのハンニンダーから手に入れた緑色のマコトジュエルをジェットに見せる。
「持ってるの~!?」
ジェットもリアクションいいな、みくるに負けず劣らず。
「これで元に戻る!」
「「やった~!」」
今度こそ元の時代に帰れると思い喜ぶ三人だが、僕はそう思わなかった。
時間と空間をワープする力は言葉では言い表せないほど、とてつもない力があると想像できる。
マコトジュエル一個で補充できるものなのか?
マコトジュエルは一個だけではない。
ニジーが所属する怪盗団ファントムという組織は、常日頃からマコトジュエルを集めてるのだろう。
あんなやみくるが使っていた時計のアイテムにもマコトジュエルが。
それに僕の手元にもマコトジュエル?がある。
マコトジュエルについて考察していると、あんなからマコトジュエルを吸収したポチタンが力を溜めたと思ったら、独特なデザインの哺乳瓶が出てきた。
どうやら育成ゲームのようなシステムみたいだ。
研究室から自己紹介をした場所に戻ってきた僕たち。
ポチタンはあんなの腕の中で、ミルクを美味しそうに飲んでいた。
「戻ってなぁぁぁい!」
「もっとマコトジュエルが必要なのか」
「でも、帰れる方法が分かったんだ。マコトジュエルを探すことを目標にできる」
方法が分かっただけでも十分だ。
あとはマコトジュエルを探して集める。
「うん!探そう!」
「えぇ!きっと見つかる!プリキュアの先輩の力を借りればね!」
「うん?この世界にはもう名探偵プリキュアはいないぞ」
「「「えっ?」」」
ジェットの口からプリキュアはもう存在しないことを告げられ、疑問を抱く僕たち。
「数か月前まではここにいたらしいけど、突然姿を消したんだ」
「どうして?」
「理由は不明。この事務所を閉めるために、ボクはロンドンのキュアット探偵事務所から来たんだ」
だから事務所に人の気配がなく、机にダンボールがあったのか。
探偵ではない発明家のジェットがいるのも納得できた。
「事務所がなくなるの?」
「まぁな」
「ここでプリキュアの先輩と調査するのが夢だったのに……」
ようやく名探偵になれてスタートを切ったみくるだったが、憧れの先輩がいないうえ、事務所もなくなってしまう。
ジェットも腕を組み、何も言わない。
だが僕はふと思った。
「名探偵プリキュアがいないから事務所を閉める……なら、あんなとみくるが名探偵プリキュアになったから、事務所は続けられるんじゃないか?」
「うん、いるよ。私たちがいる!やろうよ、ここで名探偵!ねっみくる!」
「……えぇ!でもあんな、自分の時代に……」
「勝手に決めるなよ」
僕とあんなの言葉を聞いて、みくるの表情が明るくなった。
だが、ジェットは目を閉じたまま僕らに言った。
「ボクはお前たちがプリキュアだって認めてない。ボクはこの目で見たものしか信じないからな!」
う~ん……意地っ張りというか、頑固というか。
だが、彼の気持ちも理解できる。
不満に思ったみくるが頬を膨らませる。
「むう!だったら、プリキュアだって証拠見せてあげ――」
みくるの話を遮るように事務所内に鐘の音が鳴り響く。
廊下に置かれてあった振り子時計の長針がⅫ、短針がⅤを指しており、鐘の音は午後5時になったことを告げる。
横の窓がオレンジ色に染まっており、日が落ちてきていることが分かる。
「……と思ったけど帰る!学校の寮、門限だから!」
「「「えっ?」」」
本当に変身するかと思った……。
みくるはソファーから立ち上がると、事務所の玄関へと向かおうと部屋を出る。
「証拠は明日見せてあげるから!」
「みくる!」
「あっ、あんなたち泊めてあげて!」
思い出したかのようにみくるが部屋の扉から顔を出してジェットに対してそう言った。
「はぁ?」
困惑と面倒が顔に出ているかのような表情をするジェット。
「ひかるさん、じゃなくて、ひかる君も家に帰るの?」
あんなに尋ねられる。
まだ、僕の呼び方を模索しているのかな。
「うん。遅くまで歩いて補導されたら大変だしね」
「そっか……。確かにそうだね」
笑顔で共感したように振る舞うあんな。
作り笑いのような表情。
どこか寂しさと不安が声に乗っているように感じた。
「……いや、予定変更だ」
「えっ?」
「一度、家に戻って着替えとか必要なもの持ってくる。それで、僕も事務所に泊まる」
「いいんですか……?」
あんなの言葉に頷くと、嬉しそうな顔をする。
ポチタンもあんなと同じく喜んでいる。
「おい……泊まるにしても、ベッドとかないからな。そのソファーぐらいしか」
「大丈夫。この事務所ってキッチンとかある?」
「あるが……何でだ?」
「僕らが来るまで、ここにはジェットしかいなかったし。ご飯食べずにお菓子しか食べてないでしょ?」
「ぐうっ……」
またジェットが傷を負う。
今日二回目だ。
「晩ご飯も、朝ご飯もお菓子で、あんなが身体壊して未来に帰ったら、あんなの親に申し訳ないから」
「ひかる君……ありがとう」
正直言うと、これは建前だ。
本当はあんなが寂しそうな顔をしていたから。
あと、ジェットの健康面。
一度家に戻り、着替えやフライパンなどの調理器具を大きめのリュックに入れ、食材をスーパーで買って事務所へ戻って来た。
豚肉の生姜焼き、パックご飯、味噌汁をふるまった。
あんなもジェットも満足そうに食べてくれた。
こうやって誰かと食卓を囲むのは久しぶりだ。
最後に誰かと食べたのはいつだったかな。
夕食やシャワーを終えて、暗くなった事務所内。
あんなとポチタンはソファーで横になるとすぐに眠ってしまった。
ジェットは机の上で照明で手元を照らして、あんなのペンダントを見ていた。
「ジェット、少しいい?」
「あぁ、何だ?」
「これを見てほしい」
僕は胸ポケットからあのマコトジュエルに酷似したものをジェットに見せた。
「それ、マコトジュエル……!?持ってたのか」
「うん。だけど、今日あんなたちが手に入れたものよりも以前から持ってたんだ。それに、最初は石化した状態で」
「石化していた?よく見せてくれ」
ジェットに渡すと、持っていたルーペで隅々まで観察する。
目を細めたり、?を浮かべるような顔をする。
「なんだこれ……見たこともない模様だな。ただのマコトジュエルとは違うような……それに石化していただって?」
「何かおかしいのか?」
「石化したマコトジュエルなんて聞いたことがない。まるで力を失っているようだろ」
確かに、宝石なら様々な色がある。
その辺に落ちた石なんて宝石とは誰も思わない。
「てことは、それに力が宿ったってこと?」
「あるいは戻った、だな。以前から持っていたって言ってたが具体的にはいつだ?」
う~ん……説明が難しいな。
誤魔化す理由もないし、ジェットには話しておこう。
「実は……僕には半年よりも前の記憶がないんだ」
「ん?どうゆうことだ?」
ジェットに覚えている限りのことを話した。
半年前、僕は湖の近くで倒れていた。
ある女の子が、傷だらけだった僕を介抱してくれた。
彼女曰く、記憶喪失だと教えてくれた。
元々その女の子と僕は知り合いだったそうで、一人暮らしとかいろいろ手助けしてもらっていた。
お金に関しては、僕の貯金が最初からたくさんあったのでそんなに困ることはなかった。
そして、あの石……マコトジュエルはそのときの時点で持っていた。
それが何かは今日まで知ることはなかった。
「真相を知っているのは、記憶を失う前のお前自身ってことか」
「うん」
ジェットからマコトジュエルを返してもらった。
「でも、そのマコトジュエルは、きっとお前を導いてくれる」
「そっか。ジェットのお墨付きなら安心だ」
「それよりお前、ずっと呼び捨てなの気付いてるぞ。ボクが年上だが」
「あっ」
気づいてたか……
このマコトジュエルに宿るあの力……ティガ。
僕を何に導くのだろうか。
ひとまず、僕は日課の日記を書いてから眠ることにした。
日記を書き終え、寝るためにソファーへ移動した僕。
正面にはあんなが眠っている。
何か寝言を言っているのか、口が小さく動いている。
「おかあさん……」
そうだよな……大好きな親も今は会えない。
楽しみにしていた誕生日パーティーも先延ばし。
不安があるだろう。
僕はあんなの頭を軽く撫でた。
そういえば、この時代で一日を過ごした彼女だがあんなの時代の時間はどうなっているのか。
元の時代に戻れたとしても、こっちにいた時間分、向こうが経過していたら……
いや、今考えても無駄骨か。
ポチタンの力なら戻るタイミングも調整できるだろう。
2027年の1月から1999年の4月と、年だけでなく月日もずれがあったのだから。
僕は布をかぶり、眠りについた。
感想お待ちしてます!
次は明日に投稿予定です。
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