名探偵プリキュア!ウルトラマンティガ 真実の光   作:Lotus000

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◆→ひかる視点
☆→三人称視点
●→???視点

ウルトラマンティガ放送から30年!おめでとうございます!
30年前の作品なのに全世代に知られてるのってすごいですよね
1996年ってまだ生まれてないよ……

そして大決戦!超ウルトラ8兄弟の公開から18年!



ギャル怪盗と赤いチカラ

◆

 

 あんなから頼まれた女性店員のちほさんは、店内にいる店員とお客さんをこの場に集めた。

 この場にいるのは、店員のちほさんと卓也さん。

 

 「一体何の騒ぎ?」

 「What's happened(何があったんですか)?」

 

 そして買い物客のさえこさんと観光客のトムさんの計四人。

 

 「お店にいるのは、これで全員」

 「犯人は別の誰かで、こっそり入って……盗って出て行っちゃったとかは?」

 「でも、ドアを開けると鳴るベルは鳴っていません」

 

 入り口のドアを見ると、上部にベルが付けられていた。

 僕らがこの店に入ってきた時にも鳴っていたので壊れてはいない。

 

 「他に出入り口はありませんか?」

 「家具を出し入れする搬入口です」

 

 僕らの横に見えるあの大きな扉か。

 あれだけ大きくて目立つと誰かしら目撃しそうだ。

 

 「犯人はここから入って置物を持って行ったのかな……」

 「かもしれないけど、決めつけるには早い。ここにまだ犯人がいる可能性も考えないと」

 「でも……みんな置物は持ってなさそうだけど」

 

 先輩の指摘通り、置物を隠し持っているようには見えない。

 

 「結婚式のティアラの時と同じかも!」

 「そうか!どこかに隠してる!とか?」

 

 なるほど……

 あの時はティアラをブーケに隠して、式のブーケトスで手に入れる算段だった。

 今回の置物も後から回収するために一時的に何かに隠している可能性が高い。

 そう思って店内を探そうと思ったのだが……

 

 「わぁ……隠す場所多すぎ!」

 「う~ん……」

 

 ここはインテリアショップ。

 見渡せばいたる所に隠せるような場所ばかり。

 見つけるのに夢中になりすぎては、逃げられてしまう可能性もある。

 

 「あっ、あの置物ってガラスだったよね!」

 「うん。隠すなら割れる心配がない場所……」

 

 あんなの言う通り、あの置物はガラスでできていた。

 ガラス製である以上、適当に扱うことはできない。

 もし傷がつくなり砕けてしまえば、宿っているマコトジュエルも消えてしまうかもしれないから。

 安全性の高い場所か……

 

 「「ピンっと来た!」」

 

 あんなとみくるは籠にまとまって入っているクッションのところへ行った。

 店内にいる全員が見守る中、クッションを一つ一つ丁寧に分けていく二人。

 

 「「あった!」」

 

 二人は大量のクッションの中から何かを見つけ、あんなは取り出した。

 あんなが見せたのは裏返しの状態ではあるものの、消えた亀の置物であった。

 

 「ありがとうございます!」

 

 ちほさんは二人に頭を下げる。

 他の三人も安心したような表情をする。

 

 「1、2……六枚揃ってる!どこも壊れてない!」

 

 卓也さんが置物を確認する。

 幸いにも傷はなかったようだ。

 

 「ヒュー!」

 「棚に戻しておきます」

 「ありがとう。お願い」

 

 置物を元の場所へと戻す。

 その様子を僕は後ろから見届けた……

 

 

 

 やっぱりだ。

 卓也さんが置くとき、亀の置物は裏返しの状態で置かれている。

 正直、亀には見えない。

 あれではまるで……

 

 

 

 

 

 話を戻そう。

 置物は見つかったが、まだ解決ではない。

 置物を狙った犯人を見つけなければならない。

 ということで、一人ずつ聞き込み調査をすることにした。

 一人目は、外国人観光客のトムさん。

 

 「ズバリ犯行時、あなたはどこにいましたか?」

 

 みくるの言葉にトムさんは困った顔をした。

 

 「Oh……I can't speak Japanese(おっと……私は日本語を話せないんです)」

 「英語だぁ~!?どうしよう!」

 

 日本語が通じないトムさんにどうすればよいか困惑する二人。

 僕も英語は聞いたり、読んで理解することはできても、話すのは苦手だ。

 

 「先輩、何かない?」

 「ふふん、任せろ。そんな時には!この天才の発明品、プリキットグミがある!」

 

 先輩から教えてもらったあんなは、腰からハートの形をしたミニチュアサイズのケースを手に取る。

 

 「オープン!プリキットグミ!」

 

 手のひらサイズに変わったケースの中から鍵の形をしたグミを取り出した。

 

 「はなまる可愛い!」

 「食べてみろ」

 

 あんなとみくるが分け合って一緒に食べた。

 せっかくなので僕も一つ食べた。

 

 「プニプニ~」

 「おいひい~」

 「うまい」

 「美味しいだけじゃないぞ。食べるとどんな言葉も理解して話せるようになる」

 

 はえ?

 なんじゃそりゃ。

 

 「えぇ~!すご~い!」

 「すご~いって何が?」

 「コトバガワカル!?」

 

 本来なら英語で聞こえるはずが、日本語で聞こえるようになっている。

 先輩、本当に天才だったのか。

 

 「ちなみに効果は3分間だ」

 「じゃあ急いで聞かないと!」

 

 あんなとみくるが聞き込みを続ける中、僕は先輩と話す。

 

 「先輩、すごいね」

 「フッ……尊敬するか?「うん、する」即答かよ」

 

 

 

 

 

 聞き込みをして、置物がなくなった当時のそれぞれの状況が分かってきた。

 トムさんは母親へのプレゼントにスカーフを探していたこと。

 卓也さんは彼の母親が植物を育てるのが趣味と聞き、あの置物に似た柄を紹介したとのこと。

 さえこさんは入店してから猫を撫でていたこと。

 猫本人がされていたと証言した。

 プリキットグミは人間以外の生き物の言葉も分かるのか……

 残るは店員のちほさんと卓也さんだが……

 

 「あの~母が待ってるからもう行かないと……」

 

 トムさんが袋に包まれたものを手に持ち、僕らに告げる。

 

 「あっ、卓也くん。プレゼント用のシール貼り忘れてる」

 「えっ?あぁすみません」

 「シールをサービスしてます。この中からお好きなものをお選びください」

 

 ちほさんがトムさんに見せたのは、向日葵のイラストが描かれた6種類のシール。

 向日葵……?

 そうか!

 ようやく違和感の正体が分かった。

 

 「この6枚の中から選ぶの?悩むな……。う~んスカーフの色と合わせようかな」

 「スカーフ……」

 「6枚……」

 

 二人が呟く。

 そんな二人に僕は聞いてみた。

 

 「ねぇあんな、みくる。あの置物ってさ、最初に見たときどう置かれてたっけ」

 

 僕が問いかけると、二人はあの置物を見る。

 

 「「あっ!」」

 

 二人も違和感の正体が分かったようだ。

 

 「「見えた!これが……答えだ!!」」

 「犯人は……!」

 「うん!」

 「「あの人だ!」」

 

 

 

 

 

 「犯人が分かりました」

 

 さぁ、答え合わせの時間だ。

 改めて、被疑者は4名。

 店員のちほさんと卓也さん。

 客のさえこさんとトムさん。

 

 「置物を盗んだ犯人は……」

 「「あなたです!」」

 

 二人が指をさしたのは店員の卓也さんだ。

 

 「ボ……ボクが?そんなわけないでしょ」

 「いいえ!あなたしか考えられない」

 「今回の事件の謎を解く鍵はスカーフです」

 「スカーフ?」

 

 二人の推理は続く。

 

 「あなたは置物を盗んで、搬入口から出ようとした」

 「店員であるあなたなら誰も変だと思わない」

 「でも出ようとした時に、トムさんにスカーフが欲しいと声をかけられて、慌てたあなたは置物をクッションの中に隠した」

 「そこなら置物は割れなくて済むから」

 「そんな……言いがかりですよ!」

 「卓也君がまさか……!」

 

 確かにこれだけでは証拠がなく、犯人とは断定できない。

 ならば証拠を見せればいい。

 

 「トムさん」

 「はい?」

 「卓也さんはあの置物みたいな柄のスカーフをお母さんへのプレゼントに選んだって言いましたよね」

 「はい」

 「見せてもらえませんか」

 「はい。これだよ」

 

 トムさんが僕らに見せたのは花(・)柄(・)の(・)黄色いスカーフであった。

 

 「花?」

 「ねっ、あの置物とそっくりでしょ?」

 「えっ!?」

 

 やはり思った通りだ。

 

 「そう……卓也さんは花の形をした置物だと思ってたの」

 「亀の置物なのにね」

 「か……亀?」

 「クッションの中から見つかった時……」

 

 『六枚揃ってる!どこも壊れてない!』

 

 「おかしいと思った。亀の頭と足・尻尾を六(・)枚(・)とは言わない……」

 「花だと勘違いしてたから六枚って言ったの。花びらを数えるみたいに!」

 「その証拠に、置物を見てください」

 

 僕は置物へと指をさし、みんなの視線が置物へ向く。

 亀の置物は元の場所に置かれている。

 ちほさんが口にした。

 

 「あれ……?逆さまになってる」

 

 一番の特徴である甲羅は下になってしまい、クッションで見えなくなっている。

 代わりに腹を見せた裏返しにした状態に。

 これでは甲羅が葉で、腹が花に見えてもおかしくない。

 でも、この置物は向日葵ではなく亀であることをこのお店の人は知っている。

 

 「ちほさんが僕らに話してくれました。『亀みたいに歩みは遅くても、一歩ずつ前に進んでいこう。そしていつかもっと広くて素敵なお店にしようって。この亀の置物を見るたびに頑張ろうって』と……。店のみんなで大切にしているシンボルだと」

 「店員の卓也さんが、そんな間違いをするはずがない!」

 「「あなたは卓也さんじゃない!」」

 

 卓也さんに変装した犯人は二人から断言され、こめかみが震え始めている。

 

 「……マジ、チョベリバ~!」

 

 突然、指差しポーズをしたと思ったら、右手にメイクブラシを手にする。

 

 「「あっ!?」」

 「メイク……?ニジーじゃない!?」

 

 あっという間に化粧を終えた犯人は僕らに正体を見せた。

 

 「そう!アタシは怪盗団ファントムのアゲセーヌ!」

 

 ピンクがかった薄いオレンジの長髪をコウモリの羽が付いた飾りでパイナップルヘアー。

 全体的にギャル風のファッションの見た目だ。

 ニジーとは別の怪盗団ファントムの一人、人間の姿をしているがジェット曰く妖精なのか。

 

 「アンタもいたのはびっくりしたけど、いただいていくから~!」

 「あっ待て!」

 

 亀の置物を手に取り、アゲセーヌは店の外へ飛び出していった。

 

 「「あっ!」」

 

 店の外に出ると、アゲセーヌは建物の屋上まで軽やかに跳び、屋根から屋根へと跳びながら逃げていく。

 

 「追いかけよう!」

 

 僕たちは建物を伝って逃げるアゲセーヌを地上から追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 「何それ!?」

 

 アゲセーヌが逃げたであろう方向へ向かうと、驚いたような声が聞こえた。

 

 「「あっ!いた~!!」」

 

 大通りに出ると、アゲセーヌが歩道の真ん中に突っ立っていた。

 さっきまで逃げていたはずなのにどうして?

 

 「チッ!面倒だけど、ウソノワール様のためなら相手してやるっしょ!」

 

 「ウソよ、覆え!チョベリグにしちゃって!ハンニンダー!」

 

 アゲセーヌは黄色いハイビスカスを手に持つと、それを吹き放った。

 ハイビスカスが息で飛ばされ、置物に添えられるように置かれる。

 置物に宿るオレンジ色のマコトジュエルが染まり、手足が植物で顔が向日葵のハンニンダーが生み出された。

 って花?亀じゃなくて?

 

 「ハンニンダー!」

 

 ハンニンダーが姿を現すと、僕らの周りを透明な光のドームが包んだ。

 

 「「わぁ!?」」

 「ドーム?いや、フィールド?」

 「どうなってるんだ!?」

 「フフン……ファントムの新技術!あんた達以外いない密室!これで事件は迷宮入りっしょ!」

 

 周りを見渡すと人の姿はおろか、人の気配すらなくなった。

 おそらくこのフィールド外の人には僕らの存在も消えているのだろう。

 だが、プリキュアが秘密であることや戦いに一般人が巻き込まれる危険がない。

 こちらとしても好都合だ。

 あんなとみくるは顔を見合わせ、首にかけたペンダントを手に持った。

 

 「「オープン!ジュエルキュアウォッチ!」」

 

 「どんな謎でも、はなまる解決!名探偵 キュアアンサー!」

 「重ねた推理で笑顔にジャンプ!名探偵 キュアミスティック!」

 「「名探偵プリキュア!」」

 

 「私の答え、見せてあげる!」

 

 「ハンニンダー!」

 

 変身した二人は蔓状の腕を振ってきたハンニンダーの攻撃を跳んで避けた。

 

 「花じゃなくて亀だってば!」

 「はぁぁぁぁぁっ!」

 「ハン……ニン……」

 「ふっ!」

 「ダァー……」

 

 アンサーは回転しながらハンニンダーの頭に回し蹴りを放った。

 バランスを崩したところにミスティックが踏みつけて倒れさせる。

 

 「何やってんのハンニンダー!チョベリバ~!」

 

 倒れるハンニンダーを 責するアゲセーヌ。

 

 「チョベリバ?」

 「最悪って意味だ……ちょっと前(・)に(・)流(・)行(・)っ(・)た(・)言い方」

 

 首を傾げるアンサーにポチタンを抱えた先輩が答える。

 確かに最近ではあまり聞かない。

 

 「アゲ的には今もブームだし!行っちゃって!ハンニンダー!」

 

 先輩の言葉に怒りを覚えたのか、アゲセーヌがハンニンダーに命令する。

 

 「ハン、ニン……ダー!」

 

 ハンニンダーは右腕を二人どころか僕と先輩、ポチタンを巻き込むように叩きつけた。

 二人は跳び、僕と先輩は横に避ける。

 建物の壁を走る二人に左腕で再度攻撃するハンニンダー。

 

 「「はっ!はぁぁぁぁぁっ!」」

 

 その攻撃も避けた二人は大きく跳びあがり、落下の勢いをのせたパンチをしようと構えた。

 

 「ハンニン……ダー!」

 

 だが、空中では身動きが出来ないことを狙っていたのか。

 ハンニンダーが顔を光らせ、無数のエネルギー弾を二人に放った。

 

 「うわっ!?」

 「ぐっ……!」

 「ダー!」

 

 怯んだ二人に追い打ちをかけるようにハンニンダーは両腕を伸ばし、二人の片足に巻き付き、逆さ吊りにした。

 

 「イェーイ!アゲの活躍見てる~?ウソノワールさま~!」

 

 まずい。

 このままでは二人がハンニンダーにやられてしまう。

 先輩とポチタンは意識が戦いに向いている。

 物陰に隠れた僕は先輩からもらったビデオカメラ――『プリキットカメラ』を起動し、戦いの動画を撮り始めた。

 そしてカメラに映らない死角で胸ポケットからマコトジュエルもとい、スパークレンスを取り出す。

 

 正面に突き出しスパークレンスを展開させる。

 両腕をクロスし、大きく回してスパークレンスを空へ掲げ、光(ティガ)となった。

 

 

 

☆

 

 光とともに姿を現したティガは正面へ立ち、ハンニンダーへと構える。

 

 「チャッ!」

 「ティガ……!」

 

 アンサーとミスティックが宙吊りになりながらもティガに顔を向ける。

 

 「ポチ~!」

 「ティガ……!そうだ!ひかる、アレを……ってあれ?」

 

 ジェットはひかるに向けて言うが、周りに本人の姿はない。

 先程まで横にいたはずなのに。

 

 「アンタがニジーが言ってた“ティガ”?アンタもプリキュアも一網打尽にしちゃうっしょ!」

 「ハンニンダー!」

 

 ハンニンダーは顔面から無数のエネルギー弾をティガに放った。

 ティガは跳びあがり、空中で前転しながら回避し、距離を詰めた。

 反撃のパンチをしようと右腕を振りかぶる……が

 

 「フッ!」

 「ハンニンー!」

 「「うわっ!?」」

 

 ハンニンダーは、両腕で拘束したアンサーとミスティックを自身とティガの間に割り込むように出した。

 目の前に突き出された二人にティガは拳を放つことが出来ない。

 

 「ポチ~!」

 「二人を盾にしているのか……!」

 「そんな!」

 「私たちが……」

 「ウフフッ!アタシって天才じゃね!?今のうちにやっちゃえ!ハンニンダー!」

 「ハンニンダー!」

 

 無防備になったティガへ再度、ハンニンダーがエネルギー弾を放ち、直撃する。

 

 「ハンニン!」

 「グアァッ!?」

 

 攻撃を受け、膝をついたティガへハンニンダーは、アンサーを拘束している右腕の枝分かれした部分を伸ばし、ティガの胴体に巻き付く。

 

 「ハン!」

 「ニン!」

 「ダー!」

 「グワァァッ!」

 

 身体を蔓に持ち上げられ、地面や建物へ何度も叩きつけられる。

 何とかティガは立ち上がろうとする。

 

 「これってもうアゲの勝ちじゃね?マコトジュエル盗られて悔しい感じ?」

 

 アゲセーヌは宙吊りのアンサーとミスティック、地面に倒れるティガに笑いながら挑発するように言う。

 

 「マコトジュエルも大事だけど……」

 

 アンサーは店員のちほさんの言葉が脳裏によみがえる。

 

 『この店のシンボルなんです』

 

 「マコトジュエルだけじゃない!」

 「あなたには、物に込められた思いが見えてない!」

 「はぁ~?」

 

 ミスティックも同じく。

 

 『亀みたいに歩みは遅くても、一歩ずつ前に進んでいこうって』

 

 「ちほさんの大切なものは必ず取り返す!」

 

 アンサーの言葉を聞いたティガは膝をつきながらも、拳を強く握る。

 すると、額のクリスタルが赤く光る。

 

 「――――――チャッ!」

 

 額の前で腕を交差させ力を集中させる。

 腕を振り下ろすと、身体の紫色が赤へと変化し、赤と銀の姿になった。

 

 「あっ……色が……!?」

 「赤に変わった!」

 

 先ほどとは違い、両手を握り、拳を構えるティガ。

 

 「ハンニンダー!」

 

 ハンニンダーは、ティガをまた叩きつけようと胴体に巻き付いた蔓で持ち上げようとする。

 だが、ティガはその場から動かない。

 持ち上げられないようにこらえている。

 

 「フゥゥン――!チャッ!」

 

 ティガは巻き付いた蔓を両手で掴むと、いとも簡単に引きちぎった。

 

 「えぇ!?」

 「すごいパワーだ!」

 

 アゲセーヌもジェットもティガの力に驚きを隠せない。

 引きちぎった蔓を片手で放り捨て、ハンニンダーへ接近する。

 

 「ハンニンダー!」

 

 ならばと、ハンニンダーはエネルギー弾を放つ。

 しかし、避けることなくこれを右手で防ぎ、かき消した。

 胸のカラータイマーが点滅し始めた。

 

 「私達も歩みを止めない!」

 

 ティガの奮起を見たアンサーとミスティックも自身の足を拘束している蔓を掴むと力を入れる。

 

 「「ぐっ!うぅぅん……!はぁっ!」」

 

 二人を拘束していた蔓を力一杯引きちぎり、解放される。

 

 「えぇ~!?」

 「ハン、ニン……」

 

 両腕を失い、後ろへ倒れようとするハンニンダー。

 その隙を彼らは逃さない。

 二人はジュエルキュアウォッチ取り出し、針を11まで回す。

 

 「フッ!ハァァァァァッ――」

 

 二人の隣に並んだティガは、両腕を左右から上にあげ、胸の前にエネルギーを集める。

 エネルギーは光球となり、収まる。

 光球を宿した右手を大きく振りかぶってハンニンダーへ放った。

 

 「「これが私たちの……アンサーだぁぁぁぁ!!」」

 「ハァッ!!」

 

 二人の突撃と、超高熱のエネルギーを受けたハンニンダーが爆散し、光の柱が立ち上がった。

 

 「「キュアット解決!」」

 

 ハンニンダーが消滅し、オレンジ色の花型のマコトジュエルが掌に収まる。

 それをポチタンに渡す。

 

 「ポチポチ!キュアキュア~!」

 

 マコトジュエルがポチタンの中に吸い込まれた。

 

 

 

 「ぬううっ……!チョームカつく!」

 

 ハンニンダーを浄化され、マコトジュエルを取り返されたアゲセーヌ。

 ハイビスカスの花を召喚し、体全体を包み込むとその場から姿を消した。

 その様子を見届けたティガは空の彼方へ飛び去って行った。

 

 

 

 

 

●

 

 アゲセーヌがマコトジュエルの奪取に失敗した様子をこの目で見届けた。

 戦いが終わる頃には食べていたアイスも食べ終わった。

 

 「ふーん。プリキュアね」

 

 新たに現れた名探偵プリキュア。

 私と同じ『プリキュア』の力を持つ彼女達。

 プリキュアになってまだ日が浅いからか、力技で戦う場面が目立つ。

 褒めるところがあるとすれば、息の合ったコンビネーションってところ。

 

 「あの子……ティガ、赤と紫色の身体だったのが変わるなんてね」

 

 そばにいるおとも妖精のマシュタンが言う。

 赤い姿に変わってから形勢が逆転した。

 構え方も、戦い方も。

 あの姿が変わることは初めて知った。

 

 私とマシュタンは建物の屋上から彼女たちの様子を見る。

 建物の陰から一人、青年が彼女達のもとへ合流する。

 白衣を着た金髪の少年が青年の頭を両手でグリグリと押し当てる。

 プリキュアから元の姿へ戻った二人が笑う。

 ピンク色の妖精も楽しそうに喜ぶ。

 

 あぁ……懐かしくて、羨ましい。

 でも、あの頃の幸せはもう戻らない。 

 私はあの中心にいる青年、ひかるを見つめる。

 

 

 

 

 

 ――――すべてを失ったあの日。

 ウソノワールに敗れ、マコトジュエルがその手に渡ろうとしたとき。

 大切な人がそれを阻止し、記憶を失った。

 ひかる(片思いの人)は光となり、巨人となった。

 湖から現れた巨人は、気絶した彼女を水の中から右手で掬い上げた。

 散りゆく光とともに姿を消し、人間(ひかる)の姿へと戻った。

 でも、彼の記憶も消し去ってしまった。

 

 今の彼は私達と一緒だった頃の彼ではない。

 本当なら巻き込みたくなかった。

 でも彼は再びあの姿――ティガとなった。

 ファントムと敵対関係にある以上、戦うことは避けられない。

 私もひかると……

 

 「――るか……るるか」

 「あっ……」

 「また寂しげな顔をしてたわよ。あなたにそんな顔は似合わないわ」

 「うん……行きましょう」

 

 マシュタンを抱えて、私はその場から立ち去った。

 

 

 

◆

 

 「ありがとうございます!探偵さん!」

 

 亀の置物が無事に元の場所へ戻った。

 ちほさんの思いを守れてよかったと僕たちも安心する。

 

 「ただいま戻りました」

 「えっ!?」

 

 店の入口の扉が開き、ベルが鳴る。

 入ってきたのは男性店員の卓也さんだ。

 アゲセーヌが変装していた人物。

 

 「本物の卓也さんだと思います」

 「買って来いって頼まれたハイビスカス、どこにも売ってなくて……」

 「私、頼んでないけど……」

 「きっとアゲセーヌとかいうアイツが、ちほさんに化けて頼んだんだな」

 

 なるほど、鉢合わせないように予め変装する対象を遠ざけていたのか。

 アゲセーヌが亀の置物を向日葵だと勘違いしたおかげで助かった。

 

 「そういえばひかる君、いつから置物が逆さまに置かれてるって気づいたの?」

 「ちほさんが僕たちを奥に案内した時だよ」

 「事件が起こる前から!?」

 「あの時、卓也さんに変装していたアゲセーヌが僕に視線を向けてるように感じたから振り返って。その時に置物が裏返しに置かれているのを見たんだ」

 「あぁ……あの時、立ち止まってたのはそういうことだったのか」

 「どうして裏返しになっているのかは分からなかったけどね」

 

 事件を振り返った後、改めてインテリアショップで雑貨などを見ていき購入した。

 先輩の顔すごいことになってたな。

 

 

 

 「「出来た~!私たちの事務所!」」

 「ポチ~!」

 

 事務所に帰ってきた僕たちは早速、模様替えをした。

 クッションや観葉植物、そして僕の寝床には枕が。

 

 「お……お金が……」

 「あはは……」

 

 先輩の財布はカラカラ……一文無しだ。

 僕も出さなければもっと赤字だったであろう。

 あんなとみくるの二人は外に出て、事務所の看板を見ている。

 

 「そういやひかる、プリキットカメラで映像を撮ったんだろ?後で研究室でデータを送ってくれ」

 「あぁうん……」

 

 改めて、今日のことを振り返る。

 今回新たに現れた怪盗団ファントムの一員、アゲセーヌ。

 彼女も僕へ何か視線を向けていた。

 ニジーから情報を共有されているとしたら警戒すべきはプリキュアの二人の方だ。

 そういえば、ニジーも僕と初対面ではないような反応を示していた。

 もしや半年前、僕は怪盗団ファントムと何らかの関係があったのか?

 

 そしてアゲセーヌの行動だ。

 僕らから逃げていたのに、突然戦うことを選んだのはどうしてなのか。

 誰かと話しているようだったが……

 そんなことを考えながら、笑顔のあんなとみくるを窓から眺めるのだった。




初のタイプチェンジ、パワータイプ登場!

過去の話はいずれ書く予定です

次回も一週間でできるかな?
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