(ここまで、長かったな)
冷たくなった地場衛を地面に横たえる。
ひかりの──セーラームーンの脳裏を、この半年の記憶が駆け抜けていった。
カウンター席で隣り合って、パーラーでチョコレートサンデーを食べていた。
「えっ、レイちゃん、地場さんと付き合ってるの?」
「らしいよ。デートしたって。知らなかった?」
こくりとうなずいたあと、ひかりは表情を渋くした。
「そう、そうなの。ええー……」
「どーしたんだよ、しかめっ面して。実は地場さんのことが好きなのか?」
「そんなことは全然なくて」
「あ、そ。つまんないの」
唇を尖らせたまことのことを「もう」と言いながら肘で軽く小突いて、ひかりはレイの姿を思い描いた。次に地場衛の姿も。
言葉を選びながら、慎重に口を開く。
「大学生が中学生と付き合うって……よっぽどの純愛かロリコンの二択になっちゃうなって……」
「えっ!? あっ、あー、そっか、そういうこともあるか……」
「女の子は大人っぽい男の人が好きだけど、あえて子どもを選ぶ男の人って、男の人側に、なにかこう、いい知れぬ好みがありそうじゃない。そうでないならそれこそ純愛なんだけどね? 地場さんのことだからどうせ大学でもモテモテで選び放題でしょ」
まことは少し顔色を悪くした。口元に手をやって、考え込む彼女の声がかすかに震える。
「た、確かに……地場さんは年下趣味にも見えないし、レイちゃん、押し切ったのかな……」
「ハタチを超えたら十歳差でもない限り誤差なんだけどねぇ。十八歳って境目よねぇ」
まことはパンとテーブルを叩いた。
「いや、そこは異議あり! 大人の年の差なんて、愛さえあれば関係ないんじゃない?」
「経験に差があると騙しやすいのよ。恋人同士に上下関係はいらないわ」
スパッと切り返したせいで、まことが怯んだように押し黙ったのをひかりは覚えている。
自分でも冷たすぎたなと思って、フォローしようとして、「レイちゃんたちの関係は地場さんにかかってるね」と曖昧に笑ったのだ。
一方当時のまことは、
(ひかりちゃんが誰にも、タキシード仮面にも浮き足立たないのは、恋とか愛とかにすごーくシビアだからなんじゃあ……?)
とおののいていた。レイと同じように、大学生の元基に恋をしているまことはものすごく耳が痛い。
とりあえずレイのことは見守ろう、万が一破局したら友達として支えよう……そういう話を、あのときの二人はしていた。
夕暮れの中。遊びに来た公園のベンチに、二人は座っていた。
「やっぱり……使命がある以上、恋なんて……」
うつむく亜美の肩に、ひかりはそっと手を添える。
「人を好きになること、大切に思うことは素晴らしいことだと思うの。だって、愛された経験があって、それが他の人に向かうってことだから。自分がもらったものを他の人に渡したいと思うのと同じ」
亜美は自分の両の手のひらを見つめた。その声は震えていた。
「私、愛されたことがあるのかしら」
「あたしがいるじゃない!」
ひかりは亜美の背中をばしんと叩いた。その拍子に亜美が顔を上げ、そして呆然とひかりを見た。ひかりは歯を見せて笑っている。
「亜美ちゃんの最初の友達は、あたし! そりゃ、前世と使命がなければ、あたしたちは交わらなかったかもしれない。でも、もしもなんて関係なく、あたしは亜美ちゃんがだーいすきよ」
亜美は顔が熱くなった。同じくらい、胸が熱いと思った。それでも、どこか宙に放り出されたような気分になる。
彼女の声は震えていた。
「だけど、あたし、勉強しか能がなくって」
「亜美ちゃんのいいとこはね、優しいところ」
ぽん、と靴を飛ばすように、ひかりは片足を投げ出した。「え?」音が亜美の口から飛び出しても構わず、ひかりは話を続ける。
「それから真面目なところ。我慢強いところ。頑張り屋さんのところ。これは勉強の原動力になってるかも。でも、きっと勉強に生きてる一番は、知るのが好きなところ。わかりやすい知りたがりさんじゃないけど、亜美ちゃんって好奇心旺盛だと思うのよねー。もちろん要領もいいんだけど。これは物覚えのよさよね」
ミニパソもバイザーもすぐ使いこなしちゃったし、とひかりは指を立てる。
亜美は思わず笑みをこぼした。
「ひかりちゃんだって成績いいじゃない」
ひかりは、なんてことのない調子で、軽やかに言葉を紡ぐ。
「頑張ってるもん。でもケアレスミスだけはなくならないのよ」
「ふふ」
亜美は目を細める。
彼女は、自分が成績を鼻にかけていると陰口を言われていることを知っていた。ひかりと知り合ったその日だって、ひかりの同級生が同じことをすぐ近くで言っていたのだ。嫌でもわかる。
なまじできる……できすぎるせいで、人を褒めても嫌味と受け取られることは多かった。
亜美はほう、と息を吐いた。体に溜まっていた重苦しい気持ちが、全部出ていくようだった。
今、この瞬間が──ひかりとの関係が、どれだけ希少なことか。そして、ひかりをきっかけに出会ったレイ、まこととも同じだ。
セーラー戦士としては、彼女たちは使命を共有する仲間だ。けれど、みんなは水野亜美の友達だった。
「亜美ちゃんは素敵よ。だから浦和くんも、ね」
「も、もう!」
茶目っ気と共に覗き込むように笑いかけられ、今度は亜美がひかりの肩を叩く。
「いてて。亜美ちゃん力加減〜……」
「あ、ごめんなさい。こういうのって初めてで」
「じゃ、これから覚えればいいよ!」
そしてひかりは、両手で亜美の手を握った。
「亜美ちゃんはこんなに優しいんだもの。亜美ちゃんのパパとママも、ちゃーんと、亜美ちゃんのことが大好きよ」
大きく目を見開き、息を呑んだ。開きかけの唇がわななくように震える。
亜美の頭の中に、両親の冷え切った夫婦関係と、彼らが自分に向ける笑顔がフラッシュバックする。そして、二人が亜美の才能のために、たくさん与えてくれたものが確かに存在する。
亜美はひかりの手を握り返し、再びうつむいた。
「うん。うん……」
その頬を涙が濡らす。
ひかりからハンカチを渡されて、亜美はくしゃりと笑った。
火野神社の一角は、あいも変わらずセーラーチームのたまり場だ。たいていは勉強のために集まって、作戦会議の方がおまけになるけれど。
「お茶淹れてきたわよー」と、お盆を持ってきたレイが、様々に返事をする三人を横切って配膳をする。そして、ぐったりと机に突っ伏していたまことの背中をばしっと叩いた。
「まこちゃん! 行儀が悪い」
「はあい……」
ひかりは菓子盆の中の煎餅を取り、パンと音を立てて袋を破る。ひと口かじって咀嚼を終えたあと、レイを見て口を開いた。
「なーんか、レイちゃんときどきお姉ちゃんみたいね。姉御肌っていうの?」
レイは振り向いて、勝ち気に笑う。
「なーに、いきなり。あんたが甘えたの間違いじゃないの?」
「甘やかされるのは得意だけど〜。でもあたし、弟がいるお姉ちゃんなのよ」
「えっ、ウソ!」
三人全員が驚いた。しかし、注目されたひかりはけろりと答える。
「ほんとほんと。でも姉っぽくないってよく言われるなあ。進悟が、あ、弟ね、小さいときはもうちょっと姉ぶってたかな……? 三年生くらいからはしっかりしてきたから、あんまり過保護にしなくてもいいかなって」
その口ぶりが、ひかりが姉である証左のように三人は思った。思わずまじまじとひかりの顔を見るが、彼女は我関せずで、煎餅を食べ終わったあとに顔を上げて「どうしたの」と首をかしげる。
まことは思わず苦笑した。
「初めて会ったときも思ったけど、ひかりちゃんはマイペースだね」
「言えてるわ」
「本当ね」
「え、そう?」
三人は口を揃えて「そう!」と言い切った。
レイは内心で呟く。
(ま、マイペースで、人のいいところを見つけるのがうまくて、噂を気にしないから、友達が多いんでしょうね。愛嬌もあるし)
ひかりは孤立とは無縁だ。セーラーチームが結成されたからこそ、レイはことさらそう思う。
親しくなるにつれて、みんなの家庭環境のことは自然と──はっきりと言わない範囲で──共有された。レイは父子家庭だが父親に反発して祖父のところで暮らしているし、亜美は母子家庭で母親が仕事人間。まことは両親を亡くし、親戚の援助を受けて一人暮らし。ひとつの欠けもない家族は月野家だけ。
さらにみんな、それぞれの理由で周りから浮いていた。今から思えばその根源はセーラー戦士の力だったのかもしれないが、真相はわからない。
「普通」という多数派であることは存外難しいことだ。それがどれだけ困難なのかレイは知っている。女の子の占い好きのおかげで今の学校では受け入れられているが、過去に向けられた冷たい視線の感覚は未だに消えない。
だからこそ、ごく普通でありながらも、人間関係の上澄みに居続けるひかりの気質は眩しい。レイだって、幽霊バス騒動のときにひかりの屈託のない笑顔に救われたのだから。
そのひかりは、うーんと腕を組んでいる。
「じゃあなんでレイちゃんは面倒見がいいのかな」
「性格?」
「今まで年下の子をお世話したことがあるとか?」
まことと亜美もひかりに追従してレイを見たので、レイは肩をすくめた。
「後輩には慕われてるわね。うちが中高一貫なのもあるかもしれないけど」
「あー」と三つの声が重なった。
「レイちゃんとこ、T.A女学院だっけ」
「ミッションスクールで女子校だと、公立中学より生徒の関係が密接そうよねえ」
「神社の娘がキリスト教の学校に行くのってありなの?」
「学校を選んだのは父親だから関係ないわよ」
一瞬空気が凍った。
それを察知して、レイはすぐさま言葉を続けた。
「それに、日本暮らしだとみーんな気にしないしね。シスターは気にしてるかもだけど、うちはおじいちゃんとクリスマスケーキも食べるんだから!」
おどけた調子で笑う。三人がほっと頬を緩めるのが見えて、レイはこっそり安堵した。
はっきり打ち明けたことはないが、みんな、レイの家庭環境が複雑なことは察している。祖父しかいない神社に住んでいる時点で、どうやったってそれは隠せない。
(口が滑ったわ)
いくら信仰がちゃんぽん化している日本とはいえ、霊感が強く神社住まいのレイがミッションスクールに通っていて、それが父親の選択だというのは──無関心の表れだと、嫌でも気づく。
自分の迂闊さをレイは呪った。
それだけ、このルナと四人で一緒にいるときにリラックスしているということだったが、このときのレイはまだ気づいていなかった。
(みんな、死んでしまった)
セーラームーンは強い。強くなった。
戦士になったことで守る力を手に入れた、そのはずだった。
それが今や、セーラームーンが最後の一人だ。
D.D.ガールズを退けたあと、敵の増援が次々と襲いかかってきた。
進めば進むほどその強さは増していく。だから、セーラームーンよりも先に、四人は覚悟を決めてしまった。
セーラームーンを、ひかりを、なんとしてでも先に進ませなくては。
そして、ひとり、またひとりと倒れていった。
セーラームーンとタキシード仮面として一定の信頼を築いていた衛のことも、ひかりが倒した。
そもそもの話、あの瞬間、彼がゾイサイトからひかりを庇ったのは、セーラームーンが女子中学生だと──年下の女の子だと知ってしまったからだった。
かつてのエンディミオンもそうだった。
立場を抜きにして、自分より幼いセレニティを守るべき存在だとしたからこそ、ベリルの放った魔導波の絨毯爆撃からセレニティを庇った。
逃げ場などどこにもなかったが、彼はセレニティの盾になることを選んだのだ。
「セレニティ」としての最後の記憶にあるのは轟音と閃光だ。
(衛さん……)
彼が銀水晶を求める理由が、ひかりに罪悪感を抱かせた。
普通の幸せを手に入れられるように、と送り出された先で、両親との死別や記憶障害を抱えて生きていくことになった彼の孤独や苦悩はひかりの想像を絶する。
しかも、その彼に希望を抱かせたのが「銀水晶を探せ」というビジョンだったと言うのだから、ひかりにとって最高に悪趣味な皮肉だった。
銀水晶を探すことはセレニティを探すこと。
クイーンか、エンディミオンか、セレニティの無意識が願ったのか。ともかく、誰かがエンディミオンとセレニティの生まれ変わりが出会うことを銀水晶に願ったのだろう。
彼が銀水晶を探す理由を語ったとき。
また、自分と自分のコアとなるものが、この優しい人の人生を狂わせたのだと、ひかりは足元が崩れ去るような感覚を抱いた。
最後に、その顔を目に焼き付けるように見つめて、ひかりは立ち上がる。
次の瞬間には、彼女は無敵の戦士・セーラームーンの顔になっていた。
(みんな、あたしならできるって信じてくれた)
セーラームーンは、ぎゅっと胸の変身ブローチを握りしめる。
銀水晶の力を限界まで引き出せば、メタリアを滅ぼし、仲間たちや地場衛を蘇生することは可能だ。いずれセーラークリスタルとなる、スターシードを持つセーラー戦士ならなおさら。
前世、クイーンもそうやって邪悪を打ち払い、地球を癒し、プリンセスたちを生まれ変わらせた。できない道理はない。
銀水晶にはそれだけのパワーがある。無尽蔵の生命力が。
彼女のコスチュームがドレスに変わる。銀水晶がロッドの先に収まり、今か今かと解放を待っている。
大切な人を失うことよりも、自分が命をなげうつ方がずっと楽だ。そう考えていた彼女の目の前で、大切な仲間や、かつて惹かれた人の生まれ変わりは散っていった。
「これも因果応報なのかな」とセーラームーンは自嘲する。
強くなったからみんなを守れると思ったら、その強さを信じられた結果、肝心の最終決戦で守り抜かれてしまった。
孤高ぶってこのざまだ、とひかりは内心に苛立ちを滲ませる。
(それでも、戦わなくちゃ)
ジェダイトたち四天王も同じことだった。そも、失態続きでベリルに粛清されてしまってはセーラームーンの手で彼らを救うことはできない。
できたのは、攻撃の中に細工を仕込むことだけ。
特にジェダイトのことは時間との戦いだった。
四天王のことを捕捉してから、彼らが操られていることを突き止め、保護と洗脳の解除を水面下で進めた。当時の協力者はエリオスのみ。いざとなれば攫うことも考え、匿う場所もエリュシオンに決めていた。
しかし、生まれ変わった彼らはすでに人として死を迎え、妖魔へ作り変えられていた。
もっとも、それが発覚したのは、ジェダイトを救出したと思ったときだった。彼が消される直前に発動するよう仕込んだ緊急脱出プログラムが、彼のコアだけをエリュシオンに転送してきたのだ。
ひかりもエリオスも絶句した。
内部粛清が行われたことにも、ひどくおののいたのをまだ覚えている。
それから、コアの石を──皮肉なのか、それぞれの名を冠した鉱石だった──をメタリアから奪うことに計画をシフト。
しかし、事はうまく進まない。
なるがネフライトと心を通わせたのは大きな誤算だった。
ネフライトがなるを利用していたのは事実だったが、なる自身がネフライトを許し、セーラームーンたちから身を挺して庇うのだから始末に負えない。手出しをためらったせいで、決断が遅れ、ネフライトは泣きじゃくるなるの目の前で塵になった。
どれだけなるの心を傷つけただろう。
ふさぎ込むなるを、海野が癒そうと奮闘したことは、ひかりの罪悪感も少しだけ和らげた。
その一方で、セーラームーンの仕込みは、きちんと発動していた。ゾイサイトのときも。
「いい加減、あなたの真の主を思い出しなさい。いつまで操られているつもり?」
クンツァイトに対して、武器を突きつけながら冷たく吐き捨てたのは、セーラームーンが自分の無力さにほとほと嫌気が差していたからだ。
無敵の力がある。なんでもできるはずだ。
しかし銀水晶の力は万能ではなく、セーラームーンは居合わせた現場で戦うことしかできない。
ダークキングダムの動きは巧妙だった。
ジェダイトは商業に介入して不特定多数の人間からエナジーを奪い、ネフライトはエナジーが高まる人間を決め打ちで狙った。
虹水晶に妖魔が封じられていることを知ってからは、ゾイサイトとクンツァイトは本腰を入れてタキシード仮面やセーラー戦士たちと戦った。
戦いのフェーズが移っていっても、敵の正体や本拠地がわからなければ決着はつけられない。
ダークキングダムとセーラー戦士の戦いは、一定の均衡を保っていた。決戦の火蓋が切られるまでは。
「死ね! プリンセス!」
(そう。これがダークキングダムとの最後の戦い。前世からの因縁は、ここで終わり)
そして、セーラームーンは、メタリアと同化したベリルに向かって、浄化の光を放った。
邪悪を討ち滅ぼしたあと。
光に飲み込まれながら、セーラームーンは──ひかりはぼんやりと考えていた。
(全部うまくいったら、みちるちゃんとはるかと、一緒にまたカフェへ行こう)
二人はひかりが使命を果たしたことを「よくやった」と言うはずだ。
自分たちがまたなにもできなかったことに、怒りと悲しみを滲ませるかもしれないが。命をなげうったことを話したら怒るかもしれない。
(でも、セーラー戦士にとって使命は命よりも大事。そうよね?)
極まった戦いは常に生死を賭けたものになる。マーキュリー、マーズ、ジュピター、ヴィーナスの力なく横たわる姿に重ねるように、ウラヌスとネプチューンの冷たくなった体を、彼女は幻視した。
自分もこれから同じように冷たくなって──そして、このエナジーの奔流によって蘇る。
(もしそのときが来ても──あたしは諦めない。寿命以外で、みんなとお別れなんてしたくない)
ドレスがほどけて光の帯になり、セレニティのドレスはセーラームーンの衣装へ戻る。
セーラームーンは、目を閉じて、体から力を抜いた。
(亜美ちゃんとは、新しい参考書を買いに行こう。お母さんと同じようにお医者さんになるって言っていたけど、亜美ちゃんならなんにだってなれるはずだわ。もちろん、お医者さんが一番なりたいものなら、それが一番)
(まこちゃんとは、一緒にたくさんお料理して、みんなを呼んでパーティーをしたいな。場所はレイちゃんにお願いして、またレイちゃんのお部屋を借りる? ケーキ、ローストビーフ、温野菜のサラダ……あ、和食でもいいな。みんなで、おしゃべりしながら、太っちゃう! って笑うの。山盛りの唐揚げだっていい)
(レイちゃんとは、美奈子ちゃんと気が合いそうだから、ハメを外して三人でショッピングに行くの。おしゃれなものは着るだけで楽しいんだから。今まで挑戦したことのないスタイルを試したりして。ああ、それから、次の夏はみんなで海に行きたいな……五人で行くのはきっと楽しいわ)
(あたしね、大切な人を作るのが怖いだけなの。今でさえ、進悟、パパ、ママが人質に取られたらと思うだけで、頭がおかしくなりそう。なるちゃんがネフライトに利用されていたことも、もっと早く気づけていたら……)
誰かを大切に思うのは素敵なことだ。ひかりはそう信じている。
守りたい大切な人たちがいたから、最期の瞬間、セレニティは強くなりたいと思った。だから現世ではセーラー戦士になった。
そして、失うことを強く恐れた。
次の戦いがすでに待ち受けていることを知っている。
けれどもひかりは願い、自身の命を使って銀水晶の力を解放し──光の渦に呑まれた。
次に目覚めた先の、つかの間の平和を。
ただの女の子として、ただの人間として生きられるように。
「それでも、あなたの戦いはあたしより順調だった」
シルバーブロンドの髪をした女性は、膝を抱えながら、見ていた。
書いてないところの衛フラグ概略
ダイヤモンド王国の仮面舞踏会でキス→してない してる場合でもアニメ同様に記憶にないのでオリ主視点ではノーカン
涙から銀水晶→出てない 自分の主人にほぼ致命傷を与えたゾイサイトにキレてブチギレ覚醒
タキシード仮面誘拐&洗脳→してる セーラーチームが止まる理由にはならなかった
「あたしがいる」→言った 衛が地球・太陽の化身なのは変わらないので守護対象としてこのまま
レイちゃんのアプローチ→プリンセス発覚後に自然消滅 しかしデートはしたので(お試しデートの発想がない)中学生視点では付き合ってた判定
次回からブラック・ムーン編 ちびうさの本名にオリ主の影響はないです 母親は衛ルートを選択