中指の親方がダンジョンに居るのは間違っているだろうか? 作:アイド
先日、ヘスティアと家族になったマティアスは、早速外に出ることにした。因みに寝るときはマティアスがソファに座り、隣にヘスティアが居る形だった。パパの近くで娘ちゃんが寝るのは当然のことらしい。
「…これが夢じゃねぇなんて、俺はとんでもなく新しいおもちゃを貰ったみたいだな?漫画みたいな世界には行ってみたいと思うのは当然だな!ハハハ!」
いつもの様に白いスーツを整え、紫色のコートを羽織りサングラスをかける。これがマティアスの最高にキマった服装だ。そして背中にレーヴァテインを背負い、ヘスティアにボロボロの毛布をかけてからギルドへと向かった。
「いや〜改めて来ても面白そうな匂いしかしねぇな!さて、昨日言われたことはなんだったか?」
早朝、早速ギルドに到着したマティアスは、仕返し帳簿の最初のページを開く。そこにはかつての中指に関する条項や、蜘蛛の巣の特別条項があったが…今は横線でしっかりと消してある。そして、新しくヘスティア・ファミリアの条項が書き込まれていた。
「何々?レベルは4で申請して…あぁ、その前にヘスティア・ファミリアが初めてファミリアとして活動するから結成の報告もか?中々面倒そうな手続きが多そうだな?」
寝る前にヘスティアと一緒に考えた条項や、申請時の設定等をしっかり読み込んだマティアスはさらなる人の波が来る前に受付へと向かうことにした。マティアスがギルドへ来たのは朝日が昇り始める頃だが、ダンジョンに潜る人々はどんな時間でも居るらしい。
「お〜い!そこが受付だったか?」
「あら、貴方は昨日の…もしかして、ファミリアに入れたのかしら?」
「あぁ!無事に俺を入れてくれる奴が居てな!登録って奴をしに来たぞ!」
受付に居たのは、昨日と同じ受付嬢だ。ファミリアに入れたことを報告すると、様々な書類を出し始める。
「では、まずファミリアネームをお願いします。」
「あぁ、それなんだがな。俺が初のメンバーって事で、冒険ファミリアとしての申請ってやつもしに来たんだよな。そいつもここで出来るのか?」
「まぁ、それはおめでとうございます。勿論出来ますよ。ただ、そうなるとダンジョンのアドバイザーとかが必要になりますかねぇ…うーん、何か希望などはありますか?」
「アドバイザー?ほう、そんなに色々揃ってんのか!こりゃ面白いな!」
「えぇ、冒険者がダンジョンで死ぬのはよくある事なので…そういう事故とかを防ぐためにも、色々初心者なファミリアやレベル1の方にはアドバイザーを付けるようにしているんです。」
「そうか!まぁ希望をするなら面白い奴がいいな!もしくは、The・真面目って奴でもいいかもな?これも定番だろ?」
「真面目な方ですか?ええ、それならいい人が居ますよ。ちょっと裏から呼んで来ますね〜。」
そうして裏から呼ばれたのは、スリムでスタイルが良く、エメラルドグリーンの瞳をした耳の尖ったエルフだ。眼鏡もかけており、誰が見てもこいつは真面目なやつだと分かる雰囲気を纏っている。ただし、今は何故か機嫌が悪いのか体調が悪いのかは分からないが眉が中心に集まっている。
「おお!あ〜エルフってやつか!冒険者アドバイザーをやってくれるのか?」
「はぁ…はい、そうですよ。もう先輩ったらまたすぐに仕事を押し付けるんだから…」
「何だ?そんなに嫌だったのか?俺は別にさっきのお嬢さんでもいいんだが。」
「…いえ、任された仕事はしっかりとやり遂げます。それで、自己紹介の方もさせてもらいますね。私はエイナ・チュールです。」
「俺はマティアスだ。早速なんだけどよ、冒険者として登録して欲しいんだよな。出来るか?」
「はい。この資料と書類に記入をお願いします。」
出された資料と書類をサングラスを外して見ると…読めない。どうやら都市とは違う文字書かれているので、特に勉強などしてないマティアスには読めなかった。
「ん〜?なんて書いてあるんだ?これ。」
「あ、まだ文字が読めない方でしたか。では、代わりに記入致しますので、読み上げた項目に対しての希望を仰って下さいね?」
「おお!代わりにやってくれるのか!こいつは楽でありがたいな。じゃ、読んでくれ。」
「まずは、ファミリアネームとどういったファミリアにしていくかの希望をお願いします。」
「ファミリアネームはヘスティア・ファミリアだな。冒険ファミリア…でいいのか?」
「はい、大丈夫ですよ。次はあなたのレベルと年齢、所属、出身地を教えて下さい。」
「あぁレベルだな?4だ。所属は勿論ヘスティア・ファミリアになるな。年齢は35だ。出身地は…無理に言わなくてもいいか?」
「うーん…レベル4ということは昔何処かに所属してらっしゃったんですよね?」
「まぁそうなるな。必ず言わないといけないのか?」
「出来れば教えてもらいたいですけれども…他の冒険者の方で出身地が空白の方も沢山居ます。そういうのは今更ですし、本当に言いたくないのなら大丈夫です。」
「じゃあ空白にしといてくれ。あまり口外はしたくねぇんだ。外から来たしな。」
「まぁ、分かりました。え〜っと…これで登録が完了しました。レベル4ということで、一応ダンジョンにはすぐに潜っても大丈夫だと思いますけど…私としては講習を受けて欲しいです。」
すぐにダンジョンに潜れると言われ目を輝かせるが、講習を受けて欲しいと言われたので少し悩むマティアス。ゲーム的に思考をすると前作の経験はあっても、ゲームのチュートリアルには思わぬヒントもある事がある。そう考えたマティアスは午前中だけ受ける事にした。
「ありがとうございます。では、こちらの方から部屋に入ってもらいます。そこで私の講習を受けたら、ダンジョンの事が分かると思います。」
「まぁ、チュートリアルは大事だからな。ただ今夜はパーティーの予定があるからな!早めに終えて金を稼がせて欲しいんだが…行けるか?」
「ダメです。私がアドバイザーとなるなら、絶対にちゃんと受けてもらいますからね!」
ツカツカと歩いて奥に引っ込んだエイナを見届けた後、マティアスは言われた通りに部屋に入る。そこで用意されている椅子に座り、既に出されてある水を飲みながら待っていると、エイナが沢山の資料を抱えて現れる。
「マティアスさん?私は厳しく行かせてもらいますからね?」
「うげっ…宿題か…少なくなんねぇか?」
「ダメ!ダンジョンはとても危険で、油断したらすぐに死んじゃうような場所なんだから!しっかり覚えてからにしてもらいます。」
「勉強はあんまりしたくないんだが…」
「ダ・メ・で・す。はい、ではこちらのダンジョンの基礎から読んでください。その次はダンジョンの構想、モンスターの基本とか色々ありますから…絶対に全部覚えてもらいます!」
「かぁ〜!こんなことなら受けなければよかったな…面白くねぇ…」
「なんて言いましたか???」
「分かった分かった。ちゃんとやれば良いんだろ?はぁ…宿題とは無縁になったと思ったんだがな…」
こうしてまず勉強から始まったマティアス。資料として渡された本や紙は意外に面白く、しっかりと各ページに要点を纏めたひと言や豆知識も手書きで書かれているようだ。ゲームの設定資料と思って読むという事を意識すると存外悪くないので、この講習はしっかりと身に付きそうだった。因みにではあるが、エイナはギルドでも1,2位を争うほど人気を持つのでマティアスは既に沢山の男性冒険者からちょっと恨まれている。
「はい、これで今日の基礎は終わりになります。」
「ふぅ〜そんなに悪くなかったな?それにちゃんとやりゃあ昼までには終わったな!」
「最後のテストも点数は高めですし…これならダンジョンに潜っても大丈夫だと思います。」
「それなら、もう行っていいよな?」
「大丈夫ですよ。あ、でもちょっと気になった事があるんですけど…質問してもいいですか?」
「あぁいいぞ!この手書きの豆知識とかも面白かったしな!」
「ちゃんと読んでくれてるんですね。ありがとうございます。それで質問なんですけど…腰に付けてる手帳みたいなのは何ですか?2つあるみたいですけど…」
「あぁこれか。1つはまぁメモ帳みたいなもんだ。色々知らない事が多いからな、しっかりと書き残してるんだよな。そんでもう一個は…仕返し帳簿だな。」
「え、えぇ…?仕返し帳簿ですって?」
「そうだ。ヘスティア・ファミリアの条項とかが書かれてるぞ。エイナ、お前もウチのファミリアのアドバイザーになるんだろ?見るか?」
「う、うーん……ちょっ…と気になるかな…?」
「ハハハ!特別に見せてやるぞ!ウチのファミリアの仕返し帳簿をな!」
恐る恐る仕返し帳簿といって見せた帳簿を覗くエイナは衝撃を受けた。仕返し帳簿と言う割には家族にどうするべきか、家族の大切さについて語る中身があったからだ。ここだけを見れば家族愛に溢れた良い人になるのだろうが、仕返し帳簿と言われる所以は必ずある。それが後半の項目だ。
「えっ…と。このとんでもなく恐ろしい項目は…?」
「そりゃ仕返し帳簿だからな!俺の家族に何かした野郎がそのままそこら辺を無事に歩ける訳がねぇよな?ただどれも娘ちゃんに言われて即決処刑は出来ねぇんだよな…それはちょいと不満だな。」
「あの?即決処刑って何ですか?まさか言葉の意味のままなんて事はないですよね?」
「ん?そのままの意味だ。娘ちゃんに家族を守ってほしいってんなら、二度と手を出せないように消すのは良い解決策だと思わねぇか?」
「いやダメですからね!?簡単に人を殺すとか…とんでもないですよ!?それに娘ちゃんって誰なんですか!?」
「娘ちゃんは娘ちゃんだ!ヘスティアって名前だけどな。」
「主神じゃないですか!娘じゃないですよね!?」
「ハハハ!面白いなエイナ!娘ちゃんは娘ちゃんだろ?」
「あのですね…はぁもう一気に疲れた気がしますよ…とんでもないですね貴方。」
「これくらいが冒険者だろ?俺はそうだと思ってたけどな。」
「ファミリアという家族は他の方にとっても同じなんですよ?ちょっとしたすれ違いとかで色々あるのは分かりますけど…そういう事件とかありますし。でも、即決処刑なんてしたら犯罪ですよ!?」
「そうだな!さっき渡してもらった資料にあったブラックリスト入りになるんだろ?」
「分かってるじゃないですか!やらないでくださいよ!?それに色んなファミリアに喧嘩を売られると、アドバイザーである私にも色々処理とかしないといけない事が出てくるんですからね?」
「ハハハ!バタバタで面白そうだろ?」
「まっっっっっったく面白くありません!!」
「そうか…まぁとりあえず見せてやったし、返してくれないか?」
「ちょっと待ってください。私は貴方達のファミリアのアドバイザーになりました。それなら私も家族って事になりますよね?」
「ん〜まぁそうなるか?」
「それなら私からも2つ程追加させてもらいます。文句は言わせませんからね?」
「へぇ!どんなのを追加するつもりだ?」
エイナは仕返し帳簿に素早く書き込み、マティアスにその内容を見せる。
「冒険者として冒険はしないと…人を殺さないか。」
「はい。絶対守るんですよね?」
「…ハッ!まぁモンスターとかいう面白いおもちゃがダンジョンにはあるからな。これくらいなら守ってやるとしてやるか。」
「はぁ…そうしてくれると助かります。出来れば問題は起こさないでくださいね?それから、レベル4であっても無理しないで下さい。最後に、ダンジョンから帰ってきたら私の所に来て下さい。到達階層報告とか素材や魔石の買取などしますから。」
ペラペラと仕返し帳簿をめくっていたマティアスは、一度仕返し帳簿を仕舞い、代わりにメモ帳を開いて言われた事を書いておく。
「…そういう所は真面目なんですね。」
「いつか俺には弟や妹ができるだろ?そんときにこいつを見れば一発って訳だな!」
「貴方が良い人なのか悪い人なのか分からなくなってきましたよ…弟や妹って新規のファミリアの構成員の事を言ってます?」
「おお、十分分かってるな。その通りだな!」
「まぁ、とりあえず今日はいいです。ダンジョンに潜るなら気をつけてくださいね。」
こうして講習を終えて出てきたマティアスは、少しの腹ごしらえだけをした後に早速ダンジョンへ潜ることにした。
「ここがダンジョンって所か。うーん…最初の階層はゴブリンとかコボル卜って奴が出るんだったな?」
1階層だからか、ちょくちょく冒険者らしき人影が見え、自分と同じくダンジョンに潜る人、探索を終えたのか帰るために自分が来た方向へと歩いていく人が居た。マティアスは周りの人をしっかりと観察してみると、皆鎧や武器をしっかり持っているのは共通しており、基本は複数人でパーティーを組んでいるのか必ず集団行動を取っているのが分かった。
「やっぱパーティーってやつを組んでるんだな。組まなきゃやっていけねえ程にダンジョンってやつは面白いおもちゃでいっぱいかもな?ハハハ!」
周りを気にせずエイナからもらった地図の通りに歩いていると、遠くに緑色の怪物が歩いているのが見えた。
「お、遂に初遭遇か?奴は見た目通りゴブリンだな!まずはどんなもんか見てみようじゃないか?」
声を聞き取ったのか、遠くのゴブリンは近くに一緒に居たであろう他のゴブリンを連れてマティアスに突撃してくる。
「ゲキャゲギャ!グギギャ!」
「ハッ!なんて言ってるのか分かんねぇな!」
「ゲギャギャギャ!」
ゴブリンはこの構えもせずに立ったままの大男を舐めていた。他の冒険者に比べて異質なの装備をしており、普通なら攻撃する時に邪魔になるだろう鎧もなく、背負っている大剣はあまりにも分厚すぎて扱えるわけないと思っていたからだ。油断したこの冒険者を襲って殺してやろうと鋭い爪を振り上げて、その身体に振り下ろす。
「ギャギャギャ…」
「耳障りだな、その声。」
爪が通らなかった。それならと思って噛みついてみるが、それすらも白いスーツに傷一つ付けることすら敵わない。他のゴブリンも同じ様子で、狼狽えていると大男が動き出す。
「まずは耐久力をチェックだ!ハハハ!!」
マティアスが右足を振り上げて、近くのゴブリンの頭に振り下ろす。ただそこに足を振り下ろしただけなのに、ゴブリンの身体は簡単に潰され、瞬時に血を撒き散らして絶命する。魔石も一緒に潰されたのか、すぐに灰になる。
「グギャ!ゲギャギャ!!」
「あ〜流石にこんなもんか。つまんねぇな。軽く蹴っただけでもすぐに死んじまいそうだな?」
残りのゴブリンもマティアスの右足の蹴りによりそれぞれ身体を破裂させられ、頭だけ飛ばされたゴブリンも居た。身体を破裂させられなかったゴブリンだけが残り、他は灰へと還った。
「チッ…もっと下に行く必要があるな。お、身体が残ってんのがあるな。確か魔石ってやつがあるんだったか?」
身体の残ったゴブリンの胴体に手を躊躇なく突っ込む。怨恨の刺青によって強化されている身体は、それ一つでもとんでもない凶器になり、簡単に心臓部にあたる所を摘む。
「ほう…これが魔石か。クソ小せえが、金になるんなら大事だな。確か3個くらい集めりゃ昼飯が食えるくらいか?」
例え自身の爪程しかなくても、魔石はしっかりと売れる。魔石は様々な用途でオラリオに使われているため、どんなに小さくとも需要はある。しかし、このように小さい魔石だけではパーティーは開けないと考えたマティアスは更に下へ下へと潜る事にした。
「エイナから中層までの地図を貰っといて正解だったな!あいつ結構チョロいか?」
「ギャギャ!?」
「ヴォォォォ!!?」
「どいつもこいつも…こんなにすぐに壊れちまうと全然面白くねぇな…」
マティアスは地図の通りに進みながら下へと降りていったが、道中出会う魔物はどれも相手にならなかった。ゴブリンは頭を蹴り飛ばされ、コボルトは試しに放ったパンチで魔石を綺麗にくり抜かれ、挙句の果てには現れたミノタウロスの突進に対して頭突きをかますと、ぶつかってきたミノタウロスの方の頭部が粉々になる始末だった。元々中指の長兄だったマティアスにとっては、中層にもなってない場所の魔物は裏路地のネズミ程の柔らかさとしか思えない程に弱く感じた。
「無双ゲー程の物量もねぇし…まだ裏路地の夜の掃除屋どもの方が面白かったな…だが、こいつらは大抵心臓の所に魔石があるみてぇだな。頭とかをぶっ壊してやりゃ簡単に金になるもんが手に入るのはありがたいか…?いや、面白くねえからすぐに飽きそうだな…」
そうして散歩しているかのように歩いて下へ向かおうとしたが…一つ気づく事になる。そう、もう魔石を入れるものがなくなった。特段入れ物の準備をしていたわけではなかったので、エイナから貰えた袋一つがもう何も入らないほどに魔石と時々のドロップアイテムを抱え込んでいた。
「くぅ〜もうこれ以上は殺しても回収出来ねぇし、戻るしかねぇな。次はもっとデケェのを持っていかねえと…」
渋々来た道を戻ったマティアスは、出会った魔物を片っ端から殺しながら地上へ出た。因みにだが、魔物を殺す時に獲物を使ったりしていないので、一撃で灰になった魔物以外の血等はそのままで地上に出てきてしまい、ギルドがちょっとした騒ぎになったのは別の話である。
「あのですね?地上に上がるなら血の匂いとか落としてくださいね?普通ならやりますからね? 」
「教えられてないし、こんぐれぇは別にいいだろ?それにちゃ〜んと帰って来てやったからな!ハハハ!」
「公共の場を掃除するのはギルドの職員なんです!多少なりとも血とか匂いを気にして下さい!」
「帳簿に書き加えたんなら考えといてやるとするか。さて、換金はすぐ終わるって聞いたがまだか?」
「報酬はありますよ。こちら、4万ヴァリスです。」
「おお!結構な額になったんじゃねぇか?」
「えぇまぁ…少しの間はちょっと贅沢しても暮らせるくらいですかね?ヘスティア・ファミリアの場合は貴方と主神のみですので、パーティーしても資金は残るんじゃないですか?」
「ほう?じゃあ目標は達成だな!ハハハ!」
「はぁ…まさか初日に10階層まで降りるなんて思ってませんでしたよ?レベル4とは聞いていましたが、ダンジョンに関しては初心者なんですから、あんまり冒険はしないでくださいね?」
「ハハッ!冒険者は冒険するもんだろう?そいつは出来ない相談だな!」
「あ・の・で・す・ね。あんまり怒らせないでくださいね?私が担当しているんですから、最初くらいは私の言う事聞いてください!!」
プリプリと怒るエイナに笑いながらマティアスは机の上のヴァリスを受け取る。少しずっしりとした重みがこの世界で初の報酬だということを真に伝えてくる。異世界での様々な初体験は、マティアスにいつも新鮮な刺激を与えてくれているようだ。
「よし!じゃあここらで俺は帰らせてもらおう。今夜は娘ちゃんとパーティーをしないといけないからな!」
「はぁ…もう…。いいお店、知ってますよ。」
「お、どんなのだ?」
「豊穣の女主人っていう酒場です。料理はそこそこ高いんですけど、雰囲気も良くてお酒が美味しかったと思います。それだけあるなら多分大丈夫ですよ。」
「ハハハ!そうか!なら、その店でパーティーをするとしよう!エイナ、お前も来るか?」
「えっと…私は遠慮しておきます。まだ仕事も残ってますので…」
「そうか?それなら俺はもう行くぞ。ありがとな!」
ギルドを出ていったマティアスは、暇そうにしている街の人々に『豊穣の女主人』という酒場についての情報を集める。確かに口を揃えて飯が美味い、雰囲気が良い、酒も飲めるがちょっと高めといい、ついでに酒場の場所も教えてもらった。因みにではあるが、都市とは違いこういった平和な会話はマティアスにはやはり新鮮に感じる。家族以外の人間は何か裏があると思いながら話さなければならないが、オラリオではそんな事を考える必要もなく、ただ気楽に話すことが出来る感覚はとても不思議に感じさせられた。その感覚を反芻しながら、古びた教会の前まで来た。
「さぁ〜帰ったぞ娘ちゃん!」
こうして、初のダンジョン探索とヘスティア・ファミリアとして活動を開始したマティアスはホームへ戻ってきた。
この調子でいくとレーヴァテインを解放する機会あるかなぁ…?いや、解放しないといけないよな!ラッピングを1つ剥がしてやるぞ!
少しの間はオリジナルで展開していきますが、ちゃんと原作の通りに進む予定です