【ドリンクバー】
研二はスマホを脇に置いた。
「テスト勉強するか」
「たりぃ」
陣平はノートを開く。
気づけば雑談ばかりしていた。
研二のスマホが鳴る。
「お前たち夕飯いるのか!!」
2人は帰り道を急いだ。
(おわり)
【湾岸線】
ユーロビートに合わせ、ハンドルを軽く叩く。
「今日もいくか」
研二はアクセルをゆっくり踏み込む。
海の向こうに羽田空港の滑走路が見える。
光の筋が、ガラスを静かに流れる。
ベイブリッジを通り過ぎる。
陣平はふと窓の外へ視線を向けた。
研二はカーオーディオを止めた。
車は滑らかなラインを描き、大黒パーキングに吸い込まれていく。
夜風に当たりながら、缶コーヒーを飲む。
研二は騒ぐ若者たちを眺めた。
陣平の視線に気付き、苦笑する。
二人は再び車に乗り込んだ。
(おわり)
【峠道】
箱根の夜風は少し冷たい。
車が道路へ滑り出す。
この先は連続コーナーが続く。
研二は笑みを消した。
コーナーの出口へ視線を送る。
ハンドルをほんの少し切る。
車は吸い込まれるように向きを変えた。
陣平はシートに押し付けられながら平然と座っている。
ヘッドライトが次のコーナーを照らす。
ガードレールの継ぎ目を目印に、ブレーキを踏む。
車はストレートへ抜けた。
研二はアクセルを踏み込む。エンジンの音が山へ響く。
奥に街の灯り。
再びコーナーへ車を送り込んだ。
研二は近くのコンビニで車を止めた。
陣平はようやく視線を前から外した。
(おわり)
【観覧車の爆弾】
「点火の回路だけ切って、パネルの表示は残せなかったか?」
研二は苦笑する。
陣平は反射的に配線を思い出しかけた。
だが、すぐにやめた。
「知らねぇな。刑事だからよ」
「その割には、前の日も楽しそうに爆弾解体してたな」
陣平は少し笑った。
「あそこで運使い切っちまったな」
「高ぇ運だったな」
2人は互いの顔を見て、笑った。
(おわり)
【お菓子】
「陣平ちゃん、ファンタ飲む?」
「飲む」
注いだ。最後の一杯だった。
研二は残ったポテチを食べる。
「明日は?」
「来る」
陣平は帰った。
千速が部屋に顔を出す。
「千速、おかえり」
散らかったテーブル。
研二はスマホから顔を上げ、ゆっくり体を起こす。
「千速、お菓子……明日の分も」
(おわり)
【相合傘】
雨が降ってきた。
「陣平ちゃん、入れよ」
「悪ぃ」
二人は肩を寄せて歩く。
「千速が朝うるさかった理由が分かったろ?」
「……認める」
(おわり)
【願書】
陣平は研二の前の椅子に滑り込んだ。
「願書書いたか!?」
「志望理由、何て書いた?」
「警視総監をぶん殴る!」
「書いたこと聞いてんだけど」
研二は苦笑する。
やがて陣平は、空白だった志望理由の欄を埋めた。
研二は缶コーヒーを差し入れる。
「なんでコーヒー?」
研二は笑って、鞄を持って立ち上がった。
(おわり)
【テスト初日】
「陣平ちゃん、起きろ!」
陣平は目を覚ました。
寝ぼけながら差し出された制服に袖を通す。
「……!」
パリっとした制服に、シワ一つもない。
研二に続いてリビングに降りると、メイクを終えた千速がフライパンを持っていた。
目玉焼きが二人のお皿に並ぶ。
「「いただきます」」
「私は先に行くぞ!」
千速を見送ると、二人も鞄を持って家を飛び出した。
(おわり)
【どっちが好き】
「陣平ちゃん、質問!」
「おう」
「千速のこと好き?」
「好きだ!」
「佐藤刑事のこと好き?」
「好きだ!」
「俺は?」
「……ダチだ!」
「二股確定」
「んだと!」
陣平が研二に飛びかかる。
研二の笑い声が響いた。
(おわり)
【プロポーズ大作戦】
「陣平ちゃん、俺のプロポーズ大作戦を台無しにしたな」
研二は陣平の額を軽く指で弾いた。
とっさに陣平は額を押さえる。
「何だよ、お前の事思ってやったのに……」
「真面目すぎ。自分をよく見ろ」
陣平は胡散臭そうに首を傾ける。
「追いかけてるうちに、いい男になったじゃねぇか」
研二はニヤリと笑う。
「俺を千速だと思ってプロポーズしてみろよ」
陣平はふぃっと横を向いた。
やがて片膝をつく。
「千速、結婚してくれ」
研二は表情を変えず、陣平を見ている。
陣平の背中に汗が流れる。
「俺なんかやらかした……?」
「いや」
「じゃあ何だよ!」
研二は堪えきれず吹き出した。
陣平も顔をしかめ、笑った。
(おわり)
【自販機】
陣平はコーヒーを取り出した。
研二はコーラを選択する。
ふと陣平がボタンを見る。
『売切』。
何も知らず、研二は笑っていた。
(おわり)
【3D配線図】
研二はパソコンに3Dの爆弾配線図を表示した。
マウスで回すと、上下左右から眺められる。
陣平が呟いた。
「紙を超えちまってる……」
「画期的だよなぁ」
「奥の配線で『あ』ってなるからな」
「配線の通り方とか、もう少し寄せてくれるといいな」
二人は画面を眺めながら話し続けていた。
(おわり)
【雨の日2】
急に雨が降ってきた。
陣平は首を傾げる。
「雨なんて聞いてねぇぞ?」
「まずいな」
研二はスマホを取り出した。
千速が買い物に出たきりだ。
2人は車に乗り込む。
両手に大きな袋を抱えた千速がいた。
研二「こんなにたくさん?値引き?」
千速「特売だ」
研二「今日は食べ放題だな!」
陣平「やったぜ!」
(おわり)
【雨の日3】
急に雨が降ってきた。
「傘ねぇ!」
「急げ!」
2人は屋根の下に駆け込んだ。
研二は制服を見下ろす。
「千速が見たら絶句だな」
陣平は首をかしげた。
「洗うだけだろ?」
「その後はアイロンだ」
「千速が?」
「家のこともちゃんとやるんだよ」
雨はまだ降り続いていた。
(おわり)
【スカウト】
街でバカ騒ぎしていると、スカウトに声をかけられた。
「引っ込んでろ!」
研二は嫌な予感がした。
「俺ら、そういうの向いてないんで。失礼します」
研二は陣平の腕をつかみ、その場を離れる。
次の瞬間には、2人は笑いながら街を走り去っていた。
(おわり)
【重吾と千速を離したい陣平】
「どうした陣平ちゃん?」
「またアノヤローが千速に近づいてやがる……ちょっと行ってくる!」
「はあ?」
――その頃。
千速はふと後ろを振り返った。
「重吾?そんなに見つめるくらい私が好きか?」
研二「逆効果!」
(おわり)