「千速!お菓子!」
飲み物とお菓子をおくと、千速は部屋を出ていった。
研二と陣平はポテチに手を伸ばす。
陣平が聞く。
「千速って今日休み?」
「ああ」
「へぇ」
「何?」
「別に」
また千速が部屋に来た。
「買い物行ってくる。何かいるものあるか?」
研二「コーラ」
陣平「肉」
千速「はいはい」
千速は出かけた。
研二はコーラを飲み干した。
「陣平ちゃん、冷蔵庫」
「おう」
陣平はコーラを飲み干した。
「研二、ファンタ!」
「ほら」
「ポテチは?」
「ねぇな」
「おい!?」
何となく会話が途切れていた時、
研二のスマホが鳴った。
「……了解」
「どうした?」
「千速が鍵落としたって」
「は?」
研二たちは外に出た。
家を出てすぐの所に千速がいた。
気づいて千速も顔を上げる。
「すまない」
「いいって。中入ってろ」
「わかった」
買い物袋を持って千速は玄関へ走り出した。
研二は袖をまくり上げる。
排水溝の枠を外すと、迷わず溝に手を突っ込む。
その時、手元が明るくなった。
「お、陣平ちゃん、いい感じ」
幸いすぐに鍵は見つかった。
研二が後からリビングに行くと、
陣平がソファーでテレビを見ていた。
研二「今日の晩飯何?」
陣平「ハンバーグ」
研二「へぇ」
研二がニヤリと笑う。
「陣平ちゃん、千速の料理好きだよな」
「……別に!」
「じゃあ『陣平ちゃんの分いらない』って言ってくる」
「おい待てよ!」
「やっぱ好きじゃねぇか!」
研二は腹を抱えて笑った。
(おわり)
----------------------------
陣平「今日の千速、ノーメイク?」
研二「してるぜ?」(笑)
陣平「ホントか!?」
研二「ホントホント!」
研二「聞いてくるか?」
陣平「やめろ!」
研二は腹を抱えて笑った。
陣平は目を細くして千速の顔を思い出す。
「見分けつかねぇ……」
「でも俺の勝ち、今度陣平ちゃんのおごりね」
陣平は顔をしかめた。
(おわり)
----------------------------
『遺跡を発掘中、爆弾と思われる金属物が見つかった。応援を要請する』
2人はタバコを押し付け、駆け出した。
陣平「向こうでやってりゃいいのによ!」
研二「そういう風には聞こえねぇな!」
「終わったら飯な!」
「了解!」
会議室のドアをくぐった瞬間、2人の空気が一変した。
研二は長い脚をゆったりと組んでいる。
周囲の空気をゆるりといなす独特の華があった。
陣平はサングラスの奥から鋭い視線を走らせ、全身から近寄りがたい空気を放っていた。
目の前のホワイトボードに文字が穿たれていく。
「地下1.5メートルで金属反応」
「円筒形の物体。推定250kg級」
「不発弾にしてはきれい。表面の一部から比較的新しい被覆ケーブルが爆弾へ繋がって見える」
「住民は避難。遺跡発掘も中断」
「萩原、松田を爆発物処理班として現地へ派遣する。合わせて警備警戒要員を出動させる。出発は明朝」
とのことだった。
会議は終了し、隊員たちはいったん解散となった。
帰宅許可が出て研二は荷物を取りに行った。
そのうち千速が帰ってきた。
2人でリビングでくつろぎながら、研二は話し始めた。
「爆弾処理に行ってくる」
「仕事だろ?」
「まあな」
また研二は聞いた。
「あいつからは?」
「何も」
「……そっか」
荷物を掴んで、すっと立ち上がった。
後ろから千速が声をかける。
「気をつけろよ」
「心配すんなって」
研二は呼んでおいたタクシーに乗った。
定刻になり、一行は警視庁をあとにした。
現場で自衛隊と合流し、早速下見に出る。
夜、近くのホテルにある臨時会議室にて打ち合わせをした。
写真がスクリーンに映し出される。
爆弾は地中に半ば埋もれている。
腐食は軽微。信管の位置は不明。
周辺は住宅地と遺跡発掘現場。
まず掘削を行い、ケーブルの有無と信管位置を調査する。
調査は研二と陣平が行う。
その結果で処理方法を判断する方針となった。
夜から雨の予報が出ている。
「明日中に片付けてぇな」
「天気はどうにもなんねぇだろ」
たいした雨にもならず、翌朝雨は上がった。
研二と陣平はどちらからともなく互いを見て笑った。
まずは、掘削が始まった。
重機のアームが動いて周辺の土を取り除いていく。
だんだんと全体像が顕わになる。
午後からは調査に入る。
日差しが照りつけて、地面から蒸し暑さが上がってきていた。
研二と陣平は慎重に地面に手をついて、爆弾の表面に見えたというケーブルを探す。
どのくらい経った頃だろうか。
陣平が研二に視線を送る。
研二は気づいて、それから目線を戻した。
額から汗が流れる。姿勢が苦しい。
見ていくのは骨が折れた。
また陣平が研二を呼んだ。
研二がのぞくと、排水管があった。
(排水管じゃねぇか。)
(騒がせやがって。)
2人は小さく息を吐いた。
次の瞬間陣平の視線が止まった。
呼ばれた研二が身を乗り出す。
そこに信管があった。
それぞれ合図を送る。
その後、自衛隊も確認し、不発弾であることが確定した。
夜には処理方法も決定し、警察は警備要員を残して引き上げる事になった。
翌朝。
一足先に着替えた陣平は、窓際の細いスペースで外を見ていた。
その頃、研二はベストを取り付けていた。腕を回すのが辛い。
それから近くの椅子に腰掛けた。
「温泉も入れたし、よかったな」
「おう」
「外なんて見て、そう言う柄か?」
「るせぇ」
陣平は口をへの字に曲げた。
研二は笑った。
外では朝日が昇り始めていた。
(おわり)
----------------------------
昔から研二からのメールが異常に速かった。
> 件名:暇~
「陣平ちゃん、今日遊びに行こ!終わる頃に教室行くから返信ちょーだい♪」
陣平は返事を打ち始める。
また着信が来た。
「メール見た?15時までによろしく(^o^)」
「返信まだ(。・・。)?」
「陣平ちゃん?(笑)」
「てか寝た?陣平ちゃんマジ寝た?(*´艸`*)」
陣平はイライラした。
俺が速いのは分解だっつーの……
――絶対、あいつより速く返してやる!
陣平の負けず嫌いに火がついた。
「さっき送ったやつ見た?」
「見た」
「本当か?」
「通知で見た」
「開けよ!」
「で、返事は?」
「行く」
「返信早っ!ありがと♪」
佐藤刑事が松田の携帯を見る。
「メール?」
「ダチに書いてんだ」
書いても書いても、あいつが送ってきた分には敵わない。
それでも、気づけば文字を打っている。
あいつとの、くだらない勝負の名残だった。
(おわり)